あっち向いてホイっ!

ありま

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「ヤッベー、降ってきた」
 
 さっきまで、晴れてたのに…
 
 忘れ物を取りに、戻った帰り、突然の雷雨になった。
 
 あわてて、近くの店の軒下に、すべりこんだ。
 
 スッゲー、どしゃ降り。
 
「うっわー、全身びしょ濡れ~」
 
 今日の天気予報で、雨が降るなんて言ったかなぁ。
 
 うらめしそうに、空を見上げていると…
 
「突然で、驚いたわね」
 
 ビクッと、肩が上がり…
 
 人がいることに、あらためて、気づかされた俺は…
 
 また、ビックリした。
 
 
 少し、離れた所に立っている…
 
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 濡れたせいだろう、ブラウスに下着が透けていて…
 
 とても、色っぽく…
 
 目のやり場に困りながらも…
 
 俺は、目が離せなくなっていた。
 
 
「間違えてたら、ごめんなさい。もしかして、同じ学校じゃないかしら…」
 
 そう言われて、ハッとした…。
 
 初めて、学校の制服だったことに、気がついた。
 
「…あっ、そうです。」
 
「やっぱり…フフフッ」
 
 ふわりと、優しい笑顔になった。
 
 意味ありげに、うなづいているのが、気になったけど…
 
 そんなことよりも…
 
 頭の中では、必死に、記憶を探っていた。
 
 あんなに、綺麗な人なのに…  
 
 見たことがないなんて…
 
 本当に、同じ学校なのか?
 
 一度、見たら忘れるはずがない。
 
 あんなに、綺麗な人…
 
 初めて…  見たかも?
 
 彼女に、くぎ付けになり、言葉をなくしたままでいると…
 
「そろそろ、止みそうね」
 
「えっ、ああ、そうみたいですね」
 
 ハッと、我に帰り…
 
 俺は、初めて、祈った。
 
 雨の神様~。
 
 どうか、もう少し、雨を降らせてください。
 
 お願いします!
 
『ムリだな、もう、止むぞ』
 
 そんな、殺生なぁ~。
 
『また、会う機会もあるだろう』
 
 そりゃあ~そうだけどよぅ…
 
 学校じゃ、ふたりきりってわけにいかないし…
 
 今、この時間、大事だろ。
 
『オレは、サッサッと帰りたいけど』
 
「雨、止んだみたい。お先に失礼」
 
 ああ~、行ってしまう。
 
 もっと、一緒にいたかったぁ。
 
「…さようなら」
 
 
 しまったぁ~。
 
 名前、聞くの忘れてたぁ~。
 
『お前、やっぱり、バカだな』
 
 そんなこと言うなよ。
 
 彼女を見てたら、ドキドキして…
 
 落ち着かなくなるんだよー。
 
 お前だって、そう思うだろ?
 
『オレには、わからん』
 
 そうか…?
 
 カメレオン…だもんなぁ。
 
 
 明日、ツヨシに聞いてみよう。
 
 学校に行くのが、楽しみだ。
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