創造魔法で想像以上に騒々しい異世界ライフ

埼玉ポテチ

文字の大きさ
82 / 151

第八十二話

しおりを挟む
 作ると決めてしまえば、ユーリの行動は早い。本体にアルミを使い、画面は鏡を使用しスマホもどきに仕上げる。表面の鏡にゲートの魔法を付与し、極小さいゲートを開き相手と通話できるように設定した。ボタンは2つ緑と赤、緑が通話で赤が切る。2つのボタンの間に窪みをつけて指紋認証の要領で魔力を流せるようにする。これで、外側は完成だ。問題は電池だ。稼働には魔石を使用する。

 魔石は魔物の核である。最初はごく小さい物だが、空気中の魔素を吸収しエネルギーに変換する。それを繰り返す事で徐々に大きくなっていく。なので強い魔物程大きな魔石を持つと言われている。この間倒したワイバーンの魔石は20センチ位の大きさがあった。エンシェントドラゴンの魔石は3メートル以上あったそうだ。丁度良いのでワイバーンの魔石を使おうと思う。魔法でワイバーンの魔石を四角く薄く変形させる。かなり圧縮したが、4センチ×6センチ×7ミリが精一杯だった。
これをバッテリーとして使用すれば2~3年は魔力の補充無しで動作するだろう。問題はスマホの厚みが1センチほどになってしまう事位だ。スマホのサイズは5センチ×11センチ×1センチ。ユーリとしてはもう少し薄くしたかったが、バッテリーとの兼ね合いでこれが精一杯だろう。完成したスマホを『賢者の叡智』を使用しコピーする。一度コピーすれば後は幾つでも作れるからだ。

 執事のフロッシュさんに手伝ってもらいスマホのテストをする。どうやら問題は無いようだ。そのまま1台はフロッシュさんにプレゼントする。あとは父上と陛下だな。あの2人はプレゼントしないと後で文句を言われるからね。

 まず、実家に転移し父上にスマホを20台プレゼントする。もちろん使い方も詳しく説明して置く。20台なのは、家族と部下用も含まれるからだ。

 次に王城へ転移して陛下に取り次ぐ様に近衛兵に伝えて貰う。暫くすると宰相が現れて何時もの執務室に案内される。

「今日は何用じゃ?」

「はい、通信の魔道具を作りましたので陛下に献上をと思い参上しました。」

「通信の魔道具?」

「これがあれば、離れた位置に居る人物と会話が出来ます。陛下なら色々と使い道があると思います。」

「離れた位置とはどれ位遠くまでじゃ?」

「多分ですけど、この大陸でしたら何処でも問題無く通話できるかと。」

「何?それは本当か?それ程の魔道具、情報革命が起こるのではないか?」

 陛下が宰相に向かい問う。

「そうですね。実際に見てみないと分かりませんが、事実なら諜報部の活動に大きな影響を与えるでしょう。」

 宰相の目が怖いので、2台のスマホを取り出し、2人に渡す。

「これがその魔道具です。」

「これはまるで手鏡の様だな?」

「まず、その緑のボタンを押してから、真ん中の窪みに指を置いて通信したい相手を想像して下さい。あ、最初は僕でお願いします。」

 陛下が言われた通りに操作すると、ユーリのポケットから音楽が流れる。

「この音が着信の知らせです。音が鳴ったら緑のボタンを押せば通話できます。切る時は赤いボタンです。」

 そう言ってユーリは少し離れた位置に下がり。緑のボタンを押して話をする。

「聞こえますか?今度は僕から掛けますので一度切りますね。」

「おお聞こえるぞ!」

 ユーリが一度切って掛けなおすと今度は陛下のスマホが音楽を鳴らす。

「緑のボタンを押して下さい。相手の顔が鏡に映ってると思うので話したくない時は赤いボタンを押しても構いません。」

「なるほど、話したい時は緑、切る時は赤、簡単じゃな。」

 陛下が子供の様にはしゃいでる。

「とりあえず家族や使用人、部下などに配る分もあるでしょうから、200台渡して置きますね。」

 そう言ってテーブルの上にマジックバッグを置く。

「宰相様は何台必要ですか?」

「私にもくれるのかね?では50台ほど。」

 はいと言って、宰相にもバッグを渡す。

「これは販売する予定がありますので、足りなくなったら買って下さいね。」

「これを一般に販売するのか?」

「はい、特に商人達には情報は命ですから売れると思います。」

「ちなみに幾らで販売する予定じゃ?」

「そうですね、魔石の大きさから考えると金貨2枚位ですかね。」

「安い、安すぎるぞ。」

「安い方が早く広まるでしょ?それが目的ですから。あ、ちなみに暫くは海外に輸出はしない様にしますのでご安心を。」

 ユーリにしてみれば大量生産出来る、薄利多売の商品だが、国王から見ればアーティファクトにも匹敵する魔道具である。2人の温度差が激し過ぎる。

「そう言う問題ではない気がするが・・・」

 陛下が疲れた様子で呟く。

「伯爵の行動には諦めが寛容かと。」

 宰相がなんか酷い事を言ってる気がするが気にしないユーリであった。

 陛下に無事献上出来たので、転移でリッツヘルム商会へ向かう。この魔道具はユーカの実家で扱って貰う事にした。アトマス商会でも販売しようかと悩んだが、餅は餅屋、魔道具は魔道具屋だろう。

 リッツヘルム商会に入るとユーカのお母さんが店番をしていた。

「お久しぶりです。」

 挨拶をすると、お母さんがひどく恐縮した様子で頭を下げて来る。

「今日は仕事の話で来ました。ご主人はいらっしゃいますか?」

 そう話すとすぐに呼んでくると言って奥へ入って行った。

 1分も待たずにお父さんが現れる。

「この間は娘を助けて頂きありがとうございます。今日は仕事の話があると聞いてますが、どの様な話でしょう?」

「そんなに畏まらないで下さい。普通に話して頂いて結構ですので。」

「いや、子爵様に失礼があったら不敬罪で首が飛びますので。」

「あ、言うの忘れてましたが、先日、伯爵に陞爵しました。」

 ユーリがそう言うとお父さんは更に小さくなってしまった。この話題はこれ以上止めて置いた方がよさそうだ。本題に入ろう。

「実は魔道具を作ったので、こちらの商会で販売して欲しいのです。」

「どの様な魔道具ですか?」

 これなんですがと実物を見せながら、通信機だと説明する。陛下にした様に実際に動かしてどの様な道具か理解して貰う。

「これは凄い魔道具ですね。今まで色んな魔道具を扱って来たけれど、こんな画期的な物に出会ったのは初めてです。これを扱わせて貰えるのですか?」

「ええ、やはり魔道具なので魔道具を扱いなれている人に販売して貰いたいと思いまして。お願い出来ますか?」

「是非やらせて下さい。」

 その後、金額や1度に卸す個数、ユーリの取り分等を決めて、帰ろうとすると、ちょっと待って下さい。と引き留められた。

 お父さんは覚悟を決めた様な顔でユーリに尋ねる。

「あの、本当に娘を貰って下さるのですか?」

「はい。僕が14歳になったら正式にお話に参上します。側室では無く正式に妻として迎え入れますのでご安心下さい。」

 お父さんは安心した顔でへなへなと崩れ落ちた。


しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

まったく知らない世界に転生したようです

吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし? まったく知らない世界に転生したようです。 何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?! 頼れるのは己のみ、みたいです……? ※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。 私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。 111話までは毎日更新。 それ以降は毎週金曜日20時に更新します。 カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

召喚失敗から始まる異世界生活

思惟岳
ファンタジー
庭付き一戸建て住宅ごと召喚されたせいで、召喚に失敗。いったん、天界に転送されたジュンは、これからどうしたいかと神に問われた。 「なろう」さまにも、以前、投稿させていただいたお話です。 ペンネームもタイトルも違うし、かなり書き直したので、別のお話のようなものですけれど。

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる―― ※他サイトでも掲載しています ※ちょいちょい手直ししていってます 2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

処理中です...