腹黒公爵の狩りの時間

編端みどり

文字の大きさ
6 / 15

妹のサポート

しおりを挟む
「サイモン、お前好きな子ができたって?」

「おめでとう、良かったわね。どちらの方?」

「マチルダ・ドゥ・シヴィル嬢です」

「ああ、あの武術で有名な」

そう、シヴィル家の武勇伝は他国にも伝わるほどだ。さすが私の剣を止めただけある。

「で、いつ婚約を申し込むの?」

「もう行きました。そして、保留になりました」

「どうしてよ!」

母上、申し訳ありません。私のツメが甘かったのです……。格上の立場だからと、少し甘くみていた。シヴィル様があんなにもマチルダ嬢を大事にされているとは。いやしかし、私もエミリーにあんな男が来たら追い返すな。保留として下さっただけ、ありがたいのではないだろうか。まず、最初の申し込みから焦っており礼を欠いていた。まずい、このままではマチルダ嬢を他の男に取られてしまう。

「私がきちんと気持ちをご説明しなかった故に、マチルダ嬢を大事にしないとご判断されたようですね。私のミスです」

「……あなたもなのね、サイモン」

「私も?」

「お父様がわたくしに求婚した時と全く同じよ」

「父上、そのあとどうやって母上と結婚出来たのですか? 今すぐ、全て、教えて下さい!」

「さささ、サイモン、気持ちは分かるが落ち着け」

「これが落ち着いていられるか! オレがぼんやりしてる間に他の男にかっ攫われたらどうする?!」

シュ……

「エミリー、扇子を投げるのはやめなさい」

「お兄様がお疲れのご様子ですので、少し身体を動かせばよろしいかと思いまして。今日は夜会ですわよ。ひとまず、参りましょう?」

「夜会など行っている場合ではないぞ?!」

「大丈夫ですわ、お兄様。マチルダ様には夜会に行く暇がない程のお仕事をお願いしましたの。マチルダ様は真面目な方ですから、お仕事を優先なさいますからあちらで夜会に行かれる事はありません。そのかわり、出張と称して2ヶ月後の王家主催の夜会に参加して頂こうと思いまして。もう招待状の手配は王妃様にお願いしましたの。おそらくもう届いてますわ。それから、マチルダ様のお好みは腹黒いくらい計算高い男性だそうですわよ? いつものお兄様なら大丈夫ではありませんの?」

「本当か?! ありがとうエミリー!」

そうか、私はマチルダ嬢の好みのタイプなのだな。なら希望はある。いつもの自分に戻れば良いのだ。幸い時間はあるから、先祖の失敗エピソードは全て読み込んでおこう。マチルダ嬢の好みと分かれば、私を意識して貰えるはずだ。ああ、それからマチルダ嬢に婚約の申し込みをしそうな貴族はピックアップしたが、どこもろくでもないな。シヴィル様なら断って頂けるだろうが、お手間は取らせない方が良かろう。幸い、どこの貴族もネタはあるから、少しおとなしくして頂くか、ご退場願おう。

それから、マチルダ嬢に似合うドレスも仕立てなければ。まだ私からとは言わない方が良いな。エミリーからと言う事にしてもらうか。しかし、こちらの貴族が手を出しても困るから、私の色を着てもらうか。マチルダ嬢に気づかれるだろうか。それはそれでありがたい。私の事を少しでも意識して頂こう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

「幼馴染は、安心できる人で――独占する人でした」

だって、これも愛なの。
恋愛
幼い頃の無邪気な一言。 「お兄様みたいな人が好き」――その言葉を信じ続け、彼はずっと優しく隣にいてくれた。 エリナにとってレオンは、安心できる幼馴染。 いつも柔らかく笑い、困ったときには「無理しなくていい」と支えてくれる存在だった。 けれど、他の誰かの影が差し込んだ瞬間、彼の奥に潜む本音が溢れ出す。 「俺は譲らないよ。誰にも渡さない」 優しいだけじゃない。 安心と独占欲――その落差に揺さぶられて、エリナの胸は恋に気づいていく。 安心できる人が、唯一の人になるまで。 甘く切ない幼馴染ラブストーリー。

嫌いなあいつの婚約者

みー
恋愛
朝目が覚めると、見たことのない世界にいて?! 嫌いな幼馴染みが婚約者になっている世界に来てしまった。 どうにかして婚約を破棄しようとするけれど……?

【完結】お嬢様だけがそれを知らない

春風由実
恋愛
公爵令嬢であり、王太子殿下の婚約者でもあるお嬢様には秘密があった。 しかしそれはあっという間に公然の秘密となっていて? それを知らないお嬢様は、日々あれこれと悩んでいる模様。 「この子たちと離れるくらいなら。いっそこの子たちを連れて国外に逃げ──」 王太子殿下、サプライズとか言っている場合ではなくなりました! 今すぐ、対応してください!今すぐです! ※ゆるゆると不定期更新予定です。 ※2022.2.22のスペシャルな猫の日にどうしても投稿したかっただけ。 ※カクヨムにも投稿しています。 世界中の猫が幸せでありますように。 にゃん。にゃんにゃん。にゃん。にゃんにゃん。にゃ~。

東雲の空を行け ~皇妃候補から外れた公爵令嬢の再生~

くる ひなた
恋愛
「あなたは皇妃となり、国母となるのよ」  幼い頃からそう母に言い聞かされて育ったロートリアス公爵家の令嬢ソフィリアは、自分こそが同い年の皇帝ルドヴィークの妻になるのだと信じて疑わなかった。父は長く皇帝家に仕える忠臣中の忠臣。皇帝の母の覚えもめでたく、彼女は名実ともに皇妃最有力候補だったのだ。  ところがその驕りによって、とある少女に対して暴挙に及んだことを理由に、ソフィリアは皇妃候補から外れることになる。  それから八年。母が敷いた軌道から外れて人生を見つめ直したソフィリアは、豪奢なドレスから質素な文官の制服に着替え、皇妃ではなく補佐官として皇帝ルドヴィークの側にいた。  上司と部下として、友人として、さらには密かな思いを互いに抱き始めた頃、隣国から退っ引きならない事情を抱えた公爵令嬢がやってくる。 「ルドヴィーク様、私と結婚してくださいませ」  彼女が執拗にルドヴィークに求婚し始めたことで、ソフィリアも彼との関係に変化を強いられることになっていく…… 『蔦王』より八年後を舞台に、元悪役令嬢ソフィリアと、皇帝家の三男坊である皇帝ルドヴィークの恋の行方を描きます。

王子、侍女となって妃を選ぶ

夏笆(なつは)
恋愛
ジャンル変更しました。 ラングゥエ王国唯一の王子であるシリルは、働くことが大嫌いで、王子として課される仕事は側近任せ、やがて迎える妃も働けと言わない女がいいと思っている体たらくぶり。 そんなシリルに、ある日母である王妃は、候補のなかから自分自身で妃を選んでいい、という信じられない提案をしてくる。 一生怠けていたい王子は、自分と同じ意識を持つ伯爵令嬢アリス ハッカーを選ぼうとするも、母王妃に条件を出される。 それは、母王妃の魔法によって侍女と化し、それぞれの妃候補の元へ行き、彼女らの本質を見極める、というものだった。 問答無用で美少女化させられる王子シリル。 更に、母王妃は、彼女らがシリルを騙している、と言うのだが、その真相とは一体。 本編完結済。 小説家になろうにも掲載しています。

悪役令嬢に相応しいエンディング

無色
恋愛
 月の光のように美しく気高い、公爵令嬢ルナティア=ミューラー。  ある日彼女は卒業パーティーで、王子アイベックに国外追放を告げられる。  さらには平民上がりの令嬢ナージャと婚約を宣言した。  ナージャはルナティアの悪い評判をアイベックに吹聴し、彼女を貶めたのだ。  だが彼らは愚かにも知らなかった。  ルナティアには、ミューラー家には、貴族の令嬢たちしか知らない裏の顔があるということを。  そして、待ち受けるエンディングを。

あの、初夜の延期はできますか?

木嶋うめ香
恋愛
「申し訳ないが、延期をお願いできないだろうか。その、いつまでとは今はいえないのだが」 私シュテフイーナ・バウワーは今日ギュスターヴ・エリンケスと結婚し、シュテフイーナ・エリンケスになった。 結婚祝の宴を終え、侍女とメイド達に準備された私は、ベッドの端に座り緊張しつつ夫のギュスターヴが来るのを待っていた。 けれど、夜も更け体が冷え切っても夫は寝室には姿を見せず、明け方朝告げ鶏が鳴く頃に漸く現れたと思ったら、私の前に跪き、彼は泣きそうな顔でそう言ったのだ。 「私と夫婦になるつもりが無いから永久に延期するということですか? それとも何か理由があり延期するだけでしょうか?」  なぜこの人私に求婚したのだろう。  困惑と悲しみを隠し尋ねる。  婚約期間は三ヶ月と短かったが、それでも頻繁に会っていたし、会えない時は手紙や花束が送られてきた。  関係は良好だと感じていたのは、私だけだったのだろうか。 ボツネタ供養の短編です。 十話程度で終わります。

【完結】あなたからの愛は望みません ~お願いしたのは契約結婚のはずでした~

Rohdea
恋愛
──この結婚は私からお願いした期間限定の契約結婚だったはずなのに!! ある日、伯爵令嬢のユイフェは1年だけの契約結婚を持ちかける。 その相手は、常に多くの令嬢から狙われ続けていた公爵令息ジョシュア。 「私と1年だけ結婚して? 愛は要らないから!」 「──は?」 この申し出はとある理由があっての事。 だから、私はあなたからの愛は要らないし、望まない。 だけど、どうしても1年だけ彼に肩書きだけでも自分の夫となって欲しかった。 (冷遇してくれても構わないわ!) しかし、そんなユイフェを待っていた結婚生活は……まさかの甘々!? これは演技? 本気? どっちなの!? ジョシュアに翻弄される事になるユイフェ…… ユイフェの目的とは? ジョシュアの思惑とは? そして、そんなすっかり誰も入り込めないラブラブ夫婦(?) な結婚生活を送っていた二人の前に邪魔者が───

処理中です...