Monsters・W・Class―モンスターズ・W・クラス―

青髭

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生まれたての弱者

弱者、骨を拾う

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「忘れてるの?…知らないのなら教えてあげるわ」

 なんだか誤解されている気がするが一応説明は聞いておこうと思う。
 と、その前に。

「あのー俺のことは怖くないの?」
「怖くないって言ったら嘘になるけど、慣れ?かな?同じ凶魔星の生まれ変わり出しね」

 説明初めていい?的な雰囲気を出すので盛大に頷く。
 そりゃもう溺愛されたペットの様に。

「結構、なら説明の続きね。凶魔星、災いをもたらす108の星をそう言うの」

 ほうほうと頷いてみせる。
 見たことも聞いたこともございません。
 なんですかそのとんでもな星は。

「これらは歴代の魔王とも言われていてね。勇者に倒され封印された魔王の魂が星になったものなの」

 ハハハ、その話だと今までに魔王は最低でも108人はいたって話になるぞ?
 そんな話はそれこそ見たことも聞いた事もございませんなぁ。
 スケルトンはそんなテキトーなアラックの雰囲気を感じたのかゴホンと咳払いした。

「つまりアレですか、俺たちはその魔王達の生まれ変わりで、なんだったら次代の魔王候補でもあると?」
「なんだ、わかってるじゃない」

 適当にそれらしいことを言ったら当たってしまった。

「私たちはライバルであり仲間なの」
「でも魔王って一人しかなれないんだろ?」
「まあね、でも魔王の腹心、その配下っていう選択肢もあるわ。まあ大概は誰かの下に付くなんて死んでもゴメンだって感じだけどね」
「そういう奴らはどうなるんだ?」
「文字通り死ぬわ」
「物騒な…」
「仕方ないのよ、魔王になるには他の魔王候補を与するか殺すしかないから」

 なるほど、108居る魔王候補はお互いに争って力を示す。
 そして他の107人には魔王の道を断念してもらわなければならないのか。
 それがどんな形であれ、それが魔王の道。
 理解はした。
 だが自分には関係ないはずだ。

「ちなみにだけどその魔王候補ってのは特徴とかあるのか?」
「特徴?」
「例えば俺や君みたいに低級でも知能があるとか」
「ああ、そうよ。魔王候補は全員最初はFランクの魔物から始まるの、そして皆が一様に知能が高い」

 まじかよ言ったまんまじゃん。

「そしてスキル欄に凶○星か魔○星って感じで特殊なスキルが現れるの。これはさっき言った魔王を断念するって形で自然に消えるわ」
「…へ、へー」

 そんなスキルはありません!
 つまり俺は魔王候補じゃない!
 人類の敵じゃないということだ!
 ホッとするのも束の間、スケルトンが話しかけてくる。

「という訳で貴方私の傘下に入らない?」
「へ?」
「私は魔王になる!」

 拳を高らかに上げて宣言するスケルトン。
 おいおい、俺は人類の敵にはなりたくねーぞ。
 できれば人間に戻りたいと思ってるんだから。

「やだ」
「に、2文字で断らなくても…よよよ」

 宣言したり泣き崩れたりと忙しいやつだ。
 思わずため息がこぼれる。

「そういや名前を聞いてなかったな。俺はアラック・リテスノーモって言うんだお前は?」
「スケルトン」
「いやいやいや、種族名を聞いてるんじゃなくて個人のな・ま・え!」
「必要なの?」
「おま、知能はあるけど常識は無いのか…」
「ちょっと!人を馬鹿みたいに言わないでくれる!」
「え、違うの?」
「むかー!」

 言葉でむかーとか言ってるし馬鹿だろ。
 いや、本人も知能はあるって言ってるしアホの子かもしれない。
 うん、アホだ。
 そう納得するアラック。

「じゃあ名前付けてよ!」
「なんで俺が」
「貴方が言い出したことじゃない!」
「そんな暴論な…」
「次期魔王なんだから横暴でも良いの!さぁ!さぁ!」

 詰め寄ってくるスケルトンに気圧されて降参するアラック。

「わかった!わかったから!名前でしょ!付けます。付けさせて頂きます次期魔王様!」
「うむ、よろしい。名付けを許可しよう」

 腕を組んでふんぞり返る。
 コイツ…。
 無い拳を握り締めるが次には息を吐いて脱力する。

「はぁ…じゃあどうしようかな」

 名付けと言われても困ってしまう。
 自分の名前ですら記憶からの引用なのだから。
 なので今回もそうしようと思った。

「今日からお前はアシュリー・リテスノーモだ!」
「わかったわ。私の名前はアシュリー・リテスノーモね」

 その時は思いもよらなかった。
 これがまさか俺の運命を分ける事になるだなんて。

 アシュリー(命名)はテキストウィンドウを見てそれを確認した。
 これでいいだろう。
 と、思っていたら突然アシュリーが叫んだ。

「きゃあああああああああああああ!!?!?!」
「な、なんだなんだ!?また新手のゴーストか!?」

 驚きつつもアシュリーを見ると血相を変えて顎をガタガタと震わして両手を頬に当てていた。

「ど、どうした…?」
「よ、よ…」
「よ?」

 震えるアシュリーは言葉が詰まってるのかなかなか喋らない。
 仕方ないので少し近づいたら急に襲いかかってきた。
 とはいっても武器などで攻撃されたのではなく単純にガバッと押し倒そうとしたのだ。
 あいにくとすり抜けたが。

「本当にどうしたんだ?」
「よくも…よくも騙してくれたわね!!」
「え?」

 全くもって理解できなかった。
 騙すも何もただ名前を付けてあげただけである。

「落ち着けって、なにが騙したんだよ」
「貴方が名前を付けてそれを受け入れた途端に私のスキル凶魁星きょうかいせいが消えちゃったじゃないどうしてくれるよの!とりあえず死んでよ!!」
「え、そうなの?名付けって魔王への道を断念する認定なんだ、へぇ~。ちなみにもう死んでます」
「ムキー!」

 地団駄を踏むアシュリー。
 これはそろそろお暇しようかと考えるアラック。

「決めたわ!」
「な、なにがでしょう?」

 そろりそろりと逃げようとしているとアシュリーが声を荒げる。

「私のスキルが戻るまで貴方から離れないから!」
「えっうそ…」
「ホントよ」

 この日アラックは初めて仲間を得ることが出来たとさ。
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