あっち向いてホイっ!

ありま

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    日本に来て、初めての期末試験が終わった。
 
 あっちでは、魔法がダメなら、勉強もダメで…  落ちこぼれだった俺…
 
 何をやっても、うまくいかなくて…
 
 ドンドン、自信をなくしてた。
 
 だから…  どうせ、こっちでも、出来るはずがないと思っていたから…
 
 案外、簡単に出来ちゃうことに…
 
 自分でも、ビックリするくらい。
 
 こんなことなら、もっと早く、日本に来ればよかった。
 
 魔法が出来なくても、困ることなんて、ほとんど、無いし…
 
「夏休みの予定ってある?」
 
 ニコニコしながら、隣の席のまことに聞かれ…
 
 不思議に思いながらも…
 
「一応…  ある」
 
 と、答えていた。
 
 なんで、俺の予定なんか、聞くんだろ?
 
「そっかぁ…  あのね、花火大会があるんだけど、一緒に行かない?」
 
 花火大会?
 
 なんだろう?
 
 気になるし…
 
 行って…  みたいなぁ。
 
 でもな~、
 
 ふたりってことは…  ないよなぁ?
 
「花火大会って、いつ?」
 
「え~と、8月の…3日」
 
 オットー、たしか…  
 
「3日だったら、予定無いはず」
 
「じゃあ、オッケーだね。他にも、何人か来るから、呼びたい人いたら、誘って」
 
「オゥ、わかった。そうする」
 
 ツヨシしか、いないけどね…。
 
 
 あっ、いいところに…
 
 うつむき加減で歩く、暗い表情のツヨシがいた。
 
 もうすぐ、夏休みなのに…
 
「よっ、…  真聖」
 
 なんで、あんなに暗いんだ?
 
「補習…  3つもあるんだ」
 
「…  3つゥ!」
 
 さすがに、多すぎだろ…
 
 だから、一緒に、試験勉強しようぜって、誘ったのに…
 
 大丈夫、大丈夫!
 
 なんて言って…、勉強…  してなかったもんな。
 
 落ち込む気持ちは、痛いほど、わかるけど…
 
 自業自得…  だよな。
 
「それで…  言いにくいんだけど」
 
 もったいつけずに、話せよ。
 
「補習で、1週間、つぶれるから…」
 
 すまなそうな顔しながら…
 
「プールの約束…  キャンセルで」
 
 ハアッー、何、それ?
 
「楽しみにしてたのに…」
 
「ホント、ごめん。このとおり」
 
 両手合わせて、謝られても…
 
 あっちに、プールなんて無いから、すごく楽しみだったのに…
 
 だから、あれほど、勉強しろと言ったのに…
 
 済んだことだし、しょうがないけど…
 
 いまさらね…
 
「この埋め合わせは、必ずするから」
 
 当たり前だっちゅーの。
 
「だったら、花火大会」
 
「花火かぁ~」
 
「嫌いだった?」
 
「いや、スッゲー好き」
 
「よし、決まり!」
 
 あっ、言い忘れるとこだった。
 
「それと…  女子も一緒だから」
 
「女子~?いつの間に…」
 
「俺の隣の席、橘  まこと」
 
「ああ、そういうこと」
 
 ニヤニヤと、意味ありげに、納得されて…
 
 どういうことだ?
 
 あの、ニヤニヤ笑い…
 
 何か、知ってるのか?
 
 今度、時間があるときに、じっくり、聞いてみよう。
 
「まあ、とにかく、頑張ってくれ」
 
「言われなくても、そのつもり…」
 
 
 プールは、行けなくなったけど…
 
 かわりに、花火大会に行けるから…
 
 かえって、ラッキーかも!?
 
 あっ、そうだ!
 
 花火が何なのか…  聞き忘れた。
 
『お前は、いつもそうだな』
 
 はいはい、そのとおりです。
 
 でも、聞くチャンスは、いつでもあるから…
 
 それにしても、今日は、やけに蒸し暑いな。
 
 また、雨…降らないかなぁ?
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