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第一章

3.街を飛び出しました

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あれから、悔しくて悔しくてこんな街にいるもんかと街を飛び出した。たまたまだけど、門番の交代時間で誰もいなかったら僕が町を出たのは誰も知らない。

今までの給料なら絶対無理だけど、親方のくれた退職金のおかげで旅支度を整えられた。2人で開発したマジックバッグに、食べ物も、野営道具も、親方がくれた道具もすべて放り込んであるからものすごく身軽だ。僕ドワーフだし鈍足だけどこれなら早く走れそうかな。試しに走ってみる。

ドタドタドタ……。

うーん、遅い。

これからどうするかとか、色々考え事ばかりしていたら、道に迷ってしまったらしく森の中にいた。ひぇぇ、怖い怖い。変なのでたらどうしよう。方角分かる道具を作ってたのを思い出して、取り出して方角を確認する。

ん? なんだここ?

方角を確認して隣町までまっすぐ進んでたら、急に目の前が明るくなった。え! 何これ!

森が開けていて、小さな村? 村よりまだ小さいかな? 3つの建物がある。

僕の目の前には、大きな木の上にある立派な家と、それを守るように居る大量の森の動物たちと、異様に美しい美女がいた。この美女、エルフかな? エルフは、都会でも数人しか居ない伝説の種族だ。確か魔法が得意で、宮廷魔術師がエルフの国は繁栄するとかなんとか。僕も会うのは初めてだ。

しかし、こちらの美女はいたく御立腹らしく、目を釣り上げてこちらに向かってきている。

「こら! なんでここに侵入できるのよ! 認識疎外の魔術かけてたし、悪意のあるやつは入れない結界魔術も使ってたのに!」

「わぁぁ! すいませんすいません! 僕はマイスです。見ての通りドワーフです! 悪意はありません! 隣町に行こうとしただけです。道に迷いました! すいませんすいません!」

「なんでこっちの方角に来たの! 来れないように迷いの魔術かけておいたのに!」

「方角がわかる道具使いましたぁ! すいません!」

「は?! 方角の分かる道具?」

「そうです! 僕が作りました! すいません!」

「すいません言い過ぎ、とりあえず悪い人じゃなさそうだし、ウチにおいでよ。お茶くらい出すし、もう暗くなるから危ないし泊っていきな?」

「へ?!」

よく見ると日は傾きかけており、あと30分もすれば真っ暗になるだろう。

良いのかな?

「なにしてんの! 出て行くか泊まるか、すぐ決めて! でも、暗くなって森歩くのはやめた方がいいよ! 隣町まで、あと半日はかかるよ」

言葉はキツいけど、心配してくれてるんだ。良い人なのかな?

また、ギルド長達みたいに騙されるかもしれないけど、どうせ今まで騙されてたんだし、優しくしてくれたこの人を信じてみよう。
それに、ここを出て森で野営するのは危険だし、これだけ美人なら騙されても良いかも。
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