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第十七話
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異世界初の和食販売は『牛丼』と『豚汁』のセットにしてみた。受け入れられるか心配だったが、杞憂だった。牛丼セットは爆発的に売れた。この世界にもライスはあるらしいが、雑穀扱いで小麦に比べると食べた事のある人は圧倒的に少ない。また、炊くと言う料理法が無くライスの地位は低い。今回の牛丼セットでライスの有用性に気付いた者が結構いたようで。パンの代わりになると研究を始める者も出た。
気を良くしたユーリは伯爵邸の夕食でもこの牛丼セットを出してみる。やはり好評で。今後家でもライスを食べられる日が増えそうだ。
こうなると本格的に店が欲しいと思い始める。軽食販売では出せない料理も多い。試食の時に出しただし巻き卵等がそうである。一品料理は軽食販売には向かない。アトマス商会とは別に、もう一店舗食事処が欲しい所である。アトマスさんと相談しようと、頭の中にメモるユーリであった。
ショートケーキ販売が好調な『銀の猫亭』であるが、ルーネさんが客足が落ち着いて来たので、もう一品何か無いかと相談して来たので、『プリンアラモード』をお試しで投入してみた。こちらも評判が良い様で、ルーネさんはご機嫌だ。日替わりで提供する様にするそうだ。
そうこうしているうちにユーリは7歳を迎えていた。別段変わりは無いのだが、6歳の時だいぶやらかしたので、7歳は慎重に行こうと決心している。食文化はだいぶ広まって来たので、ここら辺で娯楽の導入も考えている。異世界と言えばやはりアレは外せないだろう。
そう言えば、国王陛下が美味しい軽食の噂を聞いて、食べてみたいと言っているらしいが、流石に食品を献上するのはどうかなと言う事で見送りになっている。何か王城の料理人でも作れる物のレシピを送って置こうとも考えたが、メニューが浮かばない。今度父上と我が家の料理人の3人で相談しよう。
そんなある日、珍しく姉のシルビーと休みが重なった。
「ねぇ、ユーリ。お母様ばかりずるくない?」
「え?何の事でしょう?」
「バッグに、ケーキに、手鏡。私も欲しいわ。」
「ああ、そう言う事ですか。」
ユーリは部屋に入って来て愚痴を言う姉上をソファに座らせた。そして、テーブルの上にプリンアラモードを出す。
「これは母上もまだ食べた事のない『プリンアラモード』と言うケーキです。食べてみて下さい。」
それを聞くと姉上は顔をパーっと輝かせる。畳み掛けるように、手鏡と可愛いポーチ型のマジックバッグを出す。
「それから、こちらは姉上に合わせてデザインしたポーチと手鏡です。もちろんポーチにはマジックバッグが付与してあります。」
「ありがとう!ユーリ!」
やはり、幼くても女性は女性なんだなとユーリは、しみじみ思った。これからは母上と差別にならないよう気を付けないと。
「あ、そうだ、これはポテトチップスと言うお菓子なんだけど、まだ、誰にも食べさせた事が無い物だよ。母上と一緒に仲良く食べて下さいね。」
そう言うと、木製の大皿に多めに乗せたポテトチップスをテーブルに出す。
「飲み物はバッグの中に姉上の好きなサイダーを入れて置くのでこれも仲良く2人でね!」
「分かった!じゃあ、貰って行くね~。」
あっという間にプリンアラモードを食べた姉上は新しいお菓子に興味津々だ、ポーチにポテチと手鏡を入れて、すぐさまユーリの部屋を飛び出し、母上の所へ向かった。ああ言う所はまだ子供なんだけどね。
それから10分後、父上が部屋を訪れた。何事かと思ったら。
「すまないが、ポテトチップスとやらと冷えたエールをくれないか?」
どうやら父上も味見をした様だ。その後メイドや料理長からもポテチの催促を受けた。
ちょっと待てよ。ポテチってこの世界の材料だけでも作れるんじゃね?そう思ったユーリは、すぐさま料理長の所へ向かい。魔法でスライサーを出す。これでポテトを薄切りにして、たっぷりの油で揚げて塩をまぶせば完成だ。
「これで完成です。簡単でしょ?」
「おお、こんなに簡単にポテトチップスが~。これで、使用人達のおやつに出来ます。ありがとうございますユーリ様。」
料理長も他の料理人も感動している。この世界ではポテトは安いので食事代わりにする事が多いらしい。しかし、いつも茹でただけのポテトでは味気なかったそうだ。前にフライドポテトも教えたし、更にポテチも増えれば、だいぶバリエーションが増える事だろう。
「あ、そうだ!前に置いて行った調味料はどう?まだ残ってる?」
「面白い調味料ばかりで、色々と試させてもらってます。出来ればマヨネーズと醤油と砂糖をもう少し頂けると助かります。」
「はいはい。大丈夫だよ~。我が家の食卓が豊かになるなら何でもするから言ってね!」
そう言って、調味料を補充して回るユーリだった。
「そう言えば『銀の猫亭』と言う喫茶店でケーキと言うのを食べたのですが、あれは難しいのでしょうか?」
「ああ、そうだね。あれはちょっと特殊な材料を使ってるからね。あ、でもうちの料理人でも作れるケーキもあるよ。」
「ほう?それはどんなものでしょう?」
ユーリはパウンドケーキのレシピを紙に転写し、手に出す。
「パウンドケーキと言ってね。混ぜてオーブンで焼くだけのお手軽ケーキだよ。作ってみる?」
「是非やらせて下さい!!」
「僕が居ると邪魔だろうから出来たら呼んでね、部屋にいるから。」
数十分後キッチンから漂う甘い香りに家中の者が騒ぎ出すのであった。
気を良くしたユーリは伯爵邸の夕食でもこの牛丼セットを出してみる。やはり好評で。今後家でもライスを食べられる日が増えそうだ。
こうなると本格的に店が欲しいと思い始める。軽食販売では出せない料理も多い。試食の時に出しただし巻き卵等がそうである。一品料理は軽食販売には向かない。アトマス商会とは別に、もう一店舗食事処が欲しい所である。アトマスさんと相談しようと、頭の中にメモるユーリであった。
ショートケーキ販売が好調な『銀の猫亭』であるが、ルーネさんが客足が落ち着いて来たので、もう一品何か無いかと相談して来たので、『プリンアラモード』をお試しで投入してみた。こちらも評判が良い様で、ルーネさんはご機嫌だ。日替わりで提供する様にするそうだ。
そうこうしているうちにユーリは7歳を迎えていた。別段変わりは無いのだが、6歳の時だいぶやらかしたので、7歳は慎重に行こうと決心している。食文化はだいぶ広まって来たので、ここら辺で娯楽の導入も考えている。異世界と言えばやはりアレは外せないだろう。
そう言えば、国王陛下が美味しい軽食の噂を聞いて、食べてみたいと言っているらしいが、流石に食品を献上するのはどうかなと言う事で見送りになっている。何か王城の料理人でも作れる物のレシピを送って置こうとも考えたが、メニューが浮かばない。今度父上と我が家の料理人の3人で相談しよう。
そんなある日、珍しく姉のシルビーと休みが重なった。
「ねぇ、ユーリ。お母様ばかりずるくない?」
「え?何の事でしょう?」
「バッグに、ケーキに、手鏡。私も欲しいわ。」
「ああ、そう言う事ですか。」
ユーリは部屋に入って来て愚痴を言う姉上をソファに座らせた。そして、テーブルの上にプリンアラモードを出す。
「これは母上もまだ食べた事のない『プリンアラモード』と言うケーキです。食べてみて下さい。」
それを聞くと姉上は顔をパーっと輝かせる。畳み掛けるように、手鏡と可愛いポーチ型のマジックバッグを出す。
「それから、こちらは姉上に合わせてデザインしたポーチと手鏡です。もちろんポーチにはマジックバッグが付与してあります。」
「ありがとう!ユーリ!」
やはり、幼くても女性は女性なんだなとユーリは、しみじみ思った。これからは母上と差別にならないよう気を付けないと。
「あ、そうだ、これはポテトチップスと言うお菓子なんだけど、まだ、誰にも食べさせた事が無い物だよ。母上と一緒に仲良く食べて下さいね。」
そう言うと、木製の大皿に多めに乗せたポテトチップスをテーブルに出す。
「飲み物はバッグの中に姉上の好きなサイダーを入れて置くのでこれも仲良く2人でね!」
「分かった!じゃあ、貰って行くね~。」
あっという間にプリンアラモードを食べた姉上は新しいお菓子に興味津々だ、ポーチにポテチと手鏡を入れて、すぐさまユーリの部屋を飛び出し、母上の所へ向かった。ああ言う所はまだ子供なんだけどね。
それから10分後、父上が部屋を訪れた。何事かと思ったら。
「すまないが、ポテトチップスとやらと冷えたエールをくれないか?」
どうやら父上も味見をした様だ。その後メイドや料理長からもポテチの催促を受けた。
ちょっと待てよ。ポテチってこの世界の材料だけでも作れるんじゃね?そう思ったユーリは、すぐさま料理長の所へ向かい。魔法でスライサーを出す。これでポテトを薄切りにして、たっぷりの油で揚げて塩をまぶせば完成だ。
「これで完成です。簡単でしょ?」
「おお、こんなに簡単にポテトチップスが~。これで、使用人達のおやつに出来ます。ありがとうございますユーリ様。」
料理長も他の料理人も感動している。この世界ではポテトは安いので食事代わりにする事が多いらしい。しかし、いつも茹でただけのポテトでは味気なかったそうだ。前にフライドポテトも教えたし、更にポテチも増えれば、だいぶバリエーションが増える事だろう。
「あ、そうだ!前に置いて行った調味料はどう?まだ残ってる?」
「面白い調味料ばかりで、色々と試させてもらってます。出来ればマヨネーズと醤油と砂糖をもう少し頂けると助かります。」
「はいはい。大丈夫だよ~。我が家の食卓が豊かになるなら何でもするから言ってね!」
そう言って、調味料を補充して回るユーリだった。
「そう言えば『銀の猫亭』と言う喫茶店でケーキと言うのを食べたのですが、あれは難しいのでしょうか?」
「ああ、そうだね。あれはちょっと特殊な材料を使ってるからね。あ、でもうちの料理人でも作れるケーキもあるよ。」
「ほう?それはどんなものでしょう?」
ユーリはパウンドケーキのレシピを紙に転写し、手に出す。
「パウンドケーキと言ってね。混ぜてオーブンで焼くだけのお手軽ケーキだよ。作ってみる?」
「是非やらせて下さい!!」
「僕が居ると邪魔だろうから出来たら呼んでね、部屋にいるから。」
数十分後キッチンから漂う甘い香りに家中の者が騒ぎ出すのであった。
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