Monsters・W・Class―モンスターズ・W・クラス―

青髭

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生まれたての弱者

進化して形を得る

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 あれから新生アシュリーにも手伝ってもらい一匹でうろうろしていた豚鬼オークに遭遇した。
 俺一人だったら手こずっていたかもしれないがアシュリーが気を引いてくれたおかげでなんとか止めを刺すことに成功した。
 ランクがDと言う事と初討伐という事もあってレベルが上がった。
 そして…。

「早速ですが進化に移りたいと思います」
「どこ向いてるのよあなた…」
「ちょっ、お前だけには言われたくないんだが!?」

 変なものを見る目でアシュリーは俺を見ていた。
 しかし今はこんな奴に構ってはいられない。
 遂に俺も進化ができるのだ。

「どれどれ…」

 緊張した様子でステータスウィンドウを開いてみる。
 そこには「選べる進化先があります」とテキストウィンドウが出ていた。

「やった!」

 思わずガッツポーズをする。
 これで進化先はありませんとか出てたら途方に暮れていたことだろう。

「で、なにがあったのよ?」
「ああ、見てみてくれ」

 アシュリーが先ほどの俺のように覗き込む。
 上位幽霊ハイ・ゴースト階位ランクE、下位魔霊レッサー・レイス階位ランクF…の二つだけである。
 確認するとアシュリーが優しく肩辺りに手を置いた。

「まぁ、しょうがないと思うよ?私とあんたじゃ…ぷっ」
「てめぇ!笑うことないだろ!」
「私、魔王候補ですから差が出てしまいましたわねおーほっほっほ!」
「はっ、元、魔王候補だろうが!今後もあれだけ出ることなんて無いね!ぜえったいに!」
「おやおや?どこからか負け犬の遠吠えが聞こえましてよアラックさん?」

 く、悔しいぃ!!
 今、もし手元にハンカチがあったら歯で噛んで引っ張っていたに違いない。
 キィィィィ!!

「ぷーくすくす、冗談よぷーくすくす」
「だったらその笑い方をやめい!」
「それで、どれ選ぶのよ?」
「急に素に戻りやがったなこいつ」

 先程まで口に手を当てて笑っていたアシュリーは飽きたのかスッと直立した。
 この言動にはアンデッドじゃなくてもキモいと思うアラックだった。

「そうだなぁ…」

 正直な話し、2つしか選択肢が無いということに驚いていた。
 いや、これはアシュリーが異常だったということだろう。
 アラックはこっそりとアシュリーを見る。
 魔王の星の下に生まれた彼女は元々の素質が規格外なのだろう。

「これにしようかな」

 そう言って指を指したのはレッサー・レイスだった。

「レッサー・レイス?順当に行くならハイ・ゴーストの方が良いんじゃないの?ランクも上がるし」
「いいんだよ。だってゴーストって多分だけどこの種族全体の大基みたいなものだろ?なんかこのまま行ってもずっと姿かたちがもやもやしてそう」
「つまり?」
「レイスの方がなんかかっこいい」
「うん、正直でよろしい」

 そして俺はレッサー・レイスを選択した。
 すると見る見るうちにアラックはその姿を変えていった。

「お?おおお!?」

 そして…俺は…人間の姿・・・・を手に入れることが出来たのだ。

 名前「アラック・リテスノーモ」
 種族「レッサー・レイス」レベル「1/10」
 職業「ー」レベル「ー/ー」
 
 状態「正常」
 体力「28/28」
 魔力「45/45」
 筋力「9」
 耐久「40」
 敏捷「16」
 幸運「17」
 階位「F」

 技能「物体透過」「下位物理耐性」「神聖攻撃脆弱」「ポルターガイスト」「下位魔術攻撃補正」「下位暗黒魔術」「下位日光脆弱」

「やった、やったぞ!俺は人間の体を手に入れたんだぁぁ!!」
「その割には透けてるわね」
「おい、人が喜んでるのに水をさすな!」

 手のひらを見れば先程までの楕円形の手ではなく5本の指があり細かく見れば手相も見える。
 腕も透けてはいるがしっかりと輪郭があり確かに人間の姿をしていた。

「ねぇねぇ、アラック」
「ん?どうした?」
「ゴーストってその服はどうなってるの?」
「ゴーストじゃなくてレイスな…っと言われましても…」

 確かに俺は今服を着ている。
 この服は薄かった。いや、生地が薄いのではなくアラックと同じで半透明なのだ。
 村人が着ているような簡素は上着で襟に紐が通してありそこで少しばかりの大きさを調整できるようになっているだけだ。
 ズボンも足首までは裾はあるし腰のところには調整用の紐もある。
 しかし透けている。卑猥な意味じゃないよ?

「わからん!」

 それが正直な俺の感想だった。
 だって本当にわからないし。
 だが確実に人間の姿をしているはずだ。

「早速川まで行って俺の尊顔を拝まねば!」
「あ、鏡あるわよ」
「まじか!貸してくれ!」
「慌てない慌てない、はいどうぞ」

 アシュリーはバッグから小奇麗な手鏡を取り出した。
 アラックは素早く手鏡を受け取ると自身の顔を確認する。

「ちょっと、丁寧に扱ってよね!」
「お、おおお!これが俺!」

 そこには黒髪黒目の青年が居た。
 アシュリーの声など届かず鏡で見える範囲を映す。
 時々ポーズを決めたりしてみる。
 ぶっちゃけ生前の姿などうろ覚えだったがこんな感じだった気がする。

「俺ってかっこよかったんだなー」
「…」
「おいおい、え、この人何言っちゃってるの?みたいな感じで口に手を当てるのはよしてくれよ」
「いや、だって、自分で言うかって思って」
「お、なんだ、否定しないってことは自他共に認める魅力なのか俺は!」
「そういうこと人前で言わないほうがいいわよ」
「人前って言ってもなぁ、俺、お前以外に会ったことないし」
「そうなの?」
「うん」
「じゃあ街に行ってみる?」
「え、あ、あるのか!?」
「そりゃあるわよ。まあ少し時間がかかるけどね」
「行く!行きます!行かせて頂きますとも!」
「わかったわかった!」

 身を乗り出して詰め寄るアラック。

「いざ、街へ!」

 アラック達は街へと進んだのだった。
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