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2. 杏里 ~逃がさないから覚悟して?
杏里 ⑦ 【R18】
しおりを挟む瑠珠の唾液の甘みが増し、吐息の熱も高まっていた。
杏里は彼女の左頬の熱を束の間楽しみ、耳殻に指を伸ばす。親指が輪郭をなぞると、くすぐったそうに首を傾ぐ瑠珠。杏里の左手が開かれた首筋から肩のラインを滑って降りて行き、カットソーの裾から忍び込んだ。
遊びのようなキスから唇を解放し、瑠珠の顔を覗き込んでみた。先刻よりも頬を上気させて、うっすらと開いた双眸がとろりと見上げて来る。
「瑠珠可愛い」
素面の時に言ったら、年下のくせにみたいな事を言われるけど、この時の瑠珠は少し恥ずかしそうに微笑む。日頃が素直じゃないだけにメチャクチャ愛しい。
でも朝になったらまた忘れているんだろうな、そう思ったら少し切ない。
覚えていて欲しいのに、忘れていて欲しい矛盾。杏里の唇に苦笑が刻まれる。
「俺のこと好き?」
「……す、きぃ」
吐息のような呟き。
耳殻に指を這わせながら、杏里は泣きそうな笑みを浮かべた。蕩けそうな吐息を漏らす瑠珠に『けど花は咲かないんだね?』と何度口走りそうになったか。
瑠珠のたった一人になりたい。
花が咲く『好き』が欲しい。
花頭はなんて残酷な花なんだろう。
「大好きだよ」
砒素のように少しずつ、この想いに瑠珠が冒されていくように、今日も彼女に囁きかける。いつか杏里のために花を咲かせてくれるのを願って。
瑠珠の傍らに寝そべり、半身を覆いかぶせるように二人の脚を絡め合う。
白い双丘に実った赤い果実を舌で転がし嬲り続ければ、瑠珠は芳醇な香りを立ち昇らせた。その媚薬の香りに頭の芯まで痺れ、狂わされそうになるのに必死で抗う杏里を余所に、ツンと勃ち上がった果実は甘く、もっと召し上がれとばかりに口中で悦びに震える。
瑠珠の指が切なげに彼の髪を掻き乱す。
絹の如く滑らかな肌を撫でさすり、その度にピクリピクリと小さく揺れる彼女に愉悦の笑みが止まらない。
「気持ちいいんだ?」
果実をしゃぶったままで喋ると、泣きそうな喘ぎが漏れた。
感触を愉しむ意地悪な手付きで撫で回せば、焦れた彼女の脚がモゾモゾと杏里の脚に擦り合わせて誘ってくる。
「どうしたの?」
わざと聞いてみる。
瑠珠は一瞬だけ躊躇って、すぐに「触って欲しいの」と、羞恥を振り絞った可愛らしい声で囁いた。酔っぱらっているからなのか、夢だと思っているからなのか、或いはそのどちらもか。
彼女のリクエスト通りに腰のラインを辿り、ジーンズの上から未だ隠されたままの秘所へと触れた。昂りを放熱する視えないクレバスに沿って、親指がつつつと撫で上げる。
「…っや」
「ヤなの?」
「ちゃんと触ってぇ」
微妙に怪しい口調でおねだりしてくる瑠珠を見、『なんて可愛いんだ! ああもおったまらんっ!!』と内心でジタバタ悶えながら、冷静な振りして「ちゃんと触ってるよ?」と唇を綻ばせた。すると彼女は涙目で杏里を見返し、「ばか…いじわるぅ」とこれまた辿々しく言ってくるから、ヤバ過ぎるくらい可愛くて鼻血噴きそうだ。
(噴かないけどね。時間もったいないし)
タイムリミットがある。
迎えに行ってから、寝入った瑠珠を黒珠が迎えに来るまでの凡そ三時間。それまで彼も自分の時間を過ごしているはずだ。
「ちゃんとって?」
「ちゃんとはぁ、ちゃんとなのぉ」
可愛く不貞腐れて、潤んだ上目遣いで睨まれた。
「わっかんな~い。行動で示してよ」
口元がニヤケて弛みそうなのを我慢して、シレっと彼女の顔を覗き込む。すると瑠珠は自らの手でジーンズの前を寛がせ、チラリと杏里を盗み見た。彼が素知らぬ顔をして視線を無視すると、瑠珠は諦めたように寝転がったまま左右に腰を振って、下着ごとジーンズを下ろして行く。
彼女の秘所と下着を繋ぐ半透明の糸が、呆気なく切れた。膝まで下ろされたジーンズ。狭間から見えたクロッチ部分がしっとりと濡れている。
その様子に目が釘付けにされたまま「瑠珠はスケベだよな」とクスクス笑い、視線を戻すと彼女の頬がかっと赤く染まる。杏里は口角を上げて火照った頬に軽く口付けた。
「でも可愛い……ここ? 触って欲しいの」
下腹から手を滑らせて、下生えを指の先で弄ぶ。
「もっと……」
「もっと?」
「……下」
「下の方?」
揶揄うようにゆっくり指を這わせていると、焦れた瑠珠が徐に腰をクイッと持ち上げた。杏里の指がくちゅっと音を立ててクレバスに割って入り、意図せずして柔らかな被膜に覆われていた花芽の上で止まると、瑠珠の唇から「ぁ…んッ」と艶めかしい声が零れ、杏里はぶるりと震えた。
「……せっかち」
嬉しいけど。
瑠珠にご招待頂いたので、遠慮なく指先を立てた。まだ包まれたままの花芽を優しくカリカリ掻いてみる。小刻みな揺れが少しずつ大きくなっていくと指を止め、また繰り返す。
瑠珠はもどかしそうな溜息を漏らした。
「不満?」
その問いに瑠珠は答えなかった。ぷいっと顔を背け、ちょっと拗ねているみたいだ。
彼女の顔を自分の方に向かせ、尖らせている唇を啄むと見る間にご機嫌が戻って行く。瑠珠のキス好きに失笑してしまった。
「もっと気持ち良くしてもいい?」
彼女は数度頷き「してぇ」と可愛く蕩けた声で甘えて来る。これがどうして素面になると、ツンツンお姉さんに変わってしまうのか。
それはそれで不意にデレた時、頭から齧りつきたくなるくらい可愛いのだが、調子に乗って素面の瑠珠に手出しをして、拒絶の言葉を叩きつけられるのがまだ怖い。そんな言葉を聞いた暁には、まず間違いなく心が粉砕骨折よろしく折られて、暫らくの間浮上できないだろう。
(その気にさせたら、酔ってなくてもこんな風に、甘えてくれるのかな?)
甘えてくれるところまで縺れ込むのは、果てしなく至難の業に感じる。
が、ここで萎えている訳にもいかない。
二度と他の男に後れを取って、泣きを見る心算はないと誓った。
杏里は一度唇を引き絞り、そして口端を持ち上げて微笑んだ。
「いいよ。俺が触っただけで疼いちゃって、我慢できない身体にしてあげる。絶対に拒絶できない様にね」
薄く開かれた瑠珠の唇に舌を這わすと、彼女の舌がチロリと舐めて誘ってくる。杏里は誘われるまま唇を重ね、逃げて行く彼女を追う。まんまと杏里を引き込んだ熱い舌が、ねっとりと絡んで来た。
官能を根底から呼び覚まさせようとする卑猥な動き。
淫靡な水音と、時折唇から零れる二人の甘い熱。
瑠珠の唇が離れ、白い喉を仰け反らせて艶めかしい吐息を漏らした。
呼吸を整える仕草さえも、杏里を誘っている行為にしか見えない。潤んだ瞳に見詰められて劣情が煽られる。
愛でられてぷっくりとした蕾を指先で捏ねて弄べば、瑠珠の腰が時折大きく跳ねて蜜が溢れ、それを指に纏わり付かせてまた蕾を愛でた。
「っん……ぁ…ぁあ…や……ぃくぅ……」
「いいよ。イって」
指の動きを速めると、彼女の身体がガクガク震えて止まらなくなった。瑠珠の細い指が枕を握りしめ、苦し気に眉を寄せる。
杏里が彼女の耳を食んで追い打ちを掛けると、膨らみきった熱を開放すべく瑠珠は背中を弓なりに反らせ、嬌声を上げて達した。杏里はそのままゆっくりと唇を下に這わせて首筋にキスをする。
(早くここに、俺のもんだって印、付けたいなぁ)
そう思いながら何度も口づけを落として、鎖骨から乳房へと口付ける。
火照った頬でハフハフと息を整えていた瑠珠がちょっと長めに息を吐くと、杏里はしとどに濡れた蜜口につぷりと指を差し込んだ。
「まだこんなもんじゃ足りないだろ?」
瑠珠の返事を聞くまでもなく抽送を始めると、「ぁ…ゃん……待ってぇ」と彼女の腰が上に逃げて行く。させじと彼女の両足を抱え込んで引きずり降ろし、脚の間に身を滑り込ませた。
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