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第二十一話
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やだやだやだやだ!離して!お願いだから!右腕をきつくつかまれて、引っ張られていく。ヒールで足に上手く力が入らない。腕を引っ張る力では勝てない。叫ぼうと思っても口に布を押し込まれたまま手で押さえつけられて息も上手くできない。
「んんん!!!」
「黙れ!」
拳が目の前に見えたと思ったら、目の上あたりを加減なく殴られた。一瞬体に全く力が入らなくなって、頭がくらくらとした。鈍い痛みが後からやってきた。恐怖で涙がこぼれ、目の前がぐちゃぐちゃになる。
誰か!助けて!
ドレスの裾を踏んずけて、転んだ隙に私の口を押えていた手も私の腕をつかみ、無理やり引っ張られ、すぐ近くの部屋に連れ込まれた。部屋に連れ込まれるとき、扉の縁にしがみついて、必死で抵抗したけれど、手を蹴られ反射的に離してしまった。扉をバン!と閉められた。
口の中に入れられていた布を取り出し、大きく息を吸った。
「やめて!誰か!!助けてえ!!」
声はかすれ、濁点が付いたようにガサガサだった。でも髪の毛を掴まれて、また顔を殴られた。痛みで骨がきしみ、鈍い痛みで意識がもうろうとした。
「黙れ!このソバカス女!」
ベッドまで髪を掴まれながら引きずられ、押し付けられた。そしてまた口の中に布を無理やり詰め込まれ、息も上手くできなくなった。力が抜けて、もう何をやっても無理だという、諦めの気持ちになってしまった。両手を抑えつけられて、スカートを無理やり引っ張られて手を入れられた瞬間、鳥肌が立って、無意識に男の足を蹴りまくった。というよりがむしゃらに足を振り回していただけかもしれない。
でも足の間に足を入れられ、抑えつけられると、そうすることもできなくなった。
「大丈夫だ。大人しくしてれば優しくしてやるから」
ドレスの胸元を掴まれて、頭の中が真っ白になった。顔を近づけられ、横を向いて大きく鼻で呼吸をしていた。嫌だ。嫌だ。体が強張って上手く動かなかった。
ドレスの中に手を入れられ、太ももを触られた。その瞬間、ドタドタという足音がしたのち、扉が蹴破られた。その音で私は目を丸くした。男も手を止めた。そこに立っていたのはジェラール様だった。仁王立ちをして、両手を握りしめてこちらを見ている。
私と目が合うと、今までにならぬ怒りで燃えているのが見えた。大股でこちらまでやってくると、男の前で立ち止まった。右手を上げ男のことを殴った。重い体重にもかかわらず、吹き飛び、倒れて怯えたように壁まで這って逃げていく。
ベッドに寝転がったまま、横目にそれを見つめていた。
「お前何をしていた」
「ち!違う!あいつから、あの女から!誘ってきやがった。俺じゃない!」
壁際に身体を押し付けて、目の前に立つジェラール様に怯え、叫んでいる。私はそのジェラール様の殺気のようなものにやられて、動けなかった。
「バカ言うな。殺すぞ」
「嘘じゃない!」
ジェラール様は男にまたがり、頭を抑えつけると、腕を振り上げ殴った。鈍い音がした。男の悲鳴も聞こえ、私は怯えてみているしかできなかった。足に力が入らず、震えてシーツを握りしめていることしかできない。
でも壁に血がはねたのが見え、体が動いた。ベッドからはなれ、四つん這いでジェラール様のもとまで行き、背中をつかんだ。
「やめて!やめてください!」
「こいつ…!おまえを」
その大きく、強い腕が掲げられ、抱きついた。
「やめて、こんなことしないで」
しばらく肩で息をする、強い息遣いが聞こえていた。腕を下ろしたジェラール様は、私の腕を掴んで立ち上がり、勢いよく抱きあげられた。私は抱かれながら、また涙がこぼれた。ずり下がった胸の部分を抑え、鎖骨のあたりに頭をうずめた。
部屋へ戻ると、ベッドに倒れこんで、シーツを掴んで泣いた。涙が止まらず、罪悪感が心をむしばんで、ここにいる事さえ躊躇われた。
「ごめんなさい、ごめんなさい…」
「なぜ謝る。謝るなら俺が」
「私は」
髪の毛を掴んで、頭を掻きむしった。
「もう、良いかと、思ってしまったのです。諦めたのです。一瞬でも、ジェラール様の妻というのは、私以外にもたくさん代わりはいるのだからと、もういいかと思ったのです」
涙が止まらず、しゃくりあげるように呼吸をして、嗚咽を漏らした。あの時の腕の掴まれた感覚、布を入れられ、乾いた口の中。鳥肌が立ち頭が真っ白になる肌を撫でられる感触。
後ろから抱きしめられ、息を吸い込んだ。
「不安にさせて悪かった。放っておいた俺のせいだ。ここまで愛しているのはセラフィナだけだ。どうせ母もあの公爵令嬢も他の女より上に立ちたいだけなんだ。セラフィナは違う」
もううまく物も考えられない。でもジェラール様は私のことを離すまないとしていることは分かる。
私は振り返り、頬にキスした。
「んんん!!!」
「黙れ!」
拳が目の前に見えたと思ったら、目の上あたりを加減なく殴られた。一瞬体に全く力が入らなくなって、頭がくらくらとした。鈍い痛みが後からやってきた。恐怖で涙がこぼれ、目の前がぐちゃぐちゃになる。
誰か!助けて!
ドレスの裾を踏んずけて、転んだ隙に私の口を押えていた手も私の腕をつかみ、無理やり引っ張られ、すぐ近くの部屋に連れ込まれた。部屋に連れ込まれるとき、扉の縁にしがみついて、必死で抵抗したけれど、手を蹴られ反射的に離してしまった。扉をバン!と閉められた。
口の中に入れられていた布を取り出し、大きく息を吸った。
「やめて!誰か!!助けてえ!!」
声はかすれ、濁点が付いたようにガサガサだった。でも髪の毛を掴まれて、また顔を殴られた。痛みで骨がきしみ、鈍い痛みで意識がもうろうとした。
「黙れ!このソバカス女!」
ベッドまで髪を掴まれながら引きずられ、押し付けられた。そしてまた口の中に布を無理やり詰め込まれ、息も上手くできなくなった。力が抜けて、もう何をやっても無理だという、諦めの気持ちになってしまった。両手を抑えつけられて、スカートを無理やり引っ張られて手を入れられた瞬間、鳥肌が立って、無意識に男の足を蹴りまくった。というよりがむしゃらに足を振り回していただけかもしれない。
でも足の間に足を入れられ、抑えつけられると、そうすることもできなくなった。
「大丈夫だ。大人しくしてれば優しくしてやるから」
ドレスの胸元を掴まれて、頭の中が真っ白になった。顔を近づけられ、横を向いて大きく鼻で呼吸をしていた。嫌だ。嫌だ。体が強張って上手く動かなかった。
ドレスの中に手を入れられ、太ももを触られた。その瞬間、ドタドタという足音がしたのち、扉が蹴破られた。その音で私は目を丸くした。男も手を止めた。そこに立っていたのはジェラール様だった。仁王立ちをして、両手を握りしめてこちらを見ている。
私と目が合うと、今までにならぬ怒りで燃えているのが見えた。大股でこちらまでやってくると、男の前で立ち止まった。右手を上げ男のことを殴った。重い体重にもかかわらず、吹き飛び、倒れて怯えたように壁まで這って逃げていく。
ベッドに寝転がったまま、横目にそれを見つめていた。
「お前何をしていた」
「ち!違う!あいつから、あの女から!誘ってきやがった。俺じゃない!」
壁際に身体を押し付けて、目の前に立つジェラール様に怯え、叫んでいる。私はそのジェラール様の殺気のようなものにやられて、動けなかった。
「バカ言うな。殺すぞ」
「嘘じゃない!」
ジェラール様は男にまたがり、頭を抑えつけると、腕を振り上げ殴った。鈍い音がした。男の悲鳴も聞こえ、私は怯えてみているしかできなかった。足に力が入らず、震えてシーツを握りしめていることしかできない。
でも壁に血がはねたのが見え、体が動いた。ベッドからはなれ、四つん這いでジェラール様のもとまで行き、背中をつかんだ。
「やめて!やめてください!」
「こいつ…!おまえを」
その大きく、強い腕が掲げられ、抱きついた。
「やめて、こんなことしないで」
しばらく肩で息をする、強い息遣いが聞こえていた。腕を下ろしたジェラール様は、私の腕を掴んで立ち上がり、勢いよく抱きあげられた。私は抱かれながら、また涙がこぼれた。ずり下がった胸の部分を抑え、鎖骨のあたりに頭をうずめた。
部屋へ戻ると、ベッドに倒れこんで、シーツを掴んで泣いた。涙が止まらず、罪悪感が心をむしばんで、ここにいる事さえ躊躇われた。
「ごめんなさい、ごめんなさい…」
「なぜ謝る。謝るなら俺が」
「私は」
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涙が止まらず、しゃくりあげるように呼吸をして、嗚咽を漏らした。あの時の腕の掴まれた感覚、布を入れられ、乾いた口の中。鳥肌が立ち頭が真っ白になる肌を撫でられる感触。
後ろから抱きしめられ、息を吸い込んだ。
「不安にさせて悪かった。放っておいた俺のせいだ。ここまで愛しているのはセラフィナだけだ。どうせ母もあの公爵令嬢も他の女より上に立ちたいだけなんだ。セラフィナは違う」
もううまく物も考えられない。でもジェラール様は私のことを離すまないとしていることは分かる。
私は振り返り、頬にキスした。
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