創造魔法で想像以上に騒々しい異世界ライフ

埼玉ポテチ

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第百三十五話

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 リュートの商会はだいぶ大きくなり、収入も大幅に上がったが、食料品の普及は領都の半分にも満たない。儲けよりも普及が目的なので収入はほぼ全部設備投資に回している。

 その結果、リュートの商会はどんどん大きくなっていく。今では領都の商会でも有数の規模になっていた。

 醤油と味噌は商店街で気軽に買える調味料となり、好評を得ている。また、焼き肉のタレととんかつソースも若干高めではあるが、庶民でも買えない値段では無いので、徐々にではあるが普及している。料理店などでは焼き肉のタレに独自のハーブを加えてアレンジして使用している。砂糖はキロ金貨1枚だった物を、半値以下で提供している。更に最小単位を100グラムにしたので庶民でも手が出る値段になっている。

 また、ポテトチップスやポテトフライの屋台を数か所に出している。これによりジャガイモの地位が向上した様だ。

 リュートとしては甘味を手軽に提供するのが目的なのだが、未だ、それは叶って居ない。砂糖の値段は下げたのだが、元々甘味が無いので何を提供すればよいのか判断が難しいのだ。

 ここの所だいぶ小麦の値段が落ち着いて来ている。まだ、復興してない都市もあるだろうが、この領都サームはいち早く復興したので小麦が安定して獲れるまでに回復しているのだ。特に今回は豊作も重なって、他の街へ輸出するほどの量が獲れたらしい。

 リュートは小麦の値段が安定したのを確認するとすぐに、パンのメニュー開発に入った。この世界のパンは天然酵母を使用するのだが、リュートは醤油と味噌で培った麹菌の技術を借りて。より柔らかいパンの開発に成功している。パン屋と提携を結び柔らかいパンと、食パンの開発をお願いしている。

 食パンはサンドウィッチを作るのに使用している。ハムも開発したので、マヨネーズたっぷりのハムサンドや、たまごサンドなどがパン屋に行けば買えるようになった。

 それから腸詰の改良も行い。親指位の太さまで細く出来た。これを使い。ホットドッグも作った。トマトソースを煮詰めケチャップもどきにして使用している。欲を言えばマスタードが欲しい。

 実はパン屋に頼んでジャムパンを開発して、置いて貰っているのだが思ったより売り上げが伸びていない。この世界にはイチゴが無いので、木苺に似た実をジャムにしたのだが、やはり砂糖のせいで若干値段が上がるのが敗因だろうか?

 ウナギの時に竹細工職人に何種類かの蒸し器を作って貰った。その一つで饅頭を作る事に成功した。今の所食堂の敷地内でひっそりと販売しているが、結構評判が良い。温泉饅頭の様な黒い皮の饅頭で小豆餡を入れたスタンダードな物で価格も3個で銅貨2枚に設定した。1個100円以下の甘味と言う事で、近所の人や食堂の常連が良く買ってくれる。これは職人が育ち次第。屋台を増やして行く予定だ。

 実はあんパンも作ったのだが、これはあまり評価が良くなかった。やはりパンは食事と言う概念が強いらしい。

 小豆は大量にあるので実験は続けて行くつもりだ。また、もち米も研究の途中である。中華ちまきを作ってみたのだが、オイスターソースがないので、味がイマイチだった。

 相変わらず海には良く行って居るが、未だに鰹節になる様な魚が見つからない。海の幸はかなり受け入れられている様で、その内人を雇って鮮魚店でも開くつもりだ。

 そうそう、海と言えばカニクリームコロッケを作ってみた。これはかなりのヒットだった。今では食堂の定番メニューになっている。

 食堂と言えば親子丼を作ろうと思ったら、鶏肉が無かった。仕方が無いのでブラックサーペントの肉で代用した。味はなかなかだが、これでは親子丼では無い。名前をどうしようか悩んだが、結局親子丼で出す事にした。悩んだ割には誰も突っ込んでくれなかった。ちょっと寂しい。

 食堂の料理人だが2人増やし3人にした。2人は見習い扱いだ。理由は店がだいぶ知られて来て繁盛しているのと、料理人の引き抜きが結構来てる様なので、引き抜かれた後の事を考えての決断だ。

 店員もリロルの他に1人雇った。これで交代で休めるはずだ。

 米農家に次いで、もち米農家も独立させた。独立はしているが、米の80%はリュート商会が買い取っている。事実上はグループ企業なのだが、あまり独占すると周りがうるさいのでこういう形にしている。

 砂糖大根農家は独立させていないと言うか出来ない。砂糖大根だけ作っても砂糖に精製しないと売れないからだ。

 この砂糖の生成方法は実は商業ギルドに教えてある。なので、他の商会でやる気がある者が居れば、出来るのだが今の所現れていない。

 醤油と味噌の醸造についてはまだ発表していない。これはまだリュートが味に納得していないからだ、納得できるものが出来たら商業ギルドに製法を教える予定だ。

 日本酒と焼酎、ウイスキーの製法は教えて無いが多分、酒造に詳しい物なら予想が着くはずだ。なのであえて製造方法は教えていない。特にエールより酒精が強く値段も手ごろな焼酎は庶民の間で普通に呑まれる位に普及している。飲み方も色々研究されており。うち以外の食堂でも普通にエールと同じ位呑まれている。

 ウイスキーは高級品と言うイメージが強いのか、贈答品として使用する事が多いらしい。また日持ちするので、めでたい時に飲む秘蔵の酒として酒飲みの間では隠し持っている者が多いとか。

 だいぶ手を広げたリュートであるが、満足していない。まだまだ作りたい物が沢山あるのだ。最近では、作りたい物をこの世界の物で再現するのが楽しくなっていると言うのもあるかもしれない。

 そう言えば、この間喫茶店に調査に行ったら。コーヒーや茶葉が自生している場所があると聞いた。これはチャンスかもしれない。紅茶やコーヒーの価格を破壊できるかもしれないチャンスだ。明日にでも探しに行こうと考えている。

 あ、そうそう、ヤギとアヒルだが、2つの家を統合して巨大な牧場を作った。ヤギとアヒルの数も10倍に増えている。人も大勢雇い。安価な卵とミルクが出回る様になった。バターやチーズも徐々に普及し始めている。

 また、オークの脂からラードを作る事に成功した。まあ、熱を加えれば勝手に出来るんだけどね。このラードを肉屋でも安価で販売している。植物油もあるが、それ以下の値段なので、炒め物などには使い勝手が良いはずだ。

 この日の夕飯はラードと卵があるのでチャーハンにした。角煮を細切れにして使ったが、チャーシューが欲しいな。後で作ってみよう。ちなみにネギに似た野菜はある。玉ねぎも普通に売っている。問題があるとすれば胡椒が高い事かな。

 卵を炒めてご飯を加え、ネギと角煮を入れて、塩で味付けをして最後に醤油で香りづけをして完成だ。ニンニクを入れても美味そうだな。

 翌朝早起きをして、朝市に訪れた。茶葉を売っている者が居たので話を聞いてみる。

「これって生の茶葉だよね?何処で採れたの?」

「これはうちの亭主が西の方で採って来たらしいよ。」

「へぇ~ちなみに幾ら?」

「背負子に1つ分で銀貨1枚って所だね。」

「よし、貰おう。」

 銀貨を1枚出しながら、コーヒーってこの辺じゃ取れないのか?と聞いてみる。
コーヒーは北の方に多くあるらしいが、北は魔物が強くて採りに行けないそうだ。貴重な情報が銀貨1枚で手に入った。これだから朝市は止められない。

 コーヒーって暖かい所に出来るんじゃないのか?この世界って北が暖かいのかな?

 茶葉は覚えた。コーヒーは小さな赤い実だよな?

 朝市を後にして、北門へ向かう。北門を出て少しあるいてからフライで空を飛ぶ。賢者の叡智を頼りにコーヒーと茶葉を探す。30分程飛んでいると徐々に暖かくなってくる。やはり北に行くほど暖かいな。もしかして、この国って南半球にあるんじゃ?

 コーヒーが見つかればカカオが見つかる可能性も出て来る。重要な事だ。

 さらに30分程飛んだところで茶葉が見つかった。周りに町や村は無い。自生の茶葉だ。かなり大量にある。賢者の叡智でマーキングして何時でも転移で来れる様にして置く。ざっと30キロ位刈り取って持って行く。後で紅茶にしてみないと味が判らないからな。それから1時間程飛んでようやくコーヒーらしき反応があった。

 地上に降りたが赤い実は見当たらない。よく見ると青いブルーベリーの様な実が沢山成っている。まさかと思い鑑定するとコーヒーだった。なんか理不尽さを感じながらブルーベリーコーヒーを収穫しているとかなり大量に成ってる事に気が付く。ここもマーキングして置く。

 もしかしたらカカオも全然違う色形をしてるのかもしれないな。そう思いながら家に転移した。

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