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茶会【マチルダ視点】
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「あらお兄様、今日はよろしくお願いしますね」
サイモン様が現れた。相変わらず落ち着かれていてカッコいいなぁ。
「サイモン様、わたくしも一緒にエスコートしていただいてよろしいのですか?」
あ、あれ? 勇気を出して聞いたのに返事がないし、サイモン様が固まっておられるわ! わたくしからお声がけするのは失礼だったかしら? でも、以前ご挨拶もしているからマナー違反ではないわよね?! 馴れ馴れしすぎた?! もしかしてエミリー様にエスコートを押し付けられたのかしら?
「エミリー様! お返事がありません! やっぱり駄目なのではありませんか?!」
「お兄様?」
やっぱり本当はお嫌だったのにエミリー様に押し切られたのかしら。サイモン様はずいぶんエミリー様を可愛がっておられるから、妹のお願いを断れなかったのね。うちもお兄様はわたくしに甘いし、そういうものかもしれないわ。
だからエミリー様、圧をかけるのはおやめくださいませ……。わたくしエスコートは遠慮する方が良いかしら? でもひとりでは入場できないし、今更参加しないのも失礼だし、困ったわ。
「失礼、あまりに美しく見とれていた。エスコートは問題ないよ。よろしくお願いいたしますね」
な、なんですのこの笑みは! 惚れ惚れしてしまいますわ! いけない、変な勘違いをしないようにしなくては……。
「そ、そうですか。ではよろしくお願いします。エミリー様、ドレスはやっぱり色を何とかしたほうが……」
令嬢の嫉妬の的になる気は、ありませんわよ。
「問題ありませんわ、ね、お兄様?」
「うむ、問題ない」
ちょっと待って下さいませ! エミリー様とそっくりの笑みで、サイモン様からも圧をかけられては断れませんわ!
わたくしにこんなドレスを着せて、何を企んでおられますの?! サイモン様の令嬢避けにでもするおつもり?
……あり得ますわね。サイモン様は素敵ですしおモテになられるでしょうから、面倒も多いのかもしれませんわ。仕方ありません。わたくしには迷惑をかける婚約者もおりませんし、好きな殿方も居ませんから令嬢避けくらいは引き受けましょう。どうせ、夜会が終われば国に帰りますしね。
「……おふたりがそう仰るなら構いませんけれど」
「それより、マチルダ様。わたくし、ちょっとデビィの予定の調査がありますの。少しだけ席を外しますので、お兄様とお話ししていて下さいな。お兄様、よろしいですわよね?」
「うむ、問題ない」
唐突! 唐突ですわエミリー様! どうせデヴィッド様の事ばかり考えていて、我慢できなくなったに違いありませんわ!
「何も今やらなくてもいいじゃありませんか……。まぁ、エミリー様ですし仕方ありませんけど」
「うむ、問題ない」
「お兄様?」
エミリー様、そんなに圧をかけなくてもわたくしサイモン様のお顔を見てるだけで癒されますから無言でも問題ありませんわよ?
「お兄様、くれぐれもマチルダ様をよろしくお願いしますね! さ、早くここに座ってくださいまし」
ああ、サイモン様が近いわ! ちょっとドキドキするわね。落ち着かないと。
「では、少し私のお相手をお願いするよ。マチルダ嬢、よろしくね」
「は、はいっ。よろしくお願いします!」
クールで冷静なお姿は素敵だわ。
「マチルダ嬢は、普段は何をして過ごされているんだい?」
「最近はエミリー様のお仕事をする事が多いですが、以前はお兄様と鍛錬する事も多かったですね」
「私の剣を止めた手腕は見事だったね」
「……その節は、はしたない真似をして申し訳ありませんわ」
恥ずかしいですわ! とっさに身体が動いてしまったからに過ぎませんのに。
「サイモン様の剣は素早くて素敵でしたわ。それに、エミリー様の事も考えて、デヴィッド様へ手加減なさるなんてお優しいですわ」
「手加減?」
「ええ、あの時デヴィッド様へ剣を向けたのは本気ではございませんでしたでしょう? わたくしの扇子で止められましたし、サイモン様のお怒りを表現してトーマス様達を追い詰めようとなさったんでしょう?」
「……バレていたとはお恥ずかしい……」
やはりそうなのね。サイモン様はどのくらいお強いのかしら? お兄様より強かったりして!
「いつか本気のサイモン様とお手合わせ願いたいですわ!」
「喜んでお受けするよ」
「嬉しいですわ! でも、お手柔らかにお願い致しますわ。お兄様にはいつも勝てませんの」
「ただ、私も少し立て込んでいてね。3ヶ月程すれば時間も取れるから、その辺りでまたご連絡するよ」
「かしこまりました。兄も一緒でもよろしいですか?」
さすがに、ふたりきりと誤解されてはサイモン様にご迷惑よね。お兄様も巻き込みましょう。きっと来てくださるわ。
「もちろん、お強いと噂のジョセフ様と手合わせ出来るなど光栄だよ」
わたくしも最近は身体が鈍っているし、鍛錬を増やしておきましょう。あっさりサイモン様に負けてしまっては申し訳ないもの。
サイモン様が現れた。相変わらず落ち着かれていてカッコいいなぁ。
「サイモン様、わたくしも一緒にエスコートしていただいてよろしいのですか?」
あ、あれ? 勇気を出して聞いたのに返事がないし、サイモン様が固まっておられるわ! わたくしからお声がけするのは失礼だったかしら? でも、以前ご挨拶もしているからマナー違反ではないわよね?! 馴れ馴れしすぎた?! もしかしてエミリー様にエスコートを押し付けられたのかしら?
「エミリー様! お返事がありません! やっぱり駄目なのではありませんか?!」
「お兄様?」
やっぱり本当はお嫌だったのにエミリー様に押し切られたのかしら。サイモン様はずいぶんエミリー様を可愛がっておられるから、妹のお願いを断れなかったのね。うちもお兄様はわたくしに甘いし、そういうものかもしれないわ。
だからエミリー様、圧をかけるのはおやめくださいませ……。わたくしエスコートは遠慮する方が良いかしら? でもひとりでは入場できないし、今更参加しないのも失礼だし、困ったわ。
「失礼、あまりに美しく見とれていた。エスコートは問題ないよ。よろしくお願いいたしますね」
な、なんですのこの笑みは! 惚れ惚れしてしまいますわ! いけない、変な勘違いをしないようにしなくては……。
「そ、そうですか。ではよろしくお願いします。エミリー様、ドレスはやっぱり色を何とかしたほうが……」
令嬢の嫉妬の的になる気は、ありませんわよ。
「問題ありませんわ、ね、お兄様?」
「うむ、問題ない」
ちょっと待って下さいませ! エミリー様とそっくりの笑みで、サイモン様からも圧をかけられては断れませんわ!
わたくしにこんなドレスを着せて、何を企んでおられますの?! サイモン様の令嬢避けにでもするおつもり?
……あり得ますわね。サイモン様は素敵ですしおモテになられるでしょうから、面倒も多いのかもしれませんわ。仕方ありません。わたくしには迷惑をかける婚約者もおりませんし、好きな殿方も居ませんから令嬢避けくらいは引き受けましょう。どうせ、夜会が終われば国に帰りますしね。
「……おふたりがそう仰るなら構いませんけれど」
「それより、マチルダ様。わたくし、ちょっとデビィの予定の調査がありますの。少しだけ席を外しますので、お兄様とお話ししていて下さいな。お兄様、よろしいですわよね?」
「うむ、問題ない」
唐突! 唐突ですわエミリー様! どうせデヴィッド様の事ばかり考えていて、我慢できなくなったに違いありませんわ!
「何も今やらなくてもいいじゃありませんか……。まぁ、エミリー様ですし仕方ありませんけど」
「うむ、問題ない」
「お兄様?」
エミリー様、そんなに圧をかけなくてもわたくしサイモン様のお顔を見てるだけで癒されますから無言でも問題ありませんわよ?
「お兄様、くれぐれもマチルダ様をよろしくお願いしますね! さ、早くここに座ってくださいまし」
ああ、サイモン様が近いわ! ちょっとドキドキするわね。落ち着かないと。
「では、少し私のお相手をお願いするよ。マチルダ嬢、よろしくね」
「は、はいっ。よろしくお願いします!」
クールで冷静なお姿は素敵だわ。
「マチルダ嬢は、普段は何をして過ごされているんだい?」
「最近はエミリー様のお仕事をする事が多いですが、以前はお兄様と鍛錬する事も多かったですね」
「私の剣を止めた手腕は見事だったね」
「……その節は、はしたない真似をして申し訳ありませんわ」
恥ずかしいですわ! とっさに身体が動いてしまったからに過ぎませんのに。
「サイモン様の剣は素早くて素敵でしたわ。それに、エミリー様の事も考えて、デヴィッド様へ手加減なさるなんてお優しいですわ」
「手加減?」
「ええ、あの時デヴィッド様へ剣を向けたのは本気ではございませんでしたでしょう? わたくしの扇子で止められましたし、サイモン様のお怒りを表現してトーマス様達を追い詰めようとなさったんでしょう?」
「……バレていたとはお恥ずかしい……」
やはりそうなのね。サイモン様はどのくらいお強いのかしら? お兄様より強かったりして!
「いつか本気のサイモン様とお手合わせ願いたいですわ!」
「喜んでお受けするよ」
「嬉しいですわ! でも、お手柔らかにお願い致しますわ。お兄様にはいつも勝てませんの」
「ただ、私も少し立て込んでいてね。3ヶ月程すれば時間も取れるから、その辺りでまたご連絡するよ」
「かしこまりました。兄も一緒でもよろしいですか?」
さすがに、ふたりきりと誤解されてはサイモン様にご迷惑よね。お兄様も巻き込みましょう。きっと来てくださるわ。
「もちろん、お強いと噂のジョセフ様と手合わせ出来るなど光栄だよ」
わたくしも最近は身体が鈍っているし、鍛錬を増やしておきましょう。あっさりサイモン様に負けてしまっては申し訳ないもの。
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