Monsters・W・Class―モンスターズ・W・クラス―

青髭

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生まれたての弱者

新手の魔王候補?

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 アラックは先程教えてもらった酒場に来ていた。
 酒場は酔って騒いでいるものや賭けをするもの、一人静かに飲むものと活気があった。
 さきの宿屋もそうだがアラックにお酒は不要である。
 ではなぜ来たのか?
 それは雰囲気を楽しもうというものではなく単に情報収集が目的だからである。
 
 もしもここがアシュリーの言っていた小さな村程度の場所だったのならそんな事はしなかっただろう。
 ここが国、文明レベルが高いから街に住む魔物達も人間と変わりないと思ったから来たのだ。
 アラックは酒場でキョロキョロと人を探す。
 一番情報を持ってそうな人物を探しているのだ。
 と、一人の魔物に気がついた。
 見るからに深々と薄茶のフードを被り、周りに誰も居ないやつである。
 もしかしたら同じように旅人でこの国の事を知らないかもしれない。
 けれどアラックが欲しい情報というのは国の情報ではなく外の情報であるのでむしろ大歓迎だった。

「お兄さんお一人?」
「…私に言っているのか?」

 アラックが気さくに話しかけるとフードの奥から女性の声が聞こえてきた。
 遠目からでは分からなかったがよく見れば身長も160程で胸部も少しだけ盛り上がっていた。

「おっと、これは失礼。お隣よろしい?」
「…なんでそうなる」
「いや、お姉さんがここらの人じゃなさそうだったから、ちょっと聞きたいことがあってね」

 フードの女性からの反応はない。
 警戒しているのか彼女は微動だにしない。

「えっと、一応聞いておくんだけど、リーテス王国って知ってる?あとノーモ村って所も…」
「答える義務があるのか?」
「頼む、知ってるか知らないかだけで良いんだ!この通り!」

 両手を合わせて顔を下げる。
 その様子をフードの女性は見つめる。

「お前レイスか」
「今はそんなこといいから!」
「…はぁ、よくわからん奴だな、私はそんな国も村も知らないし聞いたこともない。これでいいな?」
「そっか、わかった。ありがとな、時間取らせて」
「全くだ」

 アラックは肩を落としてその場を後にしようとした。
 ふと何かを思い出したかのようにアラックは立ち止まり振り向いた。

「あ、そうだ、魔王候補って知ってる?…あ、こっちは別に答えなくてもどっちでもいいんだけど知り合いが知りたい情報なんだよね」
「……」

 しばらくの沈黙が2人の間に続く。
 これは知らないなと思いアラックは再び頭を下げて酒場を後にした。

「…魔王候補、臭いは薄いが関係がありそうだな。その知り合いってのがソレか」

 今の言葉は誰に聞かれるでもなく酒場の騒音に掻き消えた。
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