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004 おっさん戦う
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善と悪のパラメーターが中立と言うのは非常に良くない。ゲームでは常にどちらかに傾けていないと、クエストの発生率が悪くなる。
基本は善に傾けるのが、色々と恩恵が大きい。先程、食事の値段が高かったのも、このパラメーターに関係がある。善に傾いていれば、もう少し安かっただろう。
あれ?ゲームを進める前提で話をしているが、クエストを受けるも受けないも自由。このままま、何もせずに、隠居生活をしても構わないんだよな?
収入を得る手段は大幅に減ってしまうが、金は遊んで暮らせる程度にはある。ならば、無理をしてゲームを進める事は無いんじゃ無いだろうか?
ただ、この世界で生活して行くのなら、善と悪のパラメーターが中立なのは色々と都合が悪い。せめて、少しで良いので善に傾けて置いた方が生活しやすい。
もう一つ問題がある、この世界がゲームに準拠しているのであれば、およそ1年後にこの場所は厄災の種が芽吹き、壊滅的なダメージを負うと言う事だ。できれば別の町で生活の基盤を作りたい。
それに、どの位この世界に居るのか解らないし、戦闘を経験して置く必要もありそうだ。
他にも気になる点がある。通常クエストはメインとサブがある。今回のクエストは強制クエストっぽい。つまりメインクエストになるのでは無いだろうか?
もし、この世界から元の世界に帰る事が出来るのならば、メインクエストは多分重要な位置を占めているのでは無いかと考えている。
善と悪のパラメーターの為にも、元の世界に帰るためにも、このクエストは受けて置いた方が良いと俺の感は言っている。
問題は戦えるかだな。
正直、現代日本人で狼と戦った事が有る奴は滅多に居ないだろう。野犬だって、そうそう戦う機会は無い。
平和な世界に住んでいるからゲームに刺激を求める訳だしね。
一つだけ確かな事がある。この世界はドラゴンズヘブンに良く似ている。だが、細かい点はゲームとは違う所もある。つまり、そう言う意味では、これから先何が起きてもおかしくない。別世界に来てしまったと言う事になる。
俺が育てたキャラクターに憑依したかあるいは転生したとしても、ゲーム時の強さを持っているとは言い切れない。
恐らくゲームのスタート地点に戻されていると考えられる、ならば、強さもゲームのスタート時に戻っている可能性がある。
一応ステータスは最後に確認した物と一緒なので、無茶苦茶強いと言う可能性もゼロでは無い。
後は、コントローラーで操作するのと同じ動きが出来るかどうかと言うのも不安点ではある。
このゲームでは主人公は最初からある程度強く設定してある。戦闘がアクションなので、上手い下手はあるが、死にゲーの様なシビアな難易度では無い。
アクションがそれ程得意で無い俺でも序盤では死んだ経験は無い。だが、アクションゲームと実戦では感覚が全く違うと言うのは俺でも分かる。
コントローラーでキャラクターを動かすのと、自分が戦うのにどれだけの違いがあるのか、明日、確かめてみる必要がある。
幸いポーション類はアイテム欄に結構な数がある。武器はゲーム序盤では手に入らない、強い武器が揃っている。防具の性能も良いので、相手のレベルが低ければそれ程苦戦する事は無い筈だと、自分に言い聞かせる。
ゲームのスタート時の敵ならレベルは恐らく2か3程度だろう。後は俺に生き物を殺す覚悟があるかどうかに掛かって来る。
そう言えば、このゲームは1人用のRPGだ。プレイヤーは俺一人しかいない。他の人間は全てNPCと言う事になる。だが、接してみた感じは普通の人間としか思えなかった。
ゲームがどんなに進化しても、NPCのAIが人間と同等になるにはまだかなりの年月が掛かるだろう。そう言う点を考えると、ここがゲームの世界と言うのは無理がある様にも思える。
とにかく情報が不足している。それを得るためにも少し進んでみよう。村の人達に東の魔物の情報を聞いて回り、宿屋が無いかもついでに聞いてみる。
やはり先程の酒場が宿屋も兼ねているらしい。少し早いが、酒場に戻り1泊だけ泊まる事にした。食事付きで12000G取られた。
幾ら食事付きでも、こんなボロい宿屋が1泊1万2千円は高いと言わざるを得ない。
夕食にはカレーライスを頼んだ。何となく米が食いたかったと言うのもあるが、普段、ゲームではステーキ等の安くて回復能力が高い物を選んでいるので、カレーライスの回復量を知りたかったと言うのもある。
って言うか、カレーが普通に美味しい事に驚いた。どうやら食事面ではこの世界でも暮らして行けそうだ。
部屋は6畳間にベッドと机が置いてあるだけの簡素な物だった。疲れていたのか横になるとすぐに眠ってしまった様だ。
翌朝起きてすぐにステータスを確認すると全回復していた。この辺はゲームと一緒だ。
ちなみにトイレは水洗でトイレットペーパーがちゃんとついていた。時代考証滅茶苦茶だな。
朝食はトーストにハムエッグ、オレンジジュースだった。うん。考えるの止めよう。
酒場を出て、東の街道に向かう。小さな村なので数分で村の出口が見えて来る。問題の狼の魔物は街道を少し外れると出て来るらしい。
あまり村の近くで戦うと逃がした魔物が村を襲う危険性があるので、10分程街道を歩いてから少しずつ街道を外れてみる。
見慣れたインターフェイスの右上のマップに赤い点が出現する。これは敵のマークだ。
赤いマークの方角に体を向けて背中の剣を抜く。結構な重量がある剣だが、ステータスのお陰か重くは感じない。
剣を構え、魔物を待つ。この世界で初めての戦闘だ。狼の魔物が突然茂みから飛び掛かって来る。思ったよりでかい。そして早い。だが、体が自然と動いた。気が付けば狼の魔物は首を切られ死んでいた。
この感覚ゲームと一緒だ。脳で考えた通りに体が動いた。コントローラー無しでも戦える。だが、相手が低レベルだからと言うのもあるだろう。これからイベントボスとか出て来たら苦戦しそうだ。どこかで鍛える必要があるかもしれない。
ちなみにゲームでは狼の魔物を倒すと牙と毛皮をドロップする。だが、今は死体が転がっているだけだ。これって自分で剥ぎ取らないと行けないのか?
狼の魔物を3匹倒すのに掛った時間は10分程度だろう。だが、牙と毛皮の剥ぎ取りに3時間位掛かってしまった。
昼過ぎに酒場に戻り店主に牙と毛皮を渡す。
「これで良いのか?」
「ああ、助かる。」
そう言って店主は小さな麻袋をくれた。インターフェイスの下部に表示されているGが3万増えた。どうやら小袋の中身は報酬らしい。
狼の魔物1匹1万円か、高いのか安いのか解らんな。まあ、序盤はこんな感じだった気がする。レベルも低いしね。
本来ならこの付近で経験値稼ぎをしながらお金を稼ぐ所なんだろうな。
インターフェイスからクエストを呼び出すと次の村へ向かえと言うクエストが追加されていた。
これがゲームなら、村の人からサブクエストを受ける所だが、自分の強さもある程度わかったので、ここは先に進む事にしよう。まずはメインクエストを追って行く事にする。
サブクエストが発生したら、その時その時で考えれば良いだろう。とりあえず、パラメーターが少しだけ善に傾いた。
最初は善と悪のパラメーターにだけ気を付けて居れば問題無いだろう。
どうやら俺はそこそこ強いらしい。まあ装備のお陰ってのもあるだろうが、ゲームの感覚は戦闘でも役に立ちそうだ。
こう言うゲームっぽさを考えると、ここはゲームの世界かなとも思う。だが、素材の剥ぎ取りは自動では無かった。その辺を考えるとやはりゲームの世界とは違うのだとも思う。
一体俺の身に何がおきているのだろう?
帰り道を探すには、まず、この世界が何なのかを知る必要がありそうだ。
俺は再び東の街道を歩いている。次の村を目指して。
基本は善に傾けるのが、色々と恩恵が大きい。先程、食事の値段が高かったのも、このパラメーターに関係がある。善に傾いていれば、もう少し安かっただろう。
あれ?ゲームを進める前提で話をしているが、クエストを受けるも受けないも自由。このままま、何もせずに、隠居生活をしても構わないんだよな?
収入を得る手段は大幅に減ってしまうが、金は遊んで暮らせる程度にはある。ならば、無理をしてゲームを進める事は無いんじゃ無いだろうか?
ただ、この世界で生活して行くのなら、善と悪のパラメーターが中立なのは色々と都合が悪い。せめて、少しで良いので善に傾けて置いた方が生活しやすい。
もう一つ問題がある、この世界がゲームに準拠しているのであれば、およそ1年後にこの場所は厄災の種が芽吹き、壊滅的なダメージを負うと言う事だ。できれば別の町で生活の基盤を作りたい。
それに、どの位この世界に居るのか解らないし、戦闘を経験して置く必要もありそうだ。
他にも気になる点がある。通常クエストはメインとサブがある。今回のクエストは強制クエストっぽい。つまりメインクエストになるのでは無いだろうか?
もし、この世界から元の世界に帰る事が出来るのならば、メインクエストは多分重要な位置を占めているのでは無いかと考えている。
善と悪のパラメーターの為にも、元の世界に帰るためにも、このクエストは受けて置いた方が良いと俺の感は言っている。
問題は戦えるかだな。
正直、現代日本人で狼と戦った事が有る奴は滅多に居ないだろう。野犬だって、そうそう戦う機会は無い。
平和な世界に住んでいるからゲームに刺激を求める訳だしね。
一つだけ確かな事がある。この世界はドラゴンズヘブンに良く似ている。だが、細かい点はゲームとは違う所もある。つまり、そう言う意味では、これから先何が起きてもおかしくない。別世界に来てしまったと言う事になる。
俺が育てたキャラクターに憑依したかあるいは転生したとしても、ゲーム時の強さを持っているとは言い切れない。
恐らくゲームのスタート地点に戻されていると考えられる、ならば、強さもゲームのスタート時に戻っている可能性がある。
一応ステータスは最後に確認した物と一緒なので、無茶苦茶強いと言う可能性もゼロでは無い。
後は、コントローラーで操作するのと同じ動きが出来るかどうかと言うのも不安点ではある。
このゲームでは主人公は最初からある程度強く設定してある。戦闘がアクションなので、上手い下手はあるが、死にゲーの様なシビアな難易度では無い。
アクションがそれ程得意で無い俺でも序盤では死んだ経験は無い。だが、アクションゲームと実戦では感覚が全く違うと言うのは俺でも分かる。
コントローラーでキャラクターを動かすのと、自分が戦うのにどれだけの違いがあるのか、明日、確かめてみる必要がある。
幸いポーション類はアイテム欄に結構な数がある。武器はゲーム序盤では手に入らない、強い武器が揃っている。防具の性能も良いので、相手のレベルが低ければそれ程苦戦する事は無い筈だと、自分に言い聞かせる。
ゲームのスタート時の敵ならレベルは恐らく2か3程度だろう。後は俺に生き物を殺す覚悟があるかどうかに掛かって来る。
そう言えば、このゲームは1人用のRPGだ。プレイヤーは俺一人しかいない。他の人間は全てNPCと言う事になる。だが、接してみた感じは普通の人間としか思えなかった。
ゲームがどんなに進化しても、NPCのAIが人間と同等になるにはまだかなりの年月が掛かるだろう。そう言う点を考えると、ここがゲームの世界と言うのは無理がある様にも思える。
とにかく情報が不足している。それを得るためにも少し進んでみよう。村の人達に東の魔物の情報を聞いて回り、宿屋が無いかもついでに聞いてみる。
やはり先程の酒場が宿屋も兼ねているらしい。少し早いが、酒場に戻り1泊だけ泊まる事にした。食事付きで12000G取られた。
幾ら食事付きでも、こんなボロい宿屋が1泊1万2千円は高いと言わざるを得ない。
夕食にはカレーライスを頼んだ。何となく米が食いたかったと言うのもあるが、普段、ゲームではステーキ等の安くて回復能力が高い物を選んでいるので、カレーライスの回復量を知りたかったと言うのもある。
って言うか、カレーが普通に美味しい事に驚いた。どうやら食事面ではこの世界でも暮らして行けそうだ。
部屋は6畳間にベッドと机が置いてあるだけの簡素な物だった。疲れていたのか横になるとすぐに眠ってしまった様だ。
翌朝起きてすぐにステータスを確認すると全回復していた。この辺はゲームと一緒だ。
ちなみにトイレは水洗でトイレットペーパーがちゃんとついていた。時代考証滅茶苦茶だな。
朝食はトーストにハムエッグ、オレンジジュースだった。うん。考えるの止めよう。
酒場を出て、東の街道に向かう。小さな村なので数分で村の出口が見えて来る。問題の狼の魔物は街道を少し外れると出て来るらしい。
あまり村の近くで戦うと逃がした魔物が村を襲う危険性があるので、10分程街道を歩いてから少しずつ街道を外れてみる。
見慣れたインターフェイスの右上のマップに赤い点が出現する。これは敵のマークだ。
赤いマークの方角に体を向けて背中の剣を抜く。結構な重量がある剣だが、ステータスのお陰か重くは感じない。
剣を構え、魔物を待つ。この世界で初めての戦闘だ。狼の魔物が突然茂みから飛び掛かって来る。思ったよりでかい。そして早い。だが、体が自然と動いた。気が付けば狼の魔物は首を切られ死んでいた。
この感覚ゲームと一緒だ。脳で考えた通りに体が動いた。コントローラー無しでも戦える。だが、相手が低レベルだからと言うのもあるだろう。これからイベントボスとか出て来たら苦戦しそうだ。どこかで鍛える必要があるかもしれない。
ちなみにゲームでは狼の魔物を倒すと牙と毛皮をドロップする。だが、今は死体が転がっているだけだ。これって自分で剥ぎ取らないと行けないのか?
狼の魔物を3匹倒すのに掛った時間は10分程度だろう。だが、牙と毛皮の剥ぎ取りに3時間位掛かってしまった。
昼過ぎに酒場に戻り店主に牙と毛皮を渡す。
「これで良いのか?」
「ああ、助かる。」
そう言って店主は小さな麻袋をくれた。インターフェイスの下部に表示されているGが3万増えた。どうやら小袋の中身は報酬らしい。
狼の魔物1匹1万円か、高いのか安いのか解らんな。まあ、序盤はこんな感じだった気がする。レベルも低いしね。
本来ならこの付近で経験値稼ぎをしながらお金を稼ぐ所なんだろうな。
インターフェイスからクエストを呼び出すと次の村へ向かえと言うクエストが追加されていた。
これがゲームなら、村の人からサブクエストを受ける所だが、自分の強さもある程度わかったので、ここは先に進む事にしよう。まずはメインクエストを追って行く事にする。
サブクエストが発生したら、その時その時で考えれば良いだろう。とりあえず、パラメーターが少しだけ善に傾いた。
最初は善と悪のパラメーターにだけ気を付けて居れば問題無いだろう。
どうやら俺はそこそこ強いらしい。まあ装備のお陰ってのもあるだろうが、ゲームの感覚は戦闘でも役に立ちそうだ。
こう言うゲームっぽさを考えると、ここはゲームの世界かなとも思う。だが、素材の剥ぎ取りは自動では無かった。その辺を考えるとやはりゲームの世界とは違うのだとも思う。
一体俺の身に何がおきているのだろう?
帰り道を探すには、まず、この世界が何なのかを知る必要がありそうだ。
俺は再び東の街道を歩いている。次の村を目指して。
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