創造魔法で想像以上に騒々しい異世界ライフ

埼玉ポテチ

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第十九話

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 ユーリが軽食販売を終えて『銀の猫亭』に着いたのはちょうど昼食時が終わった時刻で店は割と空いていた。

 ユーリはカウンターに座って、紅茶を注文する。店で賄いの軽食を食べたのでお腹は減っていないが、興味があったのでハチミツを使った焼き菓子を追加で注文してみる。

(なるほど、スコーンにハチミツを掛けたものって感じだな。不味くは無いが、ちょっと重いかな。コーヒーなら合うかも。)

 そう言えばこの世界に来てコーヒーは見た事が無い。ちょうどルーネさんが給仕から戻って来たので聞いてみる。

「ルーネさん、この店ではコーヒーは扱わないんですか?」

「ああ、コーヒーは高くてね。貴族様専用って感じかな。」

「そうなんですか?出す気があるなら、うちで安く卸しますよ。」

「う~ん、うちの客じゃコーヒーの味なんて分からないんじゃないかな?それよりもユーリ君の作る軽食のレシピの方が気になるかな。」

「あれはその内まとめて出版する予定なので楽しみにしてて下さい。」

 そんな世間話をしながら、ユーリはアイテムボックスからリバーシを取り出す。カウンターの上に乗せると、ルーネさんが興味津々と言った目でリバーシに釘付けだ。

「で、これが今日の用事?」

「そう。リバーシと言う遊具なんだけど、この店の客に使ってみた感想を聞いて貰いたいんだ。」

「遊具?」

「うん。今から遊び方を教えるから覚えてね。すごく簡単だから。」

 ルーネさんにルールを教え、あと2つリバーシを出すと、2人の会話を後ろからじっと見ていた何人かが『おお!』と声を上げたので早速渡して遊んで貰う事にした。

「じゃあ、後は任せますね!明日か明後日、仕入れに来た時にでも感想を教えて下さい!」

 そう言ってユーリは店を出る。この後は特に用事も無いので、街をぶらついて見て回る事にした。

 王都に7年住んでいるが、一人でぶらつくのは初めてかもしれない。今のユーリは商会の店員と言った格好なので貴族に見られる事は無い。あちこちの店を冷かしながら王都散策を楽しむのであった。

 王都アリティアは比較的治安の良い都市だが犯罪が全く無い訳ではない。特に貴族の子供の誘拐事件は未遂も含めて年に5~6件は必ず起こる。

「そう言えば、うちの店員って女性ばかりだな。それに商品も高額な物が多いし、用心の為に店に護衛を雇う事も考えないとな。」

 実を言うと店にショーウインドウを設置してから何度か泥棒に狙われた事がある。店やショーウインドウにはユーリがプロテクトの魔法を掛けてあるので、窃盗に成功した者は居ないが、アトマス商会も有名になるに従い、物騒な輩に狙われる事が増えるだろう。

「これはアトマスさんに相談しないといけないな。」









 翌日、そんな話をアトマスさんにすると、アトマスさんも同じ事を考えていた事を知る。

「では早速護衛を雇いましょう。護衛と言うと冒険者ギルドですか?」

「いや、冒険者ギルドでは短期間の護衛は依頼出来ますが、長期間働いて貰うなら、商業ギルドの斡旋か、奴隷になりますね。」

「え?奴隷ですか?」

「そうです。この国では奴隷はキッチリと法で保護されています。大抵の奴隷が借金奴隷で、借金分働けば自分で自分を買い戻す事が出来ます。ですので、主人の命令に逆らう様な奴隷は滅多に居ません。借金で奴隷落ちした冒険者が狙い目ですね。ただ、借金の理由はしっかり確認して下さい。ギャンブルで身を崩した者は論外です。」

 この国の税金は決して高くは無い、だが、貧しい者は少なからず居る。また、冒険者が依頼に失敗して違約金を払えず奴隷落ちする事は珍しくない。なので、一定数の奴隷が存在する。ラノベ等で出て来る『性奴隷』と言うのは存在しない。男女比も男性の方が多いのが実情だ。女性は売春婦と言う逃げ道があるからだ。

「商業ギルドの斡旋する護衛ってのは駄目なんですか?」

「駄目ではありませんが、給料が非常に高くなります。それに実践慣れしていない者も多いので、冒険者の奴隷の方が使えると言うのが商売人の間では常識となっています。」

「なるほど、勉強になります。では、奴隷を2人買いましょう。相場はどの位ですか?」

「そうですね、そこそこの腕がある若い奴隷となると金貨15枚位が相場ですね。」

「多分、僕の年齢では奴隷商には入れないでしょうから、アトマスさんに任せます。」

 そう言って、ユーリは金貨40枚を取り出し、アトマスに手渡すのであった。

「これでお願いします。」

「解りました。これから行って2人確保してきます。」








 こうして、アトマス商会に新たに2名の護衛と言う名の従業員が増えるのであった。ただ、この商会の寮は女性ばかりなので、2階には上がらない事を約束させ、1階部分に新たに護衛部屋と言うのを魔法で作ったユーリであった。

 護衛達はユーリの出す食事を食べて、こんなに美味い物が食えるなら商会の為に命を掛けますと大仰な事を言っていた。

 アトマスさんはキッチリ金貨30枚で購入して来ましたと、金貨10枚をユーリに手渡すと、これで、だいぶ商会らしくなったと商会のメンバーを全員眺めながらうんうんと頷いている。


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