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書籍発売御礼 エリザベスとイアンの出会い
2.令嬢を追い出す方法【エリザベス視点】
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腹が立ったわたくしは、令嬢達に近寄ろうとして……足を止めました。あの令嬢達のドレスは、明らかにわたくしのものより上等です。
きっと、高位貴族のご令嬢でしょう。わたくしが注意しても、聞くとは思えません。社交デビューをして分かったのですが、貴族の上下関係はかなりきっちりしています。あれだけ従業員やわたくしに厳しいお義母様も、伯爵家などの高位貴族の方の前では物凄く丁寧な態度です。わたくしも、上位の貴族に絶対逆らうなと厳しく指示されました。
けど、このまま見て見ぬふりなんて出来ません。今のところ令嬢達が手を出す様子はありませんが、このまま放っておけばあの小さな女の子がどんな目に遭わされるか……。
「お兄様の邪魔ばかりして!」
「そうよ! アンタみたいなのがいるからお兄様が困るのよ!」
「侯爵家の面汚しね!」
なるほど。あちらの少女は侯爵令嬢なのですね。そして、侯爵令嬢を罵るという事は少なくとも同じ侯爵家か、それより上のご令嬢ですね。早まらなくて良かったです。
先ほどから、やたらとお兄様とおっしゃっています。話を聞く限り、あの少女のお兄様に好意を持っている令嬢達が少女を邪魔者扱いしているように見受けられますね。
それなら、良い方法がありますわ。あとはあの子の名前が分かれば……。
「ふん! さっさと消えなさいよリリアン!」
「そうよ! そうよ!」
幸運です。名前が分かりましたわ。あとは知らないフリをして……。
「リリアン様! リリアン様どこですか?! お兄様が探しておられます!」
大声で叫ぶと、令嬢達がビクリと怯えました。……これなら、いけそうですわね。
「そんなところにいらしたのですね! あの……彼女達はどちらの……?」
植木の影から、大声で呼びかけました。後ろを向いていた令嬢達の身体がビクリと震えます。一人がそっと顔を上げました。逆光になっておりますから、わたくしの顔は見えないでしょう。
怯えているなら、チャンスです。声色を変えて、高圧的に喋ります。お義母様に教えて頂いた技術ですが、わたくしはまだ上手く出来ません。でも、焦っているご令嬢を騙すくらいは出来るでしょう。
「リリアン! 泣いてるの?! なんて事……! 早くお兄様にお伝えしないと! 貴女達、どうしてリリアンを泣かせてるの! そこを動かないで下さいましっ! すぐお兄様が来るわ! 待ってなさい!!!」
わざとキツイ言い方をして、すぐ姿を隠しました。きっとわたくしの顔は見られていないでしょう。
更に、少し喉をつぶして
「お兄様が探しておられますよ。あ、お姿が見えました! もうすぐいらっしゃいますよ」
と、叫びました。
ああ言えばきっと、令嬢達は怯えて逃げるでしょう。
更に草に触れて音を出し、何人も来ているように見せかけます。
すぐに令嬢達は逃げて行きました。
きっと、高位貴族のご令嬢でしょう。わたくしが注意しても、聞くとは思えません。社交デビューをして分かったのですが、貴族の上下関係はかなりきっちりしています。あれだけ従業員やわたくしに厳しいお義母様も、伯爵家などの高位貴族の方の前では物凄く丁寧な態度です。わたくしも、上位の貴族に絶対逆らうなと厳しく指示されました。
けど、このまま見て見ぬふりなんて出来ません。今のところ令嬢達が手を出す様子はありませんが、このまま放っておけばあの小さな女の子がどんな目に遭わされるか……。
「お兄様の邪魔ばかりして!」
「そうよ! アンタみたいなのがいるからお兄様が困るのよ!」
「侯爵家の面汚しね!」
なるほど。あちらの少女は侯爵令嬢なのですね。そして、侯爵令嬢を罵るという事は少なくとも同じ侯爵家か、それより上のご令嬢ですね。早まらなくて良かったです。
先ほどから、やたらとお兄様とおっしゃっています。話を聞く限り、あの少女のお兄様に好意を持っている令嬢達が少女を邪魔者扱いしているように見受けられますね。
それなら、良い方法がありますわ。あとはあの子の名前が分かれば……。
「ふん! さっさと消えなさいよリリアン!」
「そうよ! そうよ!」
幸運です。名前が分かりましたわ。あとは知らないフリをして……。
「リリアン様! リリアン様どこですか?! お兄様が探しておられます!」
大声で叫ぶと、令嬢達がビクリと怯えました。……これなら、いけそうですわね。
「そんなところにいらしたのですね! あの……彼女達はどちらの……?」
植木の影から、大声で呼びかけました。後ろを向いていた令嬢達の身体がビクリと震えます。一人がそっと顔を上げました。逆光になっておりますから、わたくしの顔は見えないでしょう。
怯えているなら、チャンスです。声色を変えて、高圧的に喋ります。お義母様に教えて頂いた技術ですが、わたくしはまだ上手く出来ません。でも、焦っているご令嬢を騙すくらいは出来るでしょう。
「リリアン! 泣いてるの?! なんて事……! 早くお兄様にお伝えしないと! 貴女達、どうしてリリアンを泣かせてるの! そこを動かないで下さいましっ! すぐお兄様が来るわ! 待ってなさい!!!」
わざとキツイ言い方をして、すぐ姿を隠しました。きっとわたくしの顔は見られていないでしょう。
更に、少し喉をつぶして
「お兄様が探しておられますよ。あ、お姿が見えました! もうすぐいらっしゃいますよ」
と、叫びました。
ああ言えばきっと、令嬢達は怯えて逃げるでしょう。
更に草に触れて音を出し、何人も来ているように見せかけます。
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