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53.貴族は、集まる
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「初めまして。クリステル・フォン・リーデェルと申します。お会いできて光栄ですわ。こちらはわたくしの夫のジルです。命懸けでわたくしを救ってくれた、とても素敵な人ですの。他国の高貴な方で、逃げている時に婚姻致しましたわ。こちら、証明も頂いております。ご確認下さいませ」
「これはっ……隣国の国王の印……」
「ええ、夫はゴールドランクの冒険者でもありまして、国王にお会いできますの。そうそう、こちらは夫と共に旅をした事もある冒険者の方々ですわ。全員、ゴールドランクの冒険者でとてもお強いの」
レミィ達は、冒険者カードをさっと見せると黙って頭を下げる。その姿は堂々としており、貴族相手でも怯まない。
「これはこれは……ゴールドランクの冒険者に出会う事はなかなかありませんから光栄です。なにせ、ゴールドランクになると依頼をするのも困難ですからな」
「みなさん、快くわたくしに力を貸して下さいましたの。わたくし、どうしてもお父様にお会いしたいの。どうか協力して下さいな」
貴族でも依頼をするにはコネが必要なゴールドランクの冒険者が快く力を貸し、ニコニコと笑いながらも逆らえない風格は、敬愛する国王陛下にそっくりだと貴族達は思った。
クリステルは、レミィに貴族社会の渡り方を徹底的に仕込まれた。今まではどこか浮世離れしており貴族からは箱入りお姫様と思われていたクリステルは、レミィの指導で変わった。
王妃教育を受けていたレミィは、知っている知識を全てクリステルに仕込んだ。時間が限られるので最低限をと思っていたが、クリステルは持ち前の集中力でレミィの予想以上の成果を上げた。
以前とは違う王者の風格を備えたクリステルは、完全に場を支配していた。側にぴったりと寄り添う男も、見た事はないが高貴な生まれだという。確かにとても美しく隙がない。ゴールドランクの冒険者を味方につけているのも、きっと王女の人徳なのだろう。貴族達はクリステルに国王陛下の姿を見たような気がして頭を垂れた。
「王女様……その、ずいぶんしっかりなさいましたな」
声を掛けたのは、この場を提供した公爵だ。彼も、クリステルを侮っていた。王の書状に書かれた通りの宿に行けば、ずいぶんと警戒心の強い男に守られるように隠れているクリステル王女を見つけた。王の指示だからと連れ帰り、この場を用意した。
それらが全てこの場に居る王女とその伴侶、冒険者達の掌の上だとは気が付いていない。
「そうですか? 嬉しいですわ。夫と、助けてくれた仲間達のおかげですね」
そう言ってジルやレミィ達に笑いかける姿は美しく、その笑顔を自分にも向けて欲しいと貴族達は思った。だが、クリステルが笑いかけるのは信頼している者たちだけ。保護をした公爵にすら、礼儀正しく儚げな笑みを向けるだけでジル達に向けるような弾ける笑顔は見せてくれない。
「クリスさんの武器はその無邪気な笑顔です!」
レミィは、表情を変えない方が良いと言われる貴族社会で、逆にクリステルの笑顔は武器になるからここぞという時には心からの笑顔を見せろと教えた。今のところ、クリステルが笑顔を向けるのはジルとレミィ達だけ。レミィは、分かっていて教えた筈なのにクリステルが自分達にしか笑顔を向けない事実に優越感を覚え、気持ちが高揚した。
「クリスさんに一生ついていくって思うこの気持ちは何?!」
「分かる、物凄い威力ね」
「レミィ、分かってて教えたんだよな? これ、すげー威力あるぜ」
「予想以上の威力に、教えた事を後悔してるわ……」
冒険者達は、完全にクリステルに魅了された。そんな冒険者達に嫉妬を覚える貴族達も、既にクリステルの魅力に囚われはじめていた。
以前のクリステルは、儚げで今にも消えてしまいそうだった。城を出る寸前にはヒュー王子より評判は良くなっていたが、自分の意見を言う事はほとんどなかった。
だが、今貴族達の目の前に居る王女は凛として美しく王者の風格が漂う。言葉遣いも、視線の運び方も一流の帝王学を収めていないと出来ない。
以前と違いジルと結婚して満たされたクリステルは、自信に溢れ本来の力を発揮した。指導するのが、心から信頼しているレミィだった事もプラスに働き、クリステルは帝王学を完璧にマスターした。
王妃に虐げられて満足な教育を受けていないというのは偽りだったのか。いや、確かに以前の王女は優秀ではあるがこんな自信を持った態度は取れていなかった。何があったんだ。貴族達が戸惑いながらもクリステルへの認識を改めた瞬間、それを見透かしたかのようにクリステルが美しく笑った。
「これはっ……隣国の国王の印……」
「ええ、夫はゴールドランクの冒険者でもありまして、国王にお会いできますの。そうそう、こちらは夫と共に旅をした事もある冒険者の方々ですわ。全員、ゴールドランクの冒険者でとてもお強いの」
レミィ達は、冒険者カードをさっと見せると黙って頭を下げる。その姿は堂々としており、貴族相手でも怯まない。
「これはこれは……ゴールドランクの冒険者に出会う事はなかなかありませんから光栄です。なにせ、ゴールドランクになると依頼をするのも困難ですからな」
「みなさん、快くわたくしに力を貸して下さいましたの。わたくし、どうしてもお父様にお会いしたいの。どうか協力して下さいな」
貴族でも依頼をするにはコネが必要なゴールドランクの冒険者が快く力を貸し、ニコニコと笑いながらも逆らえない風格は、敬愛する国王陛下にそっくりだと貴族達は思った。
クリステルは、レミィに貴族社会の渡り方を徹底的に仕込まれた。今まではどこか浮世離れしており貴族からは箱入りお姫様と思われていたクリステルは、レミィの指導で変わった。
王妃教育を受けていたレミィは、知っている知識を全てクリステルに仕込んだ。時間が限られるので最低限をと思っていたが、クリステルは持ち前の集中力でレミィの予想以上の成果を上げた。
以前とは違う王者の風格を備えたクリステルは、完全に場を支配していた。側にぴったりと寄り添う男も、見た事はないが高貴な生まれだという。確かにとても美しく隙がない。ゴールドランクの冒険者を味方につけているのも、きっと王女の人徳なのだろう。貴族達はクリステルに国王陛下の姿を見たような気がして頭を垂れた。
「王女様……その、ずいぶんしっかりなさいましたな」
声を掛けたのは、この場を提供した公爵だ。彼も、クリステルを侮っていた。王の書状に書かれた通りの宿に行けば、ずいぶんと警戒心の強い男に守られるように隠れているクリステル王女を見つけた。王の指示だからと連れ帰り、この場を用意した。
それらが全てこの場に居る王女とその伴侶、冒険者達の掌の上だとは気が付いていない。
「そうですか? 嬉しいですわ。夫と、助けてくれた仲間達のおかげですね」
そう言ってジルやレミィ達に笑いかける姿は美しく、その笑顔を自分にも向けて欲しいと貴族達は思った。だが、クリステルが笑いかけるのは信頼している者たちだけ。保護をした公爵にすら、礼儀正しく儚げな笑みを向けるだけでジル達に向けるような弾ける笑顔は見せてくれない。
「クリスさんの武器はその無邪気な笑顔です!」
レミィは、表情を変えない方が良いと言われる貴族社会で、逆にクリステルの笑顔は武器になるからここぞという時には心からの笑顔を見せろと教えた。今のところ、クリステルが笑顔を向けるのはジルとレミィ達だけ。レミィは、分かっていて教えた筈なのにクリステルが自分達にしか笑顔を向けない事実に優越感を覚え、気持ちが高揚した。
「クリスさんに一生ついていくって思うこの気持ちは何?!」
「分かる、物凄い威力ね」
「レミィ、分かってて教えたんだよな? これ、すげー威力あるぜ」
「予想以上の威力に、教えた事を後悔してるわ……」
冒険者達は、完全にクリステルに魅了された。そんな冒険者達に嫉妬を覚える貴族達も、既にクリステルの魅力に囚われはじめていた。
以前のクリステルは、儚げで今にも消えてしまいそうだった。城を出る寸前にはヒュー王子より評判は良くなっていたが、自分の意見を言う事はほとんどなかった。
だが、今貴族達の目の前に居る王女は凛として美しく王者の風格が漂う。言葉遣いも、視線の運び方も一流の帝王学を収めていないと出来ない。
以前と違いジルと結婚して満たされたクリステルは、自信に溢れ本来の力を発揮した。指導するのが、心から信頼しているレミィだった事もプラスに働き、クリステルは帝王学を完璧にマスターした。
王妃に虐げられて満足な教育を受けていないというのは偽りだったのか。いや、確かに以前の王女は優秀ではあるがこんな自信を持った態度は取れていなかった。何があったんだ。貴族達が戸惑いながらもクリステルへの認識を改めた瞬間、それを見透かしたかのようにクリステルが美しく笑った。
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