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魔王の本気
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キーーーン ───── ギィーーーン ───── 。
キーーーン ───── ギィーーーン ───── 。
「オラオラオラオラ!どうしたどうしたーーーーー」
バリバリバリバリッ ──────── ドゴーーーン!!
「舞い踊れ!光の剣雨」
ヒュンッ ─── ヒュンッ ─── ヒュンッ ─── ヒュンッ ─── 。
山積みされた瓦礫の下敷きとなったクロノの沈黙が続く中、ゼリックとアーサーによる戦いは両者共に一歩も引くことなく、さらに激しさを増していた。
それによって戦いの場となっている闘技場は、一部を除いて原型が分からなくなるほどに破壊され、所々ではその重さに耐えかねて崩壊が始まっていた。
それほどの壮絶な戦場の中で唯一ユニとスズネのいる一画だけは崩壊を免れていたのだが、当然それはクロノが彼女たちのために張った魔法障壁のおかげであった。
どうやら彼女たち周辺の魔法障壁はクロノ自身にかけられていたものよりも強固なものであったようだ。
そんなことなど露ほども知らずにスズネはクロノの安否を心配していた。
《クロノ・・・お願い。無事でいて ───── 》
その頃戦闘中の二人はというと。
目の前の敵以外のことなど気にかけている暇などなく、一進一退の攻防を繰り広げていた。
獣化したことによって攻撃力が跳ね上がったゼリックであったが、巨大化したことにより攻撃の的としても大きくなっており、強力かつ広範囲で展開されるアーサーの攻撃に手を焼いていた。
一方のアーサーも敵が巨大化したことで攻撃を当てやすくなったとはいえ、そのスピードに陰りのみえないゼリックに苦戦を強いられながらも集中を切らすことなく必死に食い下がっていたのだった。
「あーーーちょこまかちょこまかと、マジでうぜぇな」
「デカい図体をしているわりに随分と速く動くものだ」
ガキンッ ───── ギリッ…ギリギリギリギリッ ─────。
ガギィーーーーーン!!!
──────── ズダンッ。
──────── スタッ。
白熱した戦いが続く中、ここで両者が意図的に距離を取る。
「おい、そろそろ限界も近いんじゃないか」
「ナメるな!この程度騎士団の訓練に比べれば大したことはない。貴様の方こそ大切な恋人が心配そうにずっと見ているぞ。そろそろ止めにした方がいいのではないか?」
アーサーの言葉を聞きユニへと目を向けたゼリックであったが、すぐさまその視線を元に戻す。
「フンッ、獣人族であれば獣王である俺の考えこそが全てだと理解している。今さら ──────── 」
そう言葉を言いかけたところで突然ゼリックがそれを止め、眉間にシワを寄せながら怪訝そうな顔をみせる。
そして、その異変に気付いたアーサーが問いかける。
「どうかしたのか?獣王。戦いの最中に別のことを考えるとは、ここへきて随分と余裕だな」
「おかしい・・・」
「ん?おかしいとはどういうことだ」
アーサーの問いかけに答えることなく、再びユニたちの方へと視線を向けるゼリック。
その言葉の意味が分からないアーサーも釣られるように二人へと目をやる。
そんな彼らから突然視線を向けられ、訳も分からず困惑した表情をみせるユニとスズネなのであったが、もちろんゼリックが向ける視線の意味は二人ではない。
「何がおかしいと言うんだ」
「はぁ?アレを見て何も気付かねーのか」
その言葉を聞き、アーサーは改めてより注意深く状況を観察してようやくその異変に気付く。
「はっ!?」
「どう見てもおかしいだろ。あのクソ魔王は俺がぶっ飛ばしたはずだ。そして、奴は未だに瓦礫の下にいて気配も感じない。死んではいないとしても気を失っていれば魔法は解除されるはずだ。だが、なぜあいつらの周りに張られた魔法障壁は解けてねーんだ?」
「そんなことは考えるまでもない。魔王クロノはあの瓦礫の山の下で意識を保ったまま、今もこの状況を見ているということだ」
ドーーーーーーーン!!!!!
爆発音が鳴り響く。
山のように積まれていた瓦礫は一つ残らず弾き飛ばされ宙を舞う。
そして、その光景に目を奪われた彼らの視線の先には禍々しい黒紅色のオーラを放つ魔王の姿があった。
「クロノ!!」
「クロノ様、良かった」
「クロノ殿・・・」
「テメェー生きてやがったのか。まぁ~いい、次こそキッチリ殺してやるよ」
様々な反応が起きる中で瓦礫の山より生還したクロノはというと ───── 全くと言っていいほど無傷であった。
そして、改めてゼリックとアーサーに視線を送ると膨大な魔力を解放する。
──────── ドンッ!!
その瞬間、相対していた二人は息をすることさえも忘れてしまう。
彼らにだけ与えられた強烈なプレッシャー。
背筋が凍り、冷や汗は止まらず、かといって逃げることすらも出来ない。
そして、それを見た二人は同じことを思う。
アレは ──────── 何だ?
獣王国ビステリアにおいて最強の戦士にして獣王である自分。
ガルディア王国において最強の騎士にして聖騎士団をまとめ上げる聖騎士長である自分。
互いにある種の頂へと辿り着いた者たちであるのだが、そのことを恥じたくなるほどの圧倒的な捕食者を前にして身震いが止まらない。
しかし、そんな彼らに向けられた魔王からの言葉は威圧とはかけ離れたものであった。
「もう十分に楽しんだか?」
「「・・・・・」」
「そう恐れる必要はない。お前らの命まで取る気はないからな」
それは慈愛か憐れみか。
上に立つ者が下の者に対して慈悲を与えるような言葉。
そのような言葉をかけられてあの男が黙っているはずもない。
完全に怒りが恐怖を上回る。
「ナメ…んじゃ…ねーぞ…。誰が!誰を!恐れてるだとーーーーー!!」
ゼリックが放った咆哮が全身に纏わりつくように絡まっていたプレッシャーを弾き飛ばす。
怒りを滲ませたその表情からはプレッシャーに圧された自身の不甲斐無さと獣王である自分に対して憐れみのような視線を向けてきた魔王に対する殺意が表れていた。
「テメェーだけは絶対に許さねぇ!必ず殺してやる!!」
「囀るな。もはやお前らにやれることなどない。この戦いもじきに終わる」
「クロノ殿!これは我々の戦い。勝手に終わらせられては ──────── 」
「拘束する鎖」
ジャラジャラジャラジャラ ──────── ガシャン、ガシャン、ガシャン、ガシャン、ガシャン。
ジャラジャラジャラジャラ ──────── ガシャン、ガシャン、ガシャン、ガシャン。
それぞれの足下より飛び出した魔法の鎖によって身体の自由を奪われるゼリックとアーサー。
首、両手首、両足首、加えて獣化しているゼリックは尻尾まで鎖に繋がれ拘束されたのだった。
完全に身動きがとれなくなった二人。
地べたに這いつくばるような格好をさせられながらゼリックがクロノに対して罵声を浴びせる。
「テメェー!このクソ野郎!絶対許さねーからな!殺してやる。殺してやる。殺してやる」
「無駄なことは止めておけ。お前ら程度ではその鎖は外せんぞ。どうする?大人しく争いを止めるか?」
「はぁ?止める訳がねーだろ!こいつら騎士団を皆殺しにして、その後には残ったヒト族どもを全員俺たち獣人族の奴隷にしてやるよ」
「奴隷だと!?獣王!貴様…十種族協定を反故にするつもりか!」
「十種族協定?俺はそんなもんに調印した覚えはねーよ」
「先人たちの想いを無下にするのか」
「そんなもん知ったことではねーな。そもそもお前らヒト族がそれを言うのか?」
「そ…それは・・・」
かつてヒト族と獣人族を含めた十の種族の長が一堂に会し、十種族間における永続的な和平を目的に結ばれた協定。
その協定はもちろん他種族を奴隷のように扱うことなど許してはいない。
しかし、時が流れ一部のヒト族の中に他種族の者を捕らえて売買する者たちがいたのだ。
「そんなことはどうでもいい。俺はあそこにいる獣人の女と約束しているからな。改めて問うぞ。争いは止めないということでいいんだな」
「当たり前だ!俺たち獣人族の怒りを思い知らせてやるまで終わらせるつもりはない!!」
「そうか」
自身と地面を繋ぐ鎖を引き千切ろうとジタバタと悶えながらヒト族への恨みを叫ぶゼリック。
しかし、そんな彼の言葉も魔王であるクロノには何の意味もなさない。
「それでは仕方ない」
スッ ──────── 。
意を決したように右手を天に向けて掲げたクロノ。
そして、今なお叫び続けるゼリックへと向けられたその眼差しは、これまでに彼がみせたことがないほどに冷酷なものであった。
「クロノ!! ───── 殺しちゃ・・・ダメだからね」
両目をギュッと瞑り、胸の前で両手を握り締め、身体を震わせながら祈るユニの隣で、スズネが悲しそうな表情を浮かべながらクロノへ向けて声を張る。
そして、その声を聞いたクロノは右手を掲げたまま動きを止めたのだった。
「ガッハッハッハッハッ。どうしたんだ魔王?殺せよ!それとも主人の命令には逆らえないのか?さぁ、殺れよ!殺せるもんなら殺してみろ!!!」
「黙れ。俺に命令出来るのはこの世で俺だけだ。たとえ神であろうとそれは許さん。そして、これから行うのは処刑ではない。ただの躾だ。愚かな獣よ、貴様には多少の痛みを受けてもらうぞ」
「はぁ?痛み程度でこの俺が止まると思うなよ。今回俺を見逃せば必ず後悔するぞ。復讐してやる。ヒト族にも、お前にも、お前の周りにいる奴らにもな」
「全くもって愚か。まだ自分の置かれた状況を理解していないようだな。まぁ~いい、痛みと共にその愚行を悔い改めよ ──────── 断罪の剣」
クロノが魔法を発動させると、それまで空を覆っていた分厚い雷雲が大きく裂け、その間から巨大な剣が姿を現したのだった。
キーーーン ───── ギィーーーン ───── 。
「オラオラオラオラ!どうしたどうしたーーーーー」
バリバリバリバリッ ──────── ドゴーーーン!!
「舞い踊れ!光の剣雨」
ヒュンッ ─── ヒュンッ ─── ヒュンッ ─── ヒュンッ ─── 。
山積みされた瓦礫の下敷きとなったクロノの沈黙が続く中、ゼリックとアーサーによる戦いは両者共に一歩も引くことなく、さらに激しさを増していた。
それによって戦いの場となっている闘技場は、一部を除いて原型が分からなくなるほどに破壊され、所々ではその重さに耐えかねて崩壊が始まっていた。
それほどの壮絶な戦場の中で唯一ユニとスズネのいる一画だけは崩壊を免れていたのだが、当然それはクロノが彼女たちのために張った魔法障壁のおかげであった。
どうやら彼女たち周辺の魔法障壁はクロノ自身にかけられていたものよりも強固なものであったようだ。
そんなことなど露ほども知らずにスズネはクロノの安否を心配していた。
《クロノ・・・お願い。無事でいて ───── 》
その頃戦闘中の二人はというと。
目の前の敵以外のことなど気にかけている暇などなく、一進一退の攻防を繰り広げていた。
獣化したことによって攻撃力が跳ね上がったゼリックであったが、巨大化したことにより攻撃の的としても大きくなっており、強力かつ広範囲で展開されるアーサーの攻撃に手を焼いていた。
一方のアーサーも敵が巨大化したことで攻撃を当てやすくなったとはいえ、そのスピードに陰りのみえないゼリックに苦戦を強いられながらも集中を切らすことなく必死に食い下がっていたのだった。
「あーーーちょこまかちょこまかと、マジでうぜぇな」
「デカい図体をしているわりに随分と速く動くものだ」
ガキンッ ───── ギリッ…ギリギリギリギリッ ─────。
ガギィーーーーーン!!!
──────── ズダンッ。
──────── スタッ。
白熱した戦いが続く中、ここで両者が意図的に距離を取る。
「おい、そろそろ限界も近いんじゃないか」
「ナメるな!この程度騎士団の訓練に比べれば大したことはない。貴様の方こそ大切な恋人が心配そうにずっと見ているぞ。そろそろ止めにした方がいいのではないか?」
アーサーの言葉を聞きユニへと目を向けたゼリックであったが、すぐさまその視線を元に戻す。
「フンッ、獣人族であれば獣王である俺の考えこそが全てだと理解している。今さら ──────── 」
そう言葉を言いかけたところで突然ゼリックがそれを止め、眉間にシワを寄せながら怪訝そうな顔をみせる。
そして、その異変に気付いたアーサーが問いかける。
「どうかしたのか?獣王。戦いの最中に別のことを考えるとは、ここへきて随分と余裕だな」
「おかしい・・・」
「ん?おかしいとはどういうことだ」
アーサーの問いかけに答えることなく、再びユニたちの方へと視線を向けるゼリック。
その言葉の意味が分からないアーサーも釣られるように二人へと目をやる。
そんな彼らから突然視線を向けられ、訳も分からず困惑した表情をみせるユニとスズネなのであったが、もちろんゼリックが向ける視線の意味は二人ではない。
「何がおかしいと言うんだ」
「はぁ?アレを見て何も気付かねーのか」
その言葉を聞き、アーサーは改めてより注意深く状況を観察してようやくその異変に気付く。
「はっ!?」
「どう見てもおかしいだろ。あのクソ魔王は俺がぶっ飛ばしたはずだ。そして、奴は未だに瓦礫の下にいて気配も感じない。死んではいないとしても気を失っていれば魔法は解除されるはずだ。だが、なぜあいつらの周りに張られた魔法障壁は解けてねーんだ?」
「そんなことは考えるまでもない。魔王クロノはあの瓦礫の山の下で意識を保ったまま、今もこの状況を見ているということだ」
ドーーーーーーーン!!!!!
爆発音が鳴り響く。
山のように積まれていた瓦礫は一つ残らず弾き飛ばされ宙を舞う。
そして、その光景に目を奪われた彼らの視線の先には禍々しい黒紅色のオーラを放つ魔王の姿があった。
「クロノ!!」
「クロノ様、良かった」
「クロノ殿・・・」
「テメェー生きてやがったのか。まぁ~いい、次こそキッチリ殺してやるよ」
様々な反応が起きる中で瓦礫の山より生還したクロノはというと ───── 全くと言っていいほど無傷であった。
そして、改めてゼリックとアーサーに視線を送ると膨大な魔力を解放する。
──────── ドンッ!!
その瞬間、相対していた二人は息をすることさえも忘れてしまう。
彼らにだけ与えられた強烈なプレッシャー。
背筋が凍り、冷や汗は止まらず、かといって逃げることすらも出来ない。
そして、それを見た二人は同じことを思う。
アレは ──────── 何だ?
獣王国ビステリアにおいて最強の戦士にして獣王である自分。
ガルディア王国において最強の騎士にして聖騎士団をまとめ上げる聖騎士長である自分。
互いにある種の頂へと辿り着いた者たちであるのだが、そのことを恥じたくなるほどの圧倒的な捕食者を前にして身震いが止まらない。
しかし、そんな彼らに向けられた魔王からの言葉は威圧とはかけ離れたものであった。
「もう十分に楽しんだか?」
「「・・・・・」」
「そう恐れる必要はない。お前らの命まで取る気はないからな」
それは慈愛か憐れみか。
上に立つ者が下の者に対して慈悲を与えるような言葉。
そのような言葉をかけられてあの男が黙っているはずもない。
完全に怒りが恐怖を上回る。
「ナメ…んじゃ…ねーぞ…。誰が!誰を!恐れてるだとーーーーー!!」
ゼリックが放った咆哮が全身に纏わりつくように絡まっていたプレッシャーを弾き飛ばす。
怒りを滲ませたその表情からはプレッシャーに圧された自身の不甲斐無さと獣王である自分に対して憐れみのような視線を向けてきた魔王に対する殺意が表れていた。
「テメェーだけは絶対に許さねぇ!必ず殺してやる!!」
「囀るな。もはやお前らにやれることなどない。この戦いもじきに終わる」
「クロノ殿!これは我々の戦い。勝手に終わらせられては ──────── 」
「拘束する鎖」
ジャラジャラジャラジャラ ──────── ガシャン、ガシャン、ガシャン、ガシャン、ガシャン。
ジャラジャラジャラジャラ ──────── ガシャン、ガシャン、ガシャン、ガシャン。
それぞれの足下より飛び出した魔法の鎖によって身体の自由を奪われるゼリックとアーサー。
首、両手首、両足首、加えて獣化しているゼリックは尻尾まで鎖に繋がれ拘束されたのだった。
完全に身動きがとれなくなった二人。
地べたに這いつくばるような格好をさせられながらゼリックがクロノに対して罵声を浴びせる。
「テメェー!このクソ野郎!絶対許さねーからな!殺してやる。殺してやる。殺してやる」
「無駄なことは止めておけ。お前ら程度ではその鎖は外せんぞ。どうする?大人しく争いを止めるか?」
「はぁ?止める訳がねーだろ!こいつら騎士団を皆殺しにして、その後には残ったヒト族どもを全員俺たち獣人族の奴隷にしてやるよ」
「奴隷だと!?獣王!貴様…十種族協定を反故にするつもりか!」
「十種族協定?俺はそんなもんに調印した覚えはねーよ」
「先人たちの想いを無下にするのか」
「そんなもん知ったことではねーな。そもそもお前らヒト族がそれを言うのか?」
「そ…それは・・・」
かつてヒト族と獣人族を含めた十の種族の長が一堂に会し、十種族間における永続的な和平を目的に結ばれた協定。
その協定はもちろん他種族を奴隷のように扱うことなど許してはいない。
しかし、時が流れ一部のヒト族の中に他種族の者を捕らえて売買する者たちがいたのだ。
「そんなことはどうでもいい。俺はあそこにいる獣人の女と約束しているからな。改めて問うぞ。争いは止めないということでいいんだな」
「当たり前だ!俺たち獣人族の怒りを思い知らせてやるまで終わらせるつもりはない!!」
「そうか」
自身と地面を繋ぐ鎖を引き千切ろうとジタバタと悶えながらヒト族への恨みを叫ぶゼリック。
しかし、そんな彼の言葉も魔王であるクロノには何の意味もなさない。
「それでは仕方ない」
スッ ──────── 。
意を決したように右手を天に向けて掲げたクロノ。
そして、今なお叫び続けるゼリックへと向けられたその眼差しは、これまでに彼がみせたことがないほどに冷酷なものであった。
「クロノ!! ───── 殺しちゃ・・・ダメだからね」
両目をギュッと瞑り、胸の前で両手を握り締め、身体を震わせながら祈るユニの隣で、スズネが悲しそうな表情を浮かべながらクロノへ向けて声を張る。
そして、その声を聞いたクロノは右手を掲げたまま動きを止めたのだった。
「ガッハッハッハッハッ。どうしたんだ魔王?殺せよ!それとも主人の命令には逆らえないのか?さぁ、殺れよ!殺せるもんなら殺してみろ!!!」
「黙れ。俺に命令出来るのはこの世で俺だけだ。たとえ神であろうとそれは許さん。そして、これから行うのは処刑ではない。ただの躾だ。愚かな獣よ、貴様には多少の痛みを受けてもらうぞ」
「はぁ?痛み程度でこの俺が止まると思うなよ。今回俺を見逃せば必ず後悔するぞ。復讐してやる。ヒト族にも、お前にも、お前の周りにいる奴らにもな」
「全くもって愚か。まだ自分の置かれた状況を理解していないようだな。まぁ~いい、痛みと共にその愚行を悔い改めよ ──────── 断罪の剣」
クロノが魔法を発動させると、それまで空を覆っていた分厚い雷雲が大きく裂け、その間から巨大な剣が姿を現したのだった。
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