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46.追放テイマーと魔王城の朝
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勇者新聞を読んだ次の日。
えーと、つまり。
勇者様の残念な暴走を知ってしまった翌日の朝なんだけど。
私は頭を抱えたまま、いつものように魔王城に来ていた。
天井にはキラキラ光る豪華なシャンデリア。
大理石の床の上には赤い絨毯。
私の立っているところは段になっていて、金色に装飾された豪華な椅子が二つ置かれいてる。
さすが魔王の玉座の間だよね。
グランデル王国のお城に負けないくらい……ううん、それより豪華だと思う。
「主様と魔王様に朝の挨拶でござる! おはようございます!」
美しく広い空間に、大きな声が響き渡る。
玉座の横の当番表には、『日直:土の魔性ドルドルト』の文字。
目の前に整列していた近衛兵と宮廷魔術師、側近の人達が一斉に頭を下げる。
「「「おはようございます、主様、魔王様!!」」」
この日直っていうのは、朝会の司会希望者が多かったから順番にしたんだって。
なんだか前世の学校みたい。
校長先生の話とかあったよね、懐かしいな。
いつもは和やかな朝のミーティングなんだけど、今日はみんな真剣な顔をしている。
そうだよね。
王国軍と勇者様が、このフォルト村にいつ攻めてくるかわからないんだから。
「おはよう、諸君。今日は皆から主様へ報告があると聞いているぞ」
「はっ。代表して私が読み上げさせていただきます!」
魔王シャルル様の言葉に、側近の一人が立ち上がる。
「お願いします!」
側近のお辞儀に合わせて、私もあわてて頭を下げる。
いよいよ。
魔王軍の本格的な会議が始まるのね。
ぎゅっと握りしめた手に力がはいる。
「皆が徹夜で考えた……」
「ええ!」
「主様をたたえる歌を聞いていただけないでしょうか!」
……。
…………。
ハイ?
今なんて言ったの?
「うむ、我も聞いてみたいぞ。早速頼む」
「はっ、お任せくだされ。皆のもの、準備は良いな!」
近衛兵と魔術師たちが四つに分かれて整列をはじめる。
えーと。
ソプラノ、アルト、テノール、バスなのかな、これ。
「僭越ながら、拙者が指揮をおこなうでござるよ」
「うふふ、私がピアノを担当するわ」
四天王の二人が、満面の笑顔を私に向けてくる。
「それでは、聞いて欲しいでござるよ。『カワイイは正義! 我らが魔王城の主様!』」
「ちょっと待って、ストップ!」
私は両手を広げて制止する。
「どうしたでござるか、タイトルがいけなかったでござる?」
「だから言ったじゃないの! 『スーパーヒロイン、ショコラちゃん』がいいって!」
水の魔性メルクルさんが、ピアノに座ったまま楽譜を投げつけた。
「待つでござる! これは多数決で決めた事でござるからして」
「いや、ここやっぱりオレの『絶対美少女 ショコラ様』で!」
「私の『魔王を倒せし麗しの乙女、その名も主様』がいいに決まってるわ!」
「いやいや、『魔王城のアイドル、主様と一緒に』これだろ!」
みんなが次々にタイトルを叫び始めた。
なにこれ。
今はそれどころじゃないはずなのに。
「歌は今度ゆっくり聞かせてくださいね。でも今は勇者と王国軍の事を考えないと!」
私の言葉に、玉座の間が静まり返った。
……え。
……なんだか今度はすすり泣きみたいなのが聞こえてくるんだけど。
「なんと、今度ゆっくり聞いていただけるとは!」
「お優しい心遣い、心から感動しました!」
「主様、もう最高っす!!」
うわ、なんだろうこれ。
でも私の為に作ってくれたんだもんね。
ちゃんと聞かないとダメだよね。
「ショコラ……さん。そこは心配しなくて平気だよ。我々が人間の勇者に後れをとることはないから」
「こほんっ、魔王様、言葉遣い!」
「わははは、心配せずとも平気だぞ、主様。人間の勇者ごとき、なんともないわ!」
メルクルさんの視線で、ピシッと姿勢を正す魔王様。
なんだか……やっぱり。
カワイイ気がする。
「その通りですぞ、主様! 我ら魔王軍におまかせくだされ!」
「よし、いつものあれ、いくぞ!」
「おー!」
「わはっはー、わはっはー、俺たち魔王軍! はっ!」
「さぁ、主様もご一緒に踊るでござるよ!!」
「わはっはー、わはっはー、俺たち魔王軍! はっ!」
勇者様も王国軍も迫ってきてるのに。
ホントにこんな感じで大丈夫なのかなぁ。
**********
魔王城の朝礼が終わった後、私と魔王シャルル様は、長い廊下を二人で歩いていた。
朝の会議って、あれでよかったのかな。
なんていうか。
いつも通り……だったけど。
「やっぱり勇者新聞の記事が気になるの?」
魔王様は、ふと立ち止まると私の顔をのぞき込んできた。
優しい瞳が私に近づいてくる。
だから、その距離もその顔も反則だってば!
私は慌てて両手を顔の前に差し出した。
「あはは。そうですね。勇者様、強いですから」
「大丈夫だって。いざとなったら、オレが……守るからさ」
シャルル様は、顔を赤くして自分の口元を押さえた。
なにこれ。
魔王様って、絶対カワイイ属性だよね。
もう。こっちもつられて照れちゃうんだけど……。
「あ、そうだ。新聞! 魔王領内でも勇者新聞って読めるんですね」
私は慌てて、別の話題に切り替えてみた。
勇者新聞って、その名前の通り、勇者様の活動がメイン記事になっている。
敵対する魔王軍が読んでるのって意外なんだよね。
「ああ、それは占領地でも希望がおおかったからね」
「勇者様の記事ですよ?」
「みんなさ、それ以外の記事が楽しみなんだよ。ファッションとかアイドル情報とかさ」
勇者新聞なのに、勇者以外の記事が人気って……。
でも考えてみたら。
あの新聞って、いろんな情報が載ってて楽しいんだよね。
フォルト村の流行って、全部あの新聞の影響だもん。
「魔王様も、好きな記事とかあるんですか?」
「……ある」
ふーん。
魔王様も読んでるんだ。
魔王が勇者新聞を読むとか、なんだかシュールでおかしいけど。
「やっぱりオシャレ記事とかです?」
「いや……」
魔王様は小さな声でつぶやいた。
「今週の占い。……アレが当たるんだよ……」
魔界を率いてる魔王様が占い?
ビックリして彼を見ると、真っ赤な顔をさらに真っ赤にしてうつむいていた。
「ちなみに、今週はどうだったんですか?」
「今週は……好きな人に告白のチャンス……だったんだ」
うーん。
やっぱりカワイイ。
「好きな人に告白ですか。うん、私も応援しますね!」
こんなにイケメンで優しくて、しかもカワイイんだもん。
おまけに魔王だし。
想いが届くといいな。
えーと、つまり。
勇者様の残念な暴走を知ってしまった翌日の朝なんだけど。
私は頭を抱えたまま、いつものように魔王城に来ていた。
天井にはキラキラ光る豪華なシャンデリア。
大理石の床の上には赤い絨毯。
私の立っているところは段になっていて、金色に装飾された豪華な椅子が二つ置かれいてる。
さすが魔王の玉座の間だよね。
グランデル王国のお城に負けないくらい……ううん、それより豪華だと思う。
「主様と魔王様に朝の挨拶でござる! おはようございます!」
美しく広い空間に、大きな声が響き渡る。
玉座の横の当番表には、『日直:土の魔性ドルドルト』の文字。
目の前に整列していた近衛兵と宮廷魔術師、側近の人達が一斉に頭を下げる。
「「「おはようございます、主様、魔王様!!」」」
この日直っていうのは、朝会の司会希望者が多かったから順番にしたんだって。
なんだか前世の学校みたい。
校長先生の話とかあったよね、懐かしいな。
いつもは和やかな朝のミーティングなんだけど、今日はみんな真剣な顔をしている。
そうだよね。
王国軍と勇者様が、このフォルト村にいつ攻めてくるかわからないんだから。
「おはよう、諸君。今日は皆から主様へ報告があると聞いているぞ」
「はっ。代表して私が読み上げさせていただきます!」
魔王シャルル様の言葉に、側近の一人が立ち上がる。
「お願いします!」
側近のお辞儀に合わせて、私もあわてて頭を下げる。
いよいよ。
魔王軍の本格的な会議が始まるのね。
ぎゅっと握りしめた手に力がはいる。
「皆が徹夜で考えた……」
「ええ!」
「主様をたたえる歌を聞いていただけないでしょうか!」
……。
…………。
ハイ?
今なんて言ったの?
「うむ、我も聞いてみたいぞ。早速頼む」
「はっ、お任せくだされ。皆のもの、準備は良いな!」
近衛兵と魔術師たちが四つに分かれて整列をはじめる。
えーと。
ソプラノ、アルト、テノール、バスなのかな、これ。
「僭越ながら、拙者が指揮をおこなうでござるよ」
「うふふ、私がピアノを担当するわ」
四天王の二人が、満面の笑顔を私に向けてくる。
「それでは、聞いて欲しいでござるよ。『カワイイは正義! 我らが魔王城の主様!』」
「ちょっと待って、ストップ!」
私は両手を広げて制止する。
「どうしたでござるか、タイトルがいけなかったでござる?」
「だから言ったじゃないの! 『スーパーヒロイン、ショコラちゃん』がいいって!」
水の魔性メルクルさんが、ピアノに座ったまま楽譜を投げつけた。
「待つでござる! これは多数決で決めた事でござるからして」
「いや、ここやっぱりオレの『絶対美少女 ショコラ様』で!」
「私の『魔王を倒せし麗しの乙女、その名も主様』がいいに決まってるわ!」
「いやいや、『魔王城のアイドル、主様と一緒に』これだろ!」
みんなが次々にタイトルを叫び始めた。
なにこれ。
今はそれどころじゃないはずなのに。
「歌は今度ゆっくり聞かせてくださいね。でも今は勇者と王国軍の事を考えないと!」
私の言葉に、玉座の間が静まり返った。
……え。
……なんだか今度はすすり泣きみたいなのが聞こえてくるんだけど。
「なんと、今度ゆっくり聞いていただけるとは!」
「お優しい心遣い、心から感動しました!」
「主様、もう最高っす!!」
うわ、なんだろうこれ。
でも私の為に作ってくれたんだもんね。
ちゃんと聞かないとダメだよね。
「ショコラ……さん。そこは心配しなくて平気だよ。我々が人間の勇者に後れをとることはないから」
「こほんっ、魔王様、言葉遣い!」
「わははは、心配せずとも平気だぞ、主様。人間の勇者ごとき、なんともないわ!」
メルクルさんの視線で、ピシッと姿勢を正す魔王様。
なんだか……やっぱり。
カワイイ気がする。
「その通りですぞ、主様! 我ら魔王軍におまかせくだされ!」
「よし、いつものあれ、いくぞ!」
「おー!」
「わはっはー、わはっはー、俺たち魔王軍! はっ!」
「さぁ、主様もご一緒に踊るでござるよ!!」
「わはっはー、わはっはー、俺たち魔王軍! はっ!」
勇者様も王国軍も迫ってきてるのに。
ホントにこんな感じで大丈夫なのかなぁ。
**********
魔王城の朝礼が終わった後、私と魔王シャルル様は、長い廊下を二人で歩いていた。
朝の会議って、あれでよかったのかな。
なんていうか。
いつも通り……だったけど。
「やっぱり勇者新聞の記事が気になるの?」
魔王様は、ふと立ち止まると私の顔をのぞき込んできた。
優しい瞳が私に近づいてくる。
だから、その距離もその顔も反則だってば!
私は慌てて両手を顔の前に差し出した。
「あはは。そうですね。勇者様、強いですから」
「大丈夫だって。いざとなったら、オレが……守るからさ」
シャルル様は、顔を赤くして自分の口元を押さえた。
なにこれ。
魔王様って、絶対カワイイ属性だよね。
もう。こっちもつられて照れちゃうんだけど……。
「あ、そうだ。新聞! 魔王領内でも勇者新聞って読めるんですね」
私は慌てて、別の話題に切り替えてみた。
勇者新聞って、その名前の通り、勇者様の活動がメイン記事になっている。
敵対する魔王軍が読んでるのって意外なんだよね。
「ああ、それは占領地でも希望がおおかったからね」
「勇者様の記事ですよ?」
「みんなさ、それ以外の記事が楽しみなんだよ。ファッションとかアイドル情報とかさ」
勇者新聞なのに、勇者以外の記事が人気って……。
でも考えてみたら。
あの新聞って、いろんな情報が載ってて楽しいんだよね。
フォルト村の流行って、全部あの新聞の影響だもん。
「魔王様も、好きな記事とかあるんですか?」
「……ある」
ふーん。
魔王様も読んでるんだ。
魔王が勇者新聞を読むとか、なんだかシュールでおかしいけど。
「やっぱりオシャレ記事とかです?」
「いや……」
魔王様は小さな声でつぶやいた。
「今週の占い。……アレが当たるんだよ……」
魔界を率いてる魔王様が占い?
ビックリして彼を見ると、真っ赤な顔をさらに真っ赤にしてうつむいていた。
「ちなみに、今週はどうだったんですか?」
「今週は……好きな人に告白のチャンス……だったんだ」
うーん。
やっぱりカワイイ。
「好きな人に告白ですか。うん、私も応援しますね!」
こんなにイケメンで優しくて、しかもカワイイんだもん。
おまけに魔王だし。
想いが届くといいな。
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