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勧誘
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アルバート現着。
黒の騎士団とネームレスの三人が激突している中、副長シルビアと紅の騎士団団長マルコを引き連れたトライデント総長アルバートが到着する。
そして、それを確認したカネロが戦闘を中断し、それに合わせてリコとジャックもその手を止めたのであった。
「リコ・・・」
アルバートはそう一言漏らすとカネロへと視線を向ける。
「カネロ!我々にいったい何の用だ」
「はぁ?別に用なんてねぇ~よ。ただの暇潰しだ」
何の前触れも無く唐突にトライデントへ攻撃を仕掛けてきたカネロたちに対して真剣な眼差しで質問するアルバートであったが、それに対するカネロは相手をナメているかのようにふざけた様子で返答する。
そして、その言葉と姿勢に苛立ちを覚えるアルバートであった。
「何だと?」
眉間に皺を寄せカネロを睨みつける。
「たまたま王都に立ち寄ったらよぉ~、何やら偉そうな騎士様たちが偉そうに行列作って歓声を浴びてたもんで、全員ぶっ飛ばしてやろうと思っただけ。ただそれだけだ」
「ふざけるな!!!!!そんな事のために王都の住民を危険に晒したのか」
「だったらどうだってんだ?俺様がいつ何時、何処で何をしようがお前に指図される覚えはねぇ~ぞ」
“やりたいようにやる”というネームレスの不文律を忠実に守り行動したカネロに至極真っ当な正論をぶつけるアルバートであったのだが、そのことが気に入らなかったようで一気に怒りのボルテージが上がったカネロがアルバートたちに対して凄む。
そして、ちょうどその瞬間にスズネたちが遅れて姿を現したのだった。
すると、それまでアルバートを始めとするトライデントにちょっかいを出していたカネロの興味が一瞬のうちにクロノへと移り変わる。
それまで話をしていたアルバートとの会話を一方的に止めると、そのままクロノに向かって歩き始めた。
その何とも自己中心的な振る舞いに対して再び苛立ちを見せるアルバートなのであった。
ザッザッザッザッザッ ──────── 。
クロノの元へと辿り着いたカネロ。
不敵な笑みを浮かべながらスズネたちの前で仁王立ちする。
「お前…なかなか強そうだな」
「あ?なんだお前…目障りだから失せろ」
「ガッハッハッ。何処の誰だか知らねぇ~が一つ忠告しといてやる。この先も無事に生きていたけりゃ~、この俺様を怒らせねぇ方が身のためだぞ」
最初は穏やかな笑みを見せていたカネロだったが、自身に対して生意気な態度を取るクロノへの忠告を終える頃には眉間に皺を寄せ睨みを効かせながらクロノに顔を近づけていた。
しかし、カネロがどれだけ凄もうともクロノが反応することは一切なかった。
「カッ、つまんねぇ~やつだな」
「やめておけカネロ、相手はCランクのパーティだ。あまり虐めてやるな」
「さすがは元騎士だな~リコ」
「ヒャッヒャッヒャッ。でも、こいつ生意気そうな面してるぜぇ~・・・その綺麗な面を切り刻んでやろうかぁ?」
いくら挑発しても乗って来ないクロノに対して執拗に絡もうとするカネロを制止するリコ。
その横でジャックが気味の悪い笑みを浮かべながら手に持つ短剣をギラつかせている。
「いったい何なのよコイツら」
「落ち着いてくださいミリア。彼らは“ネームレス”という非公式のクランです」
「ハァ!?非公式のクラン?何なのよそれ」
「話すと長くなりますので、あとで話します」
「あの~すみません、私たちに何かご用でしょうか?」
目の前にいるクロノにしか興味の無いカネロに恐る恐る声を掛けるスズネ。
いきなり声を掛けられスズネの方へと顔を向けたカネロは、なんだこいつ?という表情を見せる。
どうやら本当にクロノ以外に興味が無かったようで、スズネたちの姿など一切認識していなかったようだ。
「・・・ ──────── ワッ!!」
「ヒャッ!?」
突然大声を上げたカネロ。
その爆音に驚き後退りするスズネ。
そして、その他の宿り木のメンバーたちも突然のことに驚きつつ警戒を強めた。
「ガッハッハッ。なんだお前ら、まさかこいつの仲間ってわけじゃないよなぁ?雑魚過ぎて気付かなかったぜ」
「ハァ?何よアンタ!!ケンカ売ってんの?」
「止めてくださいミリア」
「なんだ?なんだ?随分と威勢の良い嬢ちゃんがいるじゃねぇ~か」
「だったら何よ!アタシたち“宿り木”にケンカ売ろうっての!!」
怖いもの知らずとはこのことか・・・。
隣で心配しているマクスウェルのことなど気にも留めず、カネロに対してグイグイと向かっていくミリア。
そして、最初はただの低ランクパーティだと完全にナメていたカネロであったが、ミリアの口から出た『宿り木』というワードを耳にした途端に空気が変わる。
「“宿り木”?どっかで聞いた覚えがあるな・・・」
「魔王クロノを召喚したという者が作ったパーティの名が確か“宿り木”だったと記憶している」
すると、リコの言葉を聞いたカネロの顔付きが変わり、それまでの余裕たっぷりの雰囲気が少しピリついたものとなり、表情からも相手を馬鹿にしたような笑みが消える。
「ってぇ~ことは、お前が魔王クロノか ─────── 」
「だったらどうだってんだよ」
────────── ビリッ…ビリビリビリッ。
興奮した様子を見せるカネロに対して初めてクロノが視線を合わせる。
そして、そこからカネロを含むネームレスの三人に向けて凄まじい殺気と圧を放つ。
「うほぉ~…こいつは凄ぇ~な」
「・・・・・」
「ヒャッヒャッ…気を抜いたらぁ…意識ごともっていかれちまいそうだねぇい」
クロノからの殺気と圧になんとか耐える三人であったが、初めて目の当たりにする魔王のプレッシャーに額や首筋から冷や汗が流れ落ちる。
それでもカネロは一歩前に出ると嬉しそうにクロノに話し掛ける。
「魔王の力ってのは凄ぇ~な・・・。まさかこの俺様が圧倒されるとはよぉ」
「黙れ。殺されたいのか?」
「まぁまぁ、そう邪険に扱うなよ。仲良くしよ~ぜ。そんなやつらと一緒にいるより、俺たちの仲間になれよ。そうすれば、さっきみたいにフルパワーで暴れさせてやるからよぉ」
サッ ───────── 。
「ちょっ…ちょっと待ってください!!」
カネロからの思いもよらない勧誘を受けたクロノ。
そして、突然のことに慌てたスズネがクロノの前に飛び出し、両腕を大きく広げてカネロとの間に割って入る。
その行動に少しばかり苛立ったカネロがスズネを睨みつける。
「なんだお前?今俺たちは大事な話をしてるんだが?邪魔すんじゃねぇ~よ。ガキでも容赦無く殺すぞ」
自分よりも何倍も大きな身体をした男に凄まれ、その小さな身体を震わせながらも必死にクロノを守ろうとするスズネ。
───────── ポンッ。
その時、スズネの頭の上に温かく大きな手が乗せられる。
すると不思議なことに身体の震えが止まり、スズネはホッと安心した表情を見せるのであった。
「お前らが何処の誰で何を考えてんのかは知らねぇ~が、残念ながら先約がいるんだわ」
「なるほどぉ~・・・それならその先約を殺すまでだ!」
「おいおい、まさかとは思うが ───── それをこの俺が許すとでも思っているのか?」
そう言うと、クロノは先程とは違い周囲全方位に向けて気を放った。
ググッ…グググググッ ─────── 。
「おいおいおい、まだ上があんのかよ・・・」
「アルバート様、これは ────── 」
「ああ、まさか魔王の力がこれ程とは ───── 王宮やギルドが手を出すなというのも頷ける」
これまでに味わった事のないプレッシャーを前に、アルバートを始めトライデントの面々はその禍々しい存在感に息を呑む。
そして、それはもちろん間近で相対しているカネロたちも同様であった。
「ダメだよ、クロノ・・・」
周囲を威嚇するために凄まじい気を放つクロノ。
その様子を心配したスズネがクルリと振り向き気持ちを抑えるようにと促す。
そして、スズネの言葉に応えるように頭をポンポンと優しく叩いたクロノは放っていた気をスッと収めたのだった。
「安心しろ、弱いやつをいたぶるような趣味はない」
「はぁ~良かった。ありがとねクロノ」
言葉の上では濁しているが、自分たちを守るために周囲を威嚇したこと、自分の気持ちを汲み取って何もしないことを選択してくれたこと、そんなクロノに対してお礼を言いつつ安堵の表情を向けるスズネなのであった。
「なんだよ、もう終わりか?」
「カネロ、これ以上は止めておけ」
「そっちの獣みたいな大男の言う通りだぞハゲ。わざわざ見逃してやるって言ってんだからさっさと失せろ。お前らごときじゃ何人集まっても俺の相手にはならねぇ~よ」
「ガッハッハッ、言ってくれるじゃねぇ~か。こっちだってまだまだ本気じゃねぇ~んだよ。ちっとばかし強いからって調子に乗ってると痛い目を見んぞ!!」
これまでよりもさらに増して凄むカネロであったが、相手は魔王。
喚き散らす小物のことなど全く意に介さず、呆れたように大きな溜め息を吐く。
「はぁ~・・・お前は最初からずっと的外れなことばっか言ってんな。それにさっきフルパワーがどうとか言っていたが ───── 俺は力を全開放などしていないぞ?まだまだ三割にも満たない程度だ」
!? !? !? !? !?
嘘か ────────
真か ────────
それはクロノ本人にしか分からない。
しかし、その余裕のある表情と空気感から察するにまだまだ余力はたっぷりとあるようだ。
そんなクロノの姿に背筋が凍るような寒気を感じ、底知れぬ魔王の存在に恐怖を覚えるネームレスとトライデントなのであった。
黒の騎士団とネームレスの三人が激突している中、副長シルビアと紅の騎士団団長マルコを引き連れたトライデント総長アルバートが到着する。
そして、それを確認したカネロが戦闘を中断し、それに合わせてリコとジャックもその手を止めたのであった。
「リコ・・・」
アルバートはそう一言漏らすとカネロへと視線を向ける。
「カネロ!我々にいったい何の用だ」
「はぁ?別に用なんてねぇ~よ。ただの暇潰しだ」
何の前触れも無く唐突にトライデントへ攻撃を仕掛けてきたカネロたちに対して真剣な眼差しで質問するアルバートであったが、それに対するカネロは相手をナメているかのようにふざけた様子で返答する。
そして、その言葉と姿勢に苛立ちを覚えるアルバートであった。
「何だと?」
眉間に皺を寄せカネロを睨みつける。
「たまたま王都に立ち寄ったらよぉ~、何やら偉そうな騎士様たちが偉そうに行列作って歓声を浴びてたもんで、全員ぶっ飛ばしてやろうと思っただけ。ただそれだけだ」
「ふざけるな!!!!!そんな事のために王都の住民を危険に晒したのか」
「だったらどうだってんだ?俺様がいつ何時、何処で何をしようがお前に指図される覚えはねぇ~ぞ」
“やりたいようにやる”というネームレスの不文律を忠実に守り行動したカネロに至極真っ当な正論をぶつけるアルバートであったのだが、そのことが気に入らなかったようで一気に怒りのボルテージが上がったカネロがアルバートたちに対して凄む。
そして、ちょうどその瞬間にスズネたちが遅れて姿を現したのだった。
すると、それまでアルバートを始めとするトライデントにちょっかいを出していたカネロの興味が一瞬のうちにクロノへと移り変わる。
それまで話をしていたアルバートとの会話を一方的に止めると、そのままクロノに向かって歩き始めた。
その何とも自己中心的な振る舞いに対して再び苛立ちを見せるアルバートなのであった。
ザッザッザッザッザッ ──────── 。
クロノの元へと辿り着いたカネロ。
不敵な笑みを浮かべながらスズネたちの前で仁王立ちする。
「お前…なかなか強そうだな」
「あ?なんだお前…目障りだから失せろ」
「ガッハッハッ。何処の誰だか知らねぇ~が一つ忠告しといてやる。この先も無事に生きていたけりゃ~、この俺様を怒らせねぇ方が身のためだぞ」
最初は穏やかな笑みを見せていたカネロだったが、自身に対して生意気な態度を取るクロノへの忠告を終える頃には眉間に皺を寄せ睨みを効かせながらクロノに顔を近づけていた。
しかし、カネロがどれだけ凄もうともクロノが反応することは一切なかった。
「カッ、つまんねぇ~やつだな」
「やめておけカネロ、相手はCランクのパーティだ。あまり虐めてやるな」
「さすがは元騎士だな~リコ」
「ヒャッヒャッヒャッ。でも、こいつ生意気そうな面してるぜぇ~・・・その綺麗な面を切り刻んでやろうかぁ?」
いくら挑発しても乗って来ないクロノに対して執拗に絡もうとするカネロを制止するリコ。
その横でジャックが気味の悪い笑みを浮かべながら手に持つ短剣をギラつかせている。
「いったい何なのよコイツら」
「落ち着いてくださいミリア。彼らは“ネームレス”という非公式のクランです」
「ハァ!?非公式のクラン?何なのよそれ」
「話すと長くなりますので、あとで話します」
「あの~すみません、私たちに何かご用でしょうか?」
目の前にいるクロノにしか興味の無いカネロに恐る恐る声を掛けるスズネ。
いきなり声を掛けられスズネの方へと顔を向けたカネロは、なんだこいつ?という表情を見せる。
どうやら本当にクロノ以外に興味が無かったようで、スズネたちの姿など一切認識していなかったようだ。
「・・・ ──────── ワッ!!」
「ヒャッ!?」
突然大声を上げたカネロ。
その爆音に驚き後退りするスズネ。
そして、その他の宿り木のメンバーたちも突然のことに驚きつつ警戒を強めた。
「ガッハッハッ。なんだお前ら、まさかこいつの仲間ってわけじゃないよなぁ?雑魚過ぎて気付かなかったぜ」
「ハァ?何よアンタ!!ケンカ売ってんの?」
「止めてくださいミリア」
「なんだ?なんだ?随分と威勢の良い嬢ちゃんがいるじゃねぇ~か」
「だったら何よ!アタシたち“宿り木”にケンカ売ろうっての!!」
怖いもの知らずとはこのことか・・・。
隣で心配しているマクスウェルのことなど気にも留めず、カネロに対してグイグイと向かっていくミリア。
そして、最初はただの低ランクパーティだと完全にナメていたカネロであったが、ミリアの口から出た『宿り木』というワードを耳にした途端に空気が変わる。
「“宿り木”?どっかで聞いた覚えがあるな・・・」
「魔王クロノを召喚したという者が作ったパーティの名が確か“宿り木”だったと記憶している」
すると、リコの言葉を聞いたカネロの顔付きが変わり、それまでの余裕たっぷりの雰囲気が少しピリついたものとなり、表情からも相手を馬鹿にしたような笑みが消える。
「ってぇ~ことは、お前が魔王クロノか ─────── 」
「だったらどうだってんだよ」
────────── ビリッ…ビリビリビリッ。
興奮した様子を見せるカネロに対して初めてクロノが視線を合わせる。
そして、そこからカネロを含むネームレスの三人に向けて凄まじい殺気と圧を放つ。
「うほぉ~…こいつは凄ぇ~な」
「・・・・・」
「ヒャッヒャッ…気を抜いたらぁ…意識ごともっていかれちまいそうだねぇい」
クロノからの殺気と圧になんとか耐える三人であったが、初めて目の当たりにする魔王のプレッシャーに額や首筋から冷や汗が流れ落ちる。
それでもカネロは一歩前に出ると嬉しそうにクロノに話し掛ける。
「魔王の力ってのは凄ぇ~な・・・。まさかこの俺様が圧倒されるとはよぉ」
「黙れ。殺されたいのか?」
「まぁまぁ、そう邪険に扱うなよ。仲良くしよ~ぜ。そんなやつらと一緒にいるより、俺たちの仲間になれよ。そうすれば、さっきみたいにフルパワーで暴れさせてやるからよぉ」
サッ ───────── 。
「ちょっ…ちょっと待ってください!!」
カネロからの思いもよらない勧誘を受けたクロノ。
そして、突然のことに慌てたスズネがクロノの前に飛び出し、両腕を大きく広げてカネロとの間に割って入る。
その行動に少しばかり苛立ったカネロがスズネを睨みつける。
「なんだお前?今俺たちは大事な話をしてるんだが?邪魔すんじゃねぇ~よ。ガキでも容赦無く殺すぞ」
自分よりも何倍も大きな身体をした男に凄まれ、その小さな身体を震わせながらも必死にクロノを守ろうとするスズネ。
───────── ポンッ。
その時、スズネの頭の上に温かく大きな手が乗せられる。
すると不思議なことに身体の震えが止まり、スズネはホッと安心した表情を見せるのであった。
「お前らが何処の誰で何を考えてんのかは知らねぇ~が、残念ながら先約がいるんだわ」
「なるほどぉ~・・・それならその先約を殺すまでだ!」
「おいおい、まさかとは思うが ───── それをこの俺が許すとでも思っているのか?」
そう言うと、クロノは先程とは違い周囲全方位に向けて気を放った。
ググッ…グググググッ ─────── 。
「おいおいおい、まだ上があんのかよ・・・」
「アルバート様、これは ────── 」
「ああ、まさか魔王の力がこれ程とは ───── 王宮やギルドが手を出すなというのも頷ける」
これまでに味わった事のないプレッシャーを前に、アルバートを始めトライデントの面々はその禍々しい存在感に息を呑む。
そして、それはもちろん間近で相対しているカネロたちも同様であった。
「ダメだよ、クロノ・・・」
周囲を威嚇するために凄まじい気を放つクロノ。
その様子を心配したスズネがクルリと振り向き気持ちを抑えるようにと促す。
そして、スズネの言葉に応えるように頭をポンポンと優しく叩いたクロノは放っていた気をスッと収めたのだった。
「安心しろ、弱いやつをいたぶるような趣味はない」
「はぁ~良かった。ありがとねクロノ」
言葉の上では濁しているが、自分たちを守るために周囲を威嚇したこと、自分の気持ちを汲み取って何もしないことを選択してくれたこと、そんなクロノに対してお礼を言いつつ安堵の表情を向けるスズネなのであった。
「なんだよ、もう終わりか?」
「カネロ、これ以上は止めておけ」
「そっちの獣みたいな大男の言う通りだぞハゲ。わざわざ見逃してやるって言ってんだからさっさと失せろ。お前らごときじゃ何人集まっても俺の相手にはならねぇ~よ」
「ガッハッハッ、言ってくれるじゃねぇ~か。こっちだってまだまだ本気じゃねぇ~んだよ。ちっとばかし強いからって調子に乗ってると痛い目を見んぞ!!」
これまでよりもさらに増して凄むカネロであったが、相手は魔王。
喚き散らす小物のことなど全く意に介さず、呆れたように大きな溜め息を吐く。
「はぁ~・・・お前は最初からずっと的外れなことばっか言ってんな。それにさっきフルパワーがどうとか言っていたが ───── 俺は力を全開放などしていないぞ?まだまだ三割にも満たない程度だ」
!? !? !? !? !?
嘘か ────────
真か ────────
それはクロノ本人にしか分からない。
しかし、その余裕のある表情と空気感から察するにまだまだ余力はたっぷりとあるようだ。
そんなクロノの姿に背筋が凍るような寒気を感じ、底知れぬ魔王の存在に恐怖を覚えるネームレスとトライデントなのであった。
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4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
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