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ルビーのブローチを渡すまで逃しません
8. カーラの作戦 その1
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「なるほど。エリザベス様の警備を増やした方が良いですね」
お嬢様が狙われた一週間後、久しぶりにリアム様が王都にいらっしゃった。真剣に仕事をなさっている。ああ……なんて素敵なのだろう。
「カーラさん? どうしました? まだ他にも心配事がありますか?」
っと、いけない!
今は仕事中だ。リアム様は、真面目に仕事をしない人を好きになってくれるような甘い方ではない。まずは、仕事で頼りになる人になるんだ。
母も言ってた。好きな人が、どんな人を好むのかまずはよく観察しろって。
人によっては、仕事の出来よりも女性らしさや好みを優先する男性もいる。けど、リアム様は多分……違うと思う。アプローチした女達はたくさん居た。けど、みんな玉砕している。
誰か特別な女性が居る気配もない。
だからまずは、仕事でアピールするしかない。
リアム様は、仕事の出来る女性が好きらしい。仕事に手を抜くなんてありえないけど、そう言われたらますます仕事を頑張ろうと思ってしまう。
ようやく見つけた味方……ソフィア様に聞いたから間違いないわ。
母の教え、その1
同性の味方を作れ
味方は誰でも良いわけじゃない。リアム様を好きになる可能性がある人は全員駄目だ。そして、ある程度リアム様と親しくないと意味がない。
私は、領地にいる間に念入りにリアム様を観察した。リアム様が信頼していて、決してリアム様に恋愛感情を抱かない女性を探した。そして、見つけたのがソフィア様だ。ソフィア様は伯爵令嬢。本来なら、単なる使用人の私が口を利ける相手ではない。
だけど、ポール様の紹介で私に仕事を教えて貰える事になった。だからソフィア様と二人きりになる機会があったのだ。
「カーラ、聞きたい事があるなら言って良いわよぉ」
初対面でそう言われた時、やっぱりこの人は凄いと思った。リアム様が信頼していて、怖いと言っておられた理由がよく分かった。
私は、洗いざらいソフィア様に話した。
リアム様が好きな事、可能性が低いのは分かっているけど、出来る限りの事をして告白したい事。彼女の前で隠し事は無意味だ。そう悟った私は全て話した。
すると、ソフィア様が可笑しそうに笑ったのだ。
「良いわよ。協力してあげる。わたくし、年上はタイプじゃないのぉ。リアムは素敵な人だけど、男性として興味はないわ。だからね……わたくしが困った時にも、助けて頂戴ね」
ポール様と同い年とは思えない妖艶な笑みを見て、頼む相手を間違えたと思ったがもう遅い。私は、コクコクと頷くしかなかった。
ソフィア様は少し怖いけど、アドバイスは的確だった。リアム様は、女性に興味がないらしい。もしかして男性がお好きなの?! そう思ったけど、そんな事もないらしい。恋人は今のところ居ないそうだ。
だけど、友人は多いと教えて頂けた。
女性の友人は、ソフィア様みたいにリアム様の事をなんとも思っていない方ばかりらしい。
「まずは、友人になる事を目指したら? 最初から恋人狙いだと、リアムはイアンより口説くのが難しいわよぉ」
「そうなのですね。……あの、どうやって友人になれば……」
「そんなの、自分で考えなさいよぉ」
酷い!
そう叫びたかったけど、ソフィア様がなにか言いたそうにモジモジしておられたので、ピンときた。
「あの……例えば、例えばですけど……リアム様のご友人と友達になれれば……」
パァと、嬉しそうに微笑んだソフィア様を見て確信した。そういえば、ポール様がソフィア様はあまり友人がいないと仰っていた。人の本質を見抜く目があるせいで、なかなか信用出来る友達が出来ないらしい。
つまり、私はソフィア様に友達になりたいと思われるくらいの人間ではあるらしい。それはなんだか嬉しかった。
「あの! 使用人の私がこんな事を言うのは失礼かもしれないのですが……ソフィア様、良ければ私と友達になって頂けませんか?」
「良いわよ! 喜んで!」
いつもの探るようなのんびりした口調ではなく、ハッキリ言い切ったソフィア様。
その笑みは、年相応の無邪気なものだった。
お嬢様が狙われた一週間後、久しぶりにリアム様が王都にいらっしゃった。真剣に仕事をなさっている。ああ……なんて素敵なのだろう。
「カーラさん? どうしました? まだ他にも心配事がありますか?」
っと、いけない!
今は仕事中だ。リアム様は、真面目に仕事をしない人を好きになってくれるような甘い方ではない。まずは、仕事で頼りになる人になるんだ。
母も言ってた。好きな人が、どんな人を好むのかまずはよく観察しろって。
人によっては、仕事の出来よりも女性らしさや好みを優先する男性もいる。けど、リアム様は多分……違うと思う。アプローチした女達はたくさん居た。けど、みんな玉砕している。
誰か特別な女性が居る気配もない。
だからまずは、仕事でアピールするしかない。
リアム様は、仕事の出来る女性が好きらしい。仕事に手を抜くなんてありえないけど、そう言われたらますます仕事を頑張ろうと思ってしまう。
ようやく見つけた味方……ソフィア様に聞いたから間違いないわ。
母の教え、その1
同性の味方を作れ
味方は誰でも良いわけじゃない。リアム様を好きになる可能性がある人は全員駄目だ。そして、ある程度リアム様と親しくないと意味がない。
私は、領地にいる間に念入りにリアム様を観察した。リアム様が信頼していて、決してリアム様に恋愛感情を抱かない女性を探した。そして、見つけたのがソフィア様だ。ソフィア様は伯爵令嬢。本来なら、単なる使用人の私が口を利ける相手ではない。
だけど、ポール様の紹介で私に仕事を教えて貰える事になった。だからソフィア様と二人きりになる機会があったのだ。
「カーラ、聞きたい事があるなら言って良いわよぉ」
初対面でそう言われた時、やっぱりこの人は凄いと思った。リアム様が信頼していて、怖いと言っておられた理由がよく分かった。
私は、洗いざらいソフィア様に話した。
リアム様が好きな事、可能性が低いのは分かっているけど、出来る限りの事をして告白したい事。彼女の前で隠し事は無意味だ。そう悟った私は全て話した。
すると、ソフィア様が可笑しそうに笑ったのだ。
「良いわよ。協力してあげる。わたくし、年上はタイプじゃないのぉ。リアムは素敵な人だけど、男性として興味はないわ。だからね……わたくしが困った時にも、助けて頂戴ね」
ポール様と同い年とは思えない妖艶な笑みを見て、頼む相手を間違えたと思ったがもう遅い。私は、コクコクと頷くしかなかった。
ソフィア様は少し怖いけど、アドバイスは的確だった。リアム様は、女性に興味がないらしい。もしかして男性がお好きなの?! そう思ったけど、そんな事もないらしい。恋人は今のところ居ないそうだ。
だけど、友人は多いと教えて頂けた。
女性の友人は、ソフィア様みたいにリアム様の事をなんとも思っていない方ばかりらしい。
「まずは、友人になる事を目指したら? 最初から恋人狙いだと、リアムはイアンより口説くのが難しいわよぉ」
「そうなのですね。……あの、どうやって友人になれば……」
「そんなの、自分で考えなさいよぉ」
酷い!
そう叫びたかったけど、ソフィア様がなにか言いたそうにモジモジしておられたので、ピンときた。
「あの……例えば、例えばですけど……リアム様のご友人と友達になれれば……」
パァと、嬉しそうに微笑んだソフィア様を見て確信した。そういえば、ポール様がソフィア様はあまり友人がいないと仰っていた。人の本質を見抜く目があるせいで、なかなか信用出来る友達が出来ないらしい。
つまり、私はソフィア様に友達になりたいと思われるくらいの人間ではあるらしい。それはなんだか嬉しかった。
「あの! 使用人の私がこんな事を言うのは失礼かもしれないのですが……ソフィア様、良ければ私と友達になって頂けませんか?」
「良いわよ! 喜んで!」
いつもの探るようなのんびりした口調ではなく、ハッキリ言い切ったソフィア様。
その笑みは、年相応の無邪気なものだった。
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