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第五十九話
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クレームと言うよりは言いがかりだった。ユーリたちの販売しているアクセサリーが自分の商会のコピー商品だと言うのだ。すぐに販売を停止し在庫は全て没収すると言って来た。明かにユーリたちのアクセサリーが欲しいだけである。同行した商業ギルドの担当者も呆れ顔だ。
「うちの商品が贋作だと言うなら真作を見せて下さい。それが無ければそもそもこの話は成り立ちませんよ。」
「真作ならここにある。さあギルドの職員さん。良く見比べてくれたまえ。」
そう言って商会長が出したのはユーリの店舗で販売した物だ。まったく同じ商品を2つ持って商業ギルドの職員は困っていた。
「質問なのですが、真作の素材は何ですか?」
「見れば解るだろうゴールドだ。」
「なるほど、ちなみにうちの製品は鉄に特殊な加工をしています。ギルドでは鑑定出来る人が居ますよね?」
「もちろん。商業ギルドは鑑定員無しではやっていけないからな。」
「じゃあ、2つのネックレスを鑑定して貰いましょう。」
ユーリは商会長とギルド職員と共に商業ギルドへと向かった。
ギルドに着くとすぐに鑑定が出来る職員が呼ばれる。
「この2つのネックレスを鑑定して欲しい。」
鑑定員はすぐさま2つのネックレスを持って鑑定に入る。
「この2つのネックレスは全く同じ物ですね。」
すると商会長はニヤリと笑みを浮かべて。
「ほら見ろ、うちの商品を真似した贋作に違いない。」
「ちなみに素材はなんですか?」
ユーリは茶番に付き合うのも楽では無いと言った顔で鑑定員に聞く。
「鉄と何かの合金ですね。」
「ゴールドでは無いと言う事ですね?」
「はい、ゴールドではありません。」
「おかしいですねぇ。真作はゴールドだと商会長は言ってましたが?」
「いや、それは、私の勘違いだ。」
「ほう?ではあなたの商会ではこのネックレスを幾らで販売しているんですか?」
ギルド職員がの目が一瞬鋭く光った。見た目はゴールドだが実際は鉄。適正価格は高くても大銅貨1枚と言った所だろう。
「これだけのネックレスだ、うちでは金貨20枚と言った所だな。」
言ってしまった。
「商会長、鉄のネックレスを金貨20枚ですか?それは明らかに商業ギルドの規定を違反しています。」
ギルド職員が鋭く言い放つ。更に続けて。
「もし、それが事実であれば、あなたの商会の王都での販売権は剥奪。また、詐欺罪で告発させて頂かなければならなくなりますが?」
「いや、それは、その・・・」
「鑑定員さん、そのネックレスの作者を鑑定して貰えますか?」
「作者ですか?」
「はい、僕が作った物には作者を魔法で刻印してあります。」
鑑定員が再び鑑定をすると。
「この2つのネックレスは両方とも『ユーリ』と言う一人の作者によって作成されています。」
「と言う事です。ちなみに、僕がそのユーリです。鑑定も出来るので事前に結果は解っていました。」
そう告げると3人が驚いた顔をしていた。子供が鑑定と言う希少魔法を使えるとは思ってもみなかったらしい。
「で、この言いがかり商会長は衛兵に突き出して置いて下さい。ちなみに僕はこのネックレスを銅貨5枚で販売しています。問題無いですよね?」
「はい、問題ありません。この度は失礼の数々申し訳ありません。これからも商業ギルドをよろしくお願いします。」
ギルド職員が丁寧に謝ってこの件は終わりになった。
この一件以来店舗に変なちょっかいを掛けて来る客は居なくなった。ただし、相変わらず転売屋は横行している様だ。
その後ユーリは新作の本を3冊書いたり、下着の新デザインやコロンの香りを増やしたり、アクセサリーのデザインを増やしたりと、忙しい日々を送っていた。
そう、ユーカの様子がおかしい事に全く気付かなかったのである。ある日、イルミに言われて初めてその事を知った。
「ユーカの様子がおかしいって、どんな風に?」
「なんと言うか、無理をしている感じかな。努めて明るく振舞ってるんだけど、時々見せる表情が暗くてね。一人で居る時なんかはため息ばかりついているわよ。」
「ふむ、何があったんだろう?イルミにも話さないんだろ?」
「そうね、学院では私が一番仲が良いはず。その私に話せない事って言ったら・・・」
「言ったら?」
「男かな?」
「男?」
ユーカに男?まさか、いや、年齢的にこの世界の子は早熟だ。14,5歳で婚約する者も少なくはない。本人に直接聞いてみるか。
比較的忙しくない日の放課後にユーカを誘ってみた。ユーカは商品の話?と聞いてきたが、ちょっと市場調査でと言い訳し、喫茶店に入った。隅っこの密談に向いている席が空いていたのでそこに座る。ユーカには紅茶を自分にはコーヒーを頼む。貴族学院が近いのでコーヒーが置いてあるらしい。
「イルミがね。ユーカの事を心配しててね。なんだかここの所元気が無いって教えてくれたんだよ。」
「そう、イルミが。気が付いていたんだ。」
「何があったの?僕には言えない事かな?」
「そう言う訳じゃないんだけど。私たちもうすぐ14歳になるでしょ?」
「そうだね、もうそう言う時期だね。」
「父がね。14歳になったら婚約者を決めて、15歳で嫁ぎなさいって。」
やはりそう言う話か、なんとなく察しがついていたユーリは合点がいった。
「14歳で婚約者が決まらなかったら?」
「その時は父が選んだ男性と結婚する事になるわ。」
「で、ユーカはどうしたいんだい?」
「うちの商品が贋作だと言うなら真作を見せて下さい。それが無ければそもそもこの話は成り立ちませんよ。」
「真作ならここにある。さあギルドの職員さん。良く見比べてくれたまえ。」
そう言って商会長が出したのはユーリの店舗で販売した物だ。まったく同じ商品を2つ持って商業ギルドの職員は困っていた。
「質問なのですが、真作の素材は何ですか?」
「見れば解るだろうゴールドだ。」
「なるほど、ちなみにうちの製品は鉄に特殊な加工をしています。ギルドでは鑑定出来る人が居ますよね?」
「もちろん。商業ギルドは鑑定員無しではやっていけないからな。」
「じゃあ、2つのネックレスを鑑定して貰いましょう。」
ユーリは商会長とギルド職員と共に商業ギルドへと向かった。
ギルドに着くとすぐに鑑定が出来る職員が呼ばれる。
「この2つのネックレスを鑑定して欲しい。」
鑑定員はすぐさま2つのネックレスを持って鑑定に入る。
「この2つのネックレスは全く同じ物ですね。」
すると商会長はニヤリと笑みを浮かべて。
「ほら見ろ、うちの商品を真似した贋作に違いない。」
「ちなみに素材はなんですか?」
ユーリは茶番に付き合うのも楽では無いと言った顔で鑑定員に聞く。
「鉄と何かの合金ですね。」
「ゴールドでは無いと言う事ですね?」
「はい、ゴールドではありません。」
「おかしいですねぇ。真作はゴールドだと商会長は言ってましたが?」
「いや、それは、私の勘違いだ。」
「ほう?ではあなたの商会ではこのネックレスを幾らで販売しているんですか?」
ギルド職員がの目が一瞬鋭く光った。見た目はゴールドだが実際は鉄。適正価格は高くても大銅貨1枚と言った所だろう。
「これだけのネックレスだ、うちでは金貨20枚と言った所だな。」
言ってしまった。
「商会長、鉄のネックレスを金貨20枚ですか?それは明らかに商業ギルドの規定を違反しています。」
ギルド職員が鋭く言い放つ。更に続けて。
「もし、それが事実であれば、あなたの商会の王都での販売権は剥奪。また、詐欺罪で告発させて頂かなければならなくなりますが?」
「いや、それは、その・・・」
「鑑定員さん、そのネックレスの作者を鑑定して貰えますか?」
「作者ですか?」
「はい、僕が作った物には作者を魔法で刻印してあります。」
鑑定員が再び鑑定をすると。
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「と言う事です。ちなみに、僕がそのユーリです。鑑定も出来るので事前に結果は解っていました。」
そう告げると3人が驚いた顔をしていた。子供が鑑定と言う希少魔法を使えるとは思ってもみなかったらしい。
「で、この言いがかり商会長は衛兵に突き出して置いて下さい。ちなみに僕はこのネックレスを銅貨5枚で販売しています。問題無いですよね?」
「はい、問題ありません。この度は失礼の数々申し訳ありません。これからも商業ギルドをよろしくお願いします。」
ギルド職員が丁寧に謝ってこの件は終わりになった。
この一件以来店舗に変なちょっかいを掛けて来る客は居なくなった。ただし、相変わらず転売屋は横行している様だ。
その後ユーリは新作の本を3冊書いたり、下着の新デザインやコロンの香りを増やしたり、アクセサリーのデザインを増やしたりと、忙しい日々を送っていた。
そう、ユーカの様子がおかしい事に全く気付かなかったのである。ある日、イルミに言われて初めてその事を知った。
「ユーカの様子がおかしいって、どんな風に?」
「なんと言うか、無理をしている感じかな。努めて明るく振舞ってるんだけど、時々見せる表情が暗くてね。一人で居る時なんかはため息ばかりついているわよ。」
「ふむ、何があったんだろう?イルミにも話さないんだろ?」
「そうね、学院では私が一番仲が良いはず。その私に話せない事って言ったら・・・」
「言ったら?」
「男かな?」
「男?」
ユーカに男?まさか、いや、年齢的にこの世界の子は早熟だ。14,5歳で婚約する者も少なくはない。本人に直接聞いてみるか。
比較的忙しくない日の放課後にユーカを誘ってみた。ユーカは商品の話?と聞いてきたが、ちょっと市場調査でと言い訳し、喫茶店に入った。隅っこの密談に向いている席が空いていたのでそこに座る。ユーカには紅茶を自分にはコーヒーを頼む。貴族学院が近いのでコーヒーが置いてあるらしい。
「イルミがね。ユーカの事を心配しててね。なんだかここの所元気が無いって教えてくれたんだよ。」
「そう、イルミが。気が付いていたんだ。」
「何があったの?僕には言えない事かな?」
「そう言う訳じゃないんだけど。私たちもうすぐ14歳になるでしょ?」
「そうだね、もうそう言う時期だね。」
「父がね。14歳になったら婚約者を決めて、15歳で嫁ぎなさいって。」
やはりそう言う話か、なんとなく察しがついていたユーリは合点がいった。
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