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第三章 騎士学校、留学(?)編
第10話 運命の日
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ジョンネルは立ち上がり、僕に聞く。
「そういえば、面接時に聞き忘れてしまったのだが、一体何のスキルを会得している?」
あ、やべぇ。なんて答えればいいんだろ。ここで素直に「ギフト“為政者”の効果です!」なんて答えた日には、僕の正体がバレる。神官によると、このギフトを得たのは、歴代の王の中でも僕だけっていうし。ていうか、名前にそもそも為政者と入ってしまっているから、結果的にはバレてしまう。
…なんとごまかそうか。
「いや、その…僕は、スキル持ちではないんですよ。」
うーん、流石にこのごまかしかたは粗が目立つかな…
「そうか。…根源魔法の取得には、スキル持ちも何年かかかるという。それを貴様がマスターしているとなると…そうとうな研鑽をしたのだろう。」
あれ? 目に涙浮べてるぞ? まさか僕の言ってることを本気で信じてるの?
「やはり貴様は……ここで魔法の極意を学び、そして将来帝国のためにその身を捧げるべきだ。そうすれば、他の者にもきっと追い付こう。いや、追いこしてしまうだろう。」
おいおい、本気で言ってるのか?
「私の権限を行使するわけではないが……貴様は………合格だっ!」
ジョンネルは僕の拳を強く握り、空高く掲げた。いつの間にか周りに集まっていた連中も、大歓声だった。
「えええええ……………………」
すいません、合格したんですけど、凄い複雑な心境です…。
というか、ジョンネルはひょっとしてドがつく天然なんじゃないだろうか。
このままだと、僕は大臣推薦で合格をもらうことになるために、ひょっとしたら彼のことを責められなくなってしまうかもしれない。これはまずいぞ。
「さあ、いち早く合格登録してこい。これが貴様の成績表だ。」
「あの、ちょ、ちょっと待ってください。」
僕は、大臣の手を振りほどき、改めて向き直る。
「僕、まだ学科試験を受けていません。大臣に推薦を受けて合格するのも良いのですが、僕はちゃんと自分の実力を知りたいんです。これまでも、この試験のためにたくさんの時間を勉強に費やしてきました。だから、正々堂々と、他の受験生と勝負したいのです。」
大臣の僕に対する印象が悪くなるかもしれないが、こうするしかない。
「な……な……………」
まずい、流石にキレたか?
「なんて……………素晴らしい生徒なのだっ!」
は?
「常に謙虚に、そして身を砕き、己の精神を向上させ、他の劣る部分においても、遠慮することなく取り組み、国のためにその身を捧ぐ。
……俺の思い描く、理想の騎士像である。」
おいおいおいおい。
「………分かった。貴様の実力を試してこい! お前ならできるはずだ!」
マジかよ、おい。大臣推薦を断ったのだぞ? 他の国だとお家取り潰しのところもあるんだぞ?
どうやら、この大臣は僕を理想の騎士像だと思っているようだ。絶対にそんなことはないと思うが。
「がんばれ、未来の騎士よ!」
わーっと、周り全体から歓声が沸き起こる。なんじゃこりゃあ。
……これ、隠密活動無理だな。
◇
結局あの後、僕は、学科試験を受けることになった。苦手な魔法基礎学も、マージに足りない部分を補ってもらいながら勉強したために、試験直後の自己採点で、八割とれた。他の教科も、九割くらいとれているのではないだろうか。
「とりあえず、今日は帰って寝よう……。」
いろいろなことがありすぎて、疲れてしまった。サガミに確保してもらった宿屋があるので、今日はそこに宿泊することにしよう。合格発表は明日だ。一体、どんな結果なんだろう。ジョンネル曰く、僕は理想の騎士像らしいが、他の人からすれば、僕のような不真面目な人間に騎士が務まるはずがないと思っているだろう。同じ立場ならば、僕も全くもって同じ考えになる。だけど、あの大臣は僕を認めた。面接時に彼と話してみて、人を見る目があるのだろうと気づかされたが、やはりあの大臣はただ者ではないだろう。
彼はその身一つで、大臣の座まで上り詰めたそうだから、頭もキレるのだろう。これから調査する上で、油断はできない。特に、僕はいろいろな意味で目をつけられているからな。気を付けねば……とにかく、今日はもう寝よう。
◇
合格発表当日、僕は早起きして東門へと向かった。いつもは人で賑わっている中央ストリートも、市が開いていない時間だったので、静かだった。寒い風が吹き付けていた。
「やはり寒いですねぇ。帝国は。」
「そうだね、こっちの方はもう冬らしいし。」
僕の後ろを歩くマージは、ものすごく着込んでいた。かつて帝国で大臣を務めていたから、この辺の地理や気候には詳しい。
「お、結構人がいるな……」
人が誰もいない中央ストリートとは対照的に、門の周りには、たくさんの生徒と保護者がいた。
そして、掲示板が掲げられ、先生によって着々と準備が進められていた。
「それでは、発表いたします。」
宣誓とともに、一斉に掲示板が開く。僕の番号は4240。さあ、どうだ?
4215
4228
4239
“4240”
「ご、合格したぁ…………」
顔の筋肉が一気に緩んだのを感じた。
「や、やりました。やりましたよっ!」
帝国最難関と言われるこの試験、倍率二十倍の壁を、僕は見事に突破することができた。
「………………んんん、やったぁっ!!!!」
僕は大きく、ガッツポーズをした。
気のせいだろうか、遠くにホスロの泣き声も聞こえた気がした。
「そういえば、面接時に聞き忘れてしまったのだが、一体何のスキルを会得している?」
あ、やべぇ。なんて答えればいいんだろ。ここで素直に「ギフト“為政者”の効果です!」なんて答えた日には、僕の正体がバレる。神官によると、このギフトを得たのは、歴代の王の中でも僕だけっていうし。ていうか、名前にそもそも為政者と入ってしまっているから、結果的にはバレてしまう。
…なんとごまかそうか。
「いや、その…僕は、スキル持ちではないんですよ。」
うーん、流石にこのごまかしかたは粗が目立つかな…
「そうか。…根源魔法の取得には、スキル持ちも何年かかかるという。それを貴様がマスターしているとなると…そうとうな研鑽をしたのだろう。」
あれ? 目に涙浮べてるぞ? まさか僕の言ってることを本気で信じてるの?
「やはり貴様は……ここで魔法の極意を学び、そして将来帝国のためにその身を捧げるべきだ。そうすれば、他の者にもきっと追い付こう。いや、追いこしてしまうだろう。」
おいおい、本気で言ってるのか?
「私の権限を行使するわけではないが……貴様は………合格だっ!」
ジョンネルは僕の拳を強く握り、空高く掲げた。いつの間にか周りに集まっていた連中も、大歓声だった。
「えええええ……………………」
すいません、合格したんですけど、凄い複雑な心境です…。
というか、ジョンネルはひょっとしてドがつく天然なんじゃないだろうか。
このままだと、僕は大臣推薦で合格をもらうことになるために、ひょっとしたら彼のことを責められなくなってしまうかもしれない。これはまずいぞ。
「さあ、いち早く合格登録してこい。これが貴様の成績表だ。」
「あの、ちょ、ちょっと待ってください。」
僕は、大臣の手を振りほどき、改めて向き直る。
「僕、まだ学科試験を受けていません。大臣に推薦を受けて合格するのも良いのですが、僕はちゃんと自分の実力を知りたいんです。これまでも、この試験のためにたくさんの時間を勉強に費やしてきました。だから、正々堂々と、他の受験生と勝負したいのです。」
大臣の僕に対する印象が悪くなるかもしれないが、こうするしかない。
「な……な……………」
まずい、流石にキレたか?
「なんて……………素晴らしい生徒なのだっ!」
は?
「常に謙虚に、そして身を砕き、己の精神を向上させ、他の劣る部分においても、遠慮することなく取り組み、国のためにその身を捧ぐ。
……俺の思い描く、理想の騎士像である。」
おいおいおいおい。
「………分かった。貴様の実力を試してこい! お前ならできるはずだ!」
マジかよ、おい。大臣推薦を断ったのだぞ? 他の国だとお家取り潰しのところもあるんだぞ?
どうやら、この大臣は僕を理想の騎士像だと思っているようだ。絶対にそんなことはないと思うが。
「がんばれ、未来の騎士よ!」
わーっと、周り全体から歓声が沸き起こる。なんじゃこりゃあ。
……これ、隠密活動無理だな。
◇
結局あの後、僕は、学科試験を受けることになった。苦手な魔法基礎学も、マージに足りない部分を補ってもらいながら勉強したために、試験直後の自己採点で、八割とれた。他の教科も、九割くらいとれているのではないだろうか。
「とりあえず、今日は帰って寝よう……。」
いろいろなことがありすぎて、疲れてしまった。サガミに確保してもらった宿屋があるので、今日はそこに宿泊することにしよう。合格発表は明日だ。一体、どんな結果なんだろう。ジョンネル曰く、僕は理想の騎士像らしいが、他の人からすれば、僕のような不真面目な人間に騎士が務まるはずがないと思っているだろう。同じ立場ならば、僕も全くもって同じ考えになる。だけど、あの大臣は僕を認めた。面接時に彼と話してみて、人を見る目があるのだろうと気づかされたが、やはりあの大臣はただ者ではないだろう。
彼はその身一つで、大臣の座まで上り詰めたそうだから、頭もキレるのだろう。これから調査する上で、油断はできない。特に、僕はいろいろな意味で目をつけられているからな。気を付けねば……とにかく、今日はもう寝よう。
◇
合格発表当日、僕は早起きして東門へと向かった。いつもは人で賑わっている中央ストリートも、市が開いていない時間だったので、静かだった。寒い風が吹き付けていた。
「やはり寒いですねぇ。帝国は。」
「そうだね、こっちの方はもう冬らしいし。」
僕の後ろを歩くマージは、ものすごく着込んでいた。かつて帝国で大臣を務めていたから、この辺の地理や気候には詳しい。
「お、結構人がいるな……」
人が誰もいない中央ストリートとは対照的に、門の周りには、たくさんの生徒と保護者がいた。
そして、掲示板が掲げられ、先生によって着々と準備が進められていた。
「それでは、発表いたします。」
宣誓とともに、一斉に掲示板が開く。僕の番号は4240。さあ、どうだ?
4215
4228
4239
“4240”
「ご、合格したぁ…………」
顔の筋肉が一気に緩んだのを感じた。
「や、やりました。やりましたよっ!」
帝国最難関と言われるこの試験、倍率二十倍の壁を、僕は見事に突破することができた。
「………………んんん、やったぁっ!!!!」
僕は大きく、ガッツポーズをした。
気のせいだろうか、遠くにホスロの泣き声も聞こえた気がした。
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