82 / 200
セロフト
しおりを挟む
フォンッ、フォンッ、フォンッ ──────── 。
「クソッ、こいつさっきからちょこまかと鬱陶しい」
「落ち着くんだナルセナ。二人で挟み込むぞ」
魔族の男に対して今回のクエストに参加した二人のAランク冒険者ファイングとナルセナが同時に襲い掛かる。
フォンッ、フォンッ、フォンッ ──────── 。
ブンッ、ブンブンッ ──────── 。
「アハハハハ。二人がかりなんて怖いなぁ~」
しかし、高ランクの冒険者二人をもってしても敵を捉えることは難しく、魔族の男はおちゃらけた様子で全ての攻撃を躱していく。
「二人だけではありませんよ」
二人の連携攻撃に気を取られている魔族の男の隙をついてオベロンが頭上から襲い掛かる。
完全に意識の外からの一撃。
その場にいた全員が直撃は免れないと確信した ─────── 。
「ガァァァ!!」
バリバリバリバリッ ──────── 。
「ぐわぁっ」
「グッ…」
「なっ、なんですか…これは」
その瞬間、突如発生したとてつもない爆音に全員が耳を塞ぎ、今まさに魔族の男に斬り掛かろうとしていたオベロンは衝撃波によって弾き飛ばされたのだった。
「クソッ!何しやがったんだあの魔族」
耳を押さえながら魔族の男を睨みつけるナルセナ。
そんな彼女の疑問に笑顔で答える魔族の男。
「アッハッハッ、ごめんごめん。ちょ~っと危なかったから大声出しちゃったよ」
大声を出しただけ。
言葉にするとただそれだけの事ではあるのだが、魔族が魔力を込めて大声を発するだけでヒト族にとっては十分過ぎるほどの攻撃となるようだ。
その爆音と衝撃はまさに爆撃を受けたようであった。
「それから一ついいかな?さっきから魔族魔族って言ってるけど、僕には“セロフト”っていう名前があるんだけど。ほんと失礼しちゃうなぁ~」
セロフトと名乗るその魔族は爆音と衝撃波を受けて苦しむ冒険者たちを前にし勝ち誇ったように笑みを浮かべている。
その余裕に満ちた表情と態度が冒険者たちをさらに苛つかせた。
「完全にナメられているな」
「ファイングさん、私たちはどうすれば・・・」
「ポーラか、アシュロットの治療は終えたのか?」
「はい。一先ず容体は落ち着きました」
「よし。それじゃポーラとココは最大火力の攻撃魔法を準備しておいてくれ。ボリックは二人の護衛を頼む」
「「「 了解! 」」」
「ナルセナ、そろそろ身体は温まったかい?」
───────── ゴキッ、ゴキッ。
「おうよ、準備万端だ!あの野郎ボコボコにしてやる」
ファイングの指示によって魔法の詠唱に入るポーラとココ。
そして二人の護衛をボリックに任せ、ファイングとナルセナはその身に赤い闘気を纏う。
そんな“モノリス”の姿に呼応するように“フェアリー”と“土ノ民”も陣形を整える。
「おや~?なんかさっきまでと雰囲気が違うね~。そろそろ僕にも楽しませてよ」
いつ次の噴火が起こるかも分からない火山の火口にて両者が睨み合う。
殺気を溢れ出しながら武器を構える冒険者たちに対し、何ひとつとして構えることなく不敵な笑みを浮かべるセロフト。
まさに一触即発。
その場にいた全員が固唾を飲み今か今かとその瞬間を待っていた、その時 ─────── 。
ドゴーン!!
突如としてセロフトの背後が爆発し、“土ノ民”のリーダーラントが土の中から飛び出した。
「背後ががら空きだ愚か者め。覚悟!」
ブウォン!!
グッ…グググッ ─────── ボゴォッ。
「ウッ…」
ガンッガンッガンッ ─────── ドガァーン。
黄色い闘気を纏ったラントの拳がセロフトの顔面にクリーンヒットし、強烈な一撃をまともにくらったセロフトは大きく殴り飛ばされ岩壁へと突っ込んだ。
ガラッ・・・ガラガラガラッ・・・。
セロフトが衝突した場所の岩壁が崩れ落ち土煙が舞っている。
そして、その中から男が姿を現す。
「イタタタタ。不意打ちで殴り飛ばすなんて、本当にもう・・・最高だなぁ」
ラントによる強烈な一撃を受けたにも関わらず、全く問題なさそうに起き上がり、何故かとても嬉しそうにしてみせるセロフト。
その不気味さがさらに冒険者たちに恐怖を与えたのであった。
「な…なんだアイツは。ラント様の一撃を受けてもなおピンピンしているなんて」
「本当…信じられない」
「おいおい、マジかよ。あんだけまともにくらってもほぼ無傷なのかよ」
「そのようだね。ナルセナ、俺たちは恐らく急所であろう心臓を確実に狙っていこう」
「ああ、キツ~いひと刺しをブチ込んでやるよ」
「僕たちもそろそろいくよ。ナンシーとバンシーはいつでも放てるように攻撃魔法の準備を。コリガンは二人の護衛、ランパスは僕たちの援護を、シルキーは全体のサポートを頼む。ティタとエサソンは僕について来てくれ」
「分かったわ。強烈なのをお見舞いしてやりましょう、ナンシー」
「そうね。私たち二人のとっておきを出しましょう、バンシー」
「それじゃ、みんな気合い入れていくわよ」
リーダーであるオベロンの指示を受け迅速に陣形を組み替え、セロフトに対する追撃の準備を進める“フェアリー”。
それとほぼ同時に“モノリス”と“土ノ民”も追撃の準備を終えたのだった。
そして、そんな冒険者たちの様子を見たセロフトは両腕を大きく広げて嬉しそうに笑う。
「アハハハハ。いいね、いいねぇ~。やっとバトルっぽくなってきたよ。さぁ~さぁ~もっと殺り合おうよ」
こうして、まもなく冒険者 vs セロフト第二ラウンドのゴングが鳴り響く ─────── 。
「クソッ、こいつさっきからちょこまかと鬱陶しい」
「落ち着くんだナルセナ。二人で挟み込むぞ」
魔族の男に対して今回のクエストに参加した二人のAランク冒険者ファイングとナルセナが同時に襲い掛かる。
フォンッ、フォンッ、フォンッ ──────── 。
ブンッ、ブンブンッ ──────── 。
「アハハハハ。二人がかりなんて怖いなぁ~」
しかし、高ランクの冒険者二人をもってしても敵を捉えることは難しく、魔族の男はおちゃらけた様子で全ての攻撃を躱していく。
「二人だけではありませんよ」
二人の連携攻撃に気を取られている魔族の男の隙をついてオベロンが頭上から襲い掛かる。
完全に意識の外からの一撃。
その場にいた全員が直撃は免れないと確信した ─────── 。
「ガァァァ!!」
バリバリバリバリッ ──────── 。
「ぐわぁっ」
「グッ…」
「なっ、なんですか…これは」
その瞬間、突如発生したとてつもない爆音に全員が耳を塞ぎ、今まさに魔族の男に斬り掛かろうとしていたオベロンは衝撃波によって弾き飛ばされたのだった。
「クソッ!何しやがったんだあの魔族」
耳を押さえながら魔族の男を睨みつけるナルセナ。
そんな彼女の疑問に笑顔で答える魔族の男。
「アッハッハッ、ごめんごめん。ちょ~っと危なかったから大声出しちゃったよ」
大声を出しただけ。
言葉にするとただそれだけの事ではあるのだが、魔族が魔力を込めて大声を発するだけでヒト族にとっては十分過ぎるほどの攻撃となるようだ。
その爆音と衝撃はまさに爆撃を受けたようであった。
「それから一ついいかな?さっきから魔族魔族って言ってるけど、僕には“セロフト”っていう名前があるんだけど。ほんと失礼しちゃうなぁ~」
セロフトと名乗るその魔族は爆音と衝撃波を受けて苦しむ冒険者たちを前にし勝ち誇ったように笑みを浮かべている。
その余裕に満ちた表情と態度が冒険者たちをさらに苛つかせた。
「完全にナメられているな」
「ファイングさん、私たちはどうすれば・・・」
「ポーラか、アシュロットの治療は終えたのか?」
「はい。一先ず容体は落ち着きました」
「よし。それじゃポーラとココは最大火力の攻撃魔法を準備しておいてくれ。ボリックは二人の護衛を頼む」
「「「 了解! 」」」
「ナルセナ、そろそろ身体は温まったかい?」
───────── ゴキッ、ゴキッ。
「おうよ、準備万端だ!あの野郎ボコボコにしてやる」
ファイングの指示によって魔法の詠唱に入るポーラとココ。
そして二人の護衛をボリックに任せ、ファイングとナルセナはその身に赤い闘気を纏う。
そんな“モノリス”の姿に呼応するように“フェアリー”と“土ノ民”も陣形を整える。
「おや~?なんかさっきまでと雰囲気が違うね~。そろそろ僕にも楽しませてよ」
いつ次の噴火が起こるかも分からない火山の火口にて両者が睨み合う。
殺気を溢れ出しながら武器を構える冒険者たちに対し、何ひとつとして構えることなく不敵な笑みを浮かべるセロフト。
まさに一触即発。
その場にいた全員が固唾を飲み今か今かとその瞬間を待っていた、その時 ─────── 。
ドゴーン!!
突如としてセロフトの背後が爆発し、“土ノ民”のリーダーラントが土の中から飛び出した。
「背後ががら空きだ愚か者め。覚悟!」
ブウォン!!
グッ…グググッ ─────── ボゴォッ。
「ウッ…」
ガンッガンッガンッ ─────── ドガァーン。
黄色い闘気を纏ったラントの拳がセロフトの顔面にクリーンヒットし、強烈な一撃をまともにくらったセロフトは大きく殴り飛ばされ岩壁へと突っ込んだ。
ガラッ・・・ガラガラガラッ・・・。
セロフトが衝突した場所の岩壁が崩れ落ち土煙が舞っている。
そして、その中から男が姿を現す。
「イタタタタ。不意打ちで殴り飛ばすなんて、本当にもう・・・最高だなぁ」
ラントによる強烈な一撃を受けたにも関わらず、全く問題なさそうに起き上がり、何故かとても嬉しそうにしてみせるセロフト。
その不気味さがさらに冒険者たちに恐怖を与えたのであった。
「な…なんだアイツは。ラント様の一撃を受けてもなおピンピンしているなんて」
「本当…信じられない」
「おいおい、マジかよ。あんだけまともにくらってもほぼ無傷なのかよ」
「そのようだね。ナルセナ、俺たちは恐らく急所であろう心臓を確実に狙っていこう」
「ああ、キツ~いひと刺しをブチ込んでやるよ」
「僕たちもそろそろいくよ。ナンシーとバンシーはいつでも放てるように攻撃魔法の準備を。コリガンは二人の護衛、ランパスは僕たちの援護を、シルキーは全体のサポートを頼む。ティタとエサソンは僕について来てくれ」
「分かったわ。強烈なのをお見舞いしてやりましょう、ナンシー」
「そうね。私たち二人のとっておきを出しましょう、バンシー」
「それじゃ、みんな気合い入れていくわよ」
リーダーであるオベロンの指示を受け迅速に陣形を組み替え、セロフトに対する追撃の準備を進める“フェアリー”。
それとほぼ同時に“モノリス”と“土ノ民”も追撃の準備を終えたのだった。
そして、そんな冒険者たちの様子を見たセロフトは両腕を大きく広げて嬉しそうに笑う。
「アハハハハ。いいね、いいねぇ~。やっとバトルっぽくなってきたよ。さぁ~さぁ~もっと殺り合おうよ」
こうして、まもなく冒険者 vs セロフト第二ラウンドのゴングが鳴り響く ─────── 。
0
あなたにおすすめの小説
ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!
さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。
冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。
底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。
そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。
部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。
ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。
『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!
ウォーキング・オブ・ザ・ヒーロー!ウォークゲーマーの僕は今日もゲーム(スキル)の為に異世界を歩く
まったりー
ファンタジー
主人公はウォークゲームを楽しむ高校生、ある時学校の教室で異世界召喚され、クラス全員が異世界に行ってしまいます。
国王様が魔王を倒してくれと頼んできてステータスを確認しますが、主人公はウォーク人という良く分からない職業で、スキルもウォークスキルと記され国王は分からず、いらないと判定します、何が出来るのかと聞かれた主人公は、ポイントで交換できるアイテムを出そうとしますが、交換しようとしたのがパンだった為、またまた要らないと言われてしまい、今度は城からも追い出されます。
主人公は気にせず、ウォークスキルをゲームと同列だと考え異世界で旅をします。
異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~
於田縫紀
ファンタジー
図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。
その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
現世に侵略してきた異世界人を撃退して、世界を救ったら、世界と異世界から命を狙われるようになりました。
佐久間 譲司
ファンタジー
突如として人類世界に侵略を始めた異世界人達。圧倒的な戦闘能力を誇り、人類を圧倒していく。
人類の命運が尽きようとしていた時、異世界側は、ある一つの提案を行う。それは、お互いの世界から代表五名を選出しての、決闘だった。彼らには、鉄の掟があり、雌雄を決するものは、決闘で決めるのだという。もしも、人類側が勝てば、降伏すると約束を行った。
すでに追い詰められていた人類は、否応がなしに決闘を受け入れた。そして、決闘が始まり、人類は一方的に虐殺されていった。
『瀉血』の能力を持つ篠崎直斗は、変装を行い、その決闘場に乱入する。『瀉血』の力を使い、それまでとは逆に、異世界側を圧倒し、勝利をする。
勝利後、直斗は、正体が発覚することなく、その場を離れることに成功した。
異世界側は、公約通り、人類の軍門に下った。
やがて、人類を勝利に導いた直斗は、人類側、異世界側両方からその身を狙われるようになる。人類側からは、異世界の脅威に対する対抗策として、異世界側からは、復讐と力の秘密のために。
パワハラで会社を辞めた俺、スキル【万能造船】で自由な船旅に出る~現代知識とチート船で水上交易してたら、いつの間にか国家予算レベルの大金を稼い
☆ほしい
ファンタジー
過労とパワハラで心身ともに限界だった俺、佐伯湊(さえきみなと)は、ある日異世界に転移してしまった。神様から与えられたのは【万能造船】というユニークスキル。それは、設計図さえあれば、どんな船でも素材を消費して作り出せるという能力だった。
「もう誰にも縛られない、自由な生活を送るんだ」
そう決意した俺は、手始めに小さな川舟を作り、水上での生活をスタートさせる。前世の知識を活かして、この世界にはない調味料や保存食、便利な日用品を自作して港町で売ってみると、これがまさかの大当たり。
スキルで船をどんどん豪華客船並みに拡張し、快適な船上生活を送りながら、行く先々の港町で特産品を仕入れては別の町で売る。そんな気ままな水上交易を続けているうちに、俺の資産はいつの間にか小国の国家予算を軽く超えていた。
これは、社畜だった俺が、チートな船でのんびりスローライフを送りながら、世界一の商人になるまでの物語。
異世界でぼっち生活をしてたら幼女×2を拾ったので養うことにした【改稿版】
きたーの(旧名:せんせい)
ファンタジー
自身のクラスが勇者召喚として呼ばれたのに乗り遅れてお亡くなりになってしまった主人公。
その瞬間を偶然にも神が見ていたことでほぼ不老不死に近い能力を貰い異世界へ!
約2万年の時を、ぼっちで過ごしていたある日、いつも通り森を闊歩していると2人の子供(幼女)に遭遇し、そこから主人公の物語が始まって行く……。
―――
当作品は過去作品の改稿版です。情景描写等を厚くしております。
なお、投稿規約に基づき既存作品に関しては非公開としておりますためご理解のほどよろしくお願いいたします。
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる