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だんだんとこの部屋にもたくさんの人がまばらに集まって来ており、ついに食卓の席は埋まろうとしていた。
私は、貴族の挨拶なんかもわからないため見よう見まねで軽く挨拶を交わし、人気の少ない空間に留まっている。
どうしたものだろうか。
この部屋はとにかく広い。
数百人は入る規模なのではないだろうか。おそらくパーティー会場として使われる部屋なのだろう。
なんて考えていると、前方から、伸びた髭を生やしたダンディなおじさんが近づいてきた。
「ルル、ちょっと話いいかな?」
「はい」
誰かもよくわからないが、とりあえず提案を軽く承諾する。
「それで私に話ってなんでしょう?」
会場から出て、しばらく歩いたところで話を切り出してみる。
部屋から出て思ったのは、どこまでが廊下なのかがわからないくらい広いということ。そして豪華なカーペットで床は敷き詰められており、壁には芸術的な絵がいくつも掛けられていた。
「それなんだが、ルル……お前もしかして記憶を失っただなんて嘘をついたのか……?」
何かと思えば、そんなことを言われた。
誰から聞いたのか……おそらくナタリアだろうが、私に記憶がないことを嘘だと思っているのだろう。
「いいえ。嘘などではございません。本当に何も覚えていなくって……」
「そうか。じゃあ、私のことは? 私のことは何があっても忘れるはずがないんだよ」
と、言われるが忘れるというより記憶がないため、全く誰だかわからない。
「申し訳ございませんが……どなたか判断がつきません」
私の言葉を聞くと、おじさんは少しだけ悲しそうな顔をして、二度ほど頷いてみせた。
「そうか……ルルは本当に記憶をなくしてしまったようだ」
「あの、疑わないのですか?」
自分からこんなことを訪ねるのも変かもしれないが、先ほどと意見が変わったようなので訊いてみた。
「あぁ、お前は家族思いの良い子だから私のことをそんな風に言うわけがないんだ。私は、君の父親だよ……」
父親……ということはもしかすると、
「えっと……ヨネスさんで間違いありませんか?」
「ああ……なんだ誰かから聞いていたのか」
目をパチクリさせながら言った。
やはり父親だった。
見るからに良い人そうだし、なんだかホッとした。
この世界である、貴族革命という乙女ゲームをやっていたのは、妹のため、詳細な登場人物は知らないのだ。
それでも、レオン様やナタリアくらいは何度も目にしたことがあったし思い出せた。
「会場の皆は、お前が記憶がないと言っていることに対してひそひそと噂話をしていたよ」
あぁ……なるほどそういうことだったのね。
私はずっと人気のない隅の方にいたけれど、なんだかザワザワと耳打ちするような形で会話している人が多かったのだ。
確かに、貴族の娘が記憶喪失ともなると婚約だの遺産相続だの、重大な役柄を狙われたりだとか色々とまずいことになり得るのかもしれない。
これが人ごとではないという事実が、胸を締め付けるように不安な気持ちにさせてくる。
「私はどうしたらよろしいですか?」
「そうだな……本当のことを話そう。それでもルルのことをレオン様が貰ってくれるというのなら、すごく有難い話だな」
どこか遠くの方を見つめながらヨネスは言う。
やはり、今日のパーティーは婚約者の決定をするための場であるようだ。
ゲームでいうと、そういうイベントなのだろう。
私は、貴族の挨拶なんかもわからないため見よう見まねで軽く挨拶を交わし、人気の少ない空間に留まっている。
どうしたものだろうか。
この部屋はとにかく広い。
数百人は入る規模なのではないだろうか。おそらくパーティー会場として使われる部屋なのだろう。
なんて考えていると、前方から、伸びた髭を生やしたダンディなおじさんが近づいてきた。
「ルル、ちょっと話いいかな?」
「はい」
誰かもよくわからないが、とりあえず提案を軽く承諾する。
「それで私に話ってなんでしょう?」
会場から出て、しばらく歩いたところで話を切り出してみる。
部屋から出て思ったのは、どこまでが廊下なのかがわからないくらい広いということ。そして豪華なカーペットで床は敷き詰められており、壁には芸術的な絵がいくつも掛けられていた。
「それなんだが、ルル……お前もしかして記憶を失っただなんて嘘をついたのか……?」
何かと思えば、そんなことを言われた。
誰から聞いたのか……おそらくナタリアだろうが、私に記憶がないことを嘘だと思っているのだろう。
「いいえ。嘘などではございません。本当に何も覚えていなくって……」
「そうか。じゃあ、私のことは? 私のことは何があっても忘れるはずがないんだよ」
と、言われるが忘れるというより記憶がないため、全く誰だかわからない。
「申し訳ございませんが……どなたか判断がつきません」
私の言葉を聞くと、おじさんは少しだけ悲しそうな顔をして、二度ほど頷いてみせた。
「そうか……ルルは本当に記憶をなくしてしまったようだ」
「あの、疑わないのですか?」
自分からこんなことを訪ねるのも変かもしれないが、先ほどと意見が変わったようなので訊いてみた。
「あぁ、お前は家族思いの良い子だから私のことをそんな風に言うわけがないんだ。私は、君の父親だよ……」
父親……ということはもしかすると、
「えっと……ヨネスさんで間違いありませんか?」
「ああ……なんだ誰かから聞いていたのか」
目をパチクリさせながら言った。
やはり父親だった。
見るからに良い人そうだし、なんだかホッとした。
この世界である、貴族革命という乙女ゲームをやっていたのは、妹のため、詳細な登場人物は知らないのだ。
それでも、レオン様やナタリアくらいは何度も目にしたことがあったし思い出せた。
「会場の皆は、お前が記憶がないと言っていることに対してひそひそと噂話をしていたよ」
あぁ……なるほどそういうことだったのね。
私はずっと人気のない隅の方にいたけれど、なんだかザワザワと耳打ちするような形で会話している人が多かったのだ。
確かに、貴族の娘が記憶喪失ともなると婚約だの遺産相続だの、重大な役柄を狙われたりだとか色々とまずいことになり得るのかもしれない。
これが人ごとではないという事実が、胸を締め付けるように不安な気持ちにさせてくる。
「私はどうしたらよろしいですか?」
「そうだな……本当のことを話そう。それでもルルのことをレオン様が貰ってくれるというのなら、すごく有難い話だな」
どこか遠くの方を見つめながらヨネスは言う。
やはり、今日のパーティーは婚約者の決定をするための場であるようだ。
ゲームでいうと、そういうイベントなのだろう。
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