68 / 151
第六十八話
しおりを挟む
学院に休みを貰い、グラストフへ来ている。馬車で1日の距離なのでそう遠い感じはしないのだが道が悪い。ユーリの魔改造馬車でも結構揺れる。普通の馬車なら尻が痛くて途中で引き返していたかもしれない。
道路の整備は優先課題だな。それに思ったより王都の周りが開けてないな。この辺はフラム侯爵の領地だったはずだが、侯爵は土地開発に興味が無いのだろうか?馬車で1日と言う事は野営が必要になる。町や村があれば泊めて貰おうと思って居たのだが、どうやらそう言った物は無さそうだ。多分南側にあるんだろうな。朝10時に出てもうすぐ18時。御者に野営をする事を伝える。
「護衛も居ませんが野営なんてして大丈夫ですか?」
「大丈夫。ここらの魔物はそう強く無いから。それに魔法で障壁を張るからね。」
まず、馬車を中心に半径4メートル程度の魔法障壁を張る。それから夕食の準備をする。準備と言っても火は使わない。アイテムボックスから出来上がった料理を出して行く。簡単な物で悪いけどと言ってパンと煮込み、サラダなどを出す。
「いや、野営でこれはご馳走ですよ。」
「そう?遠慮なく食べてね。」
このままのペースで行けば明日のお昼にはグラストフの町に着くだろう。
グラストフに着いたユーリはあまりの活気の無さに驚いた。一応宿場町なので宿屋はそれなりに繁盛している。だが、それ以外の商会や商店は寂れる一方であった。これを立て直すのは結構手間がかかるな。
とりあえず、手近な宿屋に入ってみる。
「いらっしゃい!泊りかい?それともご飯?」
「1泊頼むよ。食事付きで。」
御者にはお金を渡して他の宿に泊まる様に指示してある。ユーリは冒険者で通す事にした。年齢的に商人は無理があるだろう。
「食事つきだと銀貨1枚と大銅貨2枚になるけどいいかい?」
「構わないよ。」
そう言ってユーリはポケットを探るふりをしながらアイテムボックスからお金を出す。
「鍵はこれね。部屋は2階に上がって左の部屋202号室だ。食事は朝と夕の2回夕飯は17時から20時まで。朝食は7時から10時までに食べとくれ。」
「解った。体を拭くお湯とか無いのかな?」
「お湯は銅貨3枚だよ。使うかい?」
「頼むよ。ほら銅貨3枚。」
「じゃあ、湯が湧いたら持って行くから先に部屋で待ってな。」
そう言うとおばちゃんは奥へ入って行った。ユーリは階段を上がり202号室へ入る。値段の割には綺麗な部屋だ。でも一応クリーンを掛けて置く。平民の普段着に着替えて待っているとノックの音が聞こえた。
タライにお湯が入っている。
「ありがとう。ところで昼飯を食べたいんだがお勧めの店ってある?」
「町の中央へ行くと屋台が沢山出てるよ。その辺の下手な店で食べるより安くて美味いよ。」
「なるほど、それは良い情報ありがとう!」
ユーリはクリーンで体も綺麗にしたのでお湯を使う必要は無かった。では何故お湯を注文したか、それは湯を使う習慣がある事の確認と値段が知りたかったからだ。シャンプーや石鹸を売るのであればこの情報は必須だ。
宿屋のおばちゃんに言われた通りに町の中央へと歩いて行く。近づくにつれ良い匂いがしてくる。
この匂い?ベンマック商会に売ったハーブソルトでは?旅商人を通じてこんな所まで来ていたのか。
屋台は串焼き屋が多い。とりあえず1本買って食べてみる。塩味だったが、炭火で焼いてあるのでそれなりに美味しい。他にも煮込みなどもあったので食べてみた。ちょっと癖のある味だが不味くはない。王都の人間と同じだ。味覚はちゃんとしているが、調味料が無いのだ。それならばやりようは幾らでもある。
食はまだ良い。他の産業がほぼ機能していない。必要な物があれば旅商人から買えばよい。そう言う事で地場産業が育たない。この町ならではの名物、名産を何か考えないと行けないな。
中央広場でぐるっと360度町を見回してみた。背の高い建物は宿屋の2階建てが最大だ。おかげで結構遠くまで見渡せる。北を見ると山が見える。結構近くに感じる。あれが開拓に失敗した北の森か。この町の規模を考えると北の森の開拓はいずれ必要になるだろう。
近くにある屋台のおじさんからお菓子の様な物を買い、この町に公衆浴場は無いか聞いてみた。
「昔はあったらしいが、今は無いな。俺もここへ来て1年くらいしか経ってないから詳しい話は知らないけど、火事で燃えたって聞いたよ。」
ほう?昔は公衆浴場があったのか、だとすると風呂に入る習慣も全く無い訳では無さそうだ。
次に商業ギルドへ向かった。グラストフは小さな町なので冒険者ギルドは無い、しかし、商業ギルドは小さな町でも出張所と言う形で存在する。
ギルドの出張所に入ると旅商人が多いせいか結構賑わっている。ざっと見まわしてみるが通常業務の窓口は何処も空いている。どうやらこの町では商業は壊滅的なのかもしれない。この土地でアトマスさんの様な有能な人材が見つかるのだろうか?やはり王都で人材を探した方が現実的なのかもしれない。王都に戻ったらアトマスさんにでも相談してみるか。
だいたい調査は終わったが、思ったより悪い状態ではない。ユーリの頭の中では都市改造計画のプランがだいたい出来上がっている。上手くいけば1年かからずに人口を倍増出来るであろう。
結果に満足して宿屋に帰る。夕食の時間だと言うので食堂で頂く。やはり何を食べても塩の味がする。半分ほど食べて席を立ち自分の部屋に帰ってラーメンをすするユーリであった。
道路の整備は優先課題だな。それに思ったより王都の周りが開けてないな。この辺はフラム侯爵の領地だったはずだが、侯爵は土地開発に興味が無いのだろうか?馬車で1日と言う事は野営が必要になる。町や村があれば泊めて貰おうと思って居たのだが、どうやらそう言った物は無さそうだ。多分南側にあるんだろうな。朝10時に出てもうすぐ18時。御者に野営をする事を伝える。
「護衛も居ませんが野営なんてして大丈夫ですか?」
「大丈夫。ここらの魔物はそう強く無いから。それに魔法で障壁を張るからね。」
まず、馬車を中心に半径4メートル程度の魔法障壁を張る。それから夕食の準備をする。準備と言っても火は使わない。アイテムボックスから出来上がった料理を出して行く。簡単な物で悪いけどと言ってパンと煮込み、サラダなどを出す。
「いや、野営でこれはご馳走ですよ。」
「そう?遠慮なく食べてね。」
このままのペースで行けば明日のお昼にはグラストフの町に着くだろう。
グラストフに着いたユーリはあまりの活気の無さに驚いた。一応宿場町なので宿屋はそれなりに繁盛している。だが、それ以外の商会や商店は寂れる一方であった。これを立て直すのは結構手間がかかるな。
とりあえず、手近な宿屋に入ってみる。
「いらっしゃい!泊りかい?それともご飯?」
「1泊頼むよ。食事付きで。」
御者にはお金を渡して他の宿に泊まる様に指示してある。ユーリは冒険者で通す事にした。年齢的に商人は無理があるだろう。
「食事つきだと銀貨1枚と大銅貨2枚になるけどいいかい?」
「構わないよ。」
そう言ってユーリはポケットを探るふりをしながらアイテムボックスからお金を出す。
「鍵はこれね。部屋は2階に上がって左の部屋202号室だ。食事は朝と夕の2回夕飯は17時から20時まで。朝食は7時から10時までに食べとくれ。」
「解った。体を拭くお湯とか無いのかな?」
「お湯は銅貨3枚だよ。使うかい?」
「頼むよ。ほら銅貨3枚。」
「じゃあ、湯が湧いたら持って行くから先に部屋で待ってな。」
そう言うとおばちゃんは奥へ入って行った。ユーリは階段を上がり202号室へ入る。値段の割には綺麗な部屋だ。でも一応クリーンを掛けて置く。平民の普段着に着替えて待っているとノックの音が聞こえた。
タライにお湯が入っている。
「ありがとう。ところで昼飯を食べたいんだがお勧めの店ってある?」
「町の中央へ行くと屋台が沢山出てるよ。その辺の下手な店で食べるより安くて美味いよ。」
「なるほど、それは良い情報ありがとう!」
ユーリはクリーンで体も綺麗にしたのでお湯を使う必要は無かった。では何故お湯を注文したか、それは湯を使う習慣がある事の確認と値段が知りたかったからだ。シャンプーや石鹸を売るのであればこの情報は必須だ。
宿屋のおばちゃんに言われた通りに町の中央へと歩いて行く。近づくにつれ良い匂いがしてくる。
この匂い?ベンマック商会に売ったハーブソルトでは?旅商人を通じてこんな所まで来ていたのか。
屋台は串焼き屋が多い。とりあえず1本買って食べてみる。塩味だったが、炭火で焼いてあるのでそれなりに美味しい。他にも煮込みなどもあったので食べてみた。ちょっと癖のある味だが不味くはない。王都の人間と同じだ。味覚はちゃんとしているが、調味料が無いのだ。それならばやりようは幾らでもある。
食はまだ良い。他の産業がほぼ機能していない。必要な物があれば旅商人から買えばよい。そう言う事で地場産業が育たない。この町ならではの名物、名産を何か考えないと行けないな。
中央広場でぐるっと360度町を見回してみた。背の高い建物は宿屋の2階建てが最大だ。おかげで結構遠くまで見渡せる。北を見ると山が見える。結構近くに感じる。あれが開拓に失敗した北の森か。この町の規模を考えると北の森の開拓はいずれ必要になるだろう。
近くにある屋台のおじさんからお菓子の様な物を買い、この町に公衆浴場は無いか聞いてみた。
「昔はあったらしいが、今は無いな。俺もここへ来て1年くらいしか経ってないから詳しい話は知らないけど、火事で燃えたって聞いたよ。」
ほう?昔は公衆浴場があったのか、だとすると風呂に入る習慣も全く無い訳では無さそうだ。
次に商業ギルドへ向かった。グラストフは小さな町なので冒険者ギルドは無い、しかし、商業ギルドは小さな町でも出張所と言う形で存在する。
ギルドの出張所に入ると旅商人が多いせいか結構賑わっている。ざっと見まわしてみるが通常業務の窓口は何処も空いている。どうやらこの町では商業は壊滅的なのかもしれない。この土地でアトマスさんの様な有能な人材が見つかるのだろうか?やはり王都で人材を探した方が現実的なのかもしれない。王都に戻ったらアトマスさんにでも相談してみるか。
だいたい調査は終わったが、思ったより悪い状態ではない。ユーリの頭の中では都市改造計画のプランがだいたい出来上がっている。上手くいけば1年かからずに人口を倍増出来るであろう。
結果に満足して宿屋に帰る。夕食の時間だと言うので食堂で頂く。やはり何を食べても塩の味がする。半分ほど食べて席を立ち自分の部屋に帰ってラーメンをすするユーリであった。
12
あなたにおすすめの小説
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
転生先ではゆっくりと生きたい
ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。
事故で死んだ明彦が出会ったのは……
転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた
小説家になろうでも連載中です。
なろうの方が話数が多いです。
https://ncode.syosetu.com/n8964gh/
【本編完結】転生隠者の転生記録———怠惰?冒険?魔法?全ては、その心の赴くままに……
ひらえす
ファンタジー
後にリッカと名乗る者は、それなりに生きて、たぶん一度死んだ。そして、その人生の苦難の8割程度が、神の不手際による物だと告げられる。
そんな前世の反動なのか、本人的には怠惰でマイペースな異世界ライフを満喫するはず……が、しかし。自分に素直になって暮らしていこうとする主人公のズレっぷり故に引き起こされたり掘り起こされたり巻き込まれていったり、時には外から眺めてみたり…の物語になりつつあります。
※小説家になろう様、アルファポリス様、カクヨム様でほぼ同時投稿しています。
※残酷描写は保険です。
※誤字脱字多いと思います。教えてくださると助かります。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。
キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。
弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。
偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。
二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。
現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。
はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!
みそっかす銀狐(シルバーフォックス)、家族を探す旅に出る
伽羅
ファンタジー
三つ子で生まれた銀狐の獣人シリル。一人だけ体が小さく人型に変化しても赤ん坊のままだった。
それでも親子で仲良く暮らしていた獣人の里が人間に襲撃される。
兄達を助ける為に囮になったシリルは逃げる途中で崖から川に転落して流されてしまう。
何とか一命を取り留めたシリルは家族を探す旅に出るのだった…。
異世界転生したおっさんが普通に生きる
カジキカジキ
ファンタジー
第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位
応援頂きありがとうございました!
異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界
主人公のゴウは異世界転生した元冒険者
引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。
知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?
社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命
遊鷹太
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる