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第一章

34.おかえりなさい

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「よし! できた!」

僕が大金をゲットしてから、2ヶ月が経った。アオイさん達は、指名依頼が殺到していて留守がちだ。

「今まで、家の修理の為に修行してたりして休みがちだったのが、ロッドさんの指名依頼受けた事で仕事出来ると思われて依頼が殺到しちゃって……。でも、とりあえず今の依頼を終えたら、一旦指名依頼も止めて貰うから、また商品開発しようね! マイスも稼ぎたいでしょ?」

「いや、僕は毎月のお給料で充分ですよ」

ナビで稼いだお金も、だいぶ残ってるしね。

「そんな事言わないでよ~! 私達もマイスと色々作るの楽しんでるんだから、次は冷蔵庫と冷凍庫ね!」

「わかりました。僕もみなさんのアイデアを形にするのは楽しみです。今のうちに家を完成させますね」

って訳で、みなさんが居ない間に、炉を作って、ガラス窓を作って、鏡も作った。ついつい夢中になって、お昼を忘れそうになると、キュビさんが呼びに来てくれる。

「マイス オヒル ヤスメ ハラガ ヘッタ」

「ああ! ごめんなさいキュビさん! 今日は何にしますか?」

「カツドン!」

カツ丼って言うのは、アオイさん達の故郷の味だそうだ。卵とお肉を使う。どちらも貴重で贅沢な一品だ。まぁ、お肉も卵も傷むから遠慮なく使うけど。そうそう、僕も料理を覚えたんだ。キュビさんはスパルタで舌も肥えてたけど、1ヶ月くらいでなんとかマトモな物を作れるようになった。キュビさんが初めて褒めてくれた時は嬉しかった。

食材は、たまにアオイさんが転移で持ってきてくれる。仕事の合間だからと渡してすぐ帰ることも多いけど、全員で完成途中の家に泊まってくれる事もある。

その度に家を褒めてくれるから、もっと良いものにしようと必死で働いた。休日も、趣味だと言い訳して家づくりをしていたらアオイさんにバレて怒られたけど、無理をしないならと認めてくれた。ただし、その分給料を上乗せすると言われた。

それは申し訳ないから、休日は家づくりはやめることにしたら、マイスには、これが効くのねって笑われた。

本当にいい職場だと思う。

ますますやる気が出て、頑張って効率良く作業をする方法をたくさん研究した。おかげで、少しスキルアップできたと思う。

そして、今日アオイさん達は仕事を終えて帰ってくる。料理も作ったし、家も完成した。あとは帰りを待つだけ……。

「「「ただいま!」」」

「おかえりなさい」

「オカエリ オカエリ!」

優しい上司と、住みやすい家、美味しい食事に、かわいい同僚。

ここで働けて、本当に良かった。
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