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第百四十五話
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リバーシの売り上げは思った以上に伸びている。1か月もすれば落ち着くと思って居たのだが、未だに毎日売り切れ状態が続いている。
どうやら旅商人が王国中に広めている様だ。王国全土をカバーするには100万セットは必要になるだろう。
リュートは製品を売るのではなく、特定の町の販売権利と設計図を売ると言う方針を取った。これは商業ギルドのみならず他の商会にも大きな衝撃を与えた。
この国では、こう言った権利の売買は今まで行われて居なかった様だ。
リュートは王都を含めた主要都市4つの大商会に自ら赴き、リバーシの販売権利と設計図を販売して来た。これにより、地方への普及も早くなるだろう。
まあ、単純にこれ以上毎日リバーシを作り続けるのが面倒だったと言う理由もあるのだが。
もう一つ理由がある。リバーシが受け入れられたのでボードゲーム第二弾として将棋を投入するつもりだ。既に試作品は出来ている。
これもルーイを通じて学院から広めて行く予定だ。リバーシよりもルールが複雑なので、今は毎日ルーイと1時間指しながら教えている。ルーイがある程度強くなったら学院へ持って行かせる予定だ。
将棋についてはある程度余裕を持って木工職人にも発注をかけた。1000セットを2か月で作る様に頼んである。駒に書く文字はこの世界の物にして、この世界の人間でもわかり易い様に若干変えてある。
また、安価なチョコ菓子も完成した。具現化魔法のお陰でカカオの含有量を減らしてもチョコの味がする物が出来た。これをビスケットにコーティングする事で更にコストを下げている。5個1パックにして銅貨1枚で販売を開始した所飛ぶ様に売れている。
チョコレート工場も大幅に拡大し、人手も増やした。いずれはここも独立させるつもりだ。今は、手作業でチョコ菓子が作れる様指導中だ。
紅茶工場とコーヒー工場は、茶葉とコーヒー豆の収穫がリュートだのみなので未だ独立できない。お茶の木とコーヒーの木を町の外れに持って来て栽培しているのだが、まだ、全体の半分以下しか収穫量が無い。町で全部を賄えるようになったら独立させようと考えている。
色々な場所から様々な植物を持って来るため。リュートはかなりの土地持ちになっている。米と砂糖大根は独立させたから良いが、下手をすれば領都の畑の半分がリュートの物と言う事態もあり得た。
ちょっとリュートの元へ金が集まり過ぎている。これは不味いと考え、牧場を手放し、商業ギルドの管轄にした。これにより、安価なミルク、卵、バター、チーズ等が、一般庶民にも普及する様になっている。
また、酒造部門の焼酎も、分離して独立させた。ウイスキーも独立させようかと考えたのだが、まだ、寝かせているウイスキーが日の目を見て無いので、それが完成してから独立させるつもりだ。
また、新たにラガーを作る部門を設立した。完成すればエールにとって代わる可能性もある部門なので慎重に事を進めている。
現在リュートの直属で働いている人たちが300名ほど居る。そして、独立した部門の雇用者が500人を超えた。
実質この町はリュートが作り出した雇用により、他の街より遥かに裕福になっている。また、領主に譲り渡した砂糖産業も今では500人規模の産業になっており、領都サームは一時的なバブルに沸いている。
このバブルは他の商会にも波及し、食以外の物の売れ行きも上がっているので、今の所リュートに文句を言う者は居ない。
今回のリバーシにしても、誰も扱って居ない娯楽と言う部門なので問題になっていないが、リュートが新しい部門に手を出した事で、何時か自分の商会が脅かされるのではと危機感を持つ商人も僅かではあるが出て来た。
リュートは新しい技術を完成させれば公開している。これは既存の食堂などが、潰れない為の措置である。また、完成しない場合は、販売と言う方法で誰でも手にする機会を与えている。あえて特許を取っていない商品も多い。
醸造に関しては麹菌の問題でリュートの手を放す訳には行かない部分もあるのだが、職人がある程度の知識と経験を積めば独立も許可している。
実はリュートは納豆も商品化したいと考えているのだが、納豆菌が麹菌を殺してしまう為、今の所は我慢している。
また、日本酒については大吟醸の制作に成功した。これで一応の目的は達したので近い内に日本酒部門も独立するだろう。
色々と独立させてきたリュートだが、未だに甘味部門は全てが未完成である。小豆の栽培は農家に一任しているが、その先の製品に関してはまだ満足のいく物が出来ていない。
この世界では甘味が珍しい為、甘味の職人が居ないので育てる所から始めないとイケない。饅頭や大福は近所のおばさんレベルでも作れるが、チョコレートとなると専門の職人が必要だ。
また、ルーイに課した課題でもあるソフトドリンクであるが。サイダーの再現は魔法で出来たが、コーラに関しては香料が無い為難しい。色はカラメル色素なので再現出来た。具現化魔法が使える様になったので、今度は香料の調合に挑戦してみるつもりだ。
また、アイスクリームに関しては家族でしか食べていない。これは製法は難しく無いのだが、保存が難しいのだ。この世界には氷魔法を使える人間が少なすぎる。
マジックバッグと言う手もあるのだが、昔の様にマジックバッグを量産するのは不味いだろうと考えている。
現在、リュートが経営する喫茶店では試験的にケーキ類とプリン、サンドウィッチ等を出している。サンドウィッチは真似するパン屋が出て来たので良いのだが、やはり甘味は真似するところが出て来ない。ここにアイスクリームを投入するのは他の喫茶店との格差が大きくなり過ぎるだろう。
屋台村に関しては、リュートは殆ど関わっていない。今ではラーメンを始め、串焼き、ホットドッグ、ピザ等様々な屋台が集まっているが、場所を提供したり屋台の並びを考えたりするのは人に任せている。リュートが関わっているのはその中の1つの屋台を甘味の試作品売り場に利用しているだけだ。
あ、話は変わるが、彼氏の居ないミントにお見合いをさせた。見合いと言っても堅苦しい物では無く、喫茶店で、俺とエリシアが立会いの下、男性を紹介しただけだ。ミントは終始顔を真っ赤にしてうつ向いていたが、相手の男性はミントの事を知ってる人物なので、問題無くお見合いは終わった。
お互い彼氏彼女が居ないので暫くお互いを知る為に付き合ってみると双方が納得したので、今はそっと見守っている。時々エリシアがミントに何か助言しているのが気になるがまあ、良いだろう。
男性の方はAランクの冒険者でそれなりの資産もあるので、結婚してもミントの負担は少ないだろう。俺は、ミントは俺の妹みたいな物だから泣かせたらただじゃ置かないと、軽く脅してみたが、相手の男性はミントさんは俺が守りますと躊躇せずに答えたので、結構評価している。あとはミント次第だが、なんとなく上手くいく気がする。
『暁の乙女』は3人共彼氏持ちになったが相変わらず週に2回の狩りは行っている様だ。しかし、それ以外は自由行動らしいので、結婚も近いのかもしれない。
そう言えば、最近ミント達が家に来る頻度が下がった気がする。
食堂は相変わらず繁盛している。新作料理も定期的に投入しているので、最近は他の食堂の店主達までが偵察がてら食べに来る。最近のヒットはソース焼きそばだろう。ウスターソースは既に完成していたのだが、キャベツが無いので色々研究した結果、もやしとニラの様な野菜を使う事で完成した。青のりと紅ショウガも再現した。
ソース焼きそばはあっという間に広まり。各食堂でも扱う様になった。
それから、海老天を使った天丼を出してみた。かなり評判は良いのだが、エビがこの町では手に入らないので真似する店はまだ無い。海鮮を扱う店はまだ準備中で近い内にミックスフライやエビ天丼が、他の食堂のメニューに加わるだろう。
海鮮の輸送は、以前邪神の子と戦った時に作った空気のあるマジックバッグで可能になる。まあ活〆でも味はたいして変わらないんだけど、生きてる方が新鮮に見えるだろうと言う考えだ。
店は既に押さえてあるのだが、店を任せる者がまだ、海鮮の扱いに慣れていない。魚がある程度捌けるようになったら店を開くつもりだ。
海鮮が普及したら海鮮に合う調味料も作らないとね。
どうやら旅商人が王国中に広めている様だ。王国全土をカバーするには100万セットは必要になるだろう。
リュートは製品を売るのではなく、特定の町の販売権利と設計図を売ると言う方針を取った。これは商業ギルドのみならず他の商会にも大きな衝撃を与えた。
この国では、こう言った権利の売買は今まで行われて居なかった様だ。
リュートは王都を含めた主要都市4つの大商会に自ら赴き、リバーシの販売権利と設計図を販売して来た。これにより、地方への普及も早くなるだろう。
まあ、単純にこれ以上毎日リバーシを作り続けるのが面倒だったと言う理由もあるのだが。
もう一つ理由がある。リバーシが受け入れられたのでボードゲーム第二弾として将棋を投入するつもりだ。既に試作品は出来ている。
これもルーイを通じて学院から広めて行く予定だ。リバーシよりもルールが複雑なので、今は毎日ルーイと1時間指しながら教えている。ルーイがある程度強くなったら学院へ持って行かせる予定だ。
将棋についてはある程度余裕を持って木工職人にも発注をかけた。1000セットを2か月で作る様に頼んである。駒に書く文字はこの世界の物にして、この世界の人間でもわかり易い様に若干変えてある。
また、安価なチョコ菓子も完成した。具現化魔法のお陰でカカオの含有量を減らしてもチョコの味がする物が出来た。これをビスケットにコーティングする事で更にコストを下げている。5個1パックにして銅貨1枚で販売を開始した所飛ぶ様に売れている。
チョコレート工場も大幅に拡大し、人手も増やした。いずれはここも独立させるつもりだ。今は、手作業でチョコ菓子が作れる様指導中だ。
紅茶工場とコーヒー工場は、茶葉とコーヒー豆の収穫がリュートだのみなので未だ独立できない。お茶の木とコーヒーの木を町の外れに持って来て栽培しているのだが、まだ、全体の半分以下しか収穫量が無い。町で全部を賄えるようになったら独立させようと考えている。
色々な場所から様々な植物を持って来るため。リュートはかなりの土地持ちになっている。米と砂糖大根は独立させたから良いが、下手をすれば領都の畑の半分がリュートの物と言う事態もあり得た。
ちょっとリュートの元へ金が集まり過ぎている。これは不味いと考え、牧場を手放し、商業ギルドの管轄にした。これにより、安価なミルク、卵、バター、チーズ等が、一般庶民にも普及する様になっている。
また、酒造部門の焼酎も、分離して独立させた。ウイスキーも独立させようかと考えたのだが、まだ、寝かせているウイスキーが日の目を見て無いので、それが完成してから独立させるつもりだ。
また、新たにラガーを作る部門を設立した。完成すればエールにとって代わる可能性もある部門なので慎重に事を進めている。
現在リュートの直属で働いている人たちが300名ほど居る。そして、独立した部門の雇用者が500人を超えた。
実質この町はリュートが作り出した雇用により、他の街より遥かに裕福になっている。また、領主に譲り渡した砂糖産業も今では500人規模の産業になっており、領都サームは一時的なバブルに沸いている。
このバブルは他の商会にも波及し、食以外の物の売れ行きも上がっているので、今の所リュートに文句を言う者は居ない。
今回のリバーシにしても、誰も扱って居ない娯楽と言う部門なので問題になっていないが、リュートが新しい部門に手を出した事で、何時か自分の商会が脅かされるのではと危機感を持つ商人も僅かではあるが出て来た。
リュートは新しい技術を完成させれば公開している。これは既存の食堂などが、潰れない為の措置である。また、完成しない場合は、販売と言う方法で誰でも手にする機会を与えている。あえて特許を取っていない商品も多い。
醸造に関しては麹菌の問題でリュートの手を放す訳には行かない部分もあるのだが、職人がある程度の知識と経験を積めば独立も許可している。
実はリュートは納豆も商品化したいと考えているのだが、納豆菌が麹菌を殺してしまう為、今の所は我慢している。
また、日本酒については大吟醸の制作に成功した。これで一応の目的は達したので近い内に日本酒部門も独立するだろう。
色々と独立させてきたリュートだが、未だに甘味部門は全てが未完成である。小豆の栽培は農家に一任しているが、その先の製品に関してはまだ満足のいく物が出来ていない。
この世界では甘味が珍しい為、甘味の職人が居ないので育てる所から始めないとイケない。饅頭や大福は近所のおばさんレベルでも作れるが、チョコレートとなると専門の職人が必要だ。
また、ルーイに課した課題でもあるソフトドリンクであるが。サイダーの再現は魔法で出来たが、コーラに関しては香料が無い為難しい。色はカラメル色素なので再現出来た。具現化魔法が使える様になったので、今度は香料の調合に挑戦してみるつもりだ。
また、アイスクリームに関しては家族でしか食べていない。これは製法は難しく無いのだが、保存が難しいのだ。この世界には氷魔法を使える人間が少なすぎる。
マジックバッグと言う手もあるのだが、昔の様にマジックバッグを量産するのは不味いだろうと考えている。
現在、リュートが経営する喫茶店では試験的にケーキ類とプリン、サンドウィッチ等を出している。サンドウィッチは真似するパン屋が出て来たので良いのだが、やはり甘味は真似するところが出て来ない。ここにアイスクリームを投入するのは他の喫茶店との格差が大きくなり過ぎるだろう。
屋台村に関しては、リュートは殆ど関わっていない。今ではラーメンを始め、串焼き、ホットドッグ、ピザ等様々な屋台が集まっているが、場所を提供したり屋台の並びを考えたりするのは人に任せている。リュートが関わっているのはその中の1つの屋台を甘味の試作品売り場に利用しているだけだ。
あ、話は変わるが、彼氏の居ないミントにお見合いをさせた。見合いと言っても堅苦しい物では無く、喫茶店で、俺とエリシアが立会いの下、男性を紹介しただけだ。ミントは終始顔を真っ赤にしてうつ向いていたが、相手の男性はミントの事を知ってる人物なので、問題無くお見合いは終わった。
お互い彼氏彼女が居ないので暫くお互いを知る為に付き合ってみると双方が納得したので、今はそっと見守っている。時々エリシアがミントに何か助言しているのが気になるがまあ、良いだろう。
男性の方はAランクの冒険者でそれなりの資産もあるので、結婚してもミントの負担は少ないだろう。俺は、ミントは俺の妹みたいな物だから泣かせたらただじゃ置かないと、軽く脅してみたが、相手の男性はミントさんは俺が守りますと躊躇せずに答えたので、結構評価している。あとはミント次第だが、なんとなく上手くいく気がする。
『暁の乙女』は3人共彼氏持ちになったが相変わらず週に2回の狩りは行っている様だ。しかし、それ以外は自由行動らしいので、結婚も近いのかもしれない。
そう言えば、最近ミント達が家に来る頻度が下がった気がする。
食堂は相変わらず繁盛している。新作料理も定期的に投入しているので、最近は他の食堂の店主達までが偵察がてら食べに来る。最近のヒットはソース焼きそばだろう。ウスターソースは既に完成していたのだが、キャベツが無いので色々研究した結果、もやしとニラの様な野菜を使う事で完成した。青のりと紅ショウガも再現した。
ソース焼きそばはあっという間に広まり。各食堂でも扱う様になった。
それから、海老天を使った天丼を出してみた。かなり評判は良いのだが、エビがこの町では手に入らないので真似する店はまだ無い。海鮮を扱う店はまだ準備中で近い内にミックスフライやエビ天丼が、他の食堂のメニューに加わるだろう。
海鮮の輸送は、以前邪神の子と戦った時に作った空気のあるマジックバッグで可能になる。まあ活〆でも味はたいして変わらないんだけど、生きてる方が新鮮に見えるだろうと言う考えだ。
店は既に押さえてあるのだが、店を任せる者がまだ、海鮮の扱いに慣れていない。魚がある程度捌けるようになったら店を開くつもりだ。
海鮮が普及したら海鮮に合う調味料も作らないとね。
応援ありがとうございます!
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