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第四章 波乱の内政・外交編
第1話 西の不満
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「ううっ、寒~……。」
窓の外は、冷たいからっ風が吹き付けている。窓の隙間から、その冷気が漏れ出てきている。僕がいつも使っている執務室にはしっかりと暖炉が備え付けられており、薪をくべて火をつければ、暖かい空気が部屋を包むのだが…
「おはようございます、タイト様。」
「ああ、おはようホスロ。」
体を震わせながら僕の部屋に入ってきたこの男は、王室担当の大臣のホスロだ。僕が小さいころから彼にお世話になっている。
「それにしても、今日はまた一段と冷えますなぁ。」
「そりゃあそうだよ。………暖炉つけてないんだし。」
そう。暖炉をつけたい。だけども、木材がないから使えない。
「まだ収まる気配はないの? 西の林業一揆は。」
「ええ。一揆の先導をしている職人が、木材の買取価格の増加だけじゃ納得しないのです。相手側の要求は、木材の納入の一時中断なのですが、これを承諾してしまうと、我々が城で使う分が去年の残りを合わせても、足りなくなってしまいます。」
「そうだよね…。」
タールランドの西部、山脈の手前にある森林地帯に、タールランドで使用する木材の99%を賄う木材の一大生産地がある。そこに昔から住んでいる木こりや加工商人などは、非常に友好的な性格で、僕たちタールランドの王族たちとも、長年友好関係だった。しかし、僕が留学から帰って来てすぐのことだった。いつものように、税収担当の役員に行かせたところ、「税収は断る!」と職人に言われたそうだ。僕たちとしては、他の商人や工業の担い手などに示しがつかなくなるし、一般人も含めて、僕たちの生活が不安定なものになってしまうから、再三に渡って交渉を続けてきたんだけど…。
「まさか、『これ以上俺たちの話を聞かなかったら、武力という形で返答させてもらう。』なんて言うとは…。」
「ですが、これを承けないと彼らはほぼ確実に城に攻めてきますぞ。」
「そう…だよねぇ……。」
頭をかきながら唸る。
西の地方に住む人々は、林業を担っているということもあり、みな戦闘部族並みの力を有している。多分、一揆で攻めてこられたら王都は落とされるだろう。
「………しかし彼らは、なぜ城への木材搬入を突然断ったのでしょうかな?」
「僕も心当たりがないんだけどなぁ。」
彼らが税を納める代わりに、議会は毎月補助金を西の人々に送っているし、何の保障制度もない農業の関係者よりかは不満がでないとふんでいたのだが、やはり僕の計算ミスかな。
こうなったら、現地の人の話を直接聞く他ないだろう。
「ホスロ、僕西のツトゴ領に行ってみるよ。」
「はあ。しかし、彼らにバレたら袋叩きになってスライスされて、ハムになってしまいますぞ?」
「いや、流石にそこまで戦闘部族ではないでしょ……。それに、僕は冒険者として潜入するだけだしね。」
「ほほう。確かに冒険者と名乗れば、諸国を渡り歩き依頼を請け負うから、どこかの国に専属している者はいないだろうと考え、もしかしたら受け入れてくれるかもしれませんな。ただ……」
ホスロが棚から一冊の本を取り出す。タイトルは、「冒険者協会の掟」だ。
「この本にも書かれているとおり、『冒険者は各ギルドの仕事を請け負うために必ず冒険者証が必要である。』なのですぞ。どうやって冒険者証を手に入れるおつもりなのですか? 薄いけどもなかなか丈夫で不正防止の魔法が何重にもかかっているのです。いくらコピー魔法を使おうと作れな……あ。」
「そう。ホスロの出番ってわけだよ。ね、協会会長さん?」
ホスロは拳を握りしめ、盛大なしかめっ面をした。
窓の外は、冷たいからっ風が吹き付けている。窓の隙間から、その冷気が漏れ出てきている。僕がいつも使っている執務室にはしっかりと暖炉が備え付けられており、薪をくべて火をつければ、暖かい空気が部屋を包むのだが…
「おはようございます、タイト様。」
「ああ、おはようホスロ。」
体を震わせながら僕の部屋に入ってきたこの男は、王室担当の大臣のホスロだ。僕が小さいころから彼にお世話になっている。
「それにしても、今日はまた一段と冷えますなぁ。」
「そりゃあそうだよ。………暖炉つけてないんだし。」
そう。暖炉をつけたい。だけども、木材がないから使えない。
「まだ収まる気配はないの? 西の林業一揆は。」
「ええ。一揆の先導をしている職人が、木材の買取価格の増加だけじゃ納得しないのです。相手側の要求は、木材の納入の一時中断なのですが、これを承諾してしまうと、我々が城で使う分が去年の残りを合わせても、足りなくなってしまいます。」
「そうだよね…。」
タールランドの西部、山脈の手前にある森林地帯に、タールランドで使用する木材の99%を賄う木材の一大生産地がある。そこに昔から住んでいる木こりや加工商人などは、非常に友好的な性格で、僕たちタールランドの王族たちとも、長年友好関係だった。しかし、僕が留学から帰って来てすぐのことだった。いつものように、税収担当の役員に行かせたところ、「税収は断る!」と職人に言われたそうだ。僕たちとしては、他の商人や工業の担い手などに示しがつかなくなるし、一般人も含めて、僕たちの生活が不安定なものになってしまうから、再三に渡って交渉を続けてきたんだけど…。
「まさか、『これ以上俺たちの話を聞かなかったら、武力という形で返答させてもらう。』なんて言うとは…。」
「ですが、これを承けないと彼らはほぼ確実に城に攻めてきますぞ。」
「そう…だよねぇ……。」
頭をかきながら唸る。
西の地方に住む人々は、林業を担っているということもあり、みな戦闘部族並みの力を有している。多分、一揆で攻めてこられたら王都は落とされるだろう。
「………しかし彼らは、なぜ城への木材搬入を突然断ったのでしょうかな?」
「僕も心当たりがないんだけどなぁ。」
彼らが税を納める代わりに、議会は毎月補助金を西の人々に送っているし、何の保障制度もない農業の関係者よりかは不満がでないとふんでいたのだが、やはり僕の計算ミスかな。
こうなったら、現地の人の話を直接聞く他ないだろう。
「ホスロ、僕西のツトゴ領に行ってみるよ。」
「はあ。しかし、彼らにバレたら袋叩きになってスライスされて、ハムになってしまいますぞ?」
「いや、流石にそこまで戦闘部族ではないでしょ……。それに、僕は冒険者として潜入するだけだしね。」
「ほほう。確かに冒険者と名乗れば、諸国を渡り歩き依頼を請け負うから、どこかの国に専属している者はいないだろうと考え、もしかしたら受け入れてくれるかもしれませんな。ただ……」
ホスロが棚から一冊の本を取り出す。タイトルは、「冒険者協会の掟」だ。
「この本にも書かれているとおり、『冒険者は各ギルドの仕事を請け負うために必ず冒険者証が必要である。』なのですぞ。どうやって冒険者証を手に入れるおつもりなのですか? 薄いけどもなかなか丈夫で不正防止の魔法が何重にもかかっているのです。いくらコピー魔法を使おうと作れな……あ。」
「そう。ホスロの出番ってわけだよ。ね、協会会長さん?」
ホスロは拳を握りしめ、盛大なしかめっ面をした。
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