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架け橋
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ドタバタドタバタ ──────── 。
ドタバタドタバタ ──────── 。
宿り木のホームにレオンハルトたちが訪れた翌日。
スズネたちは前日に行くことが出来なかった冒険者ギルドへの準備をしていた。
「今日こそはギルドに行くわよ」
「みんな準備は終わりそう?」
「ウチはもうちょっとかかりそうっす」
「わ…私はもうすぐ終わります」
「ハァ~・・・。何をそんなに時間をかける必要があるんじゃ。わっちなど随分前に準備を終えておるぞ」
「まぁまぁ、女性というのは支度に時間がかかるものだそうですよ。男の僕にはさっぱり分かりませんが」
「ハァ~、本当にバカらしいのう」
女性の身支度というものは、男性のそれと比べて時間を要する。
それは世の常である。
かくいう宿り木も今現在所属しているメンバーが全員女性であるため、それ相応の時間が必要なのであった。
そして、それが終わるのを毎度のごとく待たされるラーニャとマクスウェルなのだが、ラーニャに至っては彼女たちの行動が全く理解出来ないようであり、今では苛立ちを通り過ぎて呆れ果てていたのだった。
「ラーニャちゃんゴメンねーーー。もう少しで準備出来るからね」
「もう何でもいいのじゃ。おぬしらの準備が遅いのは今に始まったことではないからのう。わっちは本でも読んでおるのじゃ」
そう言うと、ラーニャはリビングのソファーに腰掛けて分厚い魔法書を読み始めたのであった。
その時 ──────── 。
ドンドンドン ──────── 。
「ごめんください」
玄関の扉が力強く叩かれ、外から大きな呼び声がする。
その音に反応を見せるスズネたちだったのだが、その表情はそれぞれ異なるものであった。
これは・・・嫌な予感がする。
そう言いたげな表情をするミリアへ苦笑いを向けつつスズネは玄関へと向かう。
「はーーーい」
ガチャッ。
「こんにちは。スズネさん」
「あーーーーー!?」
玄関先から誰かと楽しそうに話をするスズネの声が聞こえてくる。
他のメンバーたちは準備を急ぎつつも、誰かも分からぬ訪問者へと意識を向けていた。
そうこうしているうちにスズネが客人をリビングへと案内し、前日に続いて予想だにしていなかった人物の登場に一同驚愕するのであった。
「「「「「えーーーーーっ!?」」」」」
「みんな、ユニさんたちが遊びに来てくれたよ」
─────────────────────────
ガルディア王国と獣王国ビステリアによる大戦が終わりを迎えたのが約三週間前。
その大戦の中で知り合った獣王国の次期王妃となる女性。
それが今目の前にいる彼女である。
しかし、宿木のメンバーを驚かせたのはそこではない。
出発に向けてリビングに集結しつつあった彼女たちに笑顔を振りまく女性の背後に立つ男性。
左腕を失いながらもその圧倒的な存在感と威圧感は一切の陰りをみせない。
「獣王…ゼリック…」
そのヒリヒリとした空気を肌で感じ、マクスウェルの口から無意識にその名がこぼれ落ちる。
「ちょっと兄様、皆さんを怖がらせないでください」
「はぁ?別に怖がらせてねーだろ。普通だよ、普通」
「皆さん、突然の訪問申し訳ありません。本来であれば大戦後すぐにでも来るべきだったのですが、ガルディアとの和平協定の調印や戦後処理などで遅くなってしまいました」
「まぁまぁ難しい話は後にして、さぁさぁ座ってください」
「ありがとうスズネ」
スズネに促されリビングの椅子に腰を掛けるユニとゼリック。
そして、その正面に並べられた椅子に座りながら、本日もギルドへ行くことを断念した宿り木なのであった。
「それでは改めまして、この度は皆さんに多大なるご迷惑をおかけし大変申し訳ありませんでした」
そう言って深々と頭を下げるユニ。
「ほら、兄様も」
「クッ。フゥー…すまなかった」
続いてゼリック頭を下げたのだが、ここでも前日と同様にスズネたちはすぐさま頭をあげるようにと慌てて声をかけるのだった。
─────────────────────────
「ゼリック様、腕の具合はいかがですか?」
「ん?まぁ~多少不便ではあるが大した支障はない。生活する上でも、戦う上でもな」
「片腕を失っても問題なく戦えるってどんだけ強いのよ」
「まぁ~ウチらとは生まれ持ったポテンシャルが違うんすよ」
「アタシからしたらアンタの頑丈さも十分異常だけどね」
「エヘヘヘヘ。照れるっすよ」
「別に褒めてないわよ」
「え~~~そんな~~~」
「「「「「 アハハハハハハハハ 」」」」」
ミリアとシャムロムのやり取りから場が和み、笑い声が広がる。
少し前まで争いをしていた国の者たちがみせる光景とは到底思えない。
そんな楽しい時間を過ごしながら、さらなる友好関係を築いていく彼女たち。
そして、その中でユニがクロノに対しての感謝を口にする。
「クロノ様」
「ん?なんだよ」
「この度は我らが王をお救いくださり、本当に、本当にありがとうございました」
「別に何もしてねぇーよ」
「いえ、あの時クロノ様が言ってくださった言葉が無ければ、我が国の王は間違いなく悲惨な制裁を加えられていたことでしょう」
「・・・・・」
その当時を回想しながら昂った感情を抑えきれずに涙を流しながら感謝の言葉を続けるユニ。
「えっ?何?何?何かあったの?アタシたちは城門で戦ってたから何も知らないんだけど」
「ミリア、少し黙っててください」
突然流れ始めた涙の理由が分からず困惑した表情をみせるミリアたちであったのだが、その気持ちが痛いほど分かるスズネだけは真っ直ぐにユニを見つめていた。
「ガルディア王に聞いたところによりますと、実際にガルディア王国の王宮内でも獣王に対する“処刑”や“永久投獄”といった厳しい処置を求める声がかなり大きかったと・・・。しかし、クロノ様があのとき言ってくださった『これ以上の処罰は許さない』という言葉によってその声は小さくなっていったようです。そして、さらに聖騎士長の方からの『決して魔王クロノを敵に回してはならない』という報告によって、それは完全にかき消されたそうです」
「何?アンタそんな格好いいこと言ったの?」
「黙れ。この俺がわざわざ躾てやったにも関わらず、他の雑魚どもがそれを上書きしようとするのが気に食わなかっただけだ」
「アハハハハ。本当にお優しい」
「べっ…別に優しくなんかねぇーよ」
自身に向けられる感謝の言葉と優しい笑顔にむず痒い気持ちになり、顔を赤ながら必死に照れを隠そうとするクロノ。
そんな珍しい光景を見ることが出来て、スズネたちもニヤニヤが止まらないのであった。
「何はともあれ、クロノ様の一言が無ければ今ここに獣王はいません。どうやら大国ガルディア
であったも最強の魔王は敵に回したくはないようです」
そう言うと、ユニはこの日一番の笑顔をクロノへと向けた。
「フンッ。当然だ」
─────────────────────────
そして、あっという間に時間は過ぎていき、ユニたちが帰路につく時がくる。
「ぜひ、また遊びに来てくださいね」
「はい。でも、次は皆さんが獣王国に遊びに来てください。国をあげて歓迎致しますよ!」
「フフフッ。国賓級の扱いを受けるのも悪くないわね」
「ミリア…悪い顔になってますよ」
「確かに。極悪人みたいっす」
「誰が極悪人よ!!」
「「「「「「 アハハハハハハハハ 」」」」」」
「俺様はまだまだ強くなるぞ。片腕を失ったことでこれまで無駄にしてきた力を効率良く使えるようになってきた。次は勝つ!」
「まぁ~せいぜい足掻いてみろ。いつでも挑戦を受けてやる」
スズネたちによる和やかな会話とは対照的に、強者どもはいつか来る再戦の時を約束する。
そして、予想だにしていなかった二日間にも及ぶ足止め?を終え、スズネたちは翌日から本格的に冒険者稼業を再開するのであった。
ドタバタドタバタ ──────── 。
宿り木のホームにレオンハルトたちが訪れた翌日。
スズネたちは前日に行くことが出来なかった冒険者ギルドへの準備をしていた。
「今日こそはギルドに行くわよ」
「みんな準備は終わりそう?」
「ウチはもうちょっとかかりそうっす」
「わ…私はもうすぐ終わります」
「ハァ~・・・。何をそんなに時間をかける必要があるんじゃ。わっちなど随分前に準備を終えておるぞ」
「まぁまぁ、女性というのは支度に時間がかかるものだそうですよ。男の僕にはさっぱり分かりませんが」
「ハァ~、本当にバカらしいのう」
女性の身支度というものは、男性のそれと比べて時間を要する。
それは世の常である。
かくいう宿り木も今現在所属しているメンバーが全員女性であるため、それ相応の時間が必要なのであった。
そして、それが終わるのを毎度のごとく待たされるラーニャとマクスウェルなのだが、ラーニャに至っては彼女たちの行動が全く理解出来ないようであり、今では苛立ちを通り過ぎて呆れ果てていたのだった。
「ラーニャちゃんゴメンねーーー。もう少しで準備出来るからね」
「もう何でもいいのじゃ。おぬしらの準備が遅いのは今に始まったことではないからのう。わっちは本でも読んでおるのじゃ」
そう言うと、ラーニャはリビングのソファーに腰掛けて分厚い魔法書を読み始めたのであった。
その時 ──────── 。
ドンドンドン ──────── 。
「ごめんください」
玄関の扉が力強く叩かれ、外から大きな呼び声がする。
その音に反応を見せるスズネたちだったのだが、その表情はそれぞれ異なるものであった。
これは・・・嫌な予感がする。
そう言いたげな表情をするミリアへ苦笑いを向けつつスズネは玄関へと向かう。
「はーーーい」
ガチャッ。
「こんにちは。スズネさん」
「あーーーーー!?」
玄関先から誰かと楽しそうに話をするスズネの声が聞こえてくる。
他のメンバーたちは準備を急ぎつつも、誰かも分からぬ訪問者へと意識を向けていた。
そうこうしているうちにスズネが客人をリビングへと案内し、前日に続いて予想だにしていなかった人物の登場に一同驚愕するのであった。
「「「「「えーーーーーっ!?」」」」」
「みんな、ユニさんたちが遊びに来てくれたよ」
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ガルディア王国と獣王国ビステリアによる大戦が終わりを迎えたのが約三週間前。
その大戦の中で知り合った獣王国の次期王妃となる女性。
それが今目の前にいる彼女である。
しかし、宿木のメンバーを驚かせたのはそこではない。
出発に向けてリビングに集結しつつあった彼女たちに笑顔を振りまく女性の背後に立つ男性。
左腕を失いながらもその圧倒的な存在感と威圧感は一切の陰りをみせない。
「獣王…ゼリック…」
そのヒリヒリとした空気を肌で感じ、マクスウェルの口から無意識にその名がこぼれ落ちる。
「ちょっと兄様、皆さんを怖がらせないでください」
「はぁ?別に怖がらせてねーだろ。普通だよ、普通」
「皆さん、突然の訪問申し訳ありません。本来であれば大戦後すぐにでも来るべきだったのですが、ガルディアとの和平協定の調印や戦後処理などで遅くなってしまいました」
「まぁまぁ難しい話は後にして、さぁさぁ座ってください」
「ありがとうスズネ」
スズネに促されリビングの椅子に腰を掛けるユニとゼリック。
そして、その正面に並べられた椅子に座りながら、本日もギルドへ行くことを断念した宿り木なのであった。
「それでは改めまして、この度は皆さんに多大なるご迷惑をおかけし大変申し訳ありませんでした」
そう言って深々と頭を下げるユニ。
「ほら、兄様も」
「クッ。フゥー…すまなかった」
続いてゼリック頭を下げたのだが、ここでも前日と同様にスズネたちはすぐさま頭をあげるようにと慌てて声をかけるのだった。
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「ゼリック様、腕の具合はいかがですか?」
「ん?まぁ~多少不便ではあるが大した支障はない。生活する上でも、戦う上でもな」
「片腕を失っても問題なく戦えるってどんだけ強いのよ」
「まぁ~ウチらとは生まれ持ったポテンシャルが違うんすよ」
「アタシからしたらアンタの頑丈さも十分異常だけどね」
「エヘヘヘヘ。照れるっすよ」
「別に褒めてないわよ」
「え~~~そんな~~~」
「「「「「 アハハハハハハハハ 」」」」」
ミリアとシャムロムのやり取りから場が和み、笑い声が広がる。
少し前まで争いをしていた国の者たちがみせる光景とは到底思えない。
そんな楽しい時間を過ごしながら、さらなる友好関係を築いていく彼女たち。
そして、その中でユニがクロノに対しての感謝を口にする。
「クロノ様」
「ん?なんだよ」
「この度は我らが王をお救いくださり、本当に、本当にありがとうございました」
「別に何もしてねぇーよ」
「いえ、あの時クロノ様が言ってくださった言葉が無ければ、我が国の王は間違いなく悲惨な制裁を加えられていたことでしょう」
「・・・・・」
その当時を回想しながら昂った感情を抑えきれずに涙を流しながら感謝の言葉を続けるユニ。
「えっ?何?何?何かあったの?アタシたちは城門で戦ってたから何も知らないんだけど」
「ミリア、少し黙っててください」
突然流れ始めた涙の理由が分からず困惑した表情をみせるミリアたちであったのだが、その気持ちが痛いほど分かるスズネだけは真っ直ぐにユニを見つめていた。
「ガルディア王に聞いたところによりますと、実際にガルディア王国の王宮内でも獣王に対する“処刑”や“永久投獄”といった厳しい処置を求める声がかなり大きかったと・・・。しかし、クロノ様があのとき言ってくださった『これ以上の処罰は許さない』という言葉によってその声は小さくなっていったようです。そして、さらに聖騎士長の方からの『決して魔王クロノを敵に回してはならない』という報告によって、それは完全にかき消されたそうです」
「何?アンタそんな格好いいこと言ったの?」
「黙れ。この俺がわざわざ躾てやったにも関わらず、他の雑魚どもがそれを上書きしようとするのが気に食わなかっただけだ」
「アハハハハ。本当にお優しい」
「べっ…別に優しくなんかねぇーよ」
自身に向けられる感謝の言葉と優しい笑顔にむず痒い気持ちになり、顔を赤ながら必死に照れを隠そうとするクロノ。
そんな珍しい光景を見ることが出来て、スズネたちもニヤニヤが止まらないのであった。
「何はともあれ、クロノ様の一言が無ければ今ここに獣王はいません。どうやら大国ガルディア
であったも最強の魔王は敵に回したくはないようです」
そう言うと、ユニはこの日一番の笑顔をクロノへと向けた。
「フンッ。当然だ」
─────────────────────────
そして、あっという間に時間は過ぎていき、ユニたちが帰路につく時がくる。
「ぜひ、また遊びに来てくださいね」
「はい。でも、次は皆さんが獣王国に遊びに来てください。国をあげて歓迎致しますよ!」
「フフフッ。国賓級の扱いを受けるのも悪くないわね」
「ミリア…悪い顔になってますよ」
「確かに。極悪人みたいっす」
「誰が極悪人よ!!」
「「「「「「 アハハハハハハハハ 」」」」」」
「俺様はまだまだ強くなるぞ。片腕を失ったことでこれまで無駄にしてきた力を効率良く使えるようになってきた。次は勝つ!」
「まぁ~せいぜい足掻いてみろ。いつでも挑戦を受けてやる」
スズネたちによる和やかな会話とは対照的に、強者どもはいつか来る再戦の時を約束する。
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