ツンデレの「デレ」はわんこにお見通し

ぽんぽこまだむ

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第12話:狼さんとお布団に入ったら

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 アーロンが布団に潜り込むと、狭いベッドはぎゅうぎゅうになった。

 ルーイが腕で距離を取ろうとすると、アーロンがはみでそうになった。



 アーロンは、布団の中でルーイを抱きかかえた。

「ちょっと、やめろよ……」

 ルーイは顔を赤らめたが、アーロンはやめなかった。

「だって狭いんだもん」

 自分で部屋に上げてしまったのだから仕方がないと、ルーイは大人しくしていることにした。



 アーロンの顔が、胸板が、腕が、すぐそばにあって、ドキドキしてしまう。

 一緒の布団で寝たことなど、これまで何度もあるのに、最近おかしい。

 この前も、ハーピー退治に行く日の朝、気づいたらアーロンが一緒のベッドに寝ていて、びっくりした。

 何勝手にベッドに入ってるんだよ、と言おうと思ったのに、ドキドキしてしまい、どうしたらいいかわからなくなって、寝てるフリをしていた。

 ちらっとアーロンの顔を見上げてみる。



 ──いつの間にか、でっかくなっちゃったな……。

 白と銀の混ざった硬い髪と、アッシュグレーの太くてまっすぐな眉毛の下に、並行二重のアイスブルーの大きな瞳が輝いている。

 ぷにっとして、しょっちゅう泥や食べかすをつけていた頬や鼻は、今やすっきりとした高い鼻梁と、日頃の鍛錬を感じさせる精悍な頬になっている。

 ルーイが見つめていることに気が付くと、アーロンの瞳と目が合った。

 アイスブルーの瞳が、嬉しそうにニコッと細められた。

 なんとなく、かぁっと頬が熱くなって、ルーイは眼をそらした。



「なんで眼をそらすの?」

 アーロンがからかうように言ってルーイの顔を覗きこみながら、頬に手を当ててきた。

「や……べ、別に……」

 と言ってごまかす。



 アーロンは、手を下に滑らせ、布団の中で手を握ってきた。

「なんで手を握るんだよ……」

 ルーイは、ごにゃごにゃ文句を言ったが、アーロンは意に介さず、むしろ心配そうに、

「ルーイ、手が冷えてる。緊張してるんだね」

 と言った。



「……ローナを見ていて、昔のこと、思い出しちゃってさ……」

 ルーイの身体に、思わず力が入った。



 アーロンは、ルーイの過去をどこまで知っているのだろうか。山賊に捕まっていたところをフィンガルに助けられた、ということは周知の事実だが、毎日のように山賊に輪姦され、暴力を受けていたことまで知っているのだろうか。

 ルーイはうつむいて体を縮こまらせた。



「俺さ……、俺さ……」

 アーロンにも、ちゃんと言ったほうがいいのではないだろうか。

 アーロンは、ルーイに恋愛感情を抱いているようだが、ルーイが山賊の肉便器になっていたことを知ったら、いくらかわいそうでも、やっぱりそんな汚れた人間と付き合うなどイヤだ、と思うのではないだろうか。



「俺……、昔さ……」

 ルーイは言いかけたが、喉に何かがつっかえたような感じがして、続きを言えなかった。

 するとアーロンは、握った手にぎゅっと力を込めて、ルーイの背中をなでた。



「大丈夫。つらいこと、無理して言わなくていいよ、ルーイ」

 アーロンは、ルーイの頭を抱き寄せた。

「よくわかんないけど、もうそいつらはいないから。似たような奴が現れても、俺がやっつけるから。ルーイは大丈夫だよ」

 ルーイは涙をポロポロ流し、アーロンを突き放そうと、腕を突っ張った。



「違うよ……俺は、汚いんだ……。山賊の、肉便器だったんだよ……」

 アーロンみたいに、才能があって期待されている人材に、好きになってもらうような生き物じゃないんだ……。

 泣いちゃいけないと思っても、涙がこぼれてきて、しゃくりあげてしまう。

 アーロンは、ルーイが突き放そうとする力よりも強く、ぎゅっとルーイを抱きしめた。



「初めてルーイに会った時、ものすごくイヤな臭いがしてた。だから、なんとなくわかってたよ」

 アーロンは、ますます涙をポロポロこぼしはじめたルーイの背中を優しくさすった。

 背中をさすられていると、何故だか少しずつ気持ちが落ち着いてくる。

「そいつらぶっ殺したいけど、もう父ちゃんがぶっ殺してるんだよな」

 そうボソッとつぶやくアーロンの声は低く、平坦だった。



「俺は、ルーイのこと大好きだよ」

 アーロンはそう言って微笑むと、ルーイの頬の涙に、ちゅっとキスをしてきた。

「すけべなことはナシだって、言っただろぉ……」

 ルーイは、まだしゃくりあげながら、文句を言ったが、胸がきゅんとして、心が落ち着き始めているのを自覚した。



「違うよ。俺が約束したのは、『ルーイの嫌がることはしない』だよ」

 そう言って、アーロンはもう片方の頬の涙にも、ちゅっとキスをしてきた。

「ルーイ、嫌がってないの、俺にはわかってるよ」

 アーロンに耳元でささやかれ、ルーイは頬を羞恥に染めながら、身体をビクッとさせた。



 ──アーロンのバカ野郎……

 でも、温かい腕に包まれていると、安心感で心が満たされて、自然に涙が止まってくる。

 アーロンが唇を寄せ、ちゅっちゅっと涙を吸い取り、顎の下に流れた涙を、犬のようにぺろぺろっと舐めた。



「やめ……」

 と言いかけたが、アーロンに唇を塞がれた。

 アーロンの唇は、ちょっとしょっぱくなっていた。

 ルーイは、温かな安心感に包まれて、アーロンのなすがままに唇を貪らせた。

 舌を入れられても拒むことができず、むしろ気が付くといつの間にか舌を絡め合わせてしまう。



 アーロンの熱い唇と、尖った犬歯と、その向こう側にあるアーロンの身体……。

 ドキドキが止まらなくなって、たまらず、一瞬唇が離れた時に、

「はぁっ……、アーロン……」

 つい名前を呼ぶと、アーロンは、

「ルーイ、かわいい……。俺、止まらなくなっちゃう……」

 と言って、再び唇にむしゃぶりついてきた。



 ──なんか俺……変だ……。頭がぼーっとする……。気持ちいい……。

 頭の中が甘くしびれたみたいになってしまう。

 ちゅぱっ、ちゅぱっ、と舌を絡めていると、心臓だけではなく、下半身も甘くしびれはじめた。



 ──だめだ……。こんないやらしい、汚い身体だってアーロンにわかったら……。



「ルーイ、発情してる……」

 はぁ、はぁ、と熱い息を吐きながら、アーロンが嬉しそうに耳元でささやいた。

「匂いでわかるよ……」

「やあっ……!」



 アーロンは、ルーイのズボンの中に手を突っ込み、下着の上から硬くなりかけた股間をこすり始めた。

「やめ……っ、やめろ……」

 身をよじって抵抗するが、アーロンは全然やめようとしない。それどころかさらに強く擦りはじめる。

「だ、だめっ……!」

 と蚊の鳴くような声で反論するが、アーロンはまったく聞く耳を持たない。

「大丈夫……。ルーイの気持ちいいことしかしないよ」



 そう言ってアーロンは、下着の中から、ルーイのペニスを取り出し、先っぽをきゅっと軽く握った。

「ああんっ……」



 アーロンに触られているという事実だけで、ルーイの頭の中は快感で痺れてしまいそうになる。

「かわいい……。ルーイのここ……俺の手の中でどんどん固くなってく……」

 アーロンに言われて、ルーイはますます羞恥心を煽られる。



「あっあっ……!んっ……!」

 自分でもよくわからないうちに下半身が勝手に動いてしまう。

「腰が動いちゃうほど気持ちいいんだね」



 アーロンが、布団の中で何やらもぞもぞすると、ルーイのペニスに、何か大きくて硬いモノが触れた。

「あっ」

「俺、ルーイと一緒に気持ちよくなりたい……」

 アーロンは、ルーイの身体を抱き寄せ、カクカクと腰を動かして、お互いの硬くなったモノ同士をこすり合わせ始めた。



「あっ、あっ、あっ」

 ルーイは、イヤイヤと顔を横に振りながらも、甘い喘ぎ声を出してしまう。



 アーロンは腰を動かしながら、ルーイの服の下に手を入れると、乳首をふにっ、ふにっと弄んだ。

「あんっ、あんっ」

 自らのペニスにアーロンの硬くて大きいペニスが当たる感触と、乳首への刺激に、ルーイは身をくねらせた。



 ──乳首をいじられて気持ちよくなっちゃうなんて、俺、いやらしくて汚い……ダメだ……。



 しかしルーイの思いとは裏腹に、気づくと膝を上げてアーロンの腰を挟みつけていた。

 アーロンは、先走りの汁で濡れたルーイのモノと、自分のモノを擦り合わせながら、舌を絡め、乳首をくりくりと弄ぶ。



「あっ、あっ、あんっ、あんっ、やだ、俺、おかしい」

 押し流されそうな快楽の波に、ルーイが戸惑いの声を上げると、

「ルーイの身体、全然イヤがってないよ……。どんどんガマン汁出てくる……。一緒に出しちゃお?」

 アーロンは、ルーイのペニスと自分のモノを両手で握り、亀頭同士を擦り合わせるようにしごき始めた。

「そ、そんなっ……! あんっ!アーロンっ……!そ、それっ……!だめぇ……!」

「はぁっ……!んっ……、んん……!」



 息も絶え絶えになりながら夢中で舌を絡ませ合ううちに、二人の腰の動きはさらに激しくなっていく。



「ルーイっ……!俺……もう……!」

「んっ!んっ……、んんっ……!」

 アーロンがぎゅっと強く握り込み、亀頭同士がくちゅっと合わさった瞬間──



 ドピュッ!! ビュルルルッ!!

 二人は、ほぼ同時に達した。白濁液が勢いよく飛び出し、二人の身体に飛び散った。



「はぁっ……、はぁっ……」

 快感の余韻に浸りながら、ルーイが目を開けると、アーロンは嬉しそうに微笑んでいた。



「すごい気持ちよかった……」

 とアーロンは満足げに言ってルーイを抱きしめると、ちゅっちゅっとキスの雨を降らしてきた。

 とろとろとした多幸感に包まれながら、ルーイはあっという間に眠りに落ちてしまった。
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