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第七十五話
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戦争に行く事になったので、店の補充を何時もより多くしておく。具体的に何日掛かるか解らないので各所に1か月分の在庫を預けて来た。まあ、途中で転移で帰れる可能性もあるのであくまでも念のためだ。
戦争の話題は王都でも大分知れ渡っているが、既に帝国が出兵した事はあまり知られていない。多分情報の伝達速度が遅いのであろう。各町の情報は旅商人の口コミに寄るものが殆どだ。王城では専門の諜報部員が居るので正確な情報を得られるが、市民にその手段は無い。
前線に出る事は父上にだけ報告し。他の人達には貴族なので一応戦争に参加するとだけ伝えてある。まだ、未成年なので前線に出るとは誰も思わないだろう。
戦場になるアースフィア平原までは王都から馬車で6日程かかる。ユーリは下級貴族なので他の上級貴族より早めに着いていないと何を言われるか解らない。特に支度も無いし、兵士も居ないので魔改造馬車で御者と2人旅で戦場に向かう。
途中野営をしたり町に泊まったりしながら5つの貴族の領土を通り、アースフィア平原に辿り着く。普通、貴族が移動する場合各街でお金を落とすのが義務らしいが、どの街も大した名産などなくユーリは適当な物を買ってアイテムボックスの肥やしになっている。ユーリがあれだけ王都で色々な物を流行らせたのだが、他の街には殆ど届いていない様だ。唯一リバーシだけはどの街でも見かけた。これは輸出にも力を入れないと駄目かな。
帝国軍の行軍は予想より遅いらしく、ユーリがアースフィア平原に辿り着いた時点でまだ、4日の余裕があった。
4日の余裕があるのでユーリは帝国領との境界にある砦の補強を行った。まあ、砦を攻められる前に片を付けるつもりなので、念のためだが、味方の戦意向上になれば良いだろう。境界の壁を高くし厚みも倍にする。砦も一回り大きくし、壁の上に兵士が登れるように改造する。戦場は平野なので上からの攻撃は有効になるだろう。
翌日、騎士団と魔法師団が到着した。戦力が増した事で砦は活気づく。ただ、食事が問題だ。こんなまずい食事で戦争に勝てるのだろうか?帝国軍はどんな物を食べているのだろう。そんな事を考えながら。ユーリは馬車の中で御者と2人でこっそり美味しい料理を食べている。
更にその翌日、あまりに暇なので散歩をしていると、同じように暇を持て余した貴族と思わしき人物を見かけた。何となく見ていたら目が合ってしまった。すると向こうから声を掛けて来た。
「君の様な子供が何故ここに?」
「あ、一応貴族な物で、オーバルバイン子爵と言います。」
「子爵様でしたか。私はこのアースフィアの領土を治めている。ルーイン男爵です。」
そう言って頭を下げた。
「見ての通り子供ですので普通に接して下さい。その方が僕も楽ですから。」
「いや、こう言う所を万が一見られると後で何を言われるか解りませんからね。」
「ああ、なるほど、貴族ってそう言う世界ですもんね。」
ルーイン男爵は18歳で、父親の先代から爵位を受け継いで間もないらしい。
「ところで、ここの領主なら帝国の事もそれなりに詳しいですよね?良かったら教えて貰えませんか?」
「どんな事を知りたいんですか?」
「そうですね、王国との違いや平民の暮らしなんかが知れると助かります。」
「王国との違いですか、生活そのものはあまり違いません。違いがあるとすれば、帝国には徴兵制度がある事位でしょうか。男子は成人して3年間軍で訓練をしなければなりません。」
「徴兵制度ですか、すると王国軍より帝国軍の方が軍の質は高いって事ですよね?」
「一概にそうは言えません。戦争の無い時期が長かったですからね。帝国の指揮官も特に質が高い訳ではありませんから。」
「なるほど、ちなみに食事はどうですか?帝国には海に面した所が少ないと聞きます。塩は貴重品なのでは?」
「そうですね、確かに塩は貴重品です。ですが、帝国の北側には塩の湖があるらしくて、王国ほどではありませんが、国内だけで塩を賄っている様です。また、国土の半分が冬になると雪に閉ざされるので加工食品の技術が進んでいると言う話は聞きます。また、体を温める為辛い物を好んで食べると言う話も聞いた事がありますね。」
「ほう?じゃあ、お酒の酒精が強いとかも?」
「良く知ってますね。帝国のお酒は酒精が高いので王国民は喉が焼けますね。」
「今回の出兵、目的は領土ですかね?」
「正直解りません。帝国は王国より領土は広い。今更少し領土を増やしても管理が面倒なだけだと思いますよ。戦争で領土を増やすなら未開拓地を開拓した方が楽ですしね。」
帝国は何故戦争を仕掛けて来たのか、何か裏があるのではないだろうか?これは本気で皇帝を攫って来る必要があるかも。いや、高位の将校なら何か知っているかな?
「貴重な情報をありがとうございます。」
「いや、こっちも暇してたんで話が出来て楽しかったですよ。」
ルーイン男爵に礼を言って別れる。明日には何か動きがあると良いのだが。平和な時代なら帝都に遊びに行く事も考えていたのに残念だ。ユーリの頭では戦争の事はあまり重要視されていない。それよりも帝国の文化の方が重要だ。神様から言われた言葉を思い出す。あれは王国だけでなく帝国も含まれてるよな。
ユーリの期待もむなしく。翌日も大した動きは無かった。しかし、確実に帝国軍はここに近づいてきている。本番は明日だ。決戦は明後日になるだろう。帝国軍の予想外の遅れに、王国軍は続々と集結し、国王陛下が命じた4万人がアースフィアの領土に集結していた。あれ?この戦争勝っちゃったらどうすんの?
戦争の話題は王都でも大分知れ渡っているが、既に帝国が出兵した事はあまり知られていない。多分情報の伝達速度が遅いのであろう。各町の情報は旅商人の口コミに寄るものが殆どだ。王城では専門の諜報部員が居るので正確な情報を得られるが、市民にその手段は無い。
前線に出る事は父上にだけ報告し。他の人達には貴族なので一応戦争に参加するとだけ伝えてある。まだ、未成年なので前線に出るとは誰も思わないだろう。
戦場になるアースフィア平原までは王都から馬車で6日程かかる。ユーリは下級貴族なので他の上級貴族より早めに着いていないと何を言われるか解らない。特に支度も無いし、兵士も居ないので魔改造馬車で御者と2人旅で戦場に向かう。
途中野営をしたり町に泊まったりしながら5つの貴族の領土を通り、アースフィア平原に辿り着く。普通、貴族が移動する場合各街でお金を落とすのが義務らしいが、どの街も大した名産などなくユーリは適当な物を買ってアイテムボックスの肥やしになっている。ユーリがあれだけ王都で色々な物を流行らせたのだが、他の街には殆ど届いていない様だ。唯一リバーシだけはどの街でも見かけた。これは輸出にも力を入れないと駄目かな。
帝国軍の行軍は予想より遅いらしく、ユーリがアースフィア平原に辿り着いた時点でまだ、4日の余裕があった。
4日の余裕があるのでユーリは帝国領との境界にある砦の補強を行った。まあ、砦を攻められる前に片を付けるつもりなので、念のためだが、味方の戦意向上になれば良いだろう。境界の壁を高くし厚みも倍にする。砦も一回り大きくし、壁の上に兵士が登れるように改造する。戦場は平野なので上からの攻撃は有効になるだろう。
翌日、騎士団と魔法師団が到着した。戦力が増した事で砦は活気づく。ただ、食事が問題だ。こんなまずい食事で戦争に勝てるのだろうか?帝国軍はどんな物を食べているのだろう。そんな事を考えながら。ユーリは馬車の中で御者と2人でこっそり美味しい料理を食べている。
更にその翌日、あまりに暇なので散歩をしていると、同じように暇を持て余した貴族と思わしき人物を見かけた。何となく見ていたら目が合ってしまった。すると向こうから声を掛けて来た。
「君の様な子供が何故ここに?」
「あ、一応貴族な物で、オーバルバイン子爵と言います。」
「子爵様でしたか。私はこのアースフィアの領土を治めている。ルーイン男爵です。」
そう言って頭を下げた。
「見ての通り子供ですので普通に接して下さい。その方が僕も楽ですから。」
「いや、こう言う所を万が一見られると後で何を言われるか解りませんからね。」
「ああ、なるほど、貴族ってそう言う世界ですもんね。」
ルーイン男爵は18歳で、父親の先代から爵位を受け継いで間もないらしい。
「ところで、ここの領主なら帝国の事もそれなりに詳しいですよね?良かったら教えて貰えませんか?」
「どんな事を知りたいんですか?」
「そうですね、王国との違いや平民の暮らしなんかが知れると助かります。」
「王国との違いですか、生活そのものはあまり違いません。違いがあるとすれば、帝国には徴兵制度がある事位でしょうか。男子は成人して3年間軍で訓練をしなければなりません。」
「徴兵制度ですか、すると王国軍より帝国軍の方が軍の質は高いって事ですよね?」
「一概にそうは言えません。戦争の無い時期が長かったですからね。帝国の指揮官も特に質が高い訳ではありませんから。」
「なるほど、ちなみに食事はどうですか?帝国には海に面した所が少ないと聞きます。塩は貴重品なのでは?」
「そうですね、確かに塩は貴重品です。ですが、帝国の北側には塩の湖があるらしくて、王国ほどではありませんが、国内だけで塩を賄っている様です。また、国土の半分が冬になると雪に閉ざされるので加工食品の技術が進んでいると言う話は聞きます。また、体を温める為辛い物を好んで食べると言う話も聞いた事がありますね。」
「ほう?じゃあ、お酒の酒精が強いとかも?」
「良く知ってますね。帝国のお酒は酒精が高いので王国民は喉が焼けますね。」
「今回の出兵、目的は領土ですかね?」
「正直解りません。帝国は王国より領土は広い。今更少し領土を増やしても管理が面倒なだけだと思いますよ。戦争で領土を増やすなら未開拓地を開拓した方が楽ですしね。」
帝国は何故戦争を仕掛けて来たのか、何か裏があるのではないだろうか?これは本気で皇帝を攫って来る必要があるかも。いや、高位の将校なら何か知っているかな?
「貴重な情報をありがとうございます。」
「いや、こっちも暇してたんで話が出来て楽しかったですよ。」
ルーイン男爵に礼を言って別れる。明日には何か動きがあると良いのだが。平和な時代なら帝都に遊びに行く事も考えていたのに残念だ。ユーリの頭では戦争の事はあまり重要視されていない。それよりも帝国の文化の方が重要だ。神様から言われた言葉を思い出す。あれは王国だけでなく帝国も含まれてるよな。
ユーリの期待もむなしく。翌日も大した動きは無かった。しかし、確実に帝国軍はここに近づいてきている。本番は明日だ。決戦は明後日になるだろう。帝国軍の予想外の遅れに、王国軍は続々と集結し、国王陛下が命じた4万人がアースフィアの領土に集結していた。あれ?この戦争勝っちゃったらどうすんの?
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