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9. うん。まあそれなりに……?

うん。まあそれなりに……? ③ 【R18】

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 萌え怜を潔く諦めるべきだったのか、後悔しても先に立たないのは重々承知している。
 でも寝顔を撮っただけなのに、この羞恥に堪えない所業はあんまりだ。

(ゾクゾクするとは言ってたけど……)

 くちゅ…ちゅばっ……と、妖しい水音が室内に静かに響く。
 半身をベッドヘッドに預けた怜が、彼の脚の間に座る梓にスマホのレンズを向け、淫靡な眼差しで彼女を見つめている。

 梓のささやかでありながら、抗いがたい欲求のせいで、怜の中の開いてはならなかった新たな性癖の間の封印を抉じ開けてしまった。
 ベッドで彼にカメラを向けるなんて、なんと言う無謀。なんと言う愚行。

(出来ることなら、封印し直したい……)

 怜が切なく堪えるように眉をくっと寄せ、彼の潤んだ双眸は画面越しの梓を見て、うっとりと微笑んだ。

「アズぅ、こっち見て」

 目を逸らした途端、怜から催促される。
 涙目で言われた通りに目線を上げると、口中の屹立が密度を増して、梓の喉を圧迫した。凶暴なほど滾った雄芯は硬く熱く脈打ち、彼女の唾液を纏ってぬるりと姿を現す。別の生き物のようにピクピク蠢く熱杭の根本を支え、裏筋を舌で撫で上げ雁首を唇で食むと、梓の手の中で歓喜に震えた。

「アズ…っ……一度、出しても、良い?」

 目元を赤く染め、怜の切なげな瞳に捕らえられた。
 花芯がキュンと疼く。それを悟られまいと平静を装いながら、頬がどうしようもなく熱い。梓は小さく頷いて屹立を含み直し、舌を押し当てて吸いつき、上下に擦る手と口の動きを早める。
 怜の吐息が乱れ、時折苦しそうに顔が歪んだ。
 空いている怜の手が梓の頭を押さえ込み、「出す……っ」の言葉と共にすぐに淫茎から緊張が伝わってきた。
 怒張が破裂し、彼女の口中に熱が放たれると、ドロリとした情欲が口の中に広がる。
 未だに慣れない、青臭くて苦みのある白濁を嚥下する梓を、熱を帯びた怜の目が艶然と見つめていた。

「梓の顔、エロかわ」

 そう言いながら身を起こし、「怜くんの方がエロい顔してる」と反論する梓を押し倒す。その早業に目を瞬いて怜を見上げた。

「え…ちょ、怜くん?」
「今度は梓を気持ち良くしてあげるね」

 これまた素早く下着ごとパジャマのズボンを奪い去り、繊細な動きを見せる長い指先が、蜜を溢れさせた秘所に滑り込む。潤みきったそこは卑猥な水音を立て、怜は意地悪に微笑んだ。

「僕の咥えて感じてる梓は、すっごく淫らで可愛いけど、喘いでる梓も可愛いから、これも永久保存版で撮らせてね?」

 背筋に冷たいものが流れる。
 完全に所要時間オーバーでしょ、と反論する余地が与えられる筈もなく、激レア映像二十六分のために、二ラウンド目に突入する羽目となった。



 顔しか撮らないからと怜は言うけど、そういう問題じゃない。
 他人様に見せることが非常に憚れる映像を、記録として残しておくのは如何なものであろうか。
 絶対無理と思っているのに、怜の手練手管に身体が翻弄されてしまうのは、致し方ない事……。

(じゃないッ! 流されるな、あたし!)

 心の中で自分に檄を飛ばすも、身体がまったく伴っていない。
 浮上した意識もまたすぐに快楽に呑まれて行く。
 怜に弱点を知り尽くされているから、簡単に篭絡されてしまった。
 芳醇な果汁を滴らせる果物の様に、蜜が溢れ返ったそこは容易に怜を受け入れ、浅い抽送と花芯への愛撫で、逃れられない官能に身を浸している。

「梓ぁ。ビデオに撮られて、興奮してる? いつもよりグショグショだよ?」

 ゆっくりとした腰の動きと、花芯を弄ぶ指先。その傍らで梓に向けられたレンズ。

「ぃ…やぁ。と……っあん……とら、ないでぇ」

 顔を隠した彼女の手をそっと退け、優しいのにどこか黒さを感じる微笑みで「やだ」と両断する。

「これがあったら、出張しても寂しさが多少は紛れるでしょ。本当は梓が傍にいるのがベストで、連れていけたら一番問題ないんだけどさ」

 そう言った怜は愛おしそうに下腹を撫でる。
 愛されてるなぁ、などとちょっと感動したのに、お腹を擦っていた手は直ぐに花芯を抓み、指で弾かれた。短い悲鳴にも似た喘ぎを漏らすと、ニヤリと怜が笑う。
 蜜口でグラインドし、切先が捏ね回しながらゆっくりと膣内に沈み込み、ギリギリの所まで引き抜かれ、またグニュグニュと捏ね回して沈んでいく。

「梓、これ好きだよね」

 クスクス笑う。
 イケそうでイケないもどかしさ。
 気が変になってしまいそうなのに、止めて欲しくないジレンマ。

「苛立たし気に僕を見るその目、可愛くて凄くそそる。ねえ。梓の膣内なかでまた大きくなったの、わかった? ……あ。今キュッて吸い付いてきた。はあ…たまんない。このまま溶けて混ざり合って、離れられなければ良いのに」

 怜の言葉一つ一つに反応し、意図せず彼を締め付け、奥へと引き摺り込もうとする梓の欲望が、彼はひどく嬉しそうだ。
 何度も昇り詰めそうになる。なのに達することが出来ない。
 苦しくて、涙が溢れて来る。

「はぁ…んっ……ぁあ……れ…ぃ」

 撮られている事も忘れて彼に縋る手を伸ばせば、怜は彼女の右足を持ち上げると、熱杭を突き刺したまま身体の向きを変えさせ、そして背後から梓の身体を抱き締めた。
 腕に梓の頭を乗せた先には、インカメラに切り替わったレンズが二人を映し出している。怜は彼女の首筋に唇を這わせながら、上目遣いで画面越しに梓を見た。

「これが、感じてる時のアズちゃん。トロトロになって可愛いでしょ?」

 項にちゅっとキスをし、怜が視線を画面に促した。
 そこに映っているのは、情欲に頬を火照らせ、怜が張り巡らせた快楽の糸に絡め取られて見悶え、だらしなく開かれた口から覗く舌先は赤く濡れ、物欲しそうにチロチロと蠢く。
 強欲に官能を強請る雌の顔。
 可愛くもないし、ひたすら恥ずかしいばかりだ。
 見るに堪えなくて目を伏せると、穿たれた熱杭が彼女の弱い所を攻め、「ちゃんと見て」と耳元で甘く囁く。熱い怜の吐息が耳殻をくすぐり、彼の長い指がグリグリと花芯を圧し潰し、梓の腰がガクガクと震えて止まらない。

「れ……ぃや……も、いき…たぃい……ねが…っあ、ぁ」

 やり場のない手はシーツを握りしめ、もう一方はもどかしく抽送される怜の腰に回して指を立てる。右足を怜の足を跨ぐように絡め、尻を突き出して画面の向こうの怜に懇願した。
 梓の表情を取り溢さないようにカメラ目線のまま、首筋から耳朶へと舌先が這う。背筋を走った痺れに身を揺らすと、怜はフワッと梓が好きな微笑みを浮かべた。

「いいよ、イって。最高に可愛い瞬間、撮ってあげるね」

 怜の言葉が耳を素通りしていく。
 やっとイかせて貰える安堵と津波の様に押し寄せる絶頂に、梓の思考は真っ白になってショートした。

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