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第八話
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「本当ですか?娘を」
「はい、もちろんです」
着々と外堀を埋められている。部屋の外ではメイド達がケイト様の容姿をほめたたえているし、お父様はケイト様の外面と、物腰の柔らかさにやられてしまった。それに娘が侯爵夫人になるかもしれないということで、ウキウキとしている。
「ぜひ妻にしたいと思っているのです。私は彼女ほどの女性に会ったことがありません」
「本当ですか。大切に育てた娘ですから、嬉しいですな」
そんな鼻の下のばしてデレデレしないでよ。お父様!私この人と結婚したら、色々重くて死んじゃうって。それに外面が良いだけかもしれないじゃないの。
「ちょうど婚約が破棄されたところでしたから、結婚していただけますのなら、結婚していただきたいですな」
「ほんとうですか。それならよかったです」
「それにしても、一つ疑問があるのですが、どうしてあの舞踏会で赤毛の女性を集めたのですか?赤毛がお好きですか?」
「いえ、占い師に赤毛の女性が良いと言われましたので、赤毛の女性を集めてみたら、大当たりでした」
目を合わせないように俯いていたのだが、一瞬顔を上げた時目がちょうど合った。すると唇を薄く広げ、甘いマスクで微笑んだ。でもソフィにそれは通用しなかった。その笑顔に対して、ソフィは眉をひそめて、目を細めて、じとっと見つめ返したのだが、対してケイトは表情を緩ませた。
どうしよう。なぜあの男は喜んでいるの。
「それでは結婚はしてもよろしいということでしょうか?」
「もちろんです。ぜひ」
ああ、私が一言も言わない内に、結婚が決定してしまった。
「よかったな。ソフィ」
「そ、そうですね。お父様。私少しケイト様と二人きりでお話がしたいわ。少し席を外していただけます?」
「ゆっくり話すと良い」
上機嫌で腰を上げて、ケイトに向けて挨拶をして子爵は部屋から出て行った。部屋の中にケイトとソフィの二人きりになり、妙な空気が流れた。
「良いお父上だね」
「今から父へ、やっぱり嫌だというのは私も嫌です。だから、条件です。この条件を守っていただければ結婚いたします」
それを聞き最初は顔を明るくしたけれど、すぐにケイトは俯き暗くなった。
「一応私も跡継ぎが居ない蹴ればいけない。子を産みたくないとかそういうことは…」
「違います。結婚したのなら、夜の営みも、子も産みましょう。条件というのは、孤児院を立てていただきたいのです」
「孤児院?」
全く想定してしなかった条件だったためケイトは面食らった。
「はい。教会の息も、政治家の息もかかっていない、孤児院です。孤児院を建て、運営を私に任せていただきたいのです。それをさせていただけるのであれば、結婚いたしましょう」
真剣な表情で、まっすぐ目を見て交渉をした。その意志が伝わったのか、ケイトも真剣に耳を傾けて、にっこりと笑った。ふわりと、椅子から立ち上がると、ソフィの目の前まで歩み寄り、腰を落として跪いた。ソフィの細く白い手を取った。
「もちろん。貴方のためなら、どんなことでも捧げよう」
そうして手の甲へ、キスをした。血の通う温かさが、伝わり、ソフィは指の関節という関節を強張らせて、目を丸くしていた。
「そんなに捧げていただかなくて、結構です。孤児院だけでいいのです」
「はい、もちろんです」
着々と外堀を埋められている。部屋の外ではメイド達がケイト様の容姿をほめたたえているし、お父様はケイト様の外面と、物腰の柔らかさにやられてしまった。それに娘が侯爵夫人になるかもしれないということで、ウキウキとしている。
「ぜひ妻にしたいと思っているのです。私は彼女ほどの女性に会ったことがありません」
「本当ですか。大切に育てた娘ですから、嬉しいですな」
そんな鼻の下のばしてデレデレしないでよ。お父様!私この人と結婚したら、色々重くて死んじゃうって。それに外面が良いだけかもしれないじゃないの。
「ちょうど婚約が破棄されたところでしたから、結婚していただけますのなら、結婚していただきたいですな」
「ほんとうですか。それならよかったです」
「それにしても、一つ疑問があるのですが、どうしてあの舞踏会で赤毛の女性を集めたのですか?赤毛がお好きですか?」
「いえ、占い師に赤毛の女性が良いと言われましたので、赤毛の女性を集めてみたら、大当たりでした」
目を合わせないように俯いていたのだが、一瞬顔を上げた時目がちょうど合った。すると唇を薄く広げ、甘いマスクで微笑んだ。でもソフィにそれは通用しなかった。その笑顔に対して、ソフィは眉をひそめて、目を細めて、じとっと見つめ返したのだが、対してケイトは表情を緩ませた。
どうしよう。なぜあの男は喜んでいるの。
「それでは結婚はしてもよろしいということでしょうか?」
「もちろんです。ぜひ」
ああ、私が一言も言わない内に、結婚が決定してしまった。
「よかったな。ソフィ」
「そ、そうですね。お父様。私少しケイト様と二人きりでお話がしたいわ。少し席を外していただけます?」
「ゆっくり話すと良い」
上機嫌で腰を上げて、ケイトに向けて挨拶をして子爵は部屋から出て行った。部屋の中にケイトとソフィの二人きりになり、妙な空気が流れた。
「良いお父上だね」
「今から父へ、やっぱり嫌だというのは私も嫌です。だから、条件です。この条件を守っていただければ結婚いたします」
それを聞き最初は顔を明るくしたけれど、すぐにケイトは俯き暗くなった。
「一応私も跡継ぎが居ない蹴ればいけない。子を産みたくないとかそういうことは…」
「違います。結婚したのなら、夜の営みも、子も産みましょう。条件というのは、孤児院を立てていただきたいのです」
「孤児院?」
全く想定してしなかった条件だったためケイトは面食らった。
「はい。教会の息も、政治家の息もかかっていない、孤児院です。孤児院を建て、運営を私に任せていただきたいのです。それをさせていただけるのであれば、結婚いたしましょう」
真剣な表情で、まっすぐ目を見て交渉をした。その意志が伝わったのか、ケイトも真剣に耳を傾けて、にっこりと笑った。ふわりと、椅子から立ち上がると、ソフィの目の前まで歩み寄り、腰を落として跪いた。ソフィの細く白い手を取った。
「もちろん。貴方のためなら、どんなことでも捧げよう」
そうして手の甲へ、キスをした。血の通う温かさが、伝わり、ソフィは指の関節という関節を強張らせて、目を丸くしていた。
「そんなに捧げていただかなくて、結構です。孤児院だけでいいのです」
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