Monsters・W・Class―モンスターズ・W・クラス―

青髭

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生まれたての弱者

形だけの行動

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 アシュリーが知っている範囲でこの国の通過について教えてもらった。
 といっても、アシュリーもこの国近辺のものしか知らないらしくそれがエピオール通貨であるらしいのだ。
 エピオール通貨、この魔大陸における三つの流通通貨の一つだ。
 管理しているのはこの竜王国で製造もここだ。

「で、いまいくらぐらいあるんだ?」
「えっと、エピオール銀貨が1枚と銅貨が3枚ね」
「で、宿代はいくらなんだ?」
「食事無しで安くて銅貨8枚かしら」
「で、銀貨は銅貨何枚相当なんだ?」
「一律10枚よ」
「そうか、じゃ、そういうことで」

 巾着の財布を覗き込んでいたアシュリーから財布ごと奪い去りそそくさと立ち去ろうとするアラック。

「ちょちょっと待ちなさいよ!?」
「ん、なにか?」
「なにかじゃないでしょ!?返してよ私のお金よ!?」
「仕方ないだろ、銅貨11枚だと一人しか泊まれないんだから、な?」
「な?じゃないわよ!?さも当然のように言わないでくれる!?アンデッドがいっちょまえに休息とろうとしてんじゃなわよ!」
「うわぁ、盛大なブーメラン…。でもなぁ、俺はお前と違って元人間であるからにして肉体的に疲れなくても精神的には休息が欲しいと感じ思ってしまうのだよ。だから、な?ここは1つそういうことで!」
「でって騙されないわよ!?返しなさい私の財布!」

 しがみつこうとするアシュリーを軽々と避けるアラック。
 もうあしらい方はお手の物だ。
 空振りして空を切るアシュリーを横目に足早に立ち去る。

「ははははは、また明日な!」
「こ、この泥棒ー!!」

 アシュリーが見えなくなるとアラックは近くにあった宿へと足を入れた。
 ボロくもなく新しくもない宿、実にアラック好みである。
 これで本当に肉体があれば文句なしだっただろうに。
 アラックは真っ直ぐと進んでカウンターまでたどり着く。
 カウンターには小柄で鼻と耳が異様に長い丸めがねの老人が高めの椅子に座っていた。

「あの、一泊しても?」

 老人はアラックを下からジロリと見ると口を開いた。

「…お前さんゴースト種だろ?宿なんて必要なかろうに」
「そこをなんとか、ちょっとした思い出作りなんで!」

 両手を合わせて頼み込む。
 すると老人は一度だけ目を瞑ると椅子の上で器用に半回転して壁に掛けてある鍵を1つとった。

「銅貨5枚だ、好きにしな」
「あ、ありがとうございます」

 貸してくれたこともそうだが聞いていた相場より安かったので驚いた。
 アラックは銀貨を1枚差し出しておつりの銅貨5枚を受け取った。

「あ、そうだ、ここらで酒場とかってあります?」
「この宿の横道を突っ切って向かいに1軒あるよ」

 アラックは頭を下げると宿がある2階へと上がっていった。
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