New Life

basi

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第六話

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 この世界での新しい人生ニューライフが始まった。

 まずすることは――『走る』。

 移動の際はとにかく走る。とにかくアビリティを覚えて自身を強化。

 俺はマッチョ系より速度重視で行きたい。速さで翻弄するのってかっこいいよな。

「何にせよ、まずは装備を揃えないと」

 そのためには、お金が必要だ。初期は1000G(ガル)持っているが、色々としたい俺としては全く足りない気がする。

 とりあえずお金を稼ぐために仕事か何かを探さねば。クエストリストなどないし、何をすればいいやら。走ったり止まったりしながら悩んでいたけど、思い切って目についたNPCに話しかけた。

「すいません」

 街を歩いていた女性NPCに声をかける。

「はい? あら、こんにちは。見たことない人ね。何かごようかしら?」

「あの、初めてこの街に来たんです。買い物をしたいのですが、ちょっとお金が足りなくて……。何かいい仕事とかありませんか?」

 このゲームでは決まった形のクエストが少ない。こちらの話し方、内容によってクエストの内容から目的、報酬も変わる……らしい。

「そうなの~。ミルスへようこそ。そうねぇ……そうだわ。この先の武器屋さんが私の知り合いなの。そこで何か仕事がないか聞いてみて。メリーザからの紹介だって言えば大丈夫よ」

『チェーンクエスト《武器製造》発生』

 突然のアナウンスに驚いた。うわぁ……いきなり製造系のクエストか。まあいいか。受けれたってことは発生条件をクリアしてるんだろうし、とりあえず出来ることを一つずつクリアしていこう。

「ありがとうございます。早速行ってみます」

 初めてのアビリティはまだお預けかな。って初アビリティは知香の、じゃないエルファの一撃でゲットしたんだった。



 やっぱり店を探しながら走ってもアビリティのゲットはならなかった。まあ、店が結構近かったのもあるけど。

「すみませーん。メリーザさんからの紹介できたのですが」

 そう声をかけると奥からひとりの女性が出てきた。

「メリーザから? 珍しいじゃないか。それで何の用だい」

「……こちらで仕事を紹介して頂けるとのことだったのですが」

 出てきた女性に正直圧倒された。とにかくデカイ。女性には失礼な表現だったかもしれないが、とにかく身長が高く体も女性らしい細っそりした感じではなく、ムキムキだ。首もかなり太ましい。

「ふん、そうかい。まぁメリーザの紹介なら仕方ない。あたしはイアンナだ――ちょっと手伝いな」

 そう言うと付いてこいと促され俺は店の奥に連れて行かれた。

 そして「製造クエスト」というより「しごき」が始まった。



「甘い! そんな研ぎ方じゃなまくらになっちまうよ。馬鹿! そっちの石じゃないよ。荒い石からって教えただろ。そりゃ仕上げ石だ」

「柄がガタガタ、やり直し!」

「なかなか覚えが早いじゃないか。鍛えがいがあるね……もっとビシバシ行くよ!」

「炉の温度が低い! もっとしっかり空気送る!!」

「馬鹿! まだ早いって言ってんでしょうが! 鉄の色を良く見な、まだ温度が低いんだよ。しっかり見なっての」

「そんな打ち方で何造ろうってんだい! 鉄の棒造ってんじゃないんだからね」

「何だいこの細工は……ミミズがのたくってんのかい?」

 研ぎ方から始まり武器の組立、錬鉄、鍛鉄、成型・製造、刀身の細工と一つ終わるとすぐ次へ。休むことなく言葉通り「叩き」込まれた俺は彼女、イアンナから合格を貰った頃にはへとへとになり、崩れ落ちたのだ。

 このゲーム、HPはダメージだけでなく肉体疲労でも減るらしい。作業するだけでどんどん減っていった。時々殴られるし。そしてHPが切れかけるとイアンナがポーションをかける。どんなプレイだ。途中からは火傷の状態異常も受け、ギリギリまで放置。死にそうになると回復させられる。もう少し続いたらマズイ方向に目覚めそうだ。

 何度かシステムがアビリティなどの取得を知らせたがそれどころではなかった。今も確認する気力はない。

 日をまたぎ、仮眠と後繰り返される作業。そしてまた日が暮れ、仮眠をして昼が近くなる頃何とか終わることとなった。

「ま、なんとか見れる物が出来たね。とりあえず今位の腕なら最低限の売り物になるだろうさ。思ったより筋が良いのか短時間でここまで出来るとはね。さすがに予想しなかったよ」

 そう言われて気付いたけど、今は成長ブースト期間のはず。これが期間外だったらもっと長時間拘束されるのかと思うとかなり恐ろしいクエストだ。しかし短時間と言うが、時間を確認したところ七十時間も経っていた。もう昼だし、なんだか異様に疲れた気がする。食事や仮眠をとったと言ってもほぼ休憩なしだった。いや、その条件で夜を二回も迎えたんだから当然だ。でもそのおかげで色々と今はなんかダメだな、何だかぼーっとする。報酬もらったら一旦ログアウトしよう。

「これが報酬だよ。何本かナマクラにされたからその分は引いてあるからね」

 受け取った報酬は――金貨二枚、ニ万ガル。これは多過ぎではないだろうか?

「……こんなに貰ってもいいんですか?」

 初期にしては多い報酬にビビっているのだがイアンナは

「当然さ。ウチはそこら辺の鍛冶屋とは違うからね。修理にしても製造にしてもそれなりの金額を取るからね。金貨二枚なんて安い安い」

 と豪気に笑うのだった。

「ありがとうございます。お世話になりました」

「おっと忘れてた」

 お礼を言って店を出ようとしたら呼び止められた。

「コレ。紹介状だから。アタシの知り合いの道具屋と防具屋。逃げんじゃないよ? ちゃんと行きな。地図も入れといたから。それとこれは餞別だよ」

 小包と二振りの短めの刀をくれた。

「あんた、剣を扱う時より刀を扱う時の方が目が輝いてたからね。興味あるんだろ?」

 しごきはキツかったけどいい人だ。

「ありがとうございます。大事に使います」

 そしてようやく店を出るのだった。
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