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恋愛はポンコツ
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「あの? エミリー様?! このドレスは何ですか?! めちゃくちゃ豪華ですけど?!」
「マチルダ様、お似合いですわ!」
「話聞いてました?!」
「だってマチルダ様の為にご用意致しましたのよ? 着て頂けないと廃棄するしかありませんわ!」
「なんて勿体無いこと言うんですか! 着ます、着ますよ! デザインも、質感も、ものすごく私好みですし、持参したアクセサリーともピッタリですしね!」
マチルダ嬢の手持ちのアクセサリーは分からなかったが、マチルダ嬢は髪色と同じ色のルビーを好むと聞いていたので、ルビーに合うような金と青でデザインしたドレスを用意した。私の髪と瞳の色な上に、カートライト家お抱えのデザイナーが最近開発した独特の形で、まだ他のデザイナーは扱えていないので、カートライト家の関係者とわかりやすい。色も相まって、私が彼女に懸想しているのは一目瞭然だ。
このように愛らしい方なのだから、他の男に目をつけられたら敵わないしな。
「……ただですね、この色はまずくないですか? 何か別の色を足した方が良いのでは?」
「どうしてですの?」
「両方ともサイモン様の色じゃないですかっ! 絶対誤解されますよね?!」
気がついて頂けたようだが、私は嫌われているのだろうか……?
「あら、マチルダ様はお兄様がお嫌い?」
エミリー! なんて事を聞くんだ!? 嫌いと言われたら立ち直れないぞ?!
「いや、サイモン様が誤解されると困るのではないですか?」
「マチルダ様は、お兄様がお嫌い?」
「……その圧やめましょうよ。好きですよ。サイモン様みたいなタイプは好みですよ。でも、サイモン様がご迷惑でしょう?」
この時の気持ちをどう表現したら良いかわからない。天にも登る気持ちというものを初めて知った。
「そんな事ありませんわ! 今日のエスコートはお兄様ですもの!」
「何でですかっ!」
「あら? マチルダ様はエスコート無しで夜会に行かれますの?」
「エスコートはこちらで手配するから任せろって仰いましたよね?! まさかと思いますが、エミリー様とサイモン様とわたくしの3人で入場するおつもりですか?!」
「さすがマチルダ様! 勘がよろしいわ! わたくし、貴方のそういうところ、大好きよ!」
「ハイハイ、わたくしもエミリー様が好きですよ」
「最近わたくしへの態度がおざなりではなくて?」
「気のせいです。あんな大量の仕事残して、よろしくの一言で2ヶ月ご不在になられたエミリー様への恨み言などは申しておりませんわ。こっそりデヴィッド様の仕事場に潜んでいると従業員から聞いておりますのに、全くこちらにいらっしゃらないからちょっとだけ態度に出てしまったとしたら、どうかお許し下さいませ」
「その節は申し訳なかったわ」
「謝罪頂けましたし、来月のデヴィッド様のスケジュールを入手しましたのでお渡ししますわね」
「エミリー様! 愛してますわ!」
エミリーが嬉しそうなのは私も嬉しいのだが、マチルダ嬢は、私のエスコートで良いのか結局分からないままだ。そろそろクローゼットに隠れるのも限界なのだが。と言うか、例え妹でもマチルダ嬢に抱きつかれると何かモヤっとするぞ。何故だ。
「そうそう、美味しいお茶を手に入れましたの! 夜会の前ですしお菓子は控えめになりますが、お茶は如何?」
「頂きますわ」
「では、あちらへ参りましょう」
…………………… ………………
「坊っちゃま、もうよろしいですよ」
「……結局、私は好かれているのか? 嫌われているのか?!」
「少なくとも好意はもたれておりますね。よろしゅうございました。早く捕まえておしまいなさい。坊っちゃまが好意を持っているとは思われていないようですから、ぼんやりしてると他の男に目をつけられますよ。全く、あんなに独占欲丸出しのドレスを贈っておいて、なんて体たらくですか!」
「……返す言葉もない。マチルダ嬢は、美しかったか?」
「夜会の前にエミリーお嬢様と茶会をされていますから、顔をお出しなさい。でないとエスコートもままならないでしょう。夜会までに、マチルダ様好みのいつもの坊っちゃまにお戻り下さい」
「む、分かった。いつもの私はマチルダ嬢好み、いつもの私はマチルダ嬢好み、いつもの…………」
「恋愛がポンコツなのは、伝統なのでしょうかねぇ」
「マチルダ様、お似合いですわ!」
「話聞いてました?!」
「だってマチルダ様の為にご用意致しましたのよ? 着て頂けないと廃棄するしかありませんわ!」
「なんて勿体無いこと言うんですか! 着ます、着ますよ! デザインも、質感も、ものすごく私好みですし、持参したアクセサリーともピッタリですしね!」
マチルダ嬢の手持ちのアクセサリーは分からなかったが、マチルダ嬢は髪色と同じ色のルビーを好むと聞いていたので、ルビーに合うような金と青でデザインしたドレスを用意した。私の髪と瞳の色な上に、カートライト家お抱えのデザイナーが最近開発した独特の形で、まだ他のデザイナーは扱えていないので、カートライト家の関係者とわかりやすい。色も相まって、私が彼女に懸想しているのは一目瞭然だ。
このように愛らしい方なのだから、他の男に目をつけられたら敵わないしな。
「……ただですね、この色はまずくないですか? 何か別の色を足した方が良いのでは?」
「どうしてですの?」
「両方ともサイモン様の色じゃないですかっ! 絶対誤解されますよね?!」
気がついて頂けたようだが、私は嫌われているのだろうか……?
「あら、マチルダ様はお兄様がお嫌い?」
エミリー! なんて事を聞くんだ!? 嫌いと言われたら立ち直れないぞ?!
「いや、サイモン様が誤解されると困るのではないですか?」
「マチルダ様は、お兄様がお嫌い?」
「……その圧やめましょうよ。好きですよ。サイモン様みたいなタイプは好みですよ。でも、サイモン様がご迷惑でしょう?」
この時の気持ちをどう表現したら良いかわからない。天にも登る気持ちというものを初めて知った。
「そんな事ありませんわ! 今日のエスコートはお兄様ですもの!」
「何でですかっ!」
「あら? マチルダ様はエスコート無しで夜会に行かれますの?」
「エスコートはこちらで手配するから任せろって仰いましたよね?! まさかと思いますが、エミリー様とサイモン様とわたくしの3人で入場するおつもりですか?!」
「さすがマチルダ様! 勘がよろしいわ! わたくし、貴方のそういうところ、大好きよ!」
「ハイハイ、わたくしもエミリー様が好きですよ」
「最近わたくしへの態度がおざなりではなくて?」
「気のせいです。あんな大量の仕事残して、よろしくの一言で2ヶ月ご不在になられたエミリー様への恨み言などは申しておりませんわ。こっそりデヴィッド様の仕事場に潜んでいると従業員から聞いておりますのに、全くこちらにいらっしゃらないからちょっとだけ態度に出てしまったとしたら、どうかお許し下さいませ」
「その節は申し訳なかったわ」
「謝罪頂けましたし、来月のデヴィッド様のスケジュールを入手しましたのでお渡ししますわね」
「エミリー様! 愛してますわ!」
エミリーが嬉しそうなのは私も嬉しいのだが、マチルダ嬢は、私のエスコートで良いのか結局分からないままだ。そろそろクローゼットに隠れるのも限界なのだが。と言うか、例え妹でもマチルダ嬢に抱きつかれると何かモヤっとするぞ。何故だ。
「そうそう、美味しいお茶を手に入れましたの! 夜会の前ですしお菓子は控えめになりますが、お茶は如何?」
「頂きますわ」
「では、あちらへ参りましょう」
…………………… ………………
「坊っちゃま、もうよろしいですよ」
「……結局、私は好かれているのか? 嫌われているのか?!」
「少なくとも好意はもたれておりますね。よろしゅうございました。早く捕まえておしまいなさい。坊っちゃまが好意を持っているとは思われていないようですから、ぼんやりしてると他の男に目をつけられますよ。全く、あんなに独占欲丸出しのドレスを贈っておいて、なんて体たらくですか!」
「……返す言葉もない。マチルダ嬢は、美しかったか?」
「夜会の前にエミリーお嬢様と茶会をされていますから、顔をお出しなさい。でないとエスコートもままならないでしょう。夜会までに、マチルダ様好みのいつもの坊っちゃまにお戻り下さい」
「む、分かった。いつもの私はマチルダ嬢好み、いつもの私はマチルダ嬢好み、いつもの…………」
「恋愛がポンコツなのは、伝統なのでしょうかねぇ」
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