創造魔法で想像以上に騒々しい異世界ライフ

埼玉ポテチ

文字の大きさ
83 / 151

第八十三話

しおりを挟む
 リッツヘルム商会を辞した後、ベンマック商会へ向かう。会頭のベンマックさん自ら店頭に立ち客の相手をしている。邪魔しちゃ悪いと思い、客が途絶えるのをしばし待つ。10分程で一段落着いたので、顔を見せ手を上げて挨拶する。

「子爵様、今日は何かご入用ですか?」

「今日は仕事の話でね。あと、先日伯爵になりましたので。」

 そう言うとベンマックさんは大いに驚いていた。

 仕事の話と言う事で応接間に通された。

「で、どう言う話ですか?」

「リッツヘルム商会って知ってますか?」

「ああ、魔道具の老舗ですね。あそこは質の良い魔道具を扱うので有名ですよ。」

「そこで、共同開発した魔道具があるんですが、リッツヘルム商会は知名度はあるが販売力が弱い。やはり魔道具って言うだけで敷居が高くなるんですかね?」

「確かに、魔道具は高価な物が多いので店に入りにくいってのはあるかもしれませんね。」

「逆にベンマック商会は販売力に定評がある。しかも新製品に興味がある。」

「その通りです。」

「そこで、この新しい魔道具をベンマック商会で販売して欲しいって話です。」

 そう言ってスマホを1台取り出してベンマックさんに渡す。

「これは、一見すると手鏡の様ですが?」

「それは通信の魔道具ですよ。」

 国王陛下にした様に実際に使いながら道具の使い方を説明して行く。ベンマックさんは食い入る様にスマホをいじりながら説明を聞いている。

「商人なら、この魔道具の有用さが解るはずです。」

「解る、解ります。これは時代を変えるかもしれない物だ。」

 その後、代理店販売の解説をして、この道具を、ベンマック商会とアトマス商会、リッツヘルム商会の3つの商会で売って行く事を説明する。とにかく広める事が重要だとも付け加える。1台売ると30%が自分の手元に入る事も話す。

「なるほど、販売力の無い商会の代わりに、販売を請け負って利益を貰うって方法ですね。相変わらず、面白い事を考えますねぇ。」

「ちなみにこれ、1台金貨2枚で販売します。」

「安いなぁ、安すぎる。」

「そう考えてくれる人が多ければ多いほど儲かりますよ。金貨2枚なら、貴族や商会なら1台とは言わずに複数台まとめて買ってくれるでしょう。僕は1家に1台では無く1人1台を目指してます。」

 ちなみに金貨2枚は日本円で20万円だ。庶民には高価だが、貴族や大商会なら問題無く買える金額である。

「その1台は差し上げますが、他に必要なら購入して下さいね。とりあえず1000台置いて行きます。無くなったら補充しますので通信機で連絡して下さい。」

「これは久しぶりに面白い商売だ。必ず売って見せますよ。」

「問題は自分で持つ事より、誰に持たせるかですからね。お金がある人が無い人に持たせる事も考えると良いですよ。」

「ん~、本当に婿に欲しかったなぁ。」

「成人したら、僕がイルミさんを貰いに来ますよ。そうなれば、義理の息子になりますよ。」

「イルミが伯爵様の嫁ですか?本当に良いんですか?」

「もちろんです。あ、それからもう1つお願いがあるんですが。」

「何でしょう?」

「ベンマックさんの知り合いで、才能を持て余してる若者って居ませんか?」

「才能がある若者・・・なら、ライビット商会の次男を当たってみると良いかもしれません。商才は私が保証します。兄貴がボンクラだったら跡継ぎになれたのですが、兄貴の方もなかなかの才能で、弟は今、商会で修業をしていますが、将来は必ず自分の商会を持つでしょうね。」

「ベンマックさんがそこまで言う人なら是非会ってみたいですね。」

 そう言って商業地域の地図を取り出す。

「この赤い丸がベンマック商会です。ライビット商会は何処になりますか?」

 ベンマックさんが地図を指で辿りながら、ここですと指を指す。ベンマック商会から商業ギルドの方向へ3,4分の距離だ。

「解りました。ありがとうございます。じゃあ、代理店の件よろしくお願いします。」

 ベンマック商会を後にして、ライビット商会へ向かう。ライビット商会は小麦を扱う商会らしいが、店を覗くとパンや焼き菓子なども置いてある。更に飲み物や日用品なども扱っているみたいだ。なんと言うか現代日本のコンビニみたいな感じだ。これを考えたのが例の次男坊なら面白いなとユーリは考えていた。

 暫く見ていると、成人したて位の青年が、店員らしき女性に何やら指示を出していた。あれが、次男坊かな?

 ユーリはふらりと立ち寄った客の振りをして、店に入る。売っている商品の確認をしてみると、どうやらパンはアトマス商会のドライイーストを使用している様だ。これは間違いなく商才のある人物が関わっているに違いない。さっきの青年に声を掛けてみる。

「すみません。この商会の次男と言う方に会いたいのですが。」

「えっと、次男は僕ですが、どちら様ですか?」

「ベンマック商会の会頭から紹介を受けたアトマス商会のユーリと申します。」

「アトマス商会の?僕に何の様でしょうか?」

 ライビット商会の次男は明らかに警戒している様子だ。ここはまず警戒を解かないと。

「少しお話がしたいのですが、2人切りで話が出来る場所ってありますか?」

「うちの応接室で構いませんか?」

「問題ありません。」

 2人で店の奥へと入って行く。商会には必ず商談用の応接室があるのだ。

「ベンマックさんの紹介って言う話ですが、どう言った話でしょう?」

「実は今度新しい商会を立ち上げる予定なんですが、人材を探していまして。ベンマックさんにお話した所、あなたを紹介されたんですよ。」

「僕をですか?すみませんがもう少し詳しくお話下さい。」

 ライビット商会の次男はバートと言う名前らしい。ユーリは詳しい説明をして行く。

「雑貨屋イルミって知ってますか?」

「知ってます。あの店は画期的な商品が沢山置いてあるので色々と参考になります。あと、毎月出る小説を楽しみにしてます。」

「実はあの店を作ったのは僕です。イルミと言うのはベンマックさんの娘さんの名前なんですよ。」

「君があの店を?」

「はい。アトマス商会を立ち上げたのも僕です。」

「アトマス商会を立ち上げたって、まだ若いですよね?」

「アトマス商会を立ち上げた時僕は6歳でした。若すぎると言う事で当時既に成人していたアトマスさんの名前を借りました。」

 バートは6歳で商会を立ち上げたと言う話を聞いて衝撃を受けていた。

「失礼ですが、この店をこの形にしたのはバートさんあなたですよね?」

「良く解りましたね。父に無理を言って店を改造させて貰いました。自分で商会を立ち上げると言う頭が無かったもので。」

「いやいや、この店は面白いですよ。こう言う形式のお店をコンビニエンスストアと言います。僕も最初にアトマス商会を立ち上げた時参考にしました。」

 バートは自分が考えて作った店が前例のあるものだと知り吃驚している。

「コンビニエンスストアですか?そう言う物が既にあるとは知りませんでした。」

「知らずに、この形に辿り着くのは凄い事ですよ。才能があります。」

「そうでしょうか?で、新しい商会を立ち上げると言うお話ですが、どんな商会でしょう?」

「そうですね、物を売らない商会です。」

 その言葉にまたしても衝撃を受けるバートであった。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~

深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。 ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。 それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?! (追記.2018.06.24) 物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。 もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。 (追記2018.07.02) お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。 どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。 (追記2018.07.24) お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。 今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。 ちなみに不審者は通り越しました。 (追記2018.07.26) 完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。 お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

処理中です...