弄する贄は蜜を秘める

晦リリ@9/10『死に戻りの神子~』発売

文字の大きさ
3 / 30

3.贄 ★

しおりを挟む



 匂いが変わった、と莢珂は黒い生地に顔をうずめたまま思った。
 普段は閉めきられている祠独特の湿気った木の匂いが一変、馨しい香りに変わった。視線を下ろすと、さっきまで板間にいたはずが、ふっかりとした褥に座っていた。

「まずは食ってみるか」

 ここはどこかと周囲を見渡す余裕もない。あっという間に押し倒されて、高い天井にかかった梁が艶やかな朱に塗られていると思った瞬間には、着物の袷を割り開かれていた。

「まっ平らだな。なんだ、実りが悪いのか」
「そっ、そうじゃなくて、俺」
「……ん? なぜ陽物がついている」
「わぁっ」

 早急な手はあっという間に袷から忍び込んで足を割る。止める間もなく股間の雄に触れられて、悲鳴をあげると、胡乱な目が莢珂を睨んだ。

「お前、男か。贄だなんだと騒ぐからとりあえず目をかけてやってたが、とうとう俺を謀るか。人間風情が」

 山神がずいと体を起こす。長躯ではあるが、山のようというほどではないはずなのに、熊よりも大きく感じて莢珂は身を竦めた。
 確かに莢珂は男だ。けれど、女の部分もある。恥ずかしくはあったが、驚きと恐怖と焦燥に駆られて、とっさに莢珂は自分で脚を広げた。下布をつけていないので、そこはすぐに外気にさらされてひんやりとした。

「ちっ、違います。俺は両方あります。両性です。は、半分は女人なんです。山神様、俺はどうなってもいいです、だから、だから、村を救ってください……」

 最後に見た茗鈴はまだ元気だった。けれど、原因も対処法も知れない病は突然やってくる。少しでも早く病を取り除いてほしくて、自分の顔がじわじわと熱を持っていくのを感じながら莢珂が悲鳴じみた声で言うと、山神は立ちはだかったまま苦々しく顔をゆがめた。

「両性? 滅多に見ぬものだぞ……」

 そうは言いながらも、開いた脚の間にずいっと手が差し入れられる。更に左右に大きく開かれると股関節が痛んだが、そこは更にあらわになった。

「………は、珍しいな。面白い。どれ、抱いてやろう」

 怒りの気配がすっと消える。思わずほっと息を吐いた莢珂だが、すぐに体を竦めた。乾いた指が、今まで誰も触れてこなかった秘所を撫でたのだ。
 そこからはもう、莢珂の喉からは悲鳴と啜り泣きしかあがらなかった。

「っひい、ひ、あ、あうっ、いあっ」

 そこに穴があって、男根を突っ込めば子が出来るという程度にしか考えたことがなかった秘所は、乾いた指を無理やり含まされると激痛しか感じられなかった。けれどそこを弄る手の甲や背に中途半端に撫でられる陰茎は健気に勃とうとしていて、莢珂はそこからどうにか快楽を拾おうとしていた。
 けれど、今まで機能もしなければ存在すら忘れかけられていた花処も弄ばれればいじらしく濡れてくる。みっちりと指を締めているそこは指の一本でもいっぱいだというのに、二本三本と広げられ、そのたびに莢珂のこめかみを涙が伝った。

「も、もうりゃめ、りゃ、だ、だめ、ひろげないで…っ」
「広げないと入らないだろう。それとも裂けたいか」
「いや、や、やあ……っ」

 ぐちゅ、ぶちゅ、とひどい音がする。痛いし苦しい。それなのに、弄られている腹の奥からは蜜でも零したようにどんどん濡れたものが溢れてくる。
 それに、

「やっ、ん、ぁあ、あ、あっ……」

 どうにもおかしいと莢珂は熱病にでもかかったようにくらくらする頭で思った。
 今までこんなところ触ったこともないし、さっき触られた時は引き連れたみたいに痛かった。それなのに、どうしてだか腹の奥底が蕩けていくみたいな感じがする。そして、信じられなかったが、ふわふわと気持ちよくなってきた。
 指は多分三本入れられていて、その分の圧迫感がある。でも気持ちいい。奥をくりっとやられるとびくっと腰が跳ねる。どうにもたまらなくて着物の裾を握りしめながら、そろりと視線を下にやると、いつの間にか勃ちあがって腹につきそうなほど反り返った陽物の先端からもとろりと粘ついたものが垂れていた。

「だ、め、んぁあ、あ、あ、おな、おなか、ひろがっちゃあ…」
「頃合いだな。どれ、食うか……いや、お前の中に俺を食わせてやる」
「んひぃっ」

 どういう意味だと思う間もなく、ずるりと引き抜かれた指に腰が反る。ずりっと後頭部の下で髪と畳が擦れて少し痛い。でも、それよりも下腹の深いところの空虚感の方が気になった。
 くわえこんでいたものがなくなって、無理やり広げられてしまった肉が消えた質量を探している。締めつけてやわやわと揉みこむものを求めている。
 腹の奥がさびしい、と思ったのは一瞬だった。

「あ…ひっ……あっ、だ、だめ、だめ、おっきい、そんなの、おっきいのだめ……!」

 ぐっぷりと押し当てられたものの重みに、腹の奥を埋めてくれるものが戻ってきたと安堵した途端だった。熱い塊を押し当てられて、それが十分に広げられていたはずの肉輪をむりやり広げて入ってくる。裂けるとは思わなかった。壊れてしまうと、莢珂は怯えた。

「んぎ、いあ、あ、あっあ、んう、ん、ぐ」

 ずず、ずず、と太い蛇でもねじこまれているようだった。少しずつ少しずつ、輪を広げるどころかその奥の狭い壁をこじ開けるように進んでいくものが腹の奥を目指してくる。重たいとすら思うものに貫かれて、莢珂の息は今にも絶えそうだった。
 灼熱の棒は下半身をびりびりと痺れさせながら進んでいく。それでも奥はあるもので、こつんと最奥を突かれると、びくりと全身が震えた。
 まだ入ってくる気がする。けれど、もう莢珂の中はいっぱいだ。これ以上は進めない。少しくらいは伸縮性があるのかもしれないが、更にぐいと突かれようものなら死んでしまうような気がした。
「らめ、やまがみ、やまがみさま、おなかやぶれうぅっ」
「破れるものか。……ああ、いいな。おかしな匂いだと思ったが、両性だからか。悪くない。いいぞ、お前に免じて、病を取り除いてやろう」
「っふ……? やま、い、……ほんと、に…?」
「神は約束を違わん。お前を貰おう。代わりに、病の根源を断つ」
「あ……ああ、ああ……」

 体中が快感と恐怖と不安にぐらぐらしているが、安堵が体のこわばりをとく。どうにでもしてくれと体を差し出した甲斐があった。これで茗鈴が病で死んでしまうことはない。

「その前に、まずはお前に気をやらせないといかんな。そら、鳴け」
「んはっ」

 ぐいと腰を突かれる。ずんと深くまで貫かれて、押し出されるように声がぽんと口から出た。
 もしかしたら、莢珂はここで殺されてしまうのかもしれない。多くの人の命を奪ったような重篤な病から村を救うのだ。そのためなら、莢珂の死くらいの代償が必要な気がした。
 納得して贄になったとはいえ、怖いものは怖い。それでも自分の死で妹が救われるなら、それをよすがに最後まで耐えよう。
 このまま食われたり殺されてもいいと莢珂は強く目をつむった。けれど、それも長くは続かない。

「あっ、うぐ、んっ、んっ」

 前後に揺さぶられ、拓かれたばかりの狭い肉壁を押し広げられる。このまま貫かれるのでは、やぶけてしまうのではという恐怖はある。実際、着物を握りしめて腹のあたりで握っていた拳に、下から突き上げられて薄く形を変えた腹がぶつかったときはぞっとした。それなのに、それこそ病のようにどんどん気持ちいいという感覚が体中を満たしていく。

「んひ、うっ、あ、あぁ、あぐっ、も、もうっ……もう、や、ぶけ、ぇうっ」
「破けたら治してやるから、そう怯えるな。……ああ、うん、お前の胎は柔いな。俺をどんどん食うぞ。やがて全部だ。ここも遊んでやるから、もっと濡れてみろ」
「っああ! まえ、まえしないで、りょうほ、だめぇ……っ」

 ただでさえ未知の快楽に悶えているのに、反り返った勃起まで触れられたらたまらない。堪える余裕もなくがくがくと腰が震えて、白く粘ったものが先端から飛んだ。

「ひ、ひっ、あっ、あ……」
「陽物で気をやっても、胎が動くな。……どんどん濡れて、広くなる。そら、全部はいった」
「あっ」

 ずぶんと音がしたかと思った。
 腰が融けそうな心地良さは指先が震えるほどなのに、最奥を小突かれて、あんなに大きかったものがすべて莢珂の胎に埋まる。なにかが押しあげられていて、もうそこより先はない気もするのに、その奥からくすぐったいようなもどかしいような感覚が生まれては快楽にすり替わっていく。
 なにかに追われているような焦りさえ感じたが、それが気をやる手前だということに気付いた時には、もう自分でも手の施しようもないほど肉隘が収斂した。

「ああっ、あ、あーっ!」
「ぐ……っ」

 脚がばたばたと動くが、手はぎゅっと握りしめられて胸と肩のあたりでかたくこわばってぶるぶると震えた。
 そこにあることさえ忘れがちだった器官にほとばしる快楽が全身を支配する。呼吸すらままならなくて、莢珂は陸にあげられた魚のように呼吸を求めてはくはくと口を開閉させた。
 体がいうことを聞かない。濡れそぼった膣壁は太い陽物をぎゅうぎゅうと締めつけ、まるで食べようとしているようだ。達したのは女の方なのに、さっき白濁を散らしたばかりの男の方も透明なものをじゅくじゅくとはしたなく零して、莢珂の下腹のあたりはびしょびしょになっていた。

「……はぁ……」
「ぁあ、は、ぁん……な、かぁ…なか、いっぱい……」

 ぐいと押し付けられた腰がぴったりと重なり、山神が深く息を吐く。同時に莢珂の中にはどくどくと熱く重い液体が放たれた。
 狭い肉壁はただでさえ隙間なくはいりこんだ楔に占拠されているが、これ以上広がりようもなく花弁の肉輪はぎっちりと陽根をくわえこんでいる。漏れることなくだくだくと注がれる淫液は、その重さで更に莢珂の中を広げた。

「はぁ、…は……んん…」
「……いいな。普通の女のように乳房はないが、抱き心地は悪くない。もっと、糧をよこせ」
「えっ、あっ、やだ、やっ……だめ、またおおきく……っ」

 やっと終わって莢珂の中に出した分、少しはしぼんだと思ったのに、それはまたむくむくと固くなって、甘く濡れたままの肉をぐずぐずといじめる。奥をごりごりと抉られて、それなのにさっきまで感じた痛みはもうない。

「あっ、あ……んぅ、ああ、あっ…だめ、いい、…おなか、いい…っ」

 蕩けてしまいそうに心地良い。揺さぶられ、割り開かれ、股関節は痛いのにそれを更に拓くように覆いかぶられると、自分を貫く男の顔が近づく。

「いいか、贄。俺の贄。いくらでも達しろ。お前の淫気が俺の糧になる」

 頭を撫でてくれる手は子どもにするように優しいのに、下半身は淫らにつながったまま水音をはじけさせ、どちらの体液とも知れないものにまみれている。
 お腹の中に入れているのは莢珂なのに、食べられていると思いながら、重なった唇に呼吸も食べられてしまう。
 それから一週間、莢珂はひたすらに抱かれ続けた。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

騎士が花嫁

Kyrie
BL
めでたい結婚式。 花婿は俺。 花嫁は敵国の騎士様。 どうなる、俺? * 他サイトにも掲載。

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

竜人息子の溺愛!

神谷レイン
BL
コールソン書店の店主レイ(三十七歳)は、十八歳になったばかりの育て子である超美形の竜人騎士であるルークに結婚を迫られていた。 勿論レイは必死に断るがルークは全然諦めてくれず……。 だが、そんな中で竜国から使者がやってくる。 そしてルークはある事実を知らされ、レイはそれに巻き込まれてしまうのだが……。 超美形竜人息子×自称おじさん

【8話完結】いじめられっ子だった俺が、覚醒したら騎士団長に求愛されました

キノア9g
BL
いじめられ続けた僕は、ある日突然、異世界に転移した。 けれど、勇者として歓迎されたのは、僕を苦しめてきた“あいつ”の方。僕は無能と決めつけられ、誰からも相手にされなかった。 そんな僕に手を差し伸べてくれたのは、冷酷と恐れられる騎士団長・ジグルドだった。 なのに、あいつの命令で、僕は彼に嘘の告白をしてしまう――「ジグルドさんのことが、好きなんです」 それが、すべての始まりだった。 あの日から彼は、僕だけをまっすぐ見つめてくる。 僕を守る手は、やさしく、強くて、どこまでも真剣だった。 だけど僕には、まだ知られていない“力”がある。 過去の傷も、偽りの言葉も超えて、彼の隣にいてもいいのだろうか。 これは、いじめられっ子の僕が“愛されること”を知っていく、嘘と覚醒の物語。 全8話。

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

幸せな復讐

志生帆 海
BL
お前の結婚式前夜……僕たちは最後の儀式のように身体を重ねた。 明日から別々の人生を歩むことを受け入れたのは、僕の方だった。 だから最後に一生忘れない程、激しく深く抱き合ったことを後悔していない。 でも僕はこれからどうやって生きて行けばいい。 君に捨てられた僕の恋の行方は…… それぞれの新生活を意識して書きました。 よろしくお願いします。 fujossyさんの新生活コンテスト応募作品の転載です。

【完結】最初で最後の恋をしましょう

関鷹親
BL
家族に搾取され続けたフェリチアーノはある日、搾取される事に疲れはて、ついに家族を捨てる決意をする。 そんな中訪れた夜会で、第四王子であるテオドールに出会い意気投合。 恋愛を知らない二人は、利害の一致から期間限定で恋人同士のふりをすることに。 交流をしていく中で、二人は本当の恋に落ちていく。 《ワンコ系王子×幸薄美人》

神官、触手育成の神託を受ける

彩月野生
BL
神官ルネリクスはある時、神託を受け、密かに触手と交わり快楽を貪るようになるが、傭兵上がりの屈強な将軍アロルフに見つかり、弱味を握られてしまい、彼と肉体関係を持つようになり、苦悩と悦楽の日々を過ごすようになる。 (誤字脱字報告不要)

処理中です...