12 / 67
第二章 第一次〈ムーン〉制圧作戦編
第1話 執政官、就任
しおりを挟む
この1ヶ月は、非常に慌ただしかった。
父でもあり、タールランド国王でもある、ルーク・タールが暗殺。その実行犯は、同国大臣マージ・アイザップだったのだが、ズール帝国に脅しを喰らっていたということも判明。そして、国内の貴族達が一堂に会した、この僕、タイト・タールの“成人の儀式”の時に、日の元へとさらされた。
そして、またともに、この国をたてていくために、頑張ろうとも誓い合った。
◇
ああ、緊張するな。まさか、王位継承権第一位のジーク兄さんが、僕なんかに王位を譲るとは思わなかったな。
兄さんのことだから、軍を率いながら、国を統べていくのかと思ったんだけど…
マクドル兄さんは、王国議会のトップとして、既に任務にあたっている。この国は、議会制と王制を併用した政治体制で、色々ややこしい。だから、これもはっきりとさせないと……
なんてことばっか考えていると、父が遺した物は、とてつもなく大きいと感じる。でも、父は、優秀な大臣である、マージ・アイザップとともに、この国を盛り立てていけ、と言った。
――僕たちが、頑張らないと。
コンコン…ガチャ
「失礼します。“戴冠式”の準備が整いました。謁見の間で皆さま方がお待ちですぞ。」
そう声をかけてきたのは、ホスロ・ナガール。この国の、大臣の1人だ。本来であれば、この時期には既に退任するはずだったのだが………
~2週間前~
「え? 退任は延期する? 腰の病気は大丈夫なの?」
「ほっほっほっ。ご心配なされるな。タイト様が国王になられるのです。おちおち寝ていられるわけがないでしょう。」
ホスロは、僕が幼いときから面倒を見てくれている。僕にとってはおじいちゃんのような人だ。
「これからは、私"たち"が、タイト様を全力で支えていきますからな。遠慮なくお使いくだされ。」
ほっほっほっ、と上機嫌に笑うホスロ。本来ならば、僕はホスロの持つ土地を継いで、領主になるはずだった。領主として、土地のみんなに円滑な指示などができるように、と、僕はホスロからみっちりと、この国の歴史と政治を学んだ。(半強制魔法だけど汗)
そういえば、"たち"って言ったな。あと誰かもう1人、僕のそばでサポートしてくれるのだろうか?
~~
「よし。気合いいれて、頑張んなきゃ…!」
頬を両手で叩き、気合いを入れ直す。
さあ、とうとう戴冠式だ。
◇
『あーあー、えー、皆様。この度は、戴冠式にお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。我が国の歴史を振り返りますと、それは……』
司会が熱く語り出しているここは、戴冠式の真っ最中。僕の隣には、ホスロが座っている。
この戴冠式というのは、この大陸のなかでも行っている国は少ない。大体の国では、内乱や戦争が起こっており、沈めるために新しい国王は就任するのだから、全国にいち早く知らせるために、“即位礼”というのが出されるのだ。しかも、戴冠式は決まったルールなどがないため、その国その国によって様々である。タールランドでは、偉くて長生きな人たちの回りくどい話がメインだ。
正直に言おう。めんどくさい。隣では、ホスロが威厳を保ちながら、寝息を立てている。
『…あっと、こんな時間になってしまいましたな。最近話をする機会がなかったものですからなぁ、3時間近くも話し込んでしまいました、失礼失礼。』
頭をかきながらそんなことを言ってのける。
今年からお年寄り専門の聞き手を雇おうかな。
『では、戴冠の儀式へと移ります。』
隣では、目覚めたのか、ホスロが、はっ!寝ちゃった!、みたいな顔をしている。
(ちょっと、もう本番なんですけど!)
(すみません!!聖職者の言葉には癒しの魔法がかけられているのか、寝てしまいました…)
どんな言い訳だよ。
僕は、聖職者の前へと進み出る。あ、成人の儀式の時の人だ。
聖職者は厳かに告げる。
『初代タールランド国王…』
どよっ、と参列者が声をあげる。僕は、父ルークから王位を継いだので、"本来ならば"、二代目である。戴冠式で間違いをおかしてはならない。聖なるものだからだ。
よって、参列者はこそこそ話し始めたわけであるが…
『言わせていただこう。僕は、王位を継ぐわけではない。よって、聖職者が正しい。』
ざわざわし始める。そう、僕は王位を継がない。別の形で、同じ仕事をする。
『では、改めまして… 初代タールランド国王代理、"執政官"、タイト・タール第三王子。そなたに、冠を授けます。』
僕は、執政官。つまり、"国王代理"だ。
◇
「いやぁ、驚きましたなぁ。まさか、王位を継ぐわけではなかったとは。」
僕が王位を継がなかったのには、いくつか理由がある。
1つは、ただ単に王様という役が僕の肩に重くのし掛かること。
そして――
「国内外での混乱を防ぐためさ。まだ国王が暗殺されたことは完全には広まっていないからね。ごめんよ、ホスロ。先に言っちゃうとみんなに広まる可能性があったから、何も言わなかったんだ。」
「いえいえ、何かお考えがあるなら私は何も言いませんよ。」
ホスロは納得したようだった。
「……さて、今日からとうとう王さまだ。いくら『為政者』の職業適性があるとはいえ、うまくはいかないだろうな。」
「そのぐらい、私らでカバーできますよ。」
「頼むよ。」
目指すは、大陸一平和な国。
成し遂げるまで、なにがなんでも頑張ろう。
父でもあり、タールランド国王でもある、ルーク・タールが暗殺。その実行犯は、同国大臣マージ・アイザップだったのだが、ズール帝国に脅しを喰らっていたということも判明。そして、国内の貴族達が一堂に会した、この僕、タイト・タールの“成人の儀式”の時に、日の元へとさらされた。
そして、またともに、この国をたてていくために、頑張ろうとも誓い合った。
◇
ああ、緊張するな。まさか、王位継承権第一位のジーク兄さんが、僕なんかに王位を譲るとは思わなかったな。
兄さんのことだから、軍を率いながら、国を統べていくのかと思ったんだけど…
マクドル兄さんは、王国議会のトップとして、既に任務にあたっている。この国は、議会制と王制を併用した政治体制で、色々ややこしい。だから、これもはっきりとさせないと……
なんてことばっか考えていると、父が遺した物は、とてつもなく大きいと感じる。でも、父は、優秀な大臣である、マージ・アイザップとともに、この国を盛り立てていけ、と言った。
――僕たちが、頑張らないと。
コンコン…ガチャ
「失礼します。“戴冠式”の準備が整いました。謁見の間で皆さま方がお待ちですぞ。」
そう声をかけてきたのは、ホスロ・ナガール。この国の、大臣の1人だ。本来であれば、この時期には既に退任するはずだったのだが………
~2週間前~
「え? 退任は延期する? 腰の病気は大丈夫なの?」
「ほっほっほっ。ご心配なされるな。タイト様が国王になられるのです。おちおち寝ていられるわけがないでしょう。」
ホスロは、僕が幼いときから面倒を見てくれている。僕にとってはおじいちゃんのような人だ。
「これからは、私"たち"が、タイト様を全力で支えていきますからな。遠慮なくお使いくだされ。」
ほっほっほっ、と上機嫌に笑うホスロ。本来ならば、僕はホスロの持つ土地を継いで、領主になるはずだった。領主として、土地のみんなに円滑な指示などができるように、と、僕はホスロからみっちりと、この国の歴史と政治を学んだ。(半強制魔法だけど汗)
そういえば、"たち"って言ったな。あと誰かもう1人、僕のそばでサポートしてくれるのだろうか?
~~
「よし。気合いいれて、頑張んなきゃ…!」
頬を両手で叩き、気合いを入れ直す。
さあ、とうとう戴冠式だ。
◇
『あーあー、えー、皆様。この度は、戴冠式にお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。我が国の歴史を振り返りますと、それは……』
司会が熱く語り出しているここは、戴冠式の真っ最中。僕の隣には、ホスロが座っている。
この戴冠式というのは、この大陸のなかでも行っている国は少ない。大体の国では、内乱や戦争が起こっており、沈めるために新しい国王は就任するのだから、全国にいち早く知らせるために、“即位礼”というのが出されるのだ。しかも、戴冠式は決まったルールなどがないため、その国その国によって様々である。タールランドでは、偉くて長生きな人たちの回りくどい話がメインだ。
正直に言おう。めんどくさい。隣では、ホスロが威厳を保ちながら、寝息を立てている。
『…あっと、こんな時間になってしまいましたな。最近話をする機会がなかったものですからなぁ、3時間近くも話し込んでしまいました、失礼失礼。』
頭をかきながらそんなことを言ってのける。
今年からお年寄り専門の聞き手を雇おうかな。
『では、戴冠の儀式へと移ります。』
隣では、目覚めたのか、ホスロが、はっ!寝ちゃった!、みたいな顔をしている。
(ちょっと、もう本番なんですけど!)
(すみません!!聖職者の言葉には癒しの魔法がかけられているのか、寝てしまいました…)
どんな言い訳だよ。
僕は、聖職者の前へと進み出る。あ、成人の儀式の時の人だ。
聖職者は厳かに告げる。
『初代タールランド国王…』
どよっ、と参列者が声をあげる。僕は、父ルークから王位を継いだので、"本来ならば"、二代目である。戴冠式で間違いをおかしてはならない。聖なるものだからだ。
よって、参列者はこそこそ話し始めたわけであるが…
『言わせていただこう。僕は、王位を継ぐわけではない。よって、聖職者が正しい。』
ざわざわし始める。そう、僕は王位を継がない。別の形で、同じ仕事をする。
『では、改めまして… 初代タールランド国王代理、"執政官"、タイト・タール第三王子。そなたに、冠を授けます。』
僕は、執政官。つまり、"国王代理"だ。
◇
「いやぁ、驚きましたなぁ。まさか、王位を継ぐわけではなかったとは。」
僕が王位を継がなかったのには、いくつか理由がある。
1つは、ただ単に王様という役が僕の肩に重くのし掛かること。
そして――
「国内外での混乱を防ぐためさ。まだ国王が暗殺されたことは完全には広まっていないからね。ごめんよ、ホスロ。先に言っちゃうとみんなに広まる可能性があったから、何も言わなかったんだ。」
「いえいえ、何かお考えがあるなら私は何も言いませんよ。」
ホスロは納得したようだった。
「……さて、今日からとうとう王さまだ。いくら『為政者』の職業適性があるとはいえ、うまくはいかないだろうな。」
「そのぐらい、私らでカバーできますよ。」
「頼むよ。」
目指すは、大陸一平和な国。
成し遂げるまで、なにがなんでも頑張ろう。
0
あなたにおすすめの小説
「お前みたいな卑しい闇属性の魔女など側室でもごめんだ」と言われましたが、私も殿下に嫁ぐ気はありません!
野生のイエネコ
恋愛
闇の精霊の加護を受けている私は、闇属性を差別する国で迫害されていた。いつか私を受け入れてくれる人を探そうと夢に見ていたデビュタントの舞踏会で、闇属性を差別する王太子に罵倒されて心が折れてしまう。
私が国を出奔すると、闇精霊の森という場所に住まう、不思議な男性と出会った。なぜかその男性が私の事情を聞くと、国に与えられた闇精霊の加護が消滅して、国は大混乱に。
そんな中、闇精霊の森での生活は穏やかに進んでいく。
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
【完結】政略婚約された令嬢ですが、記録と魔法で頑張って、現世と違って人生好転させます
なみゆき
ファンタジー
典子、アラフィフ独身女性。 結婚も恋愛も経験せず、気づけば父の介護と職場の理不尽に追われる日々。 兄姉からは、都合よく扱われ、父からは暴言を浴びせられ、職場では責任を押しつけられる。 人生のほとんどを“搾取される側”として生きてきた。
過労で倒れた彼女が目を覚ますと、そこは異世界。 7歳の伯爵令嬢セレナとして転生していた。 前世の記憶を持つ彼女は、今度こそ“誰かの犠牲”ではなく、“誰かの支え”として生きることを決意する。
魔法と貴族社会が息づくこの世界で、セレナは前世の知識を活かし、友人達と交流を深める。
そこに割り込む怪しい聖女ー語彙力もなく、ワンパターンの行動なのに攻略対象ぽい人たちは次々と籠絡されていく。
これはシナリオなのかバグなのか?
その原因を突き止めるため、全ての証拠を記録し始めた。
【☆応援やブクマありがとうございます☆大変励みになりますm(_ _)m】
結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました
ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。
ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。
王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。
そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。
「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
奇跡の少女セリア〜私は別に特別ではありませんよ〜
アノマロカリス
ファンタジー
王国から遠く離れた山奥の小さな村アリカ…
そこに、如何なる病でも治してしまうという奇跡の少女と呼ばれるセリアという少女が居ました。
セリアはこの村で雑貨屋を営んでおり、そこでも特に人気な商品として、ポーションが好評で…
如何なる病を治す…と大変評判な話でした。
そのポーションの効果は凄まじく、その効果は伝説のエリクサーに匹敵するという話も…
そんな事から、セリアは後に聖女と言われる様になったのですが…?
実は…奇跡の少女と呼ばれるセリアには、重大な秘密がありました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる