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27.優しい家族達
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「そうだな。鑑定が行える者は全て私が把握している。シャヴァネル公爵家に派遣したのは間違いなく1人だ」
「なら、魅了は1人だけというのは嘘で、しばらくするとまた魅了魔法が使用出来たりするのではないか?」
「なら、どうして僕の鑑定で分からなかったんでしょう」
「むう……あまり現実的ではないな……」
「あとは……考えられるのは魔法を使った記憶を消したから再び魔法が使えるようになった。くらいでしょうか?」
「そんな事あるか?」
「分かりません。ですが、カティの時戻りの魔法も、俺の性転換の魔法も教えて貰えなければ使えません。なら、使った記憶を消せばまた使える可能性はないでしょうか? 鑑定したのは、ルイーズ様の記憶を消す前なのでしょう?」
「そう……だな」
「分かった。念のため僕がもう一度ルイーズを鑑定するよ。少なくともルイーズが今現在魅了を使えるのかは確認した方が良い。あと、出来るか分からないけどクリストフ様もこっそり鑑定しておくね。魅了にかかったか、分かれば良いんだけど……僕じゃ分からないだろうな」
「状態まで鑑定出来る者の手配は早急にする。だが、まずはローランが鑑定してくれ。魔法を使った記憶がなくなり再び魔法が使えるようになる……か、あり得なくはないが、回数制限のある特殊魔法を持つ者自体が少ないからな。確かめようがない」
お父様が、ボソリと呟きました。
「あの! ならわたくしの記憶を消してみて時戻りの魔法が使えるようになるか試してみたらどうかしら?」
「無理だ。記憶を消せるのはせいぜい1日だけだからな」
そうか……それなら、もう無理ね。
「それに、姉さんはもう時戻りの魔法に縛られるべきじゃない。また時が戻せるとなれば、何度でも姉さんの記憶を消して時を戻せてしまう。出来るとなれば、為政者である父上や兄上は姉さんを利用せざるを得なくなる」
「そうだ。カトリーヌは充分役目を果たした。あとは、我々の仕事だ」
「それに、リュカと婚約した事も忘れちゃうよ」
弟達と、お兄様が口々に言います。
「記憶を消してもまたリュカを好きになりそうだけど、忘れちゃうのはリュカが寂しいと思うわよ」
お姉様が、わたくしを抱きしめながら言いました。
「そうよ! 絶対にカトリーヌは幸せになって」
お義姉様も、同じように抱きしめて下さいました。
「魔法を封じられる者を呼び出すには馬車で1週間程はかかる。急がせてはいるのだがすぐ来てくれるかも怪しい」
「父上、私が迎えに行きます。身体強化と風魔法を使えば、馬よりも早く走れます。丸一日使っても切れない程度の魔力はあります。野営も出来ますから、使いを出すよりも早いです」
「クレマンが動けば格段に早いだろうが……仕事は問題ないか?」
「はい、カトリーヌの婚約者候補を見定めるために1週間程は私が居なくても回るように調整しておりました。ですから、今なら動けます」
「ならば、頼む」
「お任せ下さい。それに、私は城に居ない方が良いでしょう。万が一ルイーズの魅了魔法がまだあるのなら、私は魅了されてはいけない人物の筆頭でしょうから」
「そうだな。では、明日の朝すぐ出発してくれ」
「いえ、1分でも早い方が良いです。今から出ます。カトリーヌ、待っていろ。すぐに安心させてやるからな」
そう言うと、お兄様はわたくしを抱きしめてから、お義姉様にキスをしてすぐに部屋を出て行ってしまった。
「風のように出て行ったわね。誰を迎えに行くか知っているの?」
「うむ。伝えてあるから問題ない。面識もあるから揉める事もあるまい。貴重な能力だから、誰を呼ぶかは皆に言えぬがな」
「そうね。お母様も知らないんでしょう? わたくしも嫁いだから知る訳にいかないし、あとはお兄様に任せましょう」
「……実は、リュカは知っておるのだ。だが、カトリーヌにも言ってはならぬぞ」
「心得ております」
「じゃあ、ひとまずルイーズをどうにか鑑定しましょう」
「分かりました。父上、姉さん、リュカをお借りして宜しいですか? ルイーズはまだ城に居ますよね?」
「うむ。クリストフ様が廊下でルイーズを口説いて部屋に招き入れたそうだ」
「挨拶と称して、クリストフ様の部屋に行きましょう。確か、お土産をお渡しする予定でしたよね? それを持って行きましょう。今ならギリギリ訪問しても失礼にならない時間です。急ぎましょう。リュカは、侍女に化けて付いて来て。試したい事があるんだ」
「承知しました」
「姉さんは、ルイーズやクリストフ様と会わない方がいいから来ないでね」
「分かったわ」
「僕、ちょっと気になってる事があるんだ。ねぇリュカ、ちょっとだけ実験させて」
そう言って、弟はじっとわたくしを見つめます。何をしているのでしょうか?
「リュカ、姉さんに触れて」
「承知しました」
リュカがわたくしの手を握ると、弟は嬉しそうに微笑みました。
「よし! これならいけるかも! 姉さんを鑑定してたんだけど、リュカが姉さんに触れた瞬間に鑑定出来なくなったよ。兄上がリュカが触れたせいで身体強化が解除されたって騒いでたから、もしかしたらいけるかもと思ってたんだ。父上、記憶を消せる魔法使いは城に常駐しておりますよね?」
「うむ。しておるぞ」
「誰でも良いから、記憶を消した後にリュカが触れて記憶が戻るか実験して下さい。うまくいくなら、多分ですけど……リュカが触れるだけで魅了は解けます」
「なるほど。すぐにやってみよう」
「なら、魅了は1人だけというのは嘘で、しばらくするとまた魅了魔法が使用出来たりするのではないか?」
「なら、どうして僕の鑑定で分からなかったんでしょう」
「むう……あまり現実的ではないな……」
「あとは……考えられるのは魔法を使った記憶を消したから再び魔法が使えるようになった。くらいでしょうか?」
「そんな事あるか?」
「分かりません。ですが、カティの時戻りの魔法も、俺の性転換の魔法も教えて貰えなければ使えません。なら、使った記憶を消せばまた使える可能性はないでしょうか? 鑑定したのは、ルイーズ様の記憶を消す前なのでしょう?」
「そう……だな」
「分かった。念のため僕がもう一度ルイーズを鑑定するよ。少なくともルイーズが今現在魅了を使えるのかは確認した方が良い。あと、出来るか分からないけどクリストフ様もこっそり鑑定しておくね。魅了にかかったか、分かれば良いんだけど……僕じゃ分からないだろうな」
「状態まで鑑定出来る者の手配は早急にする。だが、まずはローランが鑑定してくれ。魔法を使った記憶がなくなり再び魔法が使えるようになる……か、あり得なくはないが、回数制限のある特殊魔法を持つ者自体が少ないからな。確かめようがない」
お父様が、ボソリと呟きました。
「あの! ならわたくしの記憶を消してみて時戻りの魔法が使えるようになるか試してみたらどうかしら?」
「無理だ。記憶を消せるのはせいぜい1日だけだからな」
そうか……それなら、もう無理ね。
「それに、姉さんはもう時戻りの魔法に縛られるべきじゃない。また時が戻せるとなれば、何度でも姉さんの記憶を消して時を戻せてしまう。出来るとなれば、為政者である父上や兄上は姉さんを利用せざるを得なくなる」
「そうだ。カトリーヌは充分役目を果たした。あとは、我々の仕事だ」
「それに、リュカと婚約した事も忘れちゃうよ」
弟達と、お兄様が口々に言います。
「記憶を消してもまたリュカを好きになりそうだけど、忘れちゃうのはリュカが寂しいと思うわよ」
お姉様が、わたくしを抱きしめながら言いました。
「そうよ! 絶対にカトリーヌは幸せになって」
お義姉様も、同じように抱きしめて下さいました。
「魔法を封じられる者を呼び出すには馬車で1週間程はかかる。急がせてはいるのだがすぐ来てくれるかも怪しい」
「父上、私が迎えに行きます。身体強化と風魔法を使えば、馬よりも早く走れます。丸一日使っても切れない程度の魔力はあります。野営も出来ますから、使いを出すよりも早いです」
「クレマンが動けば格段に早いだろうが……仕事は問題ないか?」
「はい、カトリーヌの婚約者候補を見定めるために1週間程は私が居なくても回るように調整しておりました。ですから、今なら動けます」
「ならば、頼む」
「お任せ下さい。それに、私は城に居ない方が良いでしょう。万が一ルイーズの魅了魔法がまだあるのなら、私は魅了されてはいけない人物の筆頭でしょうから」
「そうだな。では、明日の朝すぐ出発してくれ」
「いえ、1分でも早い方が良いです。今から出ます。カトリーヌ、待っていろ。すぐに安心させてやるからな」
そう言うと、お兄様はわたくしを抱きしめてから、お義姉様にキスをしてすぐに部屋を出て行ってしまった。
「風のように出て行ったわね。誰を迎えに行くか知っているの?」
「うむ。伝えてあるから問題ない。面識もあるから揉める事もあるまい。貴重な能力だから、誰を呼ぶかは皆に言えぬがな」
「そうね。お母様も知らないんでしょう? わたくしも嫁いだから知る訳にいかないし、あとはお兄様に任せましょう」
「……実は、リュカは知っておるのだ。だが、カトリーヌにも言ってはならぬぞ」
「心得ております」
「じゃあ、ひとまずルイーズをどうにか鑑定しましょう」
「分かりました。父上、姉さん、リュカをお借りして宜しいですか? ルイーズはまだ城に居ますよね?」
「うむ。クリストフ様が廊下でルイーズを口説いて部屋に招き入れたそうだ」
「挨拶と称して、クリストフ様の部屋に行きましょう。確か、お土産をお渡しする予定でしたよね? それを持って行きましょう。今ならギリギリ訪問しても失礼にならない時間です。急ぎましょう。リュカは、侍女に化けて付いて来て。試したい事があるんだ」
「承知しました」
「姉さんは、ルイーズやクリストフ様と会わない方がいいから来ないでね」
「分かったわ」
「僕、ちょっと気になってる事があるんだ。ねぇリュカ、ちょっとだけ実験させて」
そう言って、弟はじっとわたくしを見つめます。何をしているのでしょうか?
「リュカ、姉さんに触れて」
「承知しました」
リュカがわたくしの手を握ると、弟は嬉しそうに微笑みました。
「よし! これならいけるかも! 姉さんを鑑定してたんだけど、リュカが姉さんに触れた瞬間に鑑定出来なくなったよ。兄上がリュカが触れたせいで身体強化が解除されたって騒いでたから、もしかしたらいけるかもと思ってたんだ。父上、記憶を消せる魔法使いは城に常駐しておりますよね?」
「うむ。しておるぞ」
「誰でも良いから、記憶を消した後にリュカが触れて記憶が戻るか実験して下さい。うまくいくなら、多分ですけど……リュカが触れるだけで魅了は解けます」
「なるほど。すぐにやってみよう」
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