神様の配達員 思いを 願いを 届けます

紅玲葉

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神様の頼み事1

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お猪口の中にある天神楽を見つめた後
大国主に真剣な顔を見せる勇人

「自分にできることがあれば言ってください。」

「小僧、お前の思ってる事は良くわかる。だが、未熟なお前に何ができる。」

先程は万遍な笑みからは想像ができないくらいの威圧が勇人の心を苦しめる。
しかし勇人は立ち向かった

「確かに未熟です。だけど、だからこそ!やりたいんだ!人と神を繋がりを守るためにも!どんなに難しい依頼でも届けるんだ、繋げるんだ。それが俺の仕事だから」

言いきった、これでも無理なら大人しく帰ろうそう思った勇人
大国主は目を瞑り、大きなため息を吐いた

「小僧、お前にいい物をやろう。狐、あれを持ってこい。」

「かしこまりました。」

狐は奥の部屋へと向かって数分も経たずに帰ってきた、狐が持ってきたのは1冊の本だった。

「小僧、お前にこの本をやろう」

勇人は本を手に取る、ページをめくるが何も書かれていなかった。

「それは物見記『ぶっけんき』といってな、白紙の上に物を置くとその物の持ち主がわかるという本だ。だが制限がある、全てのページを使い切ってしまったらその本はもう使えん、1ページ1個だ気をつけろ」

「ありがとうございます。」

「それと、お前に1つ頼みたい事がある。」

すると大国主は懐に手を突っ込み、1つの簪を取り出した
その簪は桜の葉が細かく彫られており桜の枝をイメージして作られていた簪だった
美しく光輝いているその簪を見た勇人はどこかで見た気がしたがどこで見たか覚えていなかった

「この簪を届けてくれ、50年前に女性がここに来てな、それはもう美しかった。だが、その人間は涙を流しておってなその時に付けておったこの簪を投げて行ってしまったのだ」

プレゼントとして貰った物なのだろうかだが、投げたのだから何か嫌な事があったのだろう

「その時は捨ててしまおうと思ったのだが、どうにも捨てれなくてな。50年前の物だ今はもうその女性はいないはずだろう、だが、もしいるのならその女性、もしくはその家族に渡してはくれないか」

「わかりました!是非やらせていただきます!」

元気よく返事を返すと、大国主は目をつぶりながら少し笑みを浮かべ頷いていた

依頼を受けた勇人は大国主がいる広間から離れて外に出る
外は橙色に彩られており穏やかな風が吹いていた。

「荷物も届けたし、今日は帰ろっか」

「はい!勇人様!」


大国主の元を離れ自宅に帰りベッドに横たわる
張り詰めていた緊張が一気に解け、疲労感が勇人を襲う
ぐったりとした勇人の隣に狛犬が近寄ってくる

「勇人様大丈夫ですか?」

「大丈夫だよ少し疲れただけ」

そう言いながら狛犬姿の阿形の頭を優しく撫でる

「明日から頑張ろうな」

「はい!」

元気よく返事をする阿形を見て勇人は笑みを見せた後、2人はゆったりとした時間を過したのだった。
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