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夜会
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「カートライト家の皆様だわ!」
「あら、あの女性はどなた?」
「まぁ! サイモン様がエスコートなさってるわ!」
「あのドレス……サイモン様のご婚約者かしら?」
「そのような話は聞いてませんわ、ですがあのドレスは明らかにサイモン様のお色ですし……」
「仲睦まじいご様子ですものね、発表はいつかしら?」
……外野がうるさいな。
「さささ、サイモン様っ! やっぱりわたくしエスコートはお願いしないほうがよろしかったのではありませんか」
ああ、そんなに戸惑うなんて可哀想に。やはり夜会など連れて行かずにゆっくり茶会をしていれば良かった。
「こんばんわ、サイモン様にエミリー様、それと……貴方はどなたかしら?」
「はじめまして、マチルダ・ドゥ・シヴィルと申しますわ。お名前をお伺いしてもよろしいですか?」
「カテリーナ・イザベル・シュボールと申しますわ。マチルダ様は武術で有名な、シヴィル家の方かしら?」
「ええ、その通りですわ」
「そんな野蛮な方がどうしてサイモン様のエスコートで来るの?」
……なるほど、シュボール家はやはり我が家と敵対したいらしいな。エミリーの件もあるし、少し釘を刺すとするか。
「マチルダ嬢は私の依頼で来ていただいたんだよ。エスコートを頼んだのも私だ。何か、問題でも?」
「あら? わたくしへのエスコートは一度もしてくれませんのに、どうしてそんな小娘のエスコートはなさるの?」
「貴方をエスコートする事はできませんよ。素敵な婚約者がいらっしゃるでしょう?」
……早く引き取りに来い。
「カテリーナ、僕を放って置くなんて酷いじゃないか。サイモン、僕の婚約者が失礼したね」
ふむ、良いタイミングだな。というか、カテリーナが失態を犯すのを待っていたようだな。順調に攻略は進んでいるようだ。
「サイモンにも想い人ができたようで安心したよ。是非式には参列してくれたまえ。それから、また情報を貰えるかい?」
カテリーナとの式は、3年後の予定だったが、早められそうだな。
「もちろん差し上げますよ。私の狩りの邪魔さえしなければね。さぁ、ファーストダンスが始まりますよ? 婚約者同士ゆっくりして下さい」
「ありがとう、失礼するよ。さ、行くよカテリーナ」
「……失礼致しますわ」
さすがに、婚約者が迎えに来れば大人しくなる。礼にまたいくつかカテリーナの弱みを教えてやるとするか。ずいぶん囲いこんだと思ったんだがな。
さっさと結婚してくれないだろうか。
アイツはカテリーナにぞっこんだから、結婚してしまえば、カテリーナは閉じ込められて、このような場で会う事も無かろう。カテリーナは気がついてないようだが、もう少し危機感を持つべきだと思うがな。
……まぁ、カテリーナを囲い込んでしまえと思わせたのも、カテリーナがそれに気が付かないよう誘導したのも、私だからな。気がつくなんてヘマをするわけがない。
アイツはもともとカテリーナに懸想していたから、少し情報を誘導してうまく婚約を結ばせた。カテリーナの好みや、弱点もわかる限り教えてやったから、だいぶカテリーナも惚れかけている筈なんだが、わざわざ煽るような事をするとはな……。
私に懸想しているのも、単なるライバル心だと分かるので、いい加減絡んでこないでほしい。それがカテリーナの為でもあるんだがなぁ。まぁ、もう容赦はせん。カテリーナが絶対アイツに知られたくない情報を流してやるか。
マチルダ嬢を野蛮などと言ったのだから、このくらいの報いは受けてもらおう。
「さて、マチルダ嬢、私とファーストダンスを踊って頂けますか?」
「ええ、喜んで」
至福の時間が過ぎていった。
「あら、あの女性はどなた?」
「まぁ! サイモン様がエスコートなさってるわ!」
「あのドレス……サイモン様のご婚約者かしら?」
「そのような話は聞いてませんわ、ですがあのドレスは明らかにサイモン様のお色ですし……」
「仲睦まじいご様子ですものね、発表はいつかしら?」
……外野がうるさいな。
「さささ、サイモン様っ! やっぱりわたくしエスコートはお願いしないほうがよろしかったのではありませんか」
ああ、そんなに戸惑うなんて可哀想に。やはり夜会など連れて行かずにゆっくり茶会をしていれば良かった。
「こんばんわ、サイモン様にエミリー様、それと……貴方はどなたかしら?」
「はじめまして、マチルダ・ドゥ・シヴィルと申しますわ。お名前をお伺いしてもよろしいですか?」
「カテリーナ・イザベル・シュボールと申しますわ。マチルダ様は武術で有名な、シヴィル家の方かしら?」
「ええ、その通りですわ」
「そんな野蛮な方がどうしてサイモン様のエスコートで来るの?」
……なるほど、シュボール家はやはり我が家と敵対したいらしいな。エミリーの件もあるし、少し釘を刺すとするか。
「マチルダ嬢は私の依頼で来ていただいたんだよ。エスコートを頼んだのも私だ。何か、問題でも?」
「あら? わたくしへのエスコートは一度もしてくれませんのに、どうしてそんな小娘のエスコートはなさるの?」
「貴方をエスコートする事はできませんよ。素敵な婚約者がいらっしゃるでしょう?」
……早く引き取りに来い。
「カテリーナ、僕を放って置くなんて酷いじゃないか。サイモン、僕の婚約者が失礼したね」
ふむ、良いタイミングだな。というか、カテリーナが失態を犯すのを待っていたようだな。順調に攻略は進んでいるようだ。
「サイモンにも想い人ができたようで安心したよ。是非式には参列してくれたまえ。それから、また情報を貰えるかい?」
カテリーナとの式は、3年後の予定だったが、早められそうだな。
「もちろん差し上げますよ。私の狩りの邪魔さえしなければね。さぁ、ファーストダンスが始まりますよ? 婚約者同士ゆっくりして下さい」
「ありがとう、失礼するよ。さ、行くよカテリーナ」
「……失礼致しますわ」
さすがに、婚約者が迎えに来れば大人しくなる。礼にまたいくつかカテリーナの弱みを教えてやるとするか。ずいぶん囲いこんだと思ったんだがな。
さっさと結婚してくれないだろうか。
アイツはカテリーナにぞっこんだから、結婚してしまえば、カテリーナは閉じ込められて、このような場で会う事も無かろう。カテリーナは気がついてないようだが、もう少し危機感を持つべきだと思うがな。
……まぁ、カテリーナを囲い込んでしまえと思わせたのも、カテリーナがそれに気が付かないよう誘導したのも、私だからな。気がつくなんてヘマをするわけがない。
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私に懸想しているのも、単なるライバル心だと分かるので、いい加減絡んでこないでほしい。それがカテリーナの為でもあるんだがなぁ。まぁ、もう容赦はせん。カテリーナが絶対アイツに知られたくない情報を流してやるか。
マチルダ嬢を野蛮などと言ったのだから、このくらいの報いは受けてもらおう。
「さて、マチルダ嬢、私とファーストダンスを踊って頂けますか?」
「ええ、喜んで」
至福の時間が過ぎていった。
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