18 / 151
第十八話
しおりを挟む
パウンドケーキは我が家で大ヒットした。ユーリが用意した材料を混ぜてオーブンで焼くだけと言う手軽さに、他の料理人達も次々と試作したので、大量のパウンドケーキが出来上がり、使用人にまで振舞われたからだ。ユーリは更に、紅茶の葉やドライフルーツ等を混ぜたり、ジャムを付けて食べると美味しいと言う事を教えた。すると、翌日も大量のパウンドケーキが・・・流石にユーリはそんなに食べられないが、優しい甘さのお菓子は伯爵家の皆に受け入れられたのである。この世界では砂糖は貴重品である。その為貴族の間では砂糖を大量に使った物ほど高価で美味しいとされている。しかし、お菓子技術の発展していないこの国では、砂糖菓子は甘すぎてとても食べられた物では無い。貴族のお茶会では紅茶を飲み、砂糖代わりにお菓子をほんの少し口にすると言うのが作法である。母上の持って行く軽食が喜ばれたのも、この辺の事情からである。
そう言えば国王陛下も美味しい料理が食べたいって言ってたらしいな。何とかならないかな?
庶民の間ではアトマス商会の軽食は美味しい新しい食事の代名詞となり、真似をする料理店も増えて来ている。
一方で、貴族の間ではまだ、オーバルバイン伯爵家以外に新しい料理を取り入れているところは無い。何処かでパーティーでもあれば、父上にお願いして料理を提供できるのだが・・・とりあえず父上に近く派閥のパーティーが無いか聞いて置こう。
娯楽に関してだが、こちらは既に作る物は決まっている。問題は何時何処でそれを披露するかだ。予め特許を取って置くのは当然だとして、国王陛下にも献上しないといけない。貴族用と庶民用の2種類用意すると言うのはユーリの中では既に決まっている。庶民用は大銅貨1枚程度で販売したい。貴族用はあまり安いより若干高めに値付けした方が売れるとアトマスさんが言っていたので、銀貨5枚程度を考えている。
(作るのは簡単だけど、宣伝方法が難しいな・・・。発売イベントでもやるかな。)
この世界の識字率はあまり高くない。ルールを書いた紙を同封するつもりだが、庶民には難しいだろう。ルールを含め教えるイベントが必要になる。
「試作品を作って人の集まる場所に置いてみるのも手だな。『銀の猫亭』とかどうだろう?」
ケーキで人が集まっている『銀の猫亭』なら新しい物に敏感な人が多いはずだ、上手くハマってくれれば宣伝効果も高いだろう。ユーリは律義に神様と約束した文明レベルを上げるを実践している。とりあえず3つばかりリバーシを作成しアイテムボックスにしまっておく。明日にでも『銀の猫亭』に行ってみよう。その日はそのままユーリは眠りに落ちた。
翌日、朝、ケーキを取りに来たルーネさんに軽食販売が終わったら店に行くと伝えて置いた。
今日の軽食はクロワッサン3個とクラムチャウダーである。実はクラムチャウダーは一度出した事があるのだが、海から遠い王都では魚介類が珍しいらしく、また出してくれと言うリクエストが多かった商品だ。ユーリは事前に1000食分マジックバッグに用意し、開店の準備をする。マジックバッグに入った分は、ユーリが何かで手が離せない場合に提供される。残った分は従業員の食事に回したりもする。基本は注文を受けたらその場でテーブルに出すのがアトマス商会のスタイルだ。
軽食は順調に売れ続け。時折、グラスや鏡、バッグの客が訪れて、アトマスさんが対応する。大抵の客はアトマスさん一人で対応出来るので、セレンさんとカレンさんの姉妹は軽食の方の手伝いをしている。列の整理や食べ方の説明等、未だに忙しさは変わらない。また、パンだけ売ってくれと言う客も一定数居るので、計算の出来る姉妹がそれに対応している。パンは1袋3個入りで銅貨2枚で販売している。結構まとめて買っていく客が多く、中には10袋とか買う者も居る。もしかしたら飲食店関係者かもしれない。ユーリは食事を広める事に重点を置いているので転売を咎めたりはしない。
(相談してくれれば安く卸しても良いんだけどね。)
この世界では商売はギルドが仕切っている。なので、問屋は問屋、小売は小売りと明確に分かれていて、小売店から物を仕入れると言う発想が無いらしい。『銀の猫亭』のルーネさんの様な例は珍しいと言える。だが、アトマス商会は商会を名乗っていて、小売店だとは明言していない。店の商品全部、相談してくれれば安価で卸す事も可能だ。だが、あえてそれは宣伝しない。宣伝すれば殺到するのが目に見えているからだ。そう言う事で転売屋を見逃している。
また、もう少し軽食が広まったら、パンのレシピとドライイーストの販売をしようと考えていると言う事情もある。
既にユーリの家では柔らかいパンのレシピは公開されており、ドライイーストも常備されている。料理人達が育ったらレシピを書かせ販売する予定だ。もちろん、レシピは買い取る事にしている。
ユーリは食品に関しては特許を取得していない。これは食品を広く広めたいからである。他の商品はユーリにしか作れない物である。これに関しては特許を取ってある。別に取らなくても良いのだが、トラブルを避けるためにも取って置いた方が良いと周りから言われているのでそうしている。
しかし、食品に関しては、どんどん真似をして食生活を豊かにして欲しいと言うのがユーリの願いだ。その為のレシピ本や材料や調味料の販売も準備を始めている。
そして、次に発売する予定のリバーシだが、これは特別な商品だ。真似しようと思えば簡単に真似が出来る。もちろん特許は取るが、ある程度普及したら、特許を放棄しようと考えている。またOEM供給も考えている。これはある意味勝負の商品である。是非とも成功させなければならない。気合の入るユーリであった。
そう言えば国王陛下も美味しい料理が食べたいって言ってたらしいな。何とかならないかな?
庶民の間ではアトマス商会の軽食は美味しい新しい食事の代名詞となり、真似をする料理店も増えて来ている。
一方で、貴族の間ではまだ、オーバルバイン伯爵家以外に新しい料理を取り入れているところは無い。何処かでパーティーでもあれば、父上にお願いして料理を提供できるのだが・・・とりあえず父上に近く派閥のパーティーが無いか聞いて置こう。
娯楽に関してだが、こちらは既に作る物は決まっている。問題は何時何処でそれを披露するかだ。予め特許を取って置くのは当然だとして、国王陛下にも献上しないといけない。貴族用と庶民用の2種類用意すると言うのはユーリの中では既に決まっている。庶民用は大銅貨1枚程度で販売したい。貴族用はあまり安いより若干高めに値付けした方が売れるとアトマスさんが言っていたので、銀貨5枚程度を考えている。
(作るのは簡単だけど、宣伝方法が難しいな・・・。発売イベントでもやるかな。)
この世界の識字率はあまり高くない。ルールを書いた紙を同封するつもりだが、庶民には難しいだろう。ルールを含め教えるイベントが必要になる。
「試作品を作って人の集まる場所に置いてみるのも手だな。『銀の猫亭』とかどうだろう?」
ケーキで人が集まっている『銀の猫亭』なら新しい物に敏感な人が多いはずだ、上手くハマってくれれば宣伝効果も高いだろう。ユーリは律義に神様と約束した文明レベルを上げるを実践している。とりあえず3つばかりリバーシを作成しアイテムボックスにしまっておく。明日にでも『銀の猫亭』に行ってみよう。その日はそのままユーリは眠りに落ちた。
翌日、朝、ケーキを取りに来たルーネさんに軽食販売が終わったら店に行くと伝えて置いた。
今日の軽食はクロワッサン3個とクラムチャウダーである。実はクラムチャウダーは一度出した事があるのだが、海から遠い王都では魚介類が珍しいらしく、また出してくれと言うリクエストが多かった商品だ。ユーリは事前に1000食分マジックバッグに用意し、開店の準備をする。マジックバッグに入った分は、ユーリが何かで手が離せない場合に提供される。残った分は従業員の食事に回したりもする。基本は注文を受けたらその場でテーブルに出すのがアトマス商会のスタイルだ。
軽食は順調に売れ続け。時折、グラスや鏡、バッグの客が訪れて、アトマスさんが対応する。大抵の客はアトマスさん一人で対応出来るので、セレンさんとカレンさんの姉妹は軽食の方の手伝いをしている。列の整理や食べ方の説明等、未だに忙しさは変わらない。また、パンだけ売ってくれと言う客も一定数居るので、計算の出来る姉妹がそれに対応している。パンは1袋3個入りで銅貨2枚で販売している。結構まとめて買っていく客が多く、中には10袋とか買う者も居る。もしかしたら飲食店関係者かもしれない。ユーリは食事を広める事に重点を置いているので転売を咎めたりはしない。
(相談してくれれば安く卸しても良いんだけどね。)
この世界では商売はギルドが仕切っている。なので、問屋は問屋、小売は小売りと明確に分かれていて、小売店から物を仕入れると言う発想が無いらしい。『銀の猫亭』のルーネさんの様な例は珍しいと言える。だが、アトマス商会は商会を名乗っていて、小売店だとは明言していない。店の商品全部、相談してくれれば安価で卸す事も可能だ。だが、あえてそれは宣伝しない。宣伝すれば殺到するのが目に見えているからだ。そう言う事で転売屋を見逃している。
また、もう少し軽食が広まったら、パンのレシピとドライイーストの販売をしようと考えていると言う事情もある。
既にユーリの家では柔らかいパンのレシピは公開されており、ドライイーストも常備されている。料理人達が育ったらレシピを書かせ販売する予定だ。もちろん、レシピは買い取る事にしている。
ユーリは食品に関しては特許を取得していない。これは食品を広く広めたいからである。他の商品はユーリにしか作れない物である。これに関しては特許を取ってある。別に取らなくても良いのだが、トラブルを避けるためにも取って置いた方が良いと周りから言われているのでそうしている。
しかし、食品に関しては、どんどん真似をして食生活を豊かにして欲しいと言うのがユーリの願いだ。その為のレシピ本や材料や調味料の販売も準備を始めている。
そして、次に発売する予定のリバーシだが、これは特別な商品だ。真似しようと思えば簡単に真似が出来る。もちろん特許は取るが、ある程度普及したら、特許を放棄しようと考えている。またOEM供給も考えている。これはある意味勝負の商品である。是非とも成功させなければならない。気合の入るユーリであった。
12
あなたにおすすめの小説
召喚失敗から始まる異世界生活
思惟岳
ファンタジー
庭付き一戸建て住宅ごと召喚されたせいで、召喚に失敗。いったん、天界に転送されたジュンは、これからどうしたいかと神に問われた。
「なろう」さまにも、以前、投稿させていただいたお話です。
ペンネームもタイトルも違うし、かなり書き直したので、別のお話のようなものですけれど。
転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~
深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。
ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。
それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?!
(追記.2018.06.24)
物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。
もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。
(追記2018.07.02)
お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。
どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。
(追記2018.07.24)
お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。
今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。
ちなみに不審者は通り越しました。
(追記2018.07.26)
完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。
お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
みそっかす銀狐(シルバーフォックス)、家族を探す旅に出る
伽羅
ファンタジー
三つ子で生まれた銀狐の獣人シリル。一人だけ体が小さく人型に変化しても赤ん坊のままだった。
それでも親子で仲良く暮らしていた獣人の里が人間に襲撃される。
兄達を助ける為に囮になったシリルは逃げる途中で崖から川に転落して流されてしまう。
何とか一命を取り留めたシリルは家族を探す旅に出るのだった…。
『5階にトラック突撃!?ポンコツ女神の使役権と地球通販を得た医学生、辺境の村でワスプ薙刀と現代医療を駆使し最強防衛ライフを始める』
月神世一
ファンタジー
マンションの5階でカレーを作っていたら、なぜかトラックが突っ込んできた件。
外科医を目指す医学生・中村優太(24)は、特製の絶品バターチキンカレーを食べる寸前、マンションの「5階」に突撃してきた理不尽なトラックによって命を落としてしまう。
目を覚ますと、そこはコタツでカップ麺を啜るジャージ姿の駄女神・ルチアナの部屋だった。
「飲み会があるから定時で帰りたい」と適当な理由で異世界転移をさせられそうになる優太だったが、怒りのガラポン抽選でユニークスキル【地球ショッピング】と【女神ルチアナこき使い権】を引き当てる!
かくして、ポンコツ女神を強制連行して剣と魔法の世界『アナステシア』に降り立った優太。
しかし、彼にはただのチートスキルだけではない、元SEALs直伝の「CQB(近接戦闘術)」、有段者の「薙刀術」、そして何より「現代医療の知識」があった――!
降り立った辺境のポポロ村で彼を待っていたのは、クセが強すぎる住人たち。
キャルル: マッハの飛び蹴りを放つ、ファミレス大好きなウサ耳村長。
リーザ: タダ飯とポイ活に命を懸ける、図太すぎる地下アイドル人魚。
ルナ: 善意で市場や生態系を破壊する、歩く大災害の天然エルフ。
ルチアナ: 優太のポイントでソシャゲ課金と酒を目論む、労働拒否の駄女神。
優太は【地球ショッピング】で召喚した現代物資と、自身のサバイバル能力&薙刀術で野盗や魔物を無双! さらには特製のスパイスカレーで異世界人の胃袋を完全に掌握していく。
そして、村人に危機が迫った時。
優太の「絶対に命を救う」という善意の心が、奇跡の黄金ガチャを引き起こす……!
「俺は医者だ。この村の命も、平和な日常も、俺の戦術(スキル)で全部守り抜く!」
現代の【医療・戦術・料理】×【理不尽ギャグ】×【異世界サバイバル】!
凶悪な「ワスプ薙刀」を振るい、ヤバすぎる仲間たちと送る、最強医学生のドタバタ辺境防衛ライフが今始まる!
レンタル従魔始めました!
よっしぃ
ファンタジー
「従魔のレンタルはじめました!」
僕の名前はロキュス・エルメリンス。10歳の時に教会で祝福を受け、【テイム】と言うスキルを得ました。
そのまま【テイマー】と言うジョブに。
最初の内はテイムできる魔物・魔獣は1体のみ。
それも比較的無害と言われる小さなスライム(大きなスライムは凶悪過ぎてSランク指定)ぐらいしかテイムできず、レベルの低いうちは、役立たずランキングで常に一桁の常連のジョブです。
そんな僕がどうやって従魔のレンタルを始めたか、ですか?
そのうち分かりますよ、そのうち・・・・
異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~
存在証明
ファンタジー
不慮の事故によって異世界に転生したカイ。異世界でも家族に疎まれる日々を送るがある日赤い瞳の少年と出会ったことによって世界が一変する。突然街を襲ったスタンピードから2人で隣国まで逃れ、そこで冒険者となったカイ達は仲間を探して冒険者ライフ!のはずが…?!
はたしてカイは運命をぶち壊して幸せを掴むことができるのか?!
火・金・日、投稿予定
投稿先『小説家になろう様』『アルファポリス様』
幼女無双~魔王の子供に転生した少女は人間界で無双する~
ninjin
ファンタジー
絶大なる魔力を魔王から引き継いで、魔王の子供として転生した女子高生は、悪魔が怖くて悪魔との契約に失敗してしまう。
悪魔との契約とは特殊な能力を手に入れる大事な儀式である。その悪魔との契約に失敗した主人公のルシスは、天使様にみそめられて7大天使様と契約することになる。
しかし、魔王の子供が天使と契約すると大きな代償を支払うことになる。それは、3年間魔力を失うのである。魔力を失ったルシスは、魔王候補から外されて、魔王城の地下書庫に幽閉されることになる。
魔王書庫に幽閉されたルシスは、7大天使様の協力を得て壮絶な特訓を受けることとなる。3年間の辛い特訓に耐えたルシスは強大な力を身につけることができた。だが、絶大な魔力を取り戻す8歳の誕生日を迎える前日に、ルシスは魔界から追放されてしまうのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる