創造魔法で想像以上に騒々しい異世界ライフ

埼玉ポテチ

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第百四十三話

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 翌日学院へ行くと、皆がそれぞれアイデアを持ち寄っていた。どれもこれも果実水の改良の案ばかりだ。実際ソフトドリンクが果実水しかないので仕方ないだろう。

 ルーイは父の名前は出さずに炭酸の話をする。

「大人が飲んで美味しい物なら子供の飲み物にも応用できると考えたんだけどね。果実水に炭酸は合わなかったんだ。」

「なるほど、エールをヒントにしたわけだな?」

「うん。でも果実水が炭酸に合わないんじゃ、何なら合うんだろうって所で行き詰っている。」

「実際にその炭酸果実水を飲んでみないと意見は出せないな。」

「じゃあ、放課後に何処かで実験する?」

「そうだな、それが良いだろう。家へ来いよ。」

 ザックスがそう言った。

「ん?良いの?」

「ああ、この間はお前んちへ行ったからな。今日はうちを提供するよ。」

「みんなもそれで良い?」

「問題無いよ。」

 と、言う事で放課後にザックスの家に行く事になった。

 授業は相変わらず退屈だ。眠気と戦いながらなんとか過ごす。

 ちなみに学院は給食制度を取り入れている。貴族も平民も同じ物を食べる。昔は貧富の差を感じさせない為の制度であったが現在では平民も美味しい食事を食べているのであまり差はない。

 放課後皆で集まってザックスの家へと向かう。学院は商業地域と貴族街の中間にあるので、ザックスの家もそれほど遠くは無い。20分程で着いた。

 表では無く裏から入り。応接間に通された。

「ここなら多少騒いでも大丈夫だから。」

 ザックスがそんな事を言う。

 それから果実水を人数分持って来た。

「さて、不味いと評判の炭酸果実水をルーイに作って貰いましょう。」

 おいおい、何時から評判になったんだ?

 具現化魔法でパパっと炭酸果実水を作る。

「さあ、皆飲んでみて。」

 皆が一斉に味見をする。

「これは何と言うか辛いな。」

「炭酸の刺激に果実水が負けてる感じですね。」

「果実水が甘く無いのが原因では無いでしょうか?」

「じゃあ、砂糖を入れてみる?」

「試せる事は試してみれば良いと思いますよ。」

 ザックスが砂糖を持って来た。とりあえずスプーンに半分位混ぜてみる。

「飲めない味では無いが、今度は果実の味が飛んでますね。」

「思い切って100%ジュースを炭酸にしてみてはどうでしょう?」

「ザックス、何かジュースになりそうな果実ってある?」

「ああ、ルカの実ならいっぱいあるぞ。庭で取れるから。」

 ルカの実と言うのは桃に似た味のする果物である。

「ルカなら甘みも強いしイケるかもね。」

 空のグラスを一つ借りて、ルカの実の100%ジュースを作り炭酸で割ってみる。

「果実水よりは美味いけど、炭酸が入ると甘みが減るね。」

「じゃあ、砂糖を足してみれば?」

 砂糖を足すとかなり良い感じになるが、何かが違う。

「少し炭酸を弱くしてみましょう。あと温度を下げてみます。」

 若干炭酸を弱目にして、氷魔法で冷やしてみる。

「これは結構イケるんじゃない?」

「良い感じですね。後は100%じゃなくて、丁度良い割合を考えてみれば完成するのではないでしょうか?」

「ちょっと待って。発想を変えてみようよ。」

 マードックが突然言い出した。

「まず、炭酸砂糖水を作って、そこに少しずつジュースを加えて行ったらどうだろう?」

 なるほど、味が薄くなっていくのと濃くなっていくのでは舌の感覚が違うはずだ。それは思いつかなかったな。

 ザックスにピッチャーを借りて炭酸砂糖水を作る。

「あれ?この炭酸砂糖水、意外に美味いぞ。」

「ですね。これをベースにすればどんな果汁でも美味しい物が出来そうです。」

 テストの結果果汁は30%~40%が美味しいと言う事になった。

「試作品1号が出来たな。」

「しかし、これは一つ大きな問題がある。」

「炭酸砂糖水をどうするかだね。」

「そうだ、ルーイの魔法で作った物だからな。実際に手作業で作れなければ意味が無い。」

 ああ、それは考えていなかった。

「うちの父さんが言うには温泉の中には初めから炭酸が含まれた物があるそうだよ。」

「へぇ。自然の炭酸水ってあるんだな。」

「って事は人工の炭酸水も作れるんじゃないかな?」

「この部活の方向性から行けば、この完成品で良いんじゃないかな?後はこれを誰かに見せて、その人が研究すれば良いんじゃない?」

「まあ、確かに経魔部としてはここまでで良いのかもしれないけど、折角美味しい飲み物が出来たのに自分たちが飲めないのはどうよ?」

「ルーイが居るから何時でも飲めるでしょ?」

「ほう?ではシリルは夜中に喉が渇いたらルーイを家に呼ぶのかい?」

 ザックスの言葉にシリルが赤くなっている。

「物凄い単純な話だけどさ、皆が具現化魔法を覚えれば良いんじゃない?」

「む?その発想は無かったな。」

「そもそも具現化魔法ってどう言う魔法なの?」

「無属性魔法の1つなんだけど、簡単に言うと錬金術の魔法版だね。」

「錬金術かぁ。何気に高等技術が出て来たな。」

「まあ、そこまで複雑では無いよ。僕はこの魔法をお料理魔法と呼んでるしね。」

「お料理魔法ですか?」

「そう、料理ってさ、材料を集めて、調理して、完成だよね?それをね。材料から一気に完成品を作るイメージで間を省いた物が具現化魔法だよ。」

「簡単に言うけど、それってかなりの高等魔法なんじゃ無いの?」

「どうなんだろう?僕は10歳くらいから使ってるよ。」

「ルーイの家は普通じゃ無いからな。」

 何気に酷い言われようだ。

「魔法を覚えるより、人工炭酸水を作る方が簡単な気がして来たよ。」

「ですね、その方が、町の皆にも有意義ですし。」

「次の課題はそれにしよう。」

 この日はこれでお開きになった。

 家に帰り。父さんに完成した炭酸ジュースを飲ませてみた。

「ふむ、なかなか良く出来てるじゃないか。やはり1人では難しい事も仲間が居ると違うだろう?」

 ん?なんか、これって父さんが僕にさせようとしている事の答えに近いんじゃないだろうか?

「でもね、炭酸水が人工で作れないと炭酸ジュースは商品にならないんだよね。」

「それは難しい課題だな。炭酸水はクエン酸と重曹を混ぜれば簡単に作れる。だが、重曹の再現は今の化学では難しいだろうな。」

「父さんでも難しいの?」

「魔法を使えば可能だが、手作業では無理だな。」

「でも、自然界に存在している物なんでしょ?」

「まあ、そうだな、炭酸水の湧き出てる場所を探した方が効率的かもしれんな。」

 父さんは何故こんなに詳しいのだろう?ルーイの心に引っ掛かる物がある。

「魔法で作るんじゃ駄目なのか?炭酸水位なら作れる魔法使いは結構いると思うぞ。問題は、炭酸水が商売になると言う事実の方だ。」

「うーん、僕もそんな様な事を言ったんだけどね。皆は手作業で作れないものは商売にならないって言うんだよね。」

「この世界には魔法がある。魔法使いも重要な労働者の一人だと言う事を忘れてはいけないな。全てが手作業になったら失業する魔法使いも出て来るぞ。」

「解った、明日にでも皆に説明してみるよ。」

「それが良い。魔法はツールだ。上手に使う事で作業が楽になる。それは悪い事では無い。」

 こういう考え方はこの世界の人間より、ルーイの前世の人達に近い気がする。一体この父親は、どう言う人なのだろう?

 翌朝、皆が集まった所で、父さんが言ってたことを話す。勢い込んでいた皆は出鼻をくじかれた様で落胆の色が隠せない。

「まあ、そう言う事だから、次の目標を新たに考えようよ。」

「なんだか、理不尽さを感じるのは俺だけかな?」

「でも、魔法職も同じように生活しているって言うのは賛同出来るわ。実際彼等のおかげで色々と助かっているのも間違ってないと思うし。」

「そうだね、そして、僕たちはその魔法使いを目指してこの学院に来ているって言う事も忘れないようにね。」

「確かに。」 
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