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第五十七話
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10分程ユーリは色々見て回った。その間にユーカとイルミは自分が欲しいアクセサリーを選んでいる。
安い物は金貨5枚から高い物は白金貨10枚上する物まである様だ。デザインは割とシンプルな物が多い。多分彫金の技術があまり発達していないのであろう。高い物も安い物も技術的な差はあまりない、差があるとすれば使用している金属と宝石だろう。粒の大きい宝石は高いと言う当たり前な値段の付け方だ。この世界にはデザインにお金を払うと言う感覚が無いのかもしれない。
ユーカは指輪、イルミはネックレスのコーナーで色々と悩んでいる。ユーリからすればそれ程悩むような品揃えでは無い様に思うのだが。
「どう?気に入ったのあった?」
まずはユーカに声を掛けてみる。
「このシンプルなデザインが素敵なんですが、色で迷ってしまって。金色は私にはまだ早いかなとか、でもシルバーは手入れが大変だし。」
「じゃあプラチナにすれば?」
「プラチナですか?高すぎません?」
「値段は気にするなって言っただろう。」
次にイルミの方へ向かう。
「どう?イルミの目に適うネックレスはあった?」
「正直デザインはどれも似たり寄ったりね。問題は石かな。魔石も捨てがたいけど、このブルーの石も綺麗かなって。」
「で、結論は出てるんだろう?」
「バレたか。ブルーの石ね。」
「じゃあ、店員さん。このブルーの石のネックレスと、プラチナの指輪下さい。」
「「え?!」」
「ネックレスが金貨12枚。指輪が金貨9枚になります。併せて金貨21枚になります。」
「はい、金貨21枚。着けて帰るから、そういう風に準備して。」
「畏まりました。お代は確かに。」
店を出るとユーカとイルミは揃って大きな深呼吸をした。
「緊張した~。って言うか買っちゃって良かったの?」
「私も吃驚しました。」
「新商品のサンプルだからね。必要経費って奴?」
「でも、売れるかどうかはまだ解らないんでしょ?」
ユーリが見る限り、この世界のアクセサリーはデザイン性に問題がある。現代日本からすれば100年は遅れているだろう。最初は学院で安く販売するつもりだが売れなければ商会でそれなりの金額で販売すればかなり儲けは出ると踏んでいる。
「売り方は1つじゃないさ。あ、そのアクセサリーは今日付き合ってくれたお礼にあげるけど。学院では値段は言わないようにね。」
「え?くれるの?」
「こんな高い物貰えませんよ。」
「僕が持っていてもしょうがないしねぇ。じゃあ捨てる?」
「それは・・・頂きます。」
「アクセサリーなんて着けなきゃ意味ないしね。」
これで、この世界のアクセサリー事情は分かったので新商品開発に乗り出せる。ユーリにはそちらの方が重要だった。
「じゃあ、2人とも家まで送るよ。僕も商会に顔を出すから方向同じだし。」
ユーカもイルミもアクセサリーを着けた部分を手で隠すように歩いている。
「折角買ったのに何で隠すの?」
「いや、高価過ぎて落としたらどうしようって。」
「私もです。」
「2人共挙動不審だから。もっと堂々と見せつける様に歩かなきゃ。」
「ハードル高いです。」
ユーカとイルミを家に送ってからアトマス商会に寄って用事を済ませ。家へと帰る。久しぶりの新製品開発だ。早速部屋に籠る。
作るのはネックレスと指輪だ。まずは『賢者の叡智』でこの世界の貴金属に使われる金属を調べる。銀、金、プラチナ、ミスリルの4種が使われている様だ。ミスリルと言うのは『魔法銀』とも呼ばれ魔力を宿した銀で、若干青みがかった銀色をしているそうだ。魔力を宿しているので腐食しないと言う特徴があるらしい。ユーリが売るアクセサリーは銅貨5枚と言う価格なので4つ共高価過ぎて使えない。
そこでユーリが選択したのはステンレスだ。これなら安価で腐食しずらい。色はシルバー、ゴールド、ピンクゴールド、薄いスカイブルーの4色にした。ステンレスは鉄にクロム、ニッケルなどを加えて作った合金でこの世界では存在しない。また、表面を酸化させる度合いで色を作りやすいと言う利点もある。色の調整や合金の混ぜ具合は『賢者の叡智』で最適な物を選んでいる。
次にネックレスのデザインに入る。チェーンは『喜平』と言うデザインを使用する。この世界のチェーンは単純に円を繋いだものばかりだったので現代日本で定番の喜平を選択した。長さは50センチと55センチの2種類を用意する。
トップに関してはハート、星形、鳥の羽、ひし形にガラス玉と言う4種を作ってみた。アクセサリーショップでは宝石がメインでデザインだけのネックレスは無かったので3種類取り入れてみた。値段的に宝石は使えないので透明なガラスをダイヤモンドの様にカットしてひし形に組み込んだ物も用意してみる。
色が4種類でデザインが4種類、16種類のネックレスが出来上がった。サイズも合わせれば32種だ。
次に指輪の作成に入る。こちらも素材はステンレスだ。若い内はなるべくシンプルな方が似合うと言っていたので、シンプルなストレートと若干ひねりを加えたウェーブの2種を作成する。色が4種類あるのでこちらは8種類だ。サイズに関しては着ければ勝手にフィットする様に魔法を掛けて置いた。
全てを100個ずつ用意してアイテムボックスに仕舞った。
安い物は金貨5枚から高い物は白金貨10枚上する物まである様だ。デザインは割とシンプルな物が多い。多分彫金の技術があまり発達していないのであろう。高い物も安い物も技術的な差はあまりない、差があるとすれば使用している金属と宝石だろう。粒の大きい宝石は高いと言う当たり前な値段の付け方だ。この世界にはデザインにお金を払うと言う感覚が無いのかもしれない。
ユーカは指輪、イルミはネックレスのコーナーで色々と悩んでいる。ユーリからすればそれ程悩むような品揃えでは無い様に思うのだが。
「どう?気に入ったのあった?」
まずはユーカに声を掛けてみる。
「このシンプルなデザインが素敵なんですが、色で迷ってしまって。金色は私にはまだ早いかなとか、でもシルバーは手入れが大変だし。」
「じゃあプラチナにすれば?」
「プラチナですか?高すぎません?」
「値段は気にするなって言っただろう。」
次にイルミの方へ向かう。
「どう?イルミの目に適うネックレスはあった?」
「正直デザインはどれも似たり寄ったりね。問題は石かな。魔石も捨てがたいけど、このブルーの石も綺麗かなって。」
「で、結論は出てるんだろう?」
「バレたか。ブルーの石ね。」
「じゃあ、店員さん。このブルーの石のネックレスと、プラチナの指輪下さい。」
「「え?!」」
「ネックレスが金貨12枚。指輪が金貨9枚になります。併せて金貨21枚になります。」
「はい、金貨21枚。着けて帰るから、そういう風に準備して。」
「畏まりました。お代は確かに。」
店を出るとユーカとイルミは揃って大きな深呼吸をした。
「緊張した~。って言うか買っちゃって良かったの?」
「私も吃驚しました。」
「新商品のサンプルだからね。必要経費って奴?」
「でも、売れるかどうかはまだ解らないんでしょ?」
ユーリが見る限り、この世界のアクセサリーはデザイン性に問題がある。現代日本からすれば100年は遅れているだろう。最初は学院で安く販売するつもりだが売れなければ商会でそれなりの金額で販売すればかなり儲けは出ると踏んでいる。
「売り方は1つじゃないさ。あ、そのアクセサリーは今日付き合ってくれたお礼にあげるけど。学院では値段は言わないようにね。」
「え?くれるの?」
「こんな高い物貰えませんよ。」
「僕が持っていてもしょうがないしねぇ。じゃあ捨てる?」
「それは・・・頂きます。」
「アクセサリーなんて着けなきゃ意味ないしね。」
これで、この世界のアクセサリー事情は分かったので新商品開発に乗り出せる。ユーリにはそちらの方が重要だった。
「じゃあ、2人とも家まで送るよ。僕も商会に顔を出すから方向同じだし。」
ユーカもイルミもアクセサリーを着けた部分を手で隠すように歩いている。
「折角買ったのに何で隠すの?」
「いや、高価過ぎて落としたらどうしようって。」
「私もです。」
「2人共挙動不審だから。もっと堂々と見せつける様に歩かなきゃ。」
「ハードル高いです。」
ユーカとイルミを家に送ってからアトマス商会に寄って用事を済ませ。家へと帰る。久しぶりの新製品開発だ。早速部屋に籠る。
作るのはネックレスと指輪だ。まずは『賢者の叡智』でこの世界の貴金属に使われる金属を調べる。銀、金、プラチナ、ミスリルの4種が使われている様だ。ミスリルと言うのは『魔法銀』とも呼ばれ魔力を宿した銀で、若干青みがかった銀色をしているそうだ。魔力を宿しているので腐食しないと言う特徴があるらしい。ユーリが売るアクセサリーは銅貨5枚と言う価格なので4つ共高価過ぎて使えない。
そこでユーリが選択したのはステンレスだ。これなら安価で腐食しずらい。色はシルバー、ゴールド、ピンクゴールド、薄いスカイブルーの4色にした。ステンレスは鉄にクロム、ニッケルなどを加えて作った合金でこの世界では存在しない。また、表面を酸化させる度合いで色を作りやすいと言う利点もある。色の調整や合金の混ぜ具合は『賢者の叡智』で最適な物を選んでいる。
次にネックレスのデザインに入る。チェーンは『喜平』と言うデザインを使用する。この世界のチェーンは単純に円を繋いだものばかりだったので現代日本で定番の喜平を選択した。長さは50センチと55センチの2種類を用意する。
トップに関してはハート、星形、鳥の羽、ひし形にガラス玉と言う4種を作ってみた。アクセサリーショップでは宝石がメインでデザインだけのネックレスは無かったので3種類取り入れてみた。値段的に宝石は使えないので透明なガラスをダイヤモンドの様にカットしてひし形に組み込んだ物も用意してみる。
色が4種類でデザインが4種類、16種類のネックレスが出来上がった。サイズも合わせれば32種だ。
次に指輪の作成に入る。こちらも素材はステンレスだ。若い内はなるべくシンプルな方が似合うと言っていたので、シンプルなストレートと若干ひねりを加えたウェーブの2種を作成する。色が4種類あるのでこちらは8種類だ。サイズに関しては着ければ勝手にフィットする様に魔法を掛けて置いた。
全てを100個ずつ用意してアイテムボックスに仕舞った。
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