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第三章 アンドロメダ編
第二十七話 強くなる理由
しおりを挟む俺、女の子みたいになっちゃいました。
転生したらショタになってそしたらTSして赤髪ロリ少女に…。
俺ほど属性モリモリな人間っていないだろうなあ…。
「うーん。多分私の力が君にも流れてるせいで体まで融合しちゃったみたい。」
「俺は…女の子としてこの先の人生を歩めば…?」
「今見てみたけど君、性別がなくなってるよ。どっちでもないってこと。つまり性別不詳!まるでリ○ルテンペストじゃん!」
「おお…!」
そう言われるとちょっと前向きになれるな。
リ○ルだって俺と同じ現代人だったんだ。
同じ条件になっただけ…うん。大丈夫。
それと今地味に性別不詳とリ○ルテンペストで韻踏んでたなこの子。
俺の頭の情報、ほんとに分かるんだなあ…。
なんか変なことバレなきゃ良いけど。
——————
「アンドロメダ、どうすればここを出れる?俺、今すぐに戻って聖女様たちを助けに行かないといけないんだ。」
冷静になり話を進めることにする。
そうだ、俺はこんなところでふざけてる場合じゃない。
今頃向こうでは何が起こってるか分からないんだ。
早く戻って力にならないと…!
「君はまだ出ちゃダメだよ。」
アンドロメダが言った。
その顔は…とても真剣で真面目な顔だ。
「どうして、ですか?」
「申し訳ないけど君が弱すぎるからかな。今戻っても賢者に殺されるだけだよ。」
「…っ!」
ぐうの音が出ない。
彼女の言う通り俺と賢者の実力には天と地の差があった。いや、地にも登れていないかもしれない。
だけどあそこには…!
聖女様やオシリス、アルルにジャック達も取り残されている。
何もしないでみすみす殺されるよりは何かしら行動して少しでも結果を変えられるかもしれないだろ?
「大丈夫。君の仲間は全員無事だよ。賢者はもういないし、イタイタスとかいうのは捕まった。」
「…!良かった!」
俺の心配を手に取るように理解して教えてくれた。
本当に良かった…。安心だ。
いや、まだ肝心な人の事を聞いてないだろ。
「聖女様…聖女様は無事なのか!?」
そう一番大切な人。
あの人さえ無事なら俺は死んだって良い。
しかし……
アンドロメダは暗い顔をして俯いた。
「…どうなんだ?聖女様は無事なんだよな…!?」
詰め寄る。
「あの子は…賢者に連れていかれた。でも賢者は絶対にあの子に手を出さないよ。これは約束する。」
「クソ…!!」
俺は失敗した。
村長との約束を守れなかった。
安全だとか手を出さないとかじゃない。
聖女様を村まで送り届けるのが俺の仕事だったのに…!!
「…どうしたらここを出してくれる?」
今すぐに聖女様を助けに行く。
それが俺にやれる、いや、やらなきゃいけない事だ…!
死んだって良い。あの人を取り戻す…!!
「そうだね。君が強くなったらかな。んー…せめてあのロックスやイタイタスとかには勝てるぐらいにはね。」
アンドロメダは淡々と言った。
「ロックス…に?俺が…?」
「うん。賢者と戦いたいなら最低そのレベルまで強くならないとダメってこと。今回、死にかけてた君を治すのに私はかなりの力を使っちゃったんだ。多分、だから君の体も変わったんだろうね。だけど次も同じようなことが出来るとは限らないよ。だから君は一人でも戦って死なないレベルの強さを身につけなきゃいけない。」
尚も続けるアンドロメダ。
これには…何も言えることなんかない。
彼女が言ってるのは事実だ。
今の俺が行ったって無駄死にするだけ。
聖女様を救うことはおろか、何の役にも立たずに秒殺される。
強くならなきゃいけないのは…本当だ。
「俺が死んだら…君はどうなるんだ?」
一つだけ浮かび上がった疑問。
もし俺が死んだら能力としての''神の書物''は誰かに譲渡されてしまうのか?
その相手が賢者なら…絶望だ。
「君が死んだら私も消えるよ。君と私はかなり同化してるっぽいからね。…けど私は死にたくないなあ…?それは君も一緒でしょ?」
アンドロメダが俺の顔を覗き込む。
少しだけ笑っていた。
「…ああ。俺も死にたくないのは一緒だ。俺、強くなりたいよ。」
彼女に手を差し出す。
すると理解したのかアンドロメダが微笑み、俺の手を握った。
「交渉成立だね。っとでも修行をする前に君には歴史を知ってもらおうかな。」
「歴史?」
突然机の上に一冊の本が現れた。
「おお…!''神の書物''だあ!」
一番見慣れていた本。異世界ではなくてはならない相棒だ。
「ふふっ。これは私の記憶を一番濃く記したいわば原本だね。ささっ!本を開いてみて。」
いきなりだったが言われた通りに本をめくる。
すると本から光が溢れ始め、ページがバサバサと荒れ狂い始める。
これはまるで…転生した時のような…!!
「アンドロメダ!?これはなんだ…!?」
隣にいたアンドロメダに問う。
しかし彼女は悲しそうで…寂しそうな顔でただ弱々しく微笑むだけだった。
「ちゃんと見てきて。いってらっしゃい。」
その顔を最後に俺は本の中へと飲み込まれていった。
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