死神さん、こっちです!

ボブえもん工房

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第6章 Sin and punishment for falling in love

The end of 柚希’s life

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あれから時は経った。
私は相変わらず毎日柚希に会い、楽しい毎日を過ごしていた。
しかし、その分柚希の体調が悪くなっているのも目に見えて分かる。
彼は痩せ細り、顔色が悪く、体をベッドから起こすのも困難な状況になっている。
見ていて可哀想になってしまう程だ。
前まで両親は、2人とも仕事に行っていたが、最近は母親が家に残り、柚希の面倒を見るようにしているようだ。
私も変わらず柚希の部屋で、彼を見守るようにしている。
たまに「死神さん…。」と、うなされながら呟くこともあるが、その度私は彼の手を握り、
「大丈夫、ここにいるよ。」
と答えるように呟く。



そろそろ彼とお別れの時間だ。
彼はもうすぐこの世から旅立ってしまう。
そう、今日が彼の命が尽きる運命の日なのだ。
彼のベッドの周りには父親と母親、医者がいた。
そしてベッドの上にはもう動くことが出来ない柚希。
「柚希…。」
母親は彼の手を握り、涙をベッドへ落としている。
父親は涙を我慢している様子だ。
私はいつも彼が外を眺めていた窓の傍にいた。
皆が哀しげな雰囲気に包まれている中、柚希は重たい口を開く。
「お母さん…、産んでくれてありがとう…。お父さん…、育ててくれてありがとう。2人ともありがとう…。」
絞り出すような声だ。
きっと話すことも難しいのだろう。
母親は思い切り首を縦に振り、「ありがとう。」と呟いた。
「産まれてきてくれてありがとう。君が居た僕達の人生は、凄く幸せだった。」
父親が言葉をかける。
柚希は弱々しく2人に笑いかけていた。
「あのね…、僕お友達が出来たんだよ。」
「え…?」
「その子はね、この世にはいないから…、皆には見えないの…。」
「どういうこと?」
「死神さんなんだよ…。でも、悪い子じゃないんだ。僕のために…、一緒に空を飛んで外の世界を見せてくれた…。沢山話をしてくれたんだ…。」
「死神って…、それ悪い物なんじゃないの!?人の魂を持っていく存在なのよ!!!」
母親が力無く弱っている柚希に泣きながら叫んでいる。
その言葉を聞いて、私はとんでもない罪悪感に苛まれた。
私がそばに居たから柚希は死んでいく。
そんな事は無いはずなのに、母親の言葉が私の心を罪悪感で埋めつくしていく。
「違うよ…、死神さんは凄く温かい子なんだよ…。悪い子じゃない…。」
柚希は窓の傍にいる私の方をゆっくりと見て、手を伸ばした。
私の体をすり抜けて、彼を照らす暖かい陽射し。
まるで天使が私に手を伸ばしているようだった。
「ありがとう…、君のお陰で僕、寂しい思いしなくてよかった…。」
柚希の目から一筋の涙が頬をつたった。
私は伸ばしてきた彼の手を握る。
「うん、私も楽しかった。本当に…、楽しかったぁ…。」
彼の手を握る力を強め、海ができてしまうほどの涙を流した。
「皆ぁ…、本当にありがとう…。」
握っていた手は重くなっていき、重力に逆らうこと無くベッドへと落ちた。
そして、ゆっくりと目を閉じ、綺麗でいつもと同じような優しい顔つきで眠った。
医者がすぐに動いて、柚希の死亡確認をしている。
母親は泣き崩れ、父親はそんな彼女を優しく抱きしめる。


柚希は今日…、旅立った。
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