【完結】妹ばかり愛され追い出された姉ですが、無口な夫と暮らす日々が幸せすぎます

コトミ

文字の大きさ
18 / 22

第十八話

しおりを挟む
「久しぶりね。カタリナ。結婚おめでとう」
「一体何やってんのよ」
「ほら、王宮で舞踏会が行われるでしょう?作ってもらったドレスを取りに来たの」

 隣にカタリナと結婚するオリバー・クック。確かに美男かもしれない。ジェラール様のような男前というより、女性のような感じ。悪く言えば弱々しい、よく言えば儚い。今にも私を殴ってきそうな目力で私を見ると、手を握りしめていた。どうしてそんな目を向けられないといけないのかしら。私カタリナにそんな恨まれるようなことした覚えないわよ。

「良いご身分ね。私なんてアンタが着たのを手直ししてウエディングドレスを着るのよ。信じられない」

 カタリナは隣にいたオリバー様のことを一瞥すると、目を細めた。

「そのことだけど、私実はアレを着てないのよ。お義姉様が着たのを貸していただいたの。私の到着より遅くついてしまったのよ」

 本当は義母が私を貶めるために隠していたのだけれども。

「だから何?半年も放置されていたドレスを着るなんて嫌に決まってるでしょ。それに対して、あんたは新品のドレス。少しはこっちの気持ち考えようとか思わないわけ?」

 ジェラール様が私とカタリナの前に間に入り立ちはだかった。

「これは私が与えたものだ。口を出すな。着替えてこいセラフィナ」
「あ、はい」

 ジェラール様にいわれ、先ほどの部屋へ入って着ていたドレスに着替え直した。戻ると、妙な空気が流れていた。ジェラール様は私のことを見ると手を取ってすぐ外へ出た。カタリナとオリバー様の隣を通り抜けた。オリバー様は酷く怯えているようだった。カタリナはしきりに私から視線をそらし、全く見ようとしなかった。

 馬車で王宮まで行く途中、ジェラール様は少し苛立っているようだった。

「何か話しましたか?」
「何も話していない」
「そうですか?」

 カタリナとジェラール様の間は妙に変な緊張関係があるでしょうし、会いたくもなかったわよね。やっぱり私一人で来るべきだったのかしら。

 本当なら今夜に両親やカタリナと会って話をするのかもしれないけれど、私は両親とカタリナがどこにいるのかなんて全く分からなかった。きっとあの子もこれから先のことで不安なのよね。マリッジブルーで、イライラしているのかもしれないわ。結婚式を執り行うのは大聖堂、舞踏会は王宮。そりゃあ、少しは不安定にだってなるわよね。あの子のことは大使て好きってわけじゃないけど今回のことに関しては同情してしまうわ。

「ジェラール様、クック家のオリバー様はどんな方なのですか?」

 化粧台の前で髪をとかしながら、ベッドで横になっていたジェラール様にたずねた。こちらを向いてから黙ってみつめた。

「前は、詳しく話してくださらなかったでしょう?」
「クック家は、元王族の次男からなる侯爵家だ。それでいて貿易業で財を成した。オリバーはそこの三男坊。母親似のハンサムだが、知能は八才程度。脳に障害を持ってる」

 どうしてカタリナが結婚できたのか分かったわ。他の令嬢達は誰もそんな苦労の道へ進もうとは思わなかったのね。オリバー様もオリバー様で苦労なさっているのに、カタリナと結婚して大丈夫なのかしら。上手くいかなくてすぐ離婚なんてことになったりするような気がしてしまうわ。
 きっとカタリナはクック家の財力と、オリバー様の顔にしか興味がないのね。まだ愛しあって結婚してるならまだしも、そんなこと目当てで結婚してしまったらきっとすぐ立ち行かなくなってしまうわよ。

 明日へ備え早めに寝ようとベッドへもぐりこんだ。

「同情してるのか?」
「少しだけ」
「お前の境遇は知っている。同情する必要なんてない」

 頭を撫でられ、そのまま抱き寄せられた。

「私はカタリナのことなんて恨んでいないんです。仕方がない事だったのだから」
「お前のそういうところは大好きだが、自業自得という言葉がある」

 腕に抱えられるように、彼の胸にすっぽりとはまってしまうと、キスをされた。空いている片手で腹を触られ、太ももまで滑らせた。

「だって、カタリナだってそうやって生きたいわけじゃなかったはずです。両親によってそうせざる負えなくなってしまったのかもしれません。ジェラール様だってそうでしょう?私は貴方のことを知っているわけじゃないけど、知らないわけでもないんです。もっと違う生き方があったと思っているんじゃ、ありませんか?」
「お前だってそうだろう」

 キスをされ、首筋を唇を滑らせたところで、突き放した。最近思った事だけれど、この人は他の人に比べて性欲が強いんじゃないかしら。こんな長旅で疲れた後に女を抱くかしら。最初こそ優しく割れ物を扱うようだったけれど、最近のジェラール様は、欲望をそのままぶつけてくるから、へとへとになってしまうのよ。そんなことを考える私もとても恥ずかしい。

「私は満足してます。全然幸せですから」
「俺だって満足している。お前に会えたからな」

 まだあきらめずに私に迫ってきたため、寝返りを打って背を向けた。すると胸を両手で包むように揉まれて、両足の間に足をねじ込んできた。
 でも、もう私の身体は疲れている。

「私は、もう眠りたいです。長旅で疲れてしまっているので」

 するとそっと離れた。

「すまなかったな」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

わたしの婚約者なんですけどね!

キムラましゅろう
恋愛
わたしの婚約者は王宮精霊騎士団所属の精霊騎士。 この度、第二王女殿下付きの騎士を拝命して誉れ高き近衛騎士に 昇進した。 でもそれにより、婚約期間の延長を彼の家から 告げられて……! どうせ待つなら彼の側でとわたしは内緒で精霊魔術師団に 入団した。 そんなわたしが日々目にするのは彼を含めたイケメン騎士たちを 我がもの顔で侍らかす王女殿下の姿ばかり……。 彼はわたしの婚約者なんですけどね! いつもながらの完全ご都合主義、 ノーリアリティのお話です。 少々(?)イライラ事例が発生します。血圧の上昇が心配な方は回れ右をお願いいたします。 小説家になろうさんの方でも投稿しています。

(完結)可愛いだけの妹がすべてを奪っていく時、最期の雨が降る(全5話)

青空一夏
恋愛
可愛いだけの妹が、全てを奪っていく時、私はその全てを余すところなく奪わせた。 妹よ・・・貴女は知らない・・・最期の雨が貴女に降ることを・・・ 暗い、シリアスなお話です。ざまぁありですが、ヒロインがするわけではありません。残酷と感じるかどうかは人によるので、わかりませんが、残酷描写シーンはありません。最期はハッピーエンドで、ほのぼのと終わります。 全5話

結婚後、訳もわからないまま閉じ込められていました。

しゃーりん
恋愛
結婚して二年、別邸に閉じ込められていたハリエット。 友人の助けにより外に出ることができ、久しぶりに見た夫アルバートは騎士に連行されるところだった。 『お前のせいだ!』と言われても訳がわからなかった。 取り調べにより判明したのは、ハリエットには恋人がいるのだとアルバートが信じていたこと。 彼にその嘘を吹き込んだのは、二人いたというお話です。

この恋に終止符(ピリオド)を

キムラましゅろう
恋愛
好きだから終わりにする。 好きだからサヨナラだ。 彼の心に彼女がいるのを知っていても、どうしても側にいたくて見て見ぬふりをしてきた。 だけど……そろそろ潮時かな。 彼の大切なあの人がフリーになったのを知り、 わたしはこの恋に終止符(ピリオド)をうつ事を決めた。 重度の誤字脱字病患者の書くお話です。 誤字脱字にぶつかる度にご自身で「こうかな?」と脳内変換して頂く恐れがあります。予めご了承くださいませ。 完全ご都合主義、ノーリアリティノークオリティのお話です。 菩薩の如く広いお心でお読みくださいませ。 そして作者はモトサヤハピエン主義です。 そこのところもご理解頂き、合わないなと思われましたら回れ右をお勧めいたします。 小説家になろうさんでも投稿します。

手放してみたら、けっこう平気でした。

朝山みどり
恋愛
エリザ・シスレーは伯爵家の後継として、勉強、父の手伝いと努力していた。父の親戚の婚約者との仲も良好で、結婚する日を楽しみしていた。 そんなある日、父が急死してしまう。エリザは学院をやめて、領主の仕事に専念した。 だが、領主として努力するエリザを家族は理解してくれない。彼女は家族のなかで孤立していく。

【読み切り】婚約解消後、別の男の元に嫁いだ令嬢のお話

キムラましゅろう
恋愛
ベアトリスは子爵家の娘で、伯爵家嫡男の婚約者であった。 だが公金の使い込みが発覚した父親が捕縛され、罪人の娘となったベアトリスは当然伯爵家令息との婚約は破棄された。そして隣国の医療魔術師の元に嫁がされるという事実上国外追放の身となる。 元婚約者へ心を残しながら、年の離れた夫との旅生活。ベアトリスはその中で何を見出すのか……。 完全ご都合主義のお話です。 小説家になろう、カクヨムにて投稿済みの一話完結作品です。 アルファポリス様の規定に反すると判断された場合は削除いたします。

元カノが復縁したそうにこちらを見ているので、彼の幸せのために身を引こうとしたら意外と溺愛されていました

おりの まるる
恋愛
カーネリアは、大好きな魔法師団の副師団長であるリオンへ告白すること2回、元カノが忘れられないと振られること2回、玉砕覚悟で3回目の告白をした。 3回目の告白の返事は「友達としてなら付き合ってもいい」と言われ3年の月日を過ごした。 もう付き合うとかできないかもと諦めかけた時、ついに付き合うことがてきるように。 喜んだのもつかの間、初めてのデートで、彼を以前捨てた恋人アイオラが再びリオンの前に訪れて……。 大好きな彼の幸せを願って、身を引こうとするのだが。

諦めていた自由を手に入れた令嬢

しゃーりん
恋愛
公爵令嬢シャーロットは婚約者であるニコルソン王太子殿下に好きな令嬢がいることを知っている。 これまで二度、婚約解消を申し入れても国王夫妻に許してもらえなかったが、王子と隣国の皇女の婚約話を知り、三度目に婚約解消が許された。 実家からも逃げたいシャーロットは平民になりたいと願い、学園を卒業と同時に一人暮らしをするはずが、実家に知られて連れ戻されないよう、結婚することになってしまう。 自由を手に入れて、幸せな結婚まで手にするシャーロットのお話です。

処理中です...