魔王召喚 〜 召喚されし歴代最強 〜

四乃森 コオ

文字の大きさ
181 / 204

報告

しおりを挟む
「今回は本当に助かったよ。仲間たちの命を救ってくれてありがとう」

「いえいえ、ピンチの時はお互い様ですから」

「アレスー、行くよー」

「ああ、今行く。それでは、俺たちはここで失礼させてもらうよ。また機会があったら」

「はい。またの機会に」


モンナケルタよりなんとか無事にモアへの帰還を果たした宿り木と黒狼の牙。
やっとの思いで街に到着した彼女たちであったが、負傷者を抱えた状態の黒狼の牙はすぐにでも治療院へと行かなければならなかった。
そのためリーダーであるアレスは改めてスズネたちに感謝を伝えると、急いでその場を後にしたのだった。
そして、スズネたちもまた到着して早々ではあるが、モンナケルタで得た情報を報告するためにその足で冒険者ギルドへと向かうのであった。


─────────────────────────


「お待たせ致しました。それではこちらへどうぞ」


スタッ、スタッ、スタッ、スタッ。

コン、コン、コン ───────── 。


「入れ」


ガチャッ。

ギルド職員に連れられてスズネたちがやってきたのはギルドにある支部長室。
そこで待ち構えていたのは、もちろん冒険者ギルドモア支部長リタである。


「戻ったばかりのところ悪いな」

「いえ、今日は最初からモンナケルタを軽く探索し終えたらギルドに報告しに来るつもりでしたので」

「そうか、それなら良かった。モンナケルタへ行った他の馬鹿どもがなかなか報告に来ねぇ~んだ。今はとにかく情報が欲しい。些細なことでもいいから聞かせてくれ」

「はい」


どうやら今回の単眼巨人サイクロプス討伐クエストを受けた他の冒険者たちは報告に来ていないらしい。
もちろん負傷を伴って報告に来ることが出来ないという場合もあるが、そうでない者たちに関しては他のパーティに先を越されないようにと情報を隠匿しているのだ。
普段のクエストであればそういったことはほとんど起きないのだが、今回のように報酬が大きいクエストでは度々起きてしまうのである。
しかし、スズネたちにはそのようなことをする気などさらさらない。
一刻も早くクエストをクリアする。
その気持ちしか持ち合わせていない。
だからこそ、モンナケルタから戻ってすぐに、現場で見たもの、聞いたことの全てをリタに話したのだった。

現場には異様な気配や雰囲気などはなく、不自然なまでに普通の山であること。
単眼巨人サイクロプスたちは五体ごとに一組のチームを組み、分かれて山中に配置されていたこと。
そして、仲間がピンチの時には周囲に配置されたチームが駆けつけて敵に対処するという連携までとれていたこと。

そうして三十分ほどの報告を受けたリタは一つの確信へと至る。


「なるほどな。まぁ~それだけ組織立って行動しているってことは、群れを成していることが確定だな。しかも、お前たちを取り囲んだ単眼巨人サイクロプスの数が二十体ほどであったことを踏まえると、その規模はかなりデカいと考えた方がいいな。五十か…はたまた百近くか…」

「ひゃくっっっ!?」

「あんなデカいのが百体って・・・冗談キツいわ」

「まぁ~そういう可能性もあるって話だ。遭遇した群れの中にボスみたいな奴はいなかったか?」

「あの場にはそういうのはいなかったと思います」

「そうか」

「あ…」


モンナケルタの大きさを考えた時に、単眼巨人サイクロプスが群れを成して生活出来る限界がおよそ百体程度であろうと推測したリタ。
それはつい先ほどその強大さを身をもって知ったスズネたちにとって、想像するだけで身震いを覚えるほどの数であった。


「あっ…」

「とりあえずメリッサに報告するか」

「あの…」

「お前たちご苦労だったな。下がって ───── 」

「あの!」


リタがスズネたちからの報告を聞き終え、彼女たちに退出を命じようとしたその時、突然スズネたちの後ろにいたセスリーが大きな声を上げる。
スズネたちは驚きのあまり後ろを振り返り、話を終わらせようとしていたリタは静かに声の主へと視線を向けた。


「どうしたの?セスリー」

「いきなり大声を上げてどうしたんすか?」

「あ…あの…」

「おい!言いてぇことがあんならさっさと言え!!俺も暇じゃねぇーんだよ」

「はっ…はい!実は・・・単眼巨人サイクロプスの包囲から脱出している時に、彼らの口から『王』という言葉を聞いたような気がするんです」


!?!?!?!?!?!?

ガタンッ!!


「それは本当か!!」

「い…一瞬のことでしたし、逃げるのにも必死だったので絶対かと言われると・・・」

「他の者は聞いたのか?」

「いえ・・・私は逃げるのに精一杯だったので、それどころではなかったです」

「私も殿するのに手一杯だったからな~」

「僕もミリアと同じです」

「ウチも聞いてないっすね」

「わっちはもちろん聞いておらんのじゃ」


セスリーが耳にした『王』という言葉。
それ即ち、単眼巨人の王サイクロプスキングがいるということ。
それは国家の存続をも揺るがす可能性すらある存在。
しかし、残念ながらセスリー以外のメンバーは誰一人としてその言葉を聞いておらず、唯一人の証言だけではその話に信憑性を持たせることは難しい。
もちろん誰もセスリーが嘘を言っているなどとは思っていない。
それはリタも同様であった。


「フゥー・・・。どうしたものか」


リタは大きく息を吐く。


「あ…あの、私の勘違いかもしれません。変なことを言ってすみませんでした」

「いや、エルフ族はその魔力探知能力の高さもさることながら、他の種族を凌駕する耳の良さがあるからな。その能力は数キロ先の音すらも聞き分けられるという。だからこそ、その娘が言っていることも一概に勘違いとは言い難い・・・」

「・・・。フンッ」


その後、少しの間思案を巡らせたリタは一つの決断を下し、すぐさまギルドマスターであるメリッサへの報告を行ったのだった。
そしてメリッサとの協議の結果、今回のクエストにおいて単眼巨人の王サイクロプスキングによって統率された群れである可能性が高まったと冒険者に通達されることとなり、その危険度はさらに高まった。
さらに、もし単眼巨人の王サイクロプスキングを発見した場合には、直ちにその場から退避し、ギルドへの報告を行うようにと厳命されたのだった。
そういったこともあり、ギルドマスターメリッサの権限により王都メルサを始めとする他の街へモアへのAランクパーティの派遣を要請する運びとなったのであった。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

不死身のボッカ

暁丸
ファンタジー
逓信(ていしん)ギルドに所属する甲殻人ボッカ。歩荷(ぼっか=運搬人)だからボッカと素性を隠す特急便の運搬人。 小柄な身体に見合わぬ怪力、疾風のスピードと疲れ知らずのスタミナで、野を越え山越え荷物を運ぶ。 逓信ギルドの運搬人になったのは、危険な迷宮には入りたく無いから。面倒と危険を避けてすんなり仕事を終わらせたいのに、時にギルド支部長に命じられ行きたくも無い魔獣狩りの運搬人として駆り出される。 割とチートな身体能力を持ちながら、戦闘能力はからっきしで過剰な期待はされたく無い。こんな殺伐とした異世界生活なんかとっとと終わらせて眠るように死にたいと願う、そんな<不死身の歩荷>のお話。 ※種族名とか用語は前作と共通にしてますが、別の世界の物語です。世界観も若干違います。 ※「歩荷」とは一般的にいう「ポーター」のことですが、長距離運送も兼任しています。 ※作者が設定厨なので、時々本筋に関係ない解説回が入ります。 ※第16回ファンタジー小説大賞にエントリーしてみました。

異世界へ転生した俺が最強のコピペ野郎になる件

おおりく
ファンタジー
高校生の桜木 悠人は、不慮の事故で命を落とすが、神のミスにより異世界『テラ・ルクス』で第二の生を得る。彼に与えられたスキルは、他者の能力を模倣する『コピーキャット』。 最初は最弱だった悠人だが、光・闇・炎・氷の属性と、防御・知識・物理の能力を次々とコピーし、誰も成し得なかった多重複合スキルを使いこなす究極のチートへと進化する! しかし、その異常な強さは、悠人を巡る三人の美少女たちの激しい争奪戦を引き起こすことになる。

通販で買った妖刀がガチだった ~試し斬りしたら空間が裂けて異世界に飛ばされた挙句、伝説の勇者だと勘違いされて困っています~

日之影ソラ
ファンタジー
ゲームや漫画が好きな大学生、宮本総司は、なんとなくネットサーフィンをしていると、アムゾンの購入サイトで妖刀が1000円で売っているのを見つけた。デザインは格好よく、どことなく惹かれるものを感じたから購入し、家に届いて試し切りをしたら……空間が斬れた!  斬れた空間に吸い込まれ、気がつけばそこは見たことがない異世界。勇者召喚の儀式最中だった王城に現れたことで、伝説の勇者が現れたと勘違いされてしまう。好待遇や周りの人の期待に流され、人違いだとは言えずにいたら、王女様に偽者だとバレてしまった。  偽物だったと世に知られたら死刑と脅され、死刑を免れるためには本当に魔王を倒して、勇者としての責任を果たすしかないと宣言される。 「偽者として死ぬか。本物の英雄になるか――どちらか選びなさい」  選択肢は一つしかない。死にたくない総司は嘘を本当にするため、伝説の勇者の名を騙る。

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。 交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。 そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。 その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。 だが、それが不幸の始まりだった。 世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。 彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。 さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。 金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。 面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。 本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

処理中です...